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第六話 妖花フローラその二
「波長があって」
「そうだな。俺もだ」
 宙も笑ってタリアに返す。
「艦長もレミーもな。何か合う」
「あと葛城三佐やラミアス艦長もでしょ」
「わかるのか」
「ふふふ」
 またしても笑みが変わった。今度は大人の女の笑みだった。
「女の勘でね」
「やれやれ。適わないな」
「その女の勘で言うわよ」
 顔から笑みが消え声もしっかりしたものになった。
「今度の戦いは。貴方に頑張ってもらうことになるわ」
「俺にか」
「レーダーに反応です」
 アーサーが報告する。
「数、一千。邪魔大王国です」
「来たか」
「前方からです」
 アーサーはまた報告する。すぐに夥しい数のハニワ幻獣達が姿を現わしてきた。
「来たわね」
「いや、何かおかしい」
 宙はすぐに異変に気付いた。
「おかしい?」
「ああ。見てくれ」
 宙はレインの問いに答えた。
「移動要塞がない。これは一体」
「そういえばそうだな」
 言われてドモンも気付いた。
「ハニワ幻獣だけは。どういうことだ」
「今は敵の前線指揮官はフローラだったか」
「はい」
 ジョルジュがアルゴに答える。
「彼女が全ての指揮を執っている筈ですが」
「それがいねえのか」
「何かあるのかな」
 ヂボデーとサイシーも首を傾げる。
「嫌な予感がする」
 宙はその中で呟いた。
「まさかあいつ等」
「策を仕掛けているっていうのね」
 アレンビーが宙に尋ねた。
「あいつ等が」
「そうだ。しかしだとすると一体何が」
「フローラが何かしてくる」
 アーサーはそう予想を立ててきた。
「そうですよね。それですと」
「けれど今はあれよ」
 タリアは顔を曇らせるアーサーに対して声をかけてきた。
「目の前の敵を何とかしないと」
「まずはそっちですか」
「そうよ。では全軍攻撃用意」
 指示を下した。
「いいわね。すぐに退けるわよ」
「了解」
 すぐに戦いに入った。ロンド=ベルは鋼鉄ジーグを軸に戦いを進めていた。
「ミッチー」
 後ろにいる美和に声をかける。
「頼むぞ、いつも通りな」
「ええ、宙さん」
 ビッグシューターの中から彼に応える。
「わかったわ。それじゃあ」
 次々と打ち出す。彼女の援護の下宙はハニワ幻人達を次々に退けていく。
 だが数が多い。疲れが見えてきた。
「くっ、このままだと」
「大丈夫だよ、宙」
 そこにルネが来た。光竜と闇竜が後に続く。
「ルネッ」
「助けに来たよ、凱もね」
「宙、ここは任せろ!」
 凱も来た。他のGGGのマシン達も。
「御前は下がれ、そしてダメージの回復を」
「いや、大丈夫だ」
 だが彼は下がろうとはしない。傷を受けながらも戦う。
「俺はまだ戦える。だから」
「大丈夫なんだね」
 その彼にルネが問う。
「じゃあ頑張ってもらうよ」
「ああ」
 彼は戦い続ける。幾ら傷を受けようとも戦い続けた。彼のその活躍があり戦いはすぐに終わった。だが彼の受けたダメージは大きく一旦司馬研究所に向かうことになった。
「くっ」
「駄目よ、宙さん」
 彼は父に改造を頼んだ。だがそれは拒まれたのである。
「どうしてだ、どうしてなんだ父さん」
「焦ったら駄目」
 焦燥を隠しきれない宙に美和が言う。
「今は。特に」
「だが俺は」
 それでも彼の焦りは止まらない。
「今強くならないと。ここままじゃ」8
「焦っているようだね」
「ルネ」
 その彼の前にルネが姿を現わした。
「わかるよ、その気持ち」
「それはどうしてだ?」
「決まってるさ。同じサイボーグとしてね」
「そうか。そうだったな」
 ルネがサイボーグであるということを再認識させられた。その言葉を聞いてまた冷静さを取り戻す。
