第五話 百鬼帝国その三
「よし、今だ!」
最初に攻撃に入ったのは輝であった。
「ミサイル発射!マックス、ミリア!」
「はい、わかってますよ隊長」
「続きます」
二人は冷静に輝に言葉を返した。
「照準は既に合わせています」
「だから」
「仕掛ける。今だ!」
三機のバルキリーから無数のミサイルが放たれる。そうしてそのミサイル達が百鬼帝国のマシンを次々に撃つのであった。
ミサイルだけではなかった。ビームやファンネルも攻撃を浴びせる。それはグローバルの指示通り百鬼帝国全軍に浴びせられそれだけでかなりのダメージを与えていた。しかし当然ながらそれだけで敵を全て倒せるわけではなくかなりの数が残っていた。百鬼帝国軍はダメージをものともせずさらに進んでくる。しかしそこにまたロンド=ベルは攻撃を仕掛けた。
「必殺!」
クロトが飛び出た。そうして前にいる敵を次々とミョッルニルで粉砕していく。
「鬼退治やらせてもらうよ!」
「おいこらクロト!」
そこにオルガが声をかける。彼は既にシャニと共に遠距離攻撃に入っていた。
「あまり前に出るんじゃねえ!」
「何でだよ!」
「邪魔なんだよ!」
実に素直な言葉であった。
「つまりウロチョロしてっと一緒に撃つぞ!」
「御前の攻撃なんかに当たるもんか!」
クロトはそうオルガに言い返した。
「そんな下手糞な攻撃なんかね!」
「何だとこの野郎!」
オルガはその言葉に激昂を見せてきた。
「俺が下手糞だっていうのかよ!」
「その通りじゃねえか!シャニもね!」
「何?」
今度はシャニが反応を見せてきた。
「俺が下手だと」
「違うのかい?」
「違うな」
シャニは一言でそれを否定してきた。
「俺は天才だ。俺が攻撃を外すことはない」
「だったら僕に当てられるかい!?」
「なら・・・・・・死ね」
話が完全にあさっての方にいっていた。三人は三人で勝手に喧嘩をはじめてしまっていた。
「今ここでな。オルガ共々」
「俺もかよ!」
「うざいんだよ」
オルガまで巻き込んでいた。
「御前等二人」
「ならこっちだって容赦しねえぞ!」
オルガは実際にシャニに照準を合わせてきた。
「ここで決着をつけてやる!」
「来い」
「望むところさ!」
三人は勝手に喧嘩をはじめた。だがお互いには当たらず百鬼帝国の面々を薙ぎ倒していくだけであった。何だかんだで彼等も活躍していた。
「何はともあれあいつ等も活躍してんだな」
ケーンは三人の派手な活躍を見て言った。
「それも派手によ」
「こうなったら俺達だって負けていられないな」
「全くだぜ」
ライトの言葉にタップが頷く。
「元祖三銃士はな」
「誰が三銃士なのよ」
アスカがエヴァから三人に突っ込みを入れる。光子バズーカで遠距離攻撃を仕掛けている三人に対して彼女は遠距離攻撃から近距離攻撃に移っていた。
「あんた達の何処が」
「じゃあ何なんだよ」
ケーンはアスカに突っ込みを入れる。
「俺達は」
「三馬鹿でしょ、あんた達は」
アスカはいつもの言葉を彼に返した。
「それ以外の何なのよ」
「だから三銃士だって言ってるだろうが」
ケーンも負けてはいない。
「いい加減人の話を聞けってんだよ」
「五月蝿いわね、そんなのどうだっていいじゃない」
アスカもアスカで開き直ってきた。敵を倒しながら。
「あたしだってね、人の話は聞いてるわよ」
「そうか!?」
タップがそれに異議を呈してきた。
「とてもそうは見えないけれどよ」
「残念ながらそうだな」
ライトがそれに頷く。
「アスカはどうもな。素直じゃないし」
「それがどうしたっていうのよ」
「素顔は可愛いのに」
「当然よ」
ライトの言葉に乗ってきた。
「あたしみたいな美少女はね。そうはいないわよ」
「性格はかなりあれだけれどな」
ケーンがまた言う。
「素直じゃねえけれどな」
「ああ」
「本当は仲間思いなのにな」
「色々言ってくれるわね」
アスカもムッとしてきた。
「御前が仕掛けてきたしよ」
「まあね。それでさ、三馬鹿シリーズその一」
新たな仇名であった。
「その一かよ」
「だって三人組多いから」
理由はそこであった。
「だからよ。それでね」
「で、何だ?」
「悪いけれど援護御願いするわ」
話がようやく本題に入った。
「後ろから。派手なの頼むわよ」
「やれやれ、最初からそう言えよ」
タップがそれに突っ込みを入れる。
「何か回り道したぜ」
