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エリィ・ゴールデン ~ブスでデブでもイケメンエリート~ 作者:四葉夕卜/よだ

第三章 砂漠の国でブートキャンプ

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第19話 スルメの冒険・その4

本編の途中で試験の順位表が出てきます。
スマホの方は画面を横にすると見やすくなりますYO!
 二次試験へ駒を進めたメンツは118名。
 オレ達は二次試験会場のグレイフナー王国コロッセオへと来ていた。

 このコロッセオは大冒険者ユキムラ・セキノの時代からある歴史的建造物で、魔闘会や敵討ちの果たし合い、戦いの神パリオポテスの決闘など、数々の名勝負がここで生まれ、伝説となり、吟遊詩人の歌う詩になって今も人々を熱狂させている。
 コロッセオには会場が五つあって、今回の試験は一番でかいメイン闘技場で行われるみてえだ。

「いいみんな。会場に入るとすぐ試験開始になるわ。目の前の敵をひたすら破壊しなさい」

 ひんやりした薄暗い廊下にアメリアさんの冷静な声が響く。
 メイン闘技場は東西南北にそれぞれ門が設置され、オレ達エリィ救出隊は偶然にも全員同じ南門に割り振られた。一次試験で三十二秒なんていうとんでもねえタイムを叩き出した、ゼノ・セラーとかいう神官オンナ男は別の門に割り振られたらしい。

 二次試験の内容はこうだ。
 『制限時間内にできるだけゴーレムを破壊せよ。以上』

 細けえことは苦手だから、こういうシンプルでわかりやすいルールは好きだ。
 要はぶっ壊しまくればいいんだろ?
 簡単でいい。

「中心に行けば行くほどゴーレムが強くなるわ。無理に進んで、自分の実力以上のゴーレムに挑んでは駄目よ。実力の判断も冒険者の技術として見られているから、怪我をすると大幅な減点になるわ」
「了解っす」
「うっす」
「わかりました」
「が、頑張りますっ」
「我が麗しの妖精エリィ嬢よ、このテンメイ・カニヨーンに力をッ!」

 オレ、ガルガイン、サツキ、エイミー、テンメイが武器を手に、アメリアさんの忠告をしっかりと受け止める。

「おい爆炎。俺の邪魔をするなよ」

 物騒な声色が廊下に響き渡る。
 振り返ると身長が二メートルほどある、狼人の大男が犬歯をむき出しにして、アメリアさんを睨んでいた。

 こいつ、冷氷のガブリエルじゃねえか。
 狼人特有の濃い体毛が、雷の模様のように頬に三本走っている。目つきは冷水をぶちまけたみてえに冷たくて鋭く、情も慈悲もなさそうだった。武器は片手斧らしいが、片手斧と呼ぶべき代物なのかわからねえほど、バカでかい。

 ガブリエル・ガブルはグレイフナー六大貴族の一つ、五百五十の領地を保有するガブル家の当主だ。
 千の領地を持つ貴族が二つ、五百以上の領地を持つ貴族が四つ。この六貴族がグレイフナー六大貴族と呼ばれている。

 こいつは腕っぷしも強く、統治手腕もあるらしい。らしいが…女癖が悪いことでも有名で、狐族の女を何人も妾にしてるって話だ。まあ狐族の女は男心をくすぐるやたらエロい姉ちゃんが多いから無理もねえか。あ、そういやアリアナ・グランティーノも狐族だったな。あいつも成長したらフェロモンがむんむんの女になる……訳ねえか。

「あなたこそ私の近くに来ないでちょうだい。身体が冷えて仕方ないわ」
「貴様……」

 アメリアさんとガブリエルが睨み合う。
 炎と氷のスペシャリスト同士だ。反目し合う何かがあるのかもしれねえ。もしくは二人の間には過去何か痛烈なやりとりがあった、とか。やべえな。二人の魔力がぐんぐん高まっている。亜麻クソがこの場にいたら、ちびってズボンを濡らし「ママン!」とか言って逃げ出すに違いねえ。

