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一週間目の朝日を見よう
作:士功征宗


 朝が来た。東の空が白く明るくなってきた。
 薄暗かった空が次第にキレイな水色に変わる。
 そこには白い雲が浮かび上がっている。
 太陽の眩しい光が、朝露で湿ったテラスに差し込み、ステンレスの柵を光らせる。
 風が微かに吹き、夏の日の朝に、なんとも清々しい爽やかな朝。
友達と見た朝だった

 7月3日。
 夢を見た……自分が死んでしまう夢だった。
「そんな夢は俺だって、よくみるよ」
「そうか?そんなものか」
「あぁそんなもんだ。だから余り気にするな」
 正晴は、それを聞いて安心していた。
 あいつはいつも夢の話をする。こんな夢を見た、あんな夢を見た。
 夢は誰だって見るさ。
 毎日。ただそれを記憶してるか、してないか。それだけだ。なのにあいつは……

 7月4日。夢を見た。大空高くとんだ夢。
「俺もよく見る。だけどいつも落ちてしまう。決してまた見たいとは、思えないよ」
「俺は不思議と落ちない。けどいつも中途半端に終わってしまうよ。でもまた見たいよ」
「そうか。そうだな」
 正晴が喋る言葉は、いつも不思議に感じていた。

 7月5日。夢を見た。彼女の夢だった。
 結婚していた。彼女は泣いていた。とても幸せな夢だった。
「いいな。お前は幸せになれて」
「うん。とても幸せな夢だったよ。今度は子供の夢を見たいな」
「いつか見れるさ。お前なら」
 正晴なら、夢で見たままの幸せがきっとくるような気がした。

 7月6日。夢を見た。また彼女の夢。
 何か喋っているが聞き取れない。友達みんなもいた。ただ黙って立っていた。
「なんだそれ?」
「俺にも解らなかったよ。でもすごく真剣に問い掛けていたよ」
「まぁいつか同じ夢が見れたら、解る日がくるよきっと……」
 正晴は本当は解っていたのかもしれないなぁ。

 7月7日。夢を見た。久々に両親が夢に出てきた。
 ニコニコしている。ただそれだけだった。離婚した両親が久々に二人揃ったよ。
「いい夢だなぁ」
「とても不思議だったよ」
「あははっ!お前の口から不思議だったと出るとは思わなかったよ」
 正晴は口では言わないが、離婚したからといって、捨てた母親を恨んではいなかった。

 7月8日。夢を見た。真っ暗だった。何もない。
どこを見ても真っ暗だ。
「そんなときはな。いつか光が見える。そうしたら、光差すほうへ行けばいい」
「そうか!解ったよ」
 正晴はきっと大丈夫だろう。


  
 一一深夜。
 心搏数、脈ともに低い。呼吸器のなかで一瞬、荒かった呼吸も弱まった。
「正晴しっかり!」
「頑張るんだ正晴!」
 手を握り、叫ぶ両親や彼女。
 しかし、数分後。
 波を打ち付けていた心電図が一本の線に変わった。

 7月9日。明朝。僕は死んだ。光が見えたよ。
綺麗な朝日も見れそうだ。
 みんなも見てるかな。この同じ朝日を……。
 おそらく正晴は、こんな夢みてたかな?
「俺たちも見ていたよ。その日の朝日。一週間前の朝日とまったく同じ綺麗な朝がやってきたよ」
「そうか見ていてくれたんだ。よかったよ」
「なぁ正晴。早くまた生まれ変わってこいよ」


  *
 その後。
 彼女は別の街に移ったよ。
 風の噂で、彼女と子供は元気に暮らしているようだ。
 良かったな。正晴。

「俺がいつか君たちに逢えなくなったときは、俺の代わりに君が“おやすみ”と子供に問い掛け、頬にキスをしてやってくれないか……」

  一一終一一


また暑いお墓参りになりそうだ・・・













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