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東京都内の某病院。
そこにジョディ達FBIの面々は拠点を移していた。
昨夜組織に水無怜奈の居場所である杯戸中央病院を襲撃されたせいである。
翌日すぐに別の病院に移し替え、様々な人脈と裏取引でこの彼女の入院は秘密裏なものとなっている。
彼女の病室の隣に同じく部屋を借り、そこにFBIは拠点を構えなおした。
昨日の襲撃で明らかになった警備の問題や役割分担のバランスを見直し、彼らはもう一度体勢を整えることにしている。
そんな中正午過ぎで昼食を取るため院内へ人が集中したため、辺りが閑散とした、外の庭の木陰でジョディと赤井が声を潜め話し合っていた。
「本当に伝えるのか? あの少年に」
赤井の声はいつもより不機嫌そうだった。
とはいっても、普段から機嫌が良い時等なさそうだが。
「ええ。彼は私達の同志よ。言わないわけにはいかないわ」
彼女の肯定に彼は反対する。
「同志だからと言って、やっていいこととやらなくていいことがある。あの子達のことを本当に考えているのなら、より安全なほうを取るべきだ」
確かに彼の言うことにも一理ある。
しかし彼女には彼女なりの理念があった。
「安全な選択とは時に『逃げ』を取ることにもなるわ。別に、自分で逃げを選択することは仕方ないと思っている。でも、自分の知らないところで勝手に逃げを選択されていたら誰だって嫌でしょう? 私達は、あの子達に出来る限り与えられる選択肢を知らせ、あの子達自身にその選択をさせるべきよ」
運命を決めるのは、他人ではなく自分自身だ。
これはジョディの信念でもある。
父親を組織に殺され、証人保護プログラムを受けるのを決めたのは彼女自身だった。
ジェイムズに強く説得されたとはいえ、決めたのは紛れも無く自分なのだ。
プログラムによって辛く寂しい少女時代を送ることになったが、それでもここまで生きられたのは自分がその人生を選んだから。
だからこそ強く在れた。
彼女はコナンや哀にもそうなって欲しいのだろう。
「あなたが彼女を心配するのはよくわかるわ。でも彼女にも彼女の人生がある。……証人保護プログラムも拒否したしね。だからこそ私は、彼女やあの少年にやりたいことをして欲しいの」
その言葉の後、少しだけ沈黙が訪れた。
小鳥のさえずりと羽ばたきが彼らの上を舞う。
しかし彼らの視点はそこに移らなかった。
その沈黙から数秒後。
ジョディの真摯な願いは赤井に届いたのか否か。
ただ、諦めたように彼女に背を向け踵を返した。
そして、後ろを向いたまま聞いてくる。
「ジェイムズには言ってあるのか?」
「彼は私の一任に任せると言ってくれたわ」
コナンや哀に関しては彼女のほうがよくわかっている。
ジェイムズはそれを考慮して認可したのだろう。
「……ならいい。勝手にしろ」
そのまま赤井は院内に足を進め去っていった。
その後姿を見届けながら、彼女は苦笑した。
ここまで彼が特定の人間に執着するのは珍しいと。
「彼女」があの女性の肉親だからだとわかってはいるのだが。
そう考えながら携帯をポケットから取り出した。
あの小さな探偵に新たな真実を伝えるために。
そう、それは昨日の襲撃がきっかけで明らかになった組織のアジトの場所だった。
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