 それほどに両者の重圧が凄まじい。
 周囲の連中が二人を遠巻きに見て後ずさりしている。

「お母様、身体が冷えると風邪を引いちゃいますよ。“精霊の歌声(シルキーソング)”」

 近くにいたエイミーが緊張した空気をぶった切って、亜麻クソのときと同じように木魔法下級“精霊の歌声(シルキーソング)”を唱えた。アメリアさんの身体が緑の葉っぱに覆われる。一瞬にしてアメリアさんが見えなくなった。

「お母様、大丈夫ですか?」
「………」
「なんだその女は。顔つきからして……貴様の娘か」
「だったら何だというの」

 “精霊の歌声(シルキーソング)”が解除され、葉っぱから抜け出したアメリアさんが眉を釣り上げてガブリエルに聞く。

「どうだ。うちの息子と結婚させてやろうか? その美貌があれば息子も納得するだろう」
「エイミーがガブル家の人間を好きになるはずがありません。くだらない妄想は余所でやってちょうだい」
「……五年連続負け越しの弱小貴族が生意気な」
「何とでもいいなさい。私はあなたに構っている暇はないのよ」
「俺はその娘が気に入った。必ずモノにしてやる」
「略奪者、と呼ばれる理由がよくわかるわ…。お話になりません。もうどこかへ行きなさい」

 野良犬を追い払うように、シッシとアメリアさんが左手を振ると、ガブリエルはうなり声を上げて今にも飛び掛からん姿勢を作った。
 エイミーが怖くなったのかアメリアの後ろに隠れて、健気にも杖を構えたので、アメリアさんも杖をゆっくりと取り出す。


―――受験者の皆様、闘技場へ出てください


 タイミングよく風魔法で声を拡張するアナウンスが入った。
 二人は睨み合ったまま、戦闘態勢を解いた。ガブリエルは大きく舌打ちをし、威嚇するようにオレたちの横を通りすぎると、闘技場へと出て行った。

「何なのあいつ!」

 真っ先に文句を言ったのはサツキだ。

「だーれがガブル家の息子とエイミーを結婚させるもんですか!」
「サツキ、落ち着きなさい。今は試験に集中を」

 アメリアさんが(たしな)めると、サツキはすぐに気持ちを切り替えたのか、キッと会場を睨んだ。

「よし、行くぜ!」

 オレはひとまず気合いを入れるために叫んだ。
 それに呼応して他のメンバーが各々声を上げ、会場へと向かった。


   ○


 直径が三百メートルほどあるバカでかい闘技場には、見渡す限りのゴーレムがいる。赤、茶、青、白、うじゃうじゃと数え切れないほどのゴーレムがひしめき合っていて、中心部には五メートルほどあるゴーレムが二十体、黒光りする硬そうな体躯を揺らしていた。

 なんだろう、蟻の巣みてえだな…。
 ゴーレムは一体の大きさが一メートル五十センチほど。ガルガインのクソヒゲと同じぐらいの体格だ。それがざっと見て万単位でいやがる。
色別になっているのは属性が別れているからだろうか。

 闘技場の壁から三メートルの地面に白線が引いてあり、そこから先へはゴーレムが侵入できないよう妨害魔法が仕掛けてあるみてえだ。白線と壁の内側が安全地帯ってわけか。なるほどな。

 クソ狼人、ガブリエル・ガブルはすでに距離を取って三十メートルほど離れた場所にいる。

―――受験者の皆様は門を通った時点で“計数カウント”の魔法を付与されました。
―――倒したゴーレムの数、強さが自動で“計数カウント”されます。
―――強力なゴーレムほど高得点です。
―――他受験者への攻撃は冒険者証明書の永久剥奪になります。
―――制限時間は十五分です。


―――5!


―――4!


 うおおっ! まじですぐ始まりやがるんだな!