「御前も俺も同じで」
「かつては俺もだったな」
 凱も来た。いつもの片目を瞑った笑みで。
「同じサイボーグ同士。何かあるな」
「そうだな」
 宙はその言葉に対して頷いた。
「だが御前は今は」
「しかし心はサイボーグのままさ」
 あえてこう言うのだった。
「今でもな」
「そうなのか」
「そうさ。だから御前に言いたいんだ」
「同じ仲間としてか」
「ああ。今は焦るな」
 そう友に告げる。
「御前の実力は備わっている。後は」
「後は。何なんだ?」
「何かが追い付いてくるからな」
「何かがか」
「そうだ。じゃあ俺はこれからトレーニングをしてくる」
「あたしもね」
 ルネも去る。二人して研究所のトレーニングルームに向かう。その時宙も誘った。
「御前もどうだ?」
「いや、俺は」
 だが彼はそれを断った。
「少し一人にさせてくれ。それでいいな」
「ああ、それならな」
「また後でね」
 二人と別れる。そうして宙は一人研究所の外で歩きながら考えるのだった。
「さて、と」
 辺りを見回しながら考えている。
「どうするかだな。これかは」
「どうしたもこうしたもない」
 何処からか女の声がした。
「司馬宙」
「その声は」
 聞き覚えのある声だった。すぐにそれに反応する。
「御前か、フローラ」
「そうだ。研究所に襲撃を仕掛けに来たのだが」
「だからあの時熊本にいなかったのか」
「その通り。あれは囮だったのよ」
「くっ」
 その狡猾さに歯噛みする。
「そうだったのか。危ないところだったぜ」
「だがそれは上手くいったようだ」
「馬鹿を言え!」
 フローラの今の言葉を負け惜しみと受け取っての言葉である。
「今御前は一人だ。それでどうして」
「それならそれでやることがある」
 不敵に笑って宙に返す。
「司馬宙、いや鋼鉄ジーグ」
 鋼鉄ジーグとあえて呼んだ。
「貴様をここで倒す」
「俺をだと」
「そうだ。傷ついている今の貴様なら造作もないこと」
 笑みが酷薄なものになる。その笑みで以っての言葉であった。
「だからこそ。覚悟しろ」
「それはこっちの台詞だ!」
 フローラと正対しての言葉だ。
「この鋼鉄ジーグの力見せてやるぜ!」
「今の貴様では私に勝てはしない」
「まだ負け惜しみか!」
「残念だが違う」
 ジーグに対して冷徹極まる言葉をかけた。
「違う?どういうことだ」
「今貴様はビッグシューターがない。それで私に勝つつもりか」
「クッ」
 その言葉には歯噛みするしかなかった。ビッグシューターがなくてはジーグは完全な力を発揮できないからだ。それはフローラもよくわかっていた。
「さあ、覚悟はいいな」
 ジリ、と間合いを詰めて言う。
「ここで。死ぬのだ」
「例えジーグにならなくとも」
 だが宙はそれでも戦意を衰えさせてはいなかった。毅然として立っていた。
「俺はこれがある!ビルトアップ!」
「ふっ、無駄なことを」
 変身するジーグを嘲笑う。
「鋼鉄ジーグにならなくては私には勝てはしない」
「それを今から見せてやる!」
 力で劣ろうともそれでも退くつもりはなかった。
「御前には負けないぜ!」
 光に包まれる。その時だった。
「なっ!?」
「むっ!?」
 異変が起こった。何と変身した姿がこれまでとは違っていたのだ。
「これは一体・・・・・・」
「その姿は・・・・・・」
 宙もフローラも驚きを隠せない。その顔のまま言う。
「俺の身体が変わっている・・・・・・」
「どういうことだ、これは」
 赤い戦士の身体だ。それは今までとは全く違う威圧感と躍動感を感じさせるものであったのだ。
「違う・・・・・・何かが違う」
 ジーグは呟くようにして言う。
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