ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第六話 妖花フローラその三
「これは・・・・・・今までの俺とは」
「進化したというのか」
 フローラは今目の前で起こっていることが何なのか悟った。
「だからこそ。こうして」
「俺は。強くなったというのか?」
「まさか。サイボーグが」
「いや」
 ジーグにもようやくわかった。どうしてこうなったのかを。
「俺の今までの戦いが今俺を強くした、そういうことなんだ」
「今までの戦いがだと!?」
「その通りだ。フローラ!」
 フローラを指差しての言葉だ。
「これまでの戦いで成長した俺の強さ。見せてやる!」
「クッ!」
 これまでとは比較にならない威圧感を感じる。フローラはその威圧感に気圧されてしまった。
 その時だった。二人のところに駆け付ける者達が来た。
「宙!」
「大丈夫かい!」
 凱とルネだった。真っ先にジーグのところに来る。
「フローラ、やはり貴様か!」
「逃がしはしないよ!」
「くっ、まさかこんなところで」
 如何にフローラといえど一度に三人を相手にするのは無理だ。それを彼女自身もすぐに解した。
「致し方ない。ここは」
「くっ、逃がすか!」
「そうはいかないよ!」
 凱とルネが攻撃を繰り出す。だがフローラはそれをかわして撤退した。そしてそのまま何処かへと姿を消してしまったのであった。
「逃げられたか」
「何てすばしっこい奴なんだ」
 二人はまず歯噛みする。それからジーグを見た。
「あんたその姿は」
「どうしたんだ?」
 ルネと凱はそれぞれの口でジーグに問うた。 
「凱」
 ジーグはここで凱に顔を向ける。そのうえで言う。
「御前さっき言っていたな」
「俺が?」
「ああ。いずれ後からついて来るってな」
「じゃあそれは」
「ああ、どうやらそれらしい」
 それがジーグの答えであった。
「俺は強く進化した。今までの戦いのせいで」
「そうだったのか」
「そうかい、やったね」
 二人は今のその言葉を聞いて笑みを浮かべてきた。
「戦いの中で自分自身を鍛えてきた結果」
 宙はまた二人に語る。
「俺は新たな姿に生まれ変わったんだ」
「サイボーグがね」
「いや」
 凱は今のルネの言葉は否定した。
「サイボーグはロボットじゃない。人間だ」
「ふっ、そうだったね」
「だからだ。御前は人として進化したんだ」
「人として、か」
「そうだ。やったな」
 爽やかな笑顔でジーグに告げる。
「立派にな」
「そうか。じゃあこれからもどんどん戦わせてもらうぜ」
 ジーグは明るい声に戻っていた。その声で語る。
「鋼鉄ジーグとしてな」
「ああ、頼むぜ」
「頼りにしてるよ」
 三人は笑顔で言い合う。今司馬宙は一つの壁を乗り越えたのだった。

「そうか、よかったな」
 皆凱とルネから話を聞いた。そのうえで素直に宙を祝福する。
「御前もまた強くなったんだな」
「戦士として人間として」
「ああ」
 皆の言葉を受けて会心の笑みで頷く。
「この力でこれからも戦わせてもらうぜ」
「そう来なくてはな」
 ギャブレーが今の宙の言葉を聞いてにこやかに笑う。
「鋼鉄ジーグではない」
「ギャブレーの頭の中は全然成長しないのにね」
「全くだね」
 横からアムとレッシィがギャブレーをからかってきた。
「いつもいつも同じことばかりやって」
「学習能力がないにも程があるさ」
「言ってくれるな、二人共」
 二人に言われてムッとした顔を見せる。
「私とて。成長しているのだよ」
「そうか?」
 バーンがそれを聞いて疑問を顔と声で示してきた。
「私にはあまり見えないぞ、ギャブレー殿」
「バーン殿、それはまりではないか?」
 何故か他人の気がしない彼に言われてギャブレーも心中穏やかではなかった。
「私とてこれでも」
「済まない、言葉を取り消す」
「わかってくれればいいが。それにしてもだ」
「だってねえ」
「この前も空腹に耐えかねて」
 クスハの料理を食べて憤死しているのだ。異なる星の人間も彼女の料理は駄目なのだ。
「あれはつまりだな」
「まあ生きていたからいいけれど」
「せめて普通のお菓子でも食べておけ」
「くっ、わかった」
 悔しいが頷くしかなかった。これでとりあえずギャブレーの話は終わった。
「それでだ」
 大文字が宙に言う。
「宙君も成長した。我が軍の戦力はその分充実した」
「そうですね」
「新入りもいますし」
 皆トウマに顔を向ける。彼も未熟ながら頑張っていたのだ。
「ここは攻勢に出よう」
「攻勢!?」
「相手は」
 攻勢と聞いて色めきだつ者達も多い。相手は何処かと。問いたくて仕方がないようだった。
「まずは邪魔大王国か」
 大文字はそう判断した。
「先の戦いでのダメージが癒えるまでに。決着をつけておこう」
「それじゃあ一気に」
「ここで一気に敵を減らして」
 彼等の作戦は決まった。しかしここで思わぬ報告が入った。
「博士っ」
「どうしたミドリ君」
 通信を受けたミドリが大文字に顔を向ける。大文字も彼女に顔を向けて問うた。
「敵か!?」
「はい、それも新たな敵です」
「何っ!?」
「新たな敵だと」
 皆新たな敵と聞いて顔を曇らせる。何者かと思ったのだ。
「誰なんだ!?」
「まさかあの」
 以前戦った得体の知れない相手かと。そう思った者もいた。そしてその予想は当たった。
「送られてきたデータですが」
「うむ」
「これは!?」
 大文字をはじめ皆ミドリが手渡すファイルを見る。見ればそこには彼等がかつて見たものがあった。
「やはりな」
「あの敵か」
 彼等はそのファイルを見て声をあげる。
「それが今」
「彼等は今北京に出ています」
「北京か」
 大文字はそれを聞いて顔を曇らせる。
「北京を奪われるわけにはいかない。ここはやはり」
「ええ、仕方ありませんね」
 サコンが大文字の言葉に頷く。
「ここはその新たな敵に対して」
「向かうとするか」
「では決まりですね」
 ユウナが大文字に対して言った。
「全軍北京へ」
「うん、それでは行こう」
「はい」
 こうして彼等は北京に向かう。ことになった。そしてそこで新たな敵が何者かを知ることになる。だが彼等はまだそのことを知らないでいた。


第六話   完


                2007・8・31
小説・詩ランキング http://www.sclear.com/s/rank.cgi?mode=r_link&id=5341 http://highmix.s26.xrea.com/robo/rank.cgi?mode=r_link&id=106 http://www.webstation.jp/syousetu/rank.cgi?mode=r_link&id=3648 site_access.php?citi_id=254078182&size=200