「おいみんな、気合い入れてけよ!」
「誰に向かって言ってるのよ」
「俺が勝ったらおめえが破産するぐれえ酒おごってもらうぜ」

 サツキが相変わらず強気の返事をし、ガルガインがペッとてめえの両手にツバを吐いてアイアンハンマーを握りしめる。


―――3!


「がんばろうね!」
「戦いの神パリオポテスよ! 麗しのエリィ嬢よ! 我に力をッ!」

 エイミーとテンメイが闘杖術用の杖を構えて前傾姿勢になる。


―――2!


「ふっ、行くわよ」
 アメリアさんが不敵に笑って杖をゆっくりと構え、上着を脱いだ。


―――1!


 うおっしゃあああああああああ!
 やったるぜえええ!


―――開始っ!!!!!!


「“火蛇ファイアスネーク”!」
「“爆発エクスプロージョン”!」
「“土槍サンドニードル”!」

 オレが唱えた“火蛇ファイアスネーク”が十匹前方へ飛んでいき、狙い通り火が効きづらい土属性らしきゴーレムをよけてぶち当たり、アメリアさんが気を遣ってくれたのかその後方を“爆発エクスプロージョン”で丸ごと焼き払い、ガルガインが相当の魔力を込めた“土槍サンドニードル”でゴーレムを十体ほど吹っ飛ばす。

「遙か古代から脈づく獣の血よ蘇れ……“豹の眼(レパードアイ)”」
「渦巻く空の粒子よ。気まぐれな運び屋よ。形をとりて我が前へ姿を現せ……“竜巻トルネード”!」
「水に潜む邪悪なる牙よ、敵を穿て……“鮫牙シャークファング”!」

 少し遅れて、エイミーが動体視力を格段に上げる木魔法中級“豹の眼(レパードアイ)”を唱え、サツキが強力な空魔法中級“竜巻トルネード”でゴーレム達を百体ほど巻き上げて粉々に砕き、テンメイが水の上級魔法で十数体を吹っ飛ばした。

 エイミーとサツキが上位中級魔法を使いこなしててやべえ。
 エイミーは魔力量が化け物並みにあるから補助魔法をかけて攻撃魔法を連発する作戦だろう。サツキの魔力量も優秀だがエイミーほどじゃねえ。おいそれと上位中級は連発できねえだろう。それでも上位中級が使えるだけすげえ。

「全員身体強化! 跳びなさい!」


 なんだっ!?
 アメリアさんの指示通り、全身強化をかけて思い切り跳んだ。


―――バキキキキキキキッ


――――!!!!!?


 なんじゃこりゃあ!!
 闘技場の地面、五十メートル四方が突如として氷付けになり、ゴーレム達が数百体、氷のオブジェと化した。
 逃げ遅れた受験者たちのほとんどが腰の辺りまで分厚い氷で覆われ、地面と同化しそうになって、あわてて火魔法で氷を溶かして脱出を試みる。

 足が滑らないように着地して魔法の発生源を見ると、ガブリエル・ガブルが獰猛に笑い、杖を構えていた。
 この威力は間違いなく上位の「氷」中級魔法、広範囲型。
 やべえよおい。初めて見たぜ。
 つーかぜってーオレ達を巻き込もうとしただろ!
 狙ってなくて、うっかり巻きぞいならルール違反にならないってか?!

「地を這う咆吼を……“地面爆発グランドプロージョン”!!」

 うおおおおおおおおおおお!
 炎魔法中級“爆発エクスプロージョン”の広範囲型魔法ッ!
 しかも絶妙な威力調整で氷を爆砕して溶かし、他の受験者に被害が出ない!
 足元の氷ほとんど溶けてるじゃねえか!
 アメリアさんすごっ! すごーっ!
 いつかオレも習得してみせる!

