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「……ついにわかったのね、やつらの居場所」
「ああ、中々大胆な方法を取ってくれたものだぜ」
ジョディとの電話を聞いていた哀と博士に正直に内容を話した。
博士は二人を冷や汗をかきながら見守っている。
思ったよりも彼女は冷静だったが、どこか思いつめたような顔をしていた。
そんな彼女を見て、コナンは優しい表情で肩をぽんと叩く。
「俺は行くよ。戦力にはならなくてもサポートぐらいならできるからな。ジョディ先生たちも全滅を狙っているのではなく、日本警察に出せるやつらの犯罪の証拠を手に入れることが目標だ。死にに行くわけじゃない」
そして自分はアポトキシンのデータを手に入れることが最優先。
死にに行くつもりは毛頭無いが、死ぬ可能性はある。
「服部君には何も言わないのかね?」
今ちょうど東京に来ているというのに。
隣から博士が伺う様に問う。
「ああ……今まででも十分すぎるほどあいつは俺に協力してくれた。幽霊船の時なんかあいつだってもしかしたら命を狙われたかもしれねーのに、快く引き受けてくれたんだ。だからこそ、巻き込みたくない。あいつはこの事件には直接関係してないんだ。俺の都合であいつを危ない目に合わせたら、彼女にも顔向けできないしな」
本当に彼を親友と思っているからこそ、今回のことだけは話さないつもりだった。
都合よく彼は今日横浜に出かけている。
帰ってこない内にここを出ようと思っていた。
「……工藤君、もし私が行くとしたら何か役立てることはあるかしら」
一応頭は人よりいいつもりだが、コナンのようにずば抜けて推理が出来るわけではない。
行ったところで足手纏いになるなら意味が無い。
「そりゃあるさ。だってお前は組織を内部まで知っている唯一の人間だ。何かわからないことが出てきたときお前がいればかなり助かるだろう」
だけど、と厳しい目つきで彼は付け足す。
少しだけ間を置いて静かに告げた。
「俺の意見を言うならば、お前には行って欲しくない」
後ろからクラクションを鳴らされたような、心のどこかを貫かれたような痛みが彼女を突然襲う。
「解毒剤を唯一開発できるからとか、そんな理由一切抜きにして、お前には危ない目に遭って欲しくないと思ってる」
そう言う彼の目はとても澄んでいて綺麗だった。
恋愛感情とか、友情とか、そういうものとは又違う思いがその目にはある。
哀は少しだけ呆けたような顔をしていたが、その後ふっと笑った。
普段は見せない柔らかい表情だ。
「……そう。なら行くわ」
彼の願いとは真逆の答えになったが、一方の彼もそれを予想していたらしい。
苦笑して「わかったよ」と言った。
「無茶はするなよ」
「お互いにね」
行って欲しくない、そう言ってくれただけでもう満足なのだ。
今自分の心の中に巣食う「ある戸惑い」はもうしばらく仕舞って置こう。
それが彼にもわかるのはもしかしたら今日かもしれない。
ただそれで彼に迷いが出てはいけない。
その時が来るまで、「戸惑い」の原因である「この事実」を隠しておこうと
哀は決意した。
十八歳になる自分へ母・エレーナが贈ったカセットテープの最後の言葉を。
――そろそろあなたに言ってもいい頃かも……実はお母さんね……
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