遅れましたが第9話を公開いたします。色々忙しかったもので……。
アパートでは・・・・、
ファルが旅の支度をしていた。
昨晩はメルに一緒に寝ようとせがまれ、
一人用のベッドに二人が寝ようとするのは無理だと断ったけど、
断りきれず一緒に寝た。
よほど帰ってきた事が嬉しかったらしい。
支度をしていると、メルがファルの部屋に入ってきた。
「お前・・起きてて大丈夫なのか?」
「うん、平気」
メルは微笑むが少し無理をしている様にも見える。
「無理をするなよ。つらかったら寝てていいんだぞ」
「大丈夫だって、心配性なんだから。
それより、今度は何時帰ってくるの?」
ファルは少し考える。
「そうだな・・・、まず隣町に行った後インデダム地域の方にも行こうと思うから・・・・、
早くて一ヶ月だな」
「一ヶ月・・・・・」
メルは気を落とす。
またファルと長い間逢えなくなる。
「・・・ねえ、もう変な仕事をしないでよ。
お兄ちゃんにもしもの事があったら・・・私・・・・・」
「心配しなくても、大丈夫だ。変な仕事はしないし、してないよ」
ファルはメルに言い聞かせるように言う。
「・・・本当だね?」
「本当だ」
優しく答える。
そう言っている間にファルは、荷造りを済ませた。
「・・・それじゃ、そろそろ行くよ」
ファルは荷物を持ち、玄関へ向かう。
メルも見送ろうと向かう。
「それじゃ、行って来るよ」
玄関でメルは見送る。
「いってらっしゃい、気をつけてね・・・」
ファルは玄関を出ると、おばさんが掃除をしていた。
「あら?ファル、行くのかい?」
「はい。今回はかなり長くあける事になると思います。
メルをよろしくお願いします」
「あたしに任せな。キッチリ世話してやるからね」
おばさんは胸を張って約束する。
そして、真顔になった。
「・・・・あんたねえ、もう盗賊なんて辞めたらどうだい?
何があるか分かったもんじゃないよ。
あんたにもしもの事があったら、あたしだって悲しむし、あの娘だって・・・。
それに、変な奴に狙われたりするかもしれないじゃないの」
「大丈夫だよ。もう、盗賊はやめた。
赤き鷹は滅んだから、これ以上盗賊を続けることは出来ないし、
新しい団を探すにも当てが無い」
ファルは明るく話し続ける。
「これからは、トレジャーハンターでもやっていこうと思う。
盗賊をやっていて色んな情報が集まったし、人脈もそれなりに出来た。
ノウハウも習得できたし、宝探しに必要なスキルは整った」
「そうかい。それを聞いて安心したよ」
おばさんはファルが明るい表情をするのを久しぶりに見たような気がした。
まるで何か鎖から解き放たれたような感じだ。
ファル自身も盗賊をやっているのに、自責の念を感じていたのだろう。
おばさんは優しくファルを送り出す。
「それじゃ行っといで。凄いお宝を見つけて世界一の医者でもつれてきな」
「・・ああ!」
ファルは元気良くアパートを後にする。
宿ではレイナとサンが旅の支度をしていた。
「食料を買い込んで服も洗濯して・・、こんなもんで大丈夫だろ」
「そうですね・・」
「どうだその服。合うか?」
今レイナはサンから借りた服に着替えている。
「うーん、合うには合うんだけど・・・・、胸の部分がキツイかな・・・」
「・・・それは何だ、私に喧嘩を売っているのか」
「え!あっいや、そういう意味じゃなくて。服が締め付けるような構造だから・・・」
サンは不機嫌な顔をしている。
「つまり、お前の方が胸があって形がしっかりしていると?」
(何かコンプレックスでもあるの!?)「そうじゃなくて〜!」
そこに、ファルがやって来た。
「オーッス!サン、レイナおはよう!」
「キャッ!ちょっとファル、今着替え中!」
レイナが叫ぶ。
「わーっ!ごめん!」
慌てて出ようとすると、サンが引き止める。
「おい待て。レイナは私より胸があると思うか?」
「は?」
突然真顔で言われ呆気にとられる。
真顔で言っているので、ふざけているのかマジなのか分からない。
とりあえず、答えた方がよさそうだ。
二人の胸を見比べて・・・・。
「えー・・っと、・・・レイナの方があるかなー・・・?」
「・・・・・なるほど」
何か嫌な雰囲気だ。
正直に言ったらヤバかったか・・・。
そこにようやく服を着終えたレイナが、サンに不満そうに言う。
「・・・・今はどうでもいい事じゃないですか・・・」
「・・・不服そうだな」
「不服・・・っていうか、ファルに比べさすなんてどういう神経してるんですか」
「第三者の方がより正確だろ」
「そういう意味じゃなくて・・・」
レイナは呆れ果てた。
「準備も済んだし、そろそろ出発するか」
(話終了!?)
サン達は宿を出る。
「テンピュールに向かうんだな?」
サンがファルに聞く。
「ああ。そこでステファニー教授にあって欲しい」
「テンピュールか・・・、楽しみだなあ」
レイナは、はしゃいでいる。
ファルはそれを見て不思議に思う。
「お前、昨日と打って変わって明るいな」
ファルに聞かれて、レイナは即答する。
「そりゃ確かにあんな事があって、いきなり明るくなるのは変だと思いますけど、
このパーティ、暗すぎですよ」
「え?そうか?」
「そうですよ。サンさんは、こちらから話しかけないと滅多に喋らないし、
ファルはいつもヘラヘラしてるし」
「ヘラヘラしてるか?」
ファルは思い当たる節が無い。
「してます!こんな変なパーティだと、気が滅入っちゃいますよ。
誰かムードメーカーがいないと!」
ファルは一理はある様に思う。
「たしかに居た方がいいよな・・・」
「だ・か・ら、私がムードメーカーになるんです!
このパーティの天使になります!」
「天使ねえ・・・、それならもっと肌の露出をした方が・・・・」
殴る。
サンが呼びかける。
「おい、町の検問所だ」*解説
「あ、はい」
「へーい」
検問所で検問を済ませると、そこはステイラー街道。
西へ向かえば学問の町『テンピュール』、南へ向かえば緑の町『タルキル』
三人はファルの案内でテンピュールへ向かう。
果たしてテンピュールで何があるのか。
ステファニー教授とはどのような人なのか。
また、どの様な目的があるのか。
そして謎の犯罪組織『ソレイユ』は一体何が目的なのか。
不治の病に冒された、メルはどうなっていくのか。
忘れてはいけない、蟲殺の子供は見つかるのか。
謎多き物語。
この物語はまだまだ始まったばかり。
これから始まる、壮大なストーリー。
全てが一つにつながった時、ステージを揺るがす一つの真実にたどり着く。
100年前、とある一族が滅んだ・・・・。
だが一人だけ生き残った者がいた。
その者は少女だった。
太陽の名を持つ少女・・・・・・。
解説
『検問所』
クラムスイヤ共和国では、ほとんどの町の出入り口に検問所がある。
これは、共和国の治安が悪いことにある。
帝国時代は治安は世界一といっていいほど良かったが、
帝国の崩壊により治安維持が困難になり、地方へ手が回らない時期もあった。
現在では治安は比較的安定しているが、それでも主要国の中では最も治安の悪い国である。
今回で序章が終了です。次回は第1章・第1話から始まります。
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