「気にせずゴーレムを倒しなさい!」

 アメリアさんが凛とした声を張り上げると、ガブリエル・ガブルは苦虫を潰したような表情になり、そのまま闘技場の中心へと斧を振り回しながら突き進んでいく。

 オレとガルガインのタコナスは身体強化をしてゴーレムの群れに突っ込んだ。
 バスタードソードでゴーレムを刺突し、なぎ払い、懐に入り込まれたら拳でぶん殴る。そこらじゅうで魔法が飛び交い、詠唱の声が聞こえ、気合いの咆吼が遠くから聞こえる。流れてくる魔法にも気を遣いながら、ゴーレムをぶっ壊しまくった。

 ゴーレムは動きが遅いものの、体当たりやパンチを繰り出してきて、殴られると結構いてえ。囲まれると防御一辺倒になるから上手く移動して立ち回る。

「こんちくしょうッ」

 思わず叫んじまった。
 調子に乗って中心部へ進みすぎた。明らかに土ではなく鉱物で作られたゴーレムが混じっていて、そいつらがクッソ硬い。

「ガアアアアアアアアア」

 ブルーの鉄製ゴーレムがオレに体当たりを食らわしてくる。
 全身強化“下の中”でバスタードソードを体の前に構えて受け止めると、スピードと重量で五メートルほど吹っ飛ばされた。

 クッソ。
 身体強化“下の中”だと歯が立たねえ。
 すぐに体勢を立て直し、近くにいた雑魚ゴーレムをバスタードソードで真っ二つにして、ベルトに差していた杖を取り出す。

「“火槍ファイアランス”!!!」

 身体強化を解除してすぐさま魔法を発動。
 得意の“火蛇ファイアスネーク”が複数遠隔型とすれば“火槍ファイアランス” は一点集中型の攻撃魔法だ。現状、オレが使える最強魔法。
 限界まで魔力を練り込んだ“火槍ファイアランス”が矢の形状になって赤々と燃え、ブルーの鉄製ゴーレムにぶち当たり、胴体を貫いた。

 うっし!
 この辺よりちょい手前ぐらいの位置がベストポジションだな。鉱物系ゴーレムが下位上級魔法で倒せるレベルだとわかったから、そいつを倒しつつ雑魚で数稼ぎだ。やっぱ鉱物系ゴーレムくらいは倒せねえとCランクは無理だろう。

 ガルガインのボケチンもオレと同じような位置取りをして、二十メートルほど横で戦っている。

 左後方にいるテンメイもなんとかやれているようだ。
 憤怒の形相で敵を倒しながら、何を思うのか十秒に一回ぐらい恍惚とした表情になり、カメラがないことを忘れて背中に両手を伸ばしてがっかりしていた。ありゃ職業病だな。

 オレとガルガイン、テンメイが壁から五十メートル進んだ地点で戦い、エイミーがオレ達より二十メートルほど奥。サツキはさらにその二十メートル奥で戦っている。

 壁から百メートルより先は、どうやら次元が違うらしい。
 使用されている魔力の波動がとにかく強力でやべえ。バンバン上位魔法が唱えられているようで、一瞬ではあるが、ゼノ・セラーとかいう神官オンナ男が黒い球体を両手から出して、中心部にいるクッソ強そうな五メートルのゴーレムを一瞬で消した。冗談とかじゃなくて、五メートルあるゴーレムが黒い球体に吸い込まれるようにして消えていった。

 黒魔法の重力系?
 それにしちゃ威力が尋常じゃねえ。
 つっても黒魔法はそもそも使える奴が少ねえから、魔法の数や威力が明確になっていない部分が多々ある。つーか遠すぎて何が起こっているのかいまいちわからねえし、観察している暇もねえ。
 とりあえずいま言える事は“あれはガチでやべえ”ってことぐらいだ。

「うらぁ!」
「ふんッ!」

 気づけばガルガインのボケナスが近くに来ていた。
 オレを見つけると、アイアンハンマーで敵を屠りながらこっちに近づいてきて、話しかけてくる。

「何匹倒したんだ!?」
「わからねえ!」
「俺もだ!」

 バスタードソードを片手持ちして雑魚ゴーレムの攻撃をいなし、杖を取り出し身体強化を解除して“火槍ファイアランス”を発動。緑色の鉱物ゴーレムに着弾して真っ赤に燃え上がる。

「ぬりゃあ!」

 ガルガインが身体強化したまま遠心力を利用して鉱物系ゴーレムをぶっ叩くと、アイアンハンマーがめり込んで、ゴーレムの体がひしゃげる。倒れたところにもう一発追加をお見舞いすると、ゴーレムが粉砕された。
 アイアンハンマーなら身体強化“下の中”でも鉱物系ゴーレムを破壊できるみてえだ。バスタードソードだと無理だな。
 つーか強引にもほどがある。
 まあぶっ倒せばいいわけだから何でもいいちゃいいんだが。


 時間いっぱいまでオレとガルガインは近くでゴーレムを破壊しまくった。
 十五分の制限時間はなげえかもな、と思っていたが、戦っているとあっという間だ。


―――試験終了です。ウエポンと杖を下ろしてください。


 風魔法で拡声されたアナウンスが闘技場に響き渡り、二次試験が終了となった。試験終了と同時にゴーレムの動きが止まり、あれだけ騒がしかったコロッセオが静かになる。
 サツキとエイミー、テンメイ、アメリアさんがこちらに集まってきたので、お互いの奮戦を労い、冒険者協会へと移動した。


   ○


 冒険者協会へ戻ると、魔闘会のお祭り騒ぎばりに野次馬が集まっていた。協会の人間が怒声を上げながら人員整理をしてようやく中に入れる道ができるほどだ。
 三次試験が終わると成績発表があるからな。野次馬連中の賭け券を見る目が血走っている。

 三次試験は指名を受けたメンバーだけ現役冒険者と一対一の戦闘をすることになっている。呼ばれたのはゼノ・セラー、ガブリエル・ガブル、エリクス・サウザント、アメリアさんの四人だ。この時点で四名が上位得点者であることは間違いない。

 この個別戦闘は誰も見ることができない。技の秘匿が主な理由だ。

 クソ狼人ガブル、エリクス・サウザント、アメリアさんが終わり、ゼノ・セラーが試験会場へ入っていく。すると、三十秒もしないうちに神官オンナ男が涼しい顔をして出てきた。
 出てくんのはやくね? 緊張して便所か?

「便所ならあっちだ」

 親切で教えてやると、ゼノ・セラーはにこにこと笑顔のまま会釈をして、付き人らしきメンツのところへと移動する。
 なんだあ? なんか癪に障るな、あいつ。
 あと異様なまでの胡散臭さを感じるのは気のせいか?

「で、どうだったよ?」

 結果発表をカウンターの前で待っているサツキに質問した。
 サツキは自信ありげに胸を張ると、背中に垂れていたポニーテールを片手で持ち上げて、右肩に乗せる。髪が長いからできる芸当だな。

「壁際から百メートル付近まで行けたから期待していいと思う。そういうスルメはどうだったのよ」
「オレは余裕だ。余裕」
「そんなこと言ってCランクになれてなかったら怒るわよ」
「大丈夫だ」
「…心配だけど信じるわ。あなたって何だか土壇場で強そうだもんね」
「あたりめーだろ。男が大丈夫って言ってんだ。大丈夫なんだよ」
「何それ。根拠が全然ないんだけど」
「そんなもんだ」
「どんなもんよ」
「男に二言はねえってことだよ」
「スパイシィィィイ!!」

 突然、テンメイがオレとサツキに向けてカメラのシャッターを切った。

「なんだよ急に! 心臓にわりいな!」
「ああ、申し訳ない。ついね」
「どう“つい”なんだよ」
「いやあ何ていうのかな。唐突に婉美の神クノーレリルが微笑みを分けてくれたかのような、かけがえのない温かさを感じたんだ。あ、いや、その表現では誤解を生んでしまう。恋慕の神ベビールビルが朝ぼらけのなか湯浴みをし、それを嫉妬の神ティランシルが覗き見て暗い情念を憶えるが最後は契りの神ディアゴイスに諫められて改心するようなそんな心情になった――」
「だあああっ! うるせえよ耳元でピーチクパーチク!」
「これでもだいぶ噛み砕いているんだけど?」
「わかるかっ!」
「スルメ…テンメイ君のそれに付き合っていると疲れるだけよ」
「ああ、ちげえねえ…」
「君たち、ちょっとひどくないかいその言い方は?!」
「みんな、結果発表が来たよっ」

