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コナンが哀に組織について質問し、平次が和葉と横浜市内をバイクで走っていた頃、優作は大阪に来ていた。
ある人物と会うためである。
昨日の夜のうちに、「彼」が今日大阪府警本部にいることを警視庁で確認していたため、行き違いになることはないと踏んでいる。
少しでも会える確立を高くするため、交流のある警視庁のさる上官に頼んで、前もって「友人の工藤優作がそちらへ行くから好感ある対応を望む」と朝のうちに私的な連絡がしてあるはずだ。
しかし仕事を理由に断られることは可能性として高かった。
断られないほうが低いかもしれない。
果たしてこの来阪は吉と出るか凶と出るか。
こればかりは流石の推理小説家もわからない。
ただ、今まであまり親らしいことをしていなかった分やれることはやろうと決めていた。
「服部本部長、警視庁から連絡のありました工藤優作氏がこちらへ参られたようですが、どうされますか?」
日本警察で二番目の階級を持つ大阪府警本部長の執務室には、その部屋の主が革張りの椅子に座ってファイルを手に取っていた。
彼がいるだけで辺りは威圧感に包まれているように感じる。
来客の知らせに服部平蔵本部長は少しだけキャスターのついた椅子を動かした。
表情に変化は無い。
「お通しせえ」
低く、よく通る声が静かに部屋を響いた。
数分後優作がノックと共に入ってきた。
暫く間が空いたのは、何回目かの身体検査を受けたからだ。
このご時勢、警察官僚に一般市民が突然会いに来るのはどうみても怪しかったのだろう。
まだ優作を疑って一緒に入ろうとする警備員を平蔵は外で待機するよう命じ、部屋には二人だけにする。
警備員が扉を閉めると、優作は一礼をし急の訪問を詫びた。
「突然の訪問真に申し訳ありません、服部本部長。あなたのご子息の友人である工藤新一の
父親で工藤優作と申します」
推理小説家としてではなく、「工藤新一の父親」として名乗り上げる。
平蔵の右頬が少しだけ動いたように見えた。
「いや、こちらこそウチの愚息がホンマに世話になっております。どうぞ、おかけになってください」
自身も椅子から立ち上がってデスクの前に設置された、机を挟んで向かい合う二つソファの片方に歩み寄った。
促された優作も会釈してから座る。
お互いが向かい合う形になった。
「昨日から連絡は来とりました。随分色んな人脈を持ったはるみたいですな」
警視庁の松本管理官から連絡が来れば無視はできないだろう。
彼のセリフは暗にそれを示していた。
「仕事柄よくお会いした時期があったんですよ。……しかしあなたとお会いしたかったのは
仕事のせいではありませんけどね」
すぐ本題に切り込む言葉に、元々張っていた空気が更に張り詰めたものになる。
しかし平蔵は何も言わない。
そのまま続けろということだろうか。
「ところで遠山刑事部長は今日はいらっしゃらないんですか」
「……あいつは今別件で出ておりますわ。何か用があったんですか」
「いえ、ご本人ではなくてもあなたに聞けばわかることだと思います」
遠山不在の返事にあまり残念そうな顔はせず話を戻す。
「昨日、あなたのご子息である平次君と会いましたよ。とても利発で良い子ですね」
一昨日の夜に、優作に会うため平次と和葉は大阪を出たのだからそれは知っているだろう。
しかし昨日の暗殺未遂事件の真相に関しては、息子から直に知らされていたのかどうかはわからない。
全く知らないわけではないということは確実だろうが。
「ウチのはまだまだ未熟ですわ。やのに、変に頭だけは良く回るから始末に困っとります」
「それは私の息子もそうですよ。頭と心の成長が比例していないうちに探偵をやり始めたから
今色々と苦労しているみたいです」
「色々、ですか?」
色々。
それは幼児化してからの新一の様々な出来事を意味する。
平蔵の質問はそんな優作の言葉の真意を読んでいるかのようだった。
この男はコナンをどこまで知っているのか。
そして本当に黒の組織に繋がっているのか。
ここからが優作の腕のためしどころだった。
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