「まあこれもいつものことだしな」
ライトはいつもの調子であった。
「じゃあレディー」
あえて気取ってアスカに言う。
「今からいいかな」
「ええ。けれどさ」
アスカはまた言葉を付け加えてきた。
「何か?」
「レディーっていうよりはね」
「いうよりは?」
「フロイラインって呼んで欲しいわ」
アスカの母国であるドイツ語を出してきた。顔が少し赤くなっている。
「御願いできる?」
「フロイライン、ねえ」
ケーンはその言葉の響きに微妙な顔を見せてきた。
「似合わねえよね」
「ああ」
タップがまた頷く。
「フロイラインって柄じゃ」
「けれど頼むわよ」
アスカは顔を赤くさせたまま返す。
「そう呼んで欲しいのよ」
「わかったよ。じゃあよ」
ケーンが最初に口を開いてきた。
「フロイライン。援護してやるぜ」
「ええ、御願い」
こうして三人はアスカ達の援護に入る。援護攻撃は上手くいきまた百鬼帝国のマシンが薙ぎ倒されていく。戦局はロンド=ベルが圧倒していた。
「おいおい、数だけかよ!」
マサキが言う。
「威勢のいいわりによ!」
「おい、どっかで見た髭のおっさん!」
甲児がヒドラーに言った。
「口で言う割には大したことねえな!」
「ふん」
だが彼は甲児の言葉に感情を露わにはしなかった。冷静なままである。
「力はわかった」
「力だと!?」
「そうだ。貴様等の力はな」
ハドラーは自信に満ちた声で言うのだった。まるで負けてはいないかのように。
「これでな」
「じゃああれかよ」
甲児はそれを聞いて言い返す。
「今の戦いは小手調べっつうのかよ」
「その通りだ、兜甲児よ」
「しかも俺の名を知ってやがるのか」
「貴様のことは有名だ」
「おっ、そりゃいいな」
有名と言われて悪い気はしない。とりわけ甲児のようなタイプは。
「俺も有名になったもんだぜ」
「ちょっと甲児君」
調子に乗る甲児を見てさやかが声をかける。
「褒められてるんじゃないわよ」
「おっと、そうか」
「そうかじゃないわよ。全く」
「けれどよ、やっぱり有名だって言われたらよ」
「気持ちはわかるわ。けれどね」
さやかはまた注意する。
「よく考えてよ。敵に知られてるのよ」
「俺のこと全部かよ」
「そうよ。だから」
「ふむ、弓さやかか」
ヒドラーは今度はさやかに顔を向けてきた。
「貴様のことはもまた知っている」
「つまり研究済みってことね」
「そうだ。ロンド=ベルのことは事前に研究している」
そう答えてきた。
「貴様等全員のことはな」
「へっ、また随分と慎重じゃねえか」
甲児はそれを聞いて言う。
「そこまで俺達のことを知りたいのかよ」
「全ては勝つ為に」
そう甲児に述べる。
「我等百鬼帝国がな」
「では聞こう」
今度は竜馬が問うた。
「ヒドラー元帥」
「何だ」
「御前達は俺達を完全に滅ぼすつもりだな」
そうヒドラーに問う。
「だからこそ。俺達を研究してきたんだな」
「その通りだ」
隠しはしなかった。笑いながら言うのだった。
「貴様等に勝利し、この地上を我等がものとする」
「地上に出るというんだな」
今度は隼人が問うた。
「人間にかわって」
「ふふふ、それこそ我等が悲願」
笑ってまた答える。
「我等百鬼帝国のな。だからこそ」
「そんなことさせてたまるかよ」
弁慶が声を強くさせた。
「俺達だってな、この地上で生きる為に」
「それは我等も同じこと」
ヒドラーはまた言い返す。
「光溢れる地上に。住む為に」
「引かないってのかよ」
武蔵が言った。
「どうしても」
「そう、どうしてもだ。これは戦いなのだ」
ヒドラーの言葉が傲然としてきた。
「我等鬼と貴様等人間のな。だからこそ」
「わかった。なら受けてやる」
隼人が応える。
「その戦いをな」
「ふふふ、降伏はないぞ」
ヒドラーは笑って言った。
「これは種の生存をかけた戦いなのだからな」
「それはわかっている。なら俺達だって負けられない」
竜馬は述べる。そこには確かな意志があった。
「絶対にな」
「では我々も引きはしない」
「ああ、勝ってみせる」
互いに言い合う。迷いはない。
「そして地上を俺達の手に」
「我等が奪ってみせようぞ」
そう言葉を交わし退いていく。ここでの戦いはこれで終わったのだった。
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