 エイミーがオレ達の肩を叩いて冒険者協会のカウンター上を指さす。
 協会の職員が二人がかりででかい用紙を持ってきて、脚立に上って順位表を貼り付ける。

「さあさあ皆さまご覧あれ! 第402回グレイフナー王国首都グレイフナー冒険者協会定期試験の結果発表がついにきたぁ! さあ一位はどいつだ! 賭け券はハズレても投げないようにお願いしまぁす!!」

―――バンバンバンバンッ

 賭け屋のハリセンが建物中に響き、否が応でも期待が高まる。
 高額を賭けたであろう連中が両目をかっぴらいて、順位表を見つめる。受験者が生唾を飲み込み、自分の点数と順位を確認しようと見やすい位置へ移動した。

 オレ、ガルガイン、サツキ、エイミー、テンメイ、アメリアさん、沿海州出身で現役シールドのジョン・ボーンも加わり、全員で結果表を見つめた。



=============================
冒険者協会定期試験
(グレイフナー王国首都グレイフナー・第402回)
参加人数389名


Sランク(1000~980点)
―――――――――――――――――――――――――――――
1位 ゼノ・セラー 995点


Aランク(979~750点)
―――――――――――――――――――――――――――――
2位 ガブリエル・ガブル(冷氷のガブリエル)883点
3位 アメリア・ゴールデン(爆炎のアメリア)879点
4位 エリクス・サウザント(白光のエリクス)876点
5位 ロー・マウンテン(木盾のロー)801点
6位 ササラ・ササイランサ(シールド第一師団)796点
7位 イッチー・モッツ(巨木のイッチー)792点
8位 ターキー・ワイルド(情熱のターキー)788点
9位 センティア・ライスフィールド 780点
10位 ラッキー・ストライク(幸運のラッキー)777点
11位 ヴァイオレット・サークレット 758点
12位 ジョン・ボーン(シールド第二師団)756点


Bランク(749~650点)
―――――――――――――――――――――――――――――
13位 ・・・・・・・・・・・・・・・・
14位 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・
 ・
 ・
30位 サツキ・ヤナギハラ(グレイフナー魔法学校首席)652点


Cランク(649~500点)
―――――――――――――――――――――――――――――
31位 ・・・・・・・・・・・・・・・・
32位 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・
 ・
 ・
40位 エイミー・ゴールデン(Eimy専属モデル)592点
 ・
 ・
 ・
55位 ガルガイン・ガガ 550点
55位 ワンズ・ワイルド(スルメ)550点
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
76位 テンメイ・カニヨーン(Eimy専属カメラマン)500点


Dランク(499~400点)
―――――――――――――――――――――――――――――
77位 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
78位 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・
 ・
 ・
118位 ベスケ・シルバー(ヅラ) 401点
=============================


 うおおおおおおおっ!
 全員Cランク以上達成ッ!

「一位はなんんんんと! 995点! ゼノ・セラー! さあ賭けた奴ぁいるかぁっ!」

 賭け屋が腕の血管が切れんばかりにハリセンでテーブルをぶっ叩く。
 やべえええええええええええええええええええ。
 995点だと!?!?
 現役時代のアメリアさんでも910点が最高ってさっき聞いたけど、それより上ってことか!?
 あいつまじで何者だよ!
 やべえ。ぜってーやべえ奴だよあいつ。
 つーか落雷魔法がどうちゃらこうちゃら聞いてきやがったけど、リアルに複合魔法を探してんのか? 

