誰かに宛てた詩集(4/10)縦書き表示RDF


誰かに宛てた詩集
作:木野子さくら





短いけれど
聞いて 聴いて きいて

*

 りんご

だまされた
甘い匂いは
噛めば甘酸っぱく
赤い皮の中は
みずみずしい黄色
だまされた

*

 紅い糸

信じてるの?
小指の先に
結ばれた糸を

運命だというの?
僕たちが出会ったこと

僕は
偶然に偶然が重なった
幸せだと
思ってるよ

紅い糸を切ったって
君に辿り着いたはずさ

*

 見ない振り

君の笑顔も
君の泣き顔も
君の怒った顔も
全部
見ない

だって 忘れられなくなるだろう

*

 背中合わせ

抱きしめるのもいいけどさ
こうやって
背中にだけ
体温を感じるのって
じれったくて
素敵じゃない?

*

 聖母

その優しい顔で
見逃すのですか
この僕を

後悔するよ?

*

 紙切れ

想いをぶつけて
握りつぶして
破って
焼いて

全部炭になって
風に溶けたら
直接君に言いに行こう

*

 大好き

理由は聞かないで
大好きと言った
僕の顔を見ないで

*

 同意

良いと思うよ
うん
良いと思う
それで
実行するのかい?
……しないんだろう?

*

 風

夏の夜風に吹かれて
裸足で空を見上げていたら
夏風邪をひきました
笑え 笑え

*

 吐瀉物

背中をさすってみなよ
出てくる
出てくる
なにもかも
鼻をつまんで
目を瞑って
耳を塞ぎたくなるような
醜い言葉が
どろどろり

*

 後ろ

僕は君の後ろを歩く
君が見えるように
君を守れるように
いつでも気付いてあげられるように
いつでも隣へ駆け寄れるように

*

 嫌い

嫌いといって
頬を染めて
視線を逸らして
僕は
余計
君が
愛しくなる

*

 本当のこと

絶対
本当のことなんて言わないくせに
無理しちゃ駄目
それ以上喋ると
勘違いしちゃうよ

*

 夜闇

寂しいのなら
肩抱き寄せて
頬寄せ合って
このまま
眠ってしまおう

*

 みらくる

不思議なこと
奇跡的なこと
つまり
僕が君と
こうやって
話していること

*

 おいかけっこ

ずっと
捕まらなければいいのに

必死で君を追いかける
もう一人の僕を
僕は遠くで
指の爪を噛みながら見てる

捕まったら
おわり

君は
きっと
僕を追いかけてこないだろうから

*

 悲恋

悲しい恋って何さ
恋は全部
楽しくて
悲しくて
嬉しくて
気持ち悪くて
面白いものでしょ

*

 のべる

奇抜な
って
意味があるんだって
知ってた? 知ってた?

*

 カタカナ

エレベーターの
箱の中で
僕は一人
閉めるを押したまま
泣き続ける
エスカレーターに
乗る君を見ながら

*

 幸せのカタチ

僕にとっての幸せのカタチは
ハート形なんかじゃなくて
ただの丸なんだ
それも
バスケットボールくらいの

*

きいてくれてありがと












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう