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誰かに宛てた詩集
作:木野子さくら





残しておきたい
言葉があるんだ

*

 絵

会話をするように自然に
でもそれよりゆっくりと
ただ描くより
ずっと楽しく
絵と君は
僕を退屈させない

*

 点

真っ黒な空間に浮いた
たくさんの中の1つの
地球という塊の凹凸に出来た
日本という島の上の
東京の左の方に
立っている私が
見ている蟻が
運んでいる蝶の
黒く粉っぽく光る
羽がとても
美しい

*

 要

死命も氏名も使命も誌名も
全部見ないで聞かないで
どこまでいけるか
試してみる
なんて勇気
私にあると思うか
あるかもしれない

*

 占

綺麗な硝子の小瓶
大好きなあの人の釦
好きな作家の著書
可愛らしい服
落ちた洗濯物
自分で書いた絵
一目惚れした写真集
今までの自分
これからの自分
そうさ
全部全部私のもの

*

 慰

どうしようもないときってあるよね
なんて言葉
いらないんだよ
大丈夫だよ
なんて決まり文句
いらないんだよ
早くその
笑ってるような嘲笑ってるような
泣いてるような怒ってるような
怖い顔を
引っ込めてくれないかな

*

 苛

嫌いなら嫌い
普通なら普通
好きなら好きと
はっきり言えばいいじゃんか

*

 逆

嫌われたくない
だからこそ
必死になって
好きになる

*

 何

振り向いた先にあったのは
嫌な予感と
好奇心

*

 怒

ふざけんな ふざけんな ふざけんな
俺があんなに楽しみにしていた
ケーキを食べてしまっただと
怒るぞ 怒るぞ

なに笑ってんだよ
同じの買ってくるまで
口きいてやらないからな
怒ってるんだからな

*

 緋

それはとても暖かくて
でもそれほど綺麗でもなくて
直に触れてはいけないのに
もっと深いところを知りたくなる
眠るより安らかな
やさしさでした

*

to next...












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