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ハイスペック過ぎる妹を守るため、死霊の島で明日に向かってゴールをめざす 作者:春風小夏

第3章 スカルアイランド

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scene 43 スカルアイランド⑫

 あずみは同年代の女子の中ではかなり大柄なほうである。

 背丈は僕より少し低いくらい。

 僕の身長が170センチそこそこだから、165㎝はあるだろうか。

 だが、決して太っているわけではなかった。

 確かに胸はGカップでお尻も丸くて大きいけれど、全体的には非常に均整の取れたスタイルをしている。

 自然界を支配しているという黄金律。

 それに則った見事なボディの持ち主なのだ。

 なのにこんなに重いのは、あずみの骨と筋肉の密度が常人離れしているからだろう。

 100メートルを6秒で走り、棒なしで10メートルの高さを飛び越えるパワー。

 それはあずみの肉体が、分子レベルで変貌を遂げているせいなのかもしれなかった。

 幸い、水中では浮力というものが働く。

 しかも、改めて考えてみるまでもなく、露天風呂は浅かった。

 深さ50センチあるかないかだから、段差からずり落ちても、すぐに尻が底に着いた。

「ぷはあ」

 のしかかるあずみの丸い肩越しに顔を出し、イルカよろしく潮を吹く。

「う」

 が、次の瞬間、僕の息は止まった。

 無意識に回した両手が、何かフニフニしたものを掴んでいる。

「あぁ…」

 あずみがかすかに喘いだ。

 い、いけない!

 と思ったが、時すでに遅し。

 僕はあずみを胡坐をかいた膝の上に乗せ、背後から抱きかかえるような姿勢を取っているのだった。

「く」

 あわてて手を抜こうとしたが、あずみの身体と岩風呂のへりに挟まれて、動くに動かせない。

 掌の下で、大きなプリンのような柔らかい乳房が、ぷるぷる震えている。

 掌につんつんした硬いものが当たった。

 刺激を受けたせいで、乳首が硬く尖ってきているのだ。

「あん…」

 あずみがまた喘いで、もどかしげに尻をくねらせた。

 僕の”中心”と、あずみの尻を隔てるのは、もはやごく薄いタオル一枚だけである。

 まずい。

 またしても、人生最大の危機。

 僕は耐えた。

 心の中で叫ばずにはいられない。

 こら、そんなに尻を押しつけるな。

 う、動かすんじゃない。

 それ以上、し、刺激するんじゃないぞ。

 あ。

 見ろ、おまえのせいでまた息子が、制御不能状態に…。

 と、ひとりで悶々としていると、

「あずみちゃん、大丈夫だか?」

 近くでサトの声がした。

 見ると、心配そうにあずみの顔を覗き込んでいる。

「あ、はい」

 思いのほか、元気そうな声であずみが応えた。

「ちょっとのぼせちゃったみたい…。でも、大丈夫です。お話、続けてください」

 そう言いながらも、僕の上から降りる気配はない。

 こいつ…。

 僕は背中を固い岩に押しつけられながら、胸の奥で呪いの言葉を吐いた。

 わざとだな。

 さては光の話が長いんで、退屈してわざとこんなスリリングなまねを…。

 腹が立ったので、目の前にある桜色の耳たぶを噛んでやった。

「やん」

 嬌声を上げて身悶えするあずみ。

 いかん。

 僕は後悔した。

 こいつ、喜んでやがる…。

「ま、明日に備えて睡眠時間もたっぷり取らなきゃならないから、後は手短に行くよ」

 淡々とした口調で、光が言った。

「当面の問題は、月煌洞をいかにして抜けるかってことね。言い伝えによると、鍾乳洞は入口から少し入ったところで垂直に降下していて、かなり地下深くまで断崖絶壁が続いているらしいの。底には地下水がたまっていて、水平に洞窟が火口近くまで伸びている。で、突き当りを入ってきたときとは逆に垂直に上ると、そこが出口に続く洞窟になってるってわけ」

「鍾乳洞全体が、ホチキスの針みたいな形になってるべ?」

 サトが変な例え方をした。

「言ってみればそんなところかも。だから登攀用のロープとか、登山用の装備が要るわね。それから、底に地下水がたまっていた時に備えて、ゴムボートもあったほうがいい」

 それじゃまるで、ちょっとした地底旅行じゃないか。

「通り抜けるのに、どのくらいかかるの?」

 あずみが訊いた。

 僕の手を逃さぬよう、両腕で絞めつけて自分の胸にぎゅっと押しつけている。

「島の端から中央までだから、直線距離にしたら大したことないわ。島の長径は5キロもないから、その半分も見ておけば十分でしょう。でも、上ったり下ったりの距離も入れると、その何倍もありそうよね」

「あと、鍾乳洞にはきっと”古きものどもが棲んでおる」

 唐突に老婆のどっちかが口を挟んだ。

「いわば骨車さまの怨念の残り滓みたいなもの。そうそう簡単に通してはくれまいぞ」

 僕はげんなりした。

 古きもの?

 またそんな嫌なことを…。

 四凶と骨車だけで、もうお釣りがくるくらいなんだが。

「あれ? お兄ちゃん、急に元気なくなっちゃったね?」

 前を向いたまま、桃のようなお尻をぐりぐり動かしてあずみが囁いた。

「青菜に塩? なんか萎れてるよ」

「ほっといてくれ」

 僕はあずみのうなじに鼻をうずめた。

 乳房を押さえた手に、ほんのちょっぴり力を込める。

 また、サバイバルゲームが始まろうとしているのだ。

 しかも、前にも比して、障害が多すぎる。

 これじゃ、暗澹たる気分に陥るな、というほうが無理な話だろう。

「それでも、守らなきゃな」

 僕はあずみに聞こえないように、そっとつぶやいた。

「あずみ、おまえのことだけは…」


 





 
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