すごくドタバタしたものになる気がしますが、どうぞ生温かい目で見守ってやって下さい。 即興ですので軽い気持ちで流してくれれば幸いです。
プロローグ
桜を見る度、想い出そう。
―――貴方の笑顔を。
桜が咲く度、信じよう。
―――貴方にもう一度、逢えると。
桜が散る度、願おう。
―――貴方のあの瞳を、もう一度見せて欲しい、と。
つくづく、厭な約束をした。 今夜もまた同じ夢を見て、そして起きる。
子供のころから、ずっとそれは変わらない。
私の名前は、紫藤緋月という。
紫藤グループの令嬢として、世間に名は通っている。
毎日見合いの話は舞い込んでくるし、月に一度は何かにつけて主催のパーティがある。逆玉の輿狙いの男に囲まれて嬉しい訳がない。
多分、そんな日常が、毎晩あの夢を見させているのかも知れない。
きっと、私が心から笑えた、最後の時間だったから――。
日常に疲れて、諦めを覚えたから、そんな約束をした自分が憎らしいのだと、本当はとっくに気付いていた。
だから、忘れてしまいたい。 あれはただの憧れで、すべて独りよがりな幻想だと思えれば、きっと私は笑えるのだと自分に言い聞かせて、『その日』から十年間頑張り続けてきた。
―――でも。
もう疲れてしまった。
寝ても覚めても毎日同じように同じものを見て、同じ思いを抱いて生きていくことに。
変わっていったのは、自分の成長と、季節だけ。
それだけが、私が感じた時の流れ。
もう、想像すらできない。
16歳になった、兄の現在の姿など。
十年も会っていない。顔も変わっただろうし、相手は男だ。
声も変われば環境も変わる。
施設にはもう居ないようだから、きっと全く違う世界に居るのだろう。
どちらが離れてしまったのかと訊かれれば、当然私の方だ。
だが今の自分の状況はあまり恵まれてはいない。
私は未だに贅沢には馴れないのだ。
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