「995てんッ!?!?!?!」
「俺の五百万ロンを返せーーーーーっ!」
「ふざけんなぁ!!」
「うちのパーティーにスカウトしろっ。早く!」

 ぎゃーぎゃーと野次馬から悲鳴が上がり、賭け券が宙を舞う。
 肝心のゼノ・セラーはどこを探してもおらず、騒ぎを嫌って消えたらしい。

 さっきアメリアさんに聞いた話だと、ゼノ・セラーは二次試験中に黒魔法上級“鯨飲馬食する重力珠(グラビティジュエル)”って誰も知らねえやべえ重力魔法を使ったらしい。上位上級って言ったら、一発で一日分の魔力を消費するほど強力な魔法がほとんどで、乱戦の中で唱えるには詠唱が困難なものばかりだ。無詠唱なんてほぼ不可能で、アメリアさんですら、魔力を練る時間と詠唱時間を入れて一分はかかるらしい。それをあのオンナ男はものの十秒でドカン、だそうだ。

 セラーと名が付いてあの強さ。おそらく、というか十中八九、セラー神国の回し者で、身分が相当上にある人物だと予想されんな。信者のような奴らが十人ほどゼノ・セラーの周囲を取り巻いていたから間違いないだろう。
 一応、アメリアさんに「落雷魔法を使える少女の噂を聞いたことがあるか」という質問をされたことをさっき伝えておいた。すげえ眉間に皺を寄せてたな…。

「見て見てみんな! 全員Cランクだよっ。サツキはBランク! よかったぁ~」

 そんなことを一瞬考えていると、エイミーに肩を叩かれた。彼女は全員の成績を見て嬉しそうに飛び跳ねている。
 相変わらず美人っぽくない行動をする奴だ。まったくいつでも―――


――――!?


――――ばいんばいん


――――!!!!!!???


 な、なにかが胸のあたりでばいんばいん荒ぶってやがる。
 エイミーが飛び跳ねるたびに、その二つの何かが重力に対抗してクッソ揺れるじゃねえか。アレこそ本当の化け物かもしれねえ…。クッソ、両目が吸い寄せられるぜ。
 サツキがこっちを睨んでいるのは気のせい、ってことにしておこう。

「おおおおおっ! 戦いの神パリオポテスよ! 契りの神ディアゴイスよ! 神は我をお見捨てにならなかった! まさに奇跡ッ! これを奇跡と呼ばずして何と呼ぶんだっ。500点のギリギリ合格ライン滑り込みセーフ! 麗しのエリィ嬢の思し召しとしか思えない! テンメイ・カニヨーン、今ここにCランクになったことを宣言するぅ!!」

 テンメイが喜びのあまりバカでけえ声でピーチクパーチク言って、全員と抱き合っている。エイミーと抱き合ったとき鼻血を大量出血させて死にかけていた。アホだ。

 にしても嬉しいぜ!!
 つーかテンメイまじでギリギリすぎだろぉ!
 金の玉がヒュンってなったわまじで!

「エリィ救出隊、全員Cランク以上達成だぜッ」
「うおっしゃあ! スルメと同じ点数なのが不満だがな、ペッ!」
「待っててねエリィ」
「私が……Bランク…」
「エエエェェェェェェェェクセレントッ!!!」

 オレたちは両手が赤くなるまでハイタッチをし、お互いを褒め称え、これから始まるであろうオアシス・ジェラへの冒険に向けて激励し合う。後ろではアメリアさんが満足そうにうなずき、優しい眼差しで拍手を送ってくれていた。


 長かった地獄の訓練が今日をもって終了したんだ、とオレは思い、最後に言っておかなけりゃならない事案について叫んだ。


「せっかく修正した名前の横にスルメって付け足した奴ぁ誰だ! ご丁寧に括弧までついてるじゃねえかよ! 括弧スルメって何だよ括弧スルメって! オレはあのあだ名を認めた覚えはねえからな、まじでええええっ!」


 メンバー全員が目を背けた。


 っざけんなよ!


