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ハイスペック過ぎる妹を守るため、死霊の島で明日に向かってゴールをめざす 作者:春風小夏
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scene 41 スカルアイランド⑩

 案内された部屋は南棟の3階だった。

 そこに荷物とS&Wを置くと、僕は着替えを抱えて一目散に5階へ向かった。

 断じて後れを取ってはならなかった。

 混浴風呂に後からノコノコ入っていけるほど、僕は己の肉体に自信はないのだ。

 先に行って湯船につかっているに越したことはない。

 そう踏んだのである。

 5階へ上がると、さすがに脱衣所は男女別々になっていた。

 がらんとした畳敷きの部屋でひとり服を脱ぐ。

 タオルで急所を隠してすりガラスの引き戸を開けると、ひんやりとした空気が体を包み込んだ。

 ごつごつした岩で囲まれた大小の浴場が、足元に広がっている。

 脱衣所からの明かり以外は、周囲はまったくの闇である。

 いや、見上げると空に星が出ていた。

 満天の星と呼ぶにふさわしい、初めて見る美しい夜空である。

 星に見とれたのが命取りになった。

 だしぬけに、暗闇の中から熱くやわらかいものが抱きついてきた。

「お・に・い・ちゃん」

 耳元に甘い息がかかった。

 あずみである。

「ま、待て」

 僕は文字通り硬直した。

 あずみが何も身に着けていないのは、そのすべすべした感触でわかった。

「ふふ、待ち伏せしちゃった」

 しまった。

 臍を噛む思いだった。

 やはり、どんなときでもこいつにはかなわない。

 相手のほうが一枚も二枚も上手、というかハイスペックなのだから仕方がなかった。

「おまえ、なんでまた、そんな無駄なことを…」

「だって早くふたりきりになりたかったんだもん」

 あずみが僕の背中から離れ、前に回ってきた。

 いかん。

 見てはいけない。

 僕は星を見上げた。

 このままでは、身体が反応してしまう…。

「寒いよ」

 あずみが今度は正面から抱きついてきた。

 マシュマロのような胸と、尖った乳首が押しつけられる。

 それだけならまだしも、

 やめろ。

 下半身をおしつけてくるのは、いくらなんでも、ルール違反っていうもんだろ?

「あ」

 あずみが喉の奥で小声を上げた。

 見ると、頬を赤くして、上目遣いに僕を見上げている。

「なんか、硬いものがおなかに当たってる…」

 ふふっと小悪魔のように笑った。

「お兄ちゃん、元気になってる」

「あのな」

 僕は再び星空に目をやった。

「そういうこと言って、おとなをからかうもんじゃない」

「いいよ、恥ずかしがらなくても」

 あずみはやめようとしない。

「お兄ちゃん、やっぱりあずみのこと、好きなんだ」

 僕の一部はすでに限界まで膨張し、タオルを押しのけてあずみのなめらかな腹にぴったり押し当てられている。

「お兄ちゃんのここ、とっても熱い…。でも、いい気持ち」

「あずみ…」

 くそ。

 もう、がまんできない。

 僕はタオルを離し、あずみの背中に両手を回した。

 ひょっとしたら、と思う。

 僕らはこの先、死ぬかもしれないのだ。

 こうして抱き合っていられるのも、これが最後なのかもしれないのである。

 そう思うと、たまらなく愛おしさがこみあげてきた。

 腕に力を入れ、あずみのほてった体をぎゅっと抱き締める。

「あん」

 あずみが喜びの声を漏らした。

 年の割に妙に艶かしい、女を感じさせる声だった。

 あずみが指を伸ばしてきた。

 そっと、握ってきた。

「大きい…」

「あずみ…」

 僕はあずみの肩の顔を埋めた。

 柔らかくすべすべな肌に思わず唇をを当てた。

「ほしいの? あずみが」

「あ、ああ…」

「うれしい・・」

 あずみの指が、おもむろに動き出す。

 しびれるような快感が脊髄を突き抜け、僕は呻く。

 もう、だめだ。

 このままでは、もう…。

 僕の肉体が、まさに限界に達しようとした、ちょうどその時だった。

「おお、よく晴れとるのう」

「風呂はやっぱり、夜空の下に限るじゃのう」

 間延びした声が、女子の脱衣所のほうから聞こえてきた。

「もう」

 ふくれっ面をして、あずみがぱっと僕から離れた。

 見ると、水着姿の老婆がふたり、明かりの下から岩風呂に出てくるところだった。

「早いね」

 その後ろから姿を現したのは、光である。

 光は全裸だった。

 堂々としているというか、前を隠そうともしないで、双子の老婆に続いて岩風呂に入ってくる。

 銀色の髪。

 隠花植物を連想させる真っ白な肌。

 瞳と唇だけが、うっすらと赤い。

「お楽しみのところ、悪いんだけどさ、ふたりともこっちに来て」

 老婆たちと一緒に湯船に漬かると、僕らを差し招いた。

 バレてる。

 僕とあずみは目を見合わせた。

「ぜんぶ終わったら、続き、しようね」

 じっと僕の眼を見つめて、あずみが早口でさやいた。

「今度こそ、絶対だよ」
















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