   ○


 冒険者協会定期試験をクリアしたオレたちは、三日の準備期間をアメリアさんにもらい、装備やらを調えて、オアシス・ジェラへと向かうための馬車へ乗り込んだ。

 家の連中に激励のため散々酒を飲まされて、ちょい二日酔いだ。
 オヤジはオレがCランクになったことをやたら喜んでいたな。あとはアメリアさんの点数をいつか越えると息巻いていたが、オヤジが8位で788点ってのに対し、アメリアさんは3位で879点だ。よほど強くならねえと越えられねえ。まあオレも最終目標はアメリアさんに勝って、誰よりも強くなることだ。気持ちはわかる。

 オアシス・ジェラ到着まで一ヶ月を予定している。
 首都グレイフナーを出て西に進み、『青湖』を渡って『湖の国メソッド』へ入国。さらに西進して難関の『旧街道』を踏破し、『砂漠の国サンディ』を南下して、ようやくオアシス・ジェラに到着する。

 メンバーは、オレ、ガルガイン、エイミー、サツキ、テンメイ、アメリアさん、ジョン・ボーンの七名だ。
 Aランクが二人、Bランクが一人いるから道中の魔物は問題なく対処できるだろう。それこそボーンリザードみてえな化け物クラスの魔物が現れなけりゃな。

 こう言っちゃ何だが、冒険ってわくわくするよな。
 エリィ・ゴールデンの驚く顔が早く見たいぜ。

 ジョン・ボーンが御者をする馬車は、アメリアさんが結構な金をかけて用意させたもんだ。揺れが少なく、スピードが出る。七人分の荷物と食糧を積んで、全員が乗っても余裕がある大きさだ。

 何事もなく順調に首都グレイフナーから西へ二日進んだ。しかし、国境を越えるあたりで、異変が起きた。
 馬を休憩させ外に出て体をほぐしていると、エイミーが血相を変えて馬車から出て、オレとガルガインの肩を叩く。

「た、た、樽が動いてるよ!」
「ああん? んなわけ……まじだな」

 エイミーが幽霊を見たようなびびった顔で言ってきたので、馬車に積んであった樽の一つをガルガインと見ると、確かに不自然にガタガタと動いていた。

「なんで動いてんだ?」
「魔物が入り込んだのかもしれねえ……ぶっ壊そう。ペッ」
「変なの出てこないよね?」
「エイミー、おめえびびりすぎだろ」

 完全にへっぴり腰になっているエイミーは美人が台無しだ。

「私、聞いたことがあるの。ユキムラ・セキノの伝記で、馬車に入っていた樽が突然動き出して、中に入っていた凶悪なスライムが馬車ごと御者を飲み込むってお話。スライムが巨大化してしまい、退治するのに一週間かかったんだって……」
「まじ?」
「スライム…ペッ」
「スルメ君、ガルガイン君、気をつけて」

 ガルガインと目配せをしてゆっくり馬車に足をかけ、“下の中”のパワーで身体強化し、揺れている樽を持ち上げた。大した重さじゃねえ。ガルガインは杖をポケットから引き抜き、いつでも魔法が使えるように樽へと照準を合わせている。

「ゆっくり移動するぞ」
「……ペッ」

 樽を睨んだまま首肯したガルガインを確認して、野外へと運び、樽をそっと道の真ん中に置いた。
 何事かと集まってくるメンバーに、エイミーが事情を説明する。
 その間にも樽はガタガタと不規則に揺れている。

「オレは“ファイヤーボール”てめえは“サンドボール”だ」
「わかった」

 樽から距離を取り、オレとガルガインは杖を構え、下位中級“ファイヤーボール”と“サンドボール”を同時にぶっ放した。


―――ゴオオオオッ

―――バガァン

―――ぎゃああああああああああああっ!!!


 火のかたまりと土のかたまりがぶち当たって樽を粉々にし、中に入っている生物らしき何かにダメージを負わせ、悲鳴が上がった。
 その生物はスライムでも魔物でもなく、不格好に尻を押さえて飛び跳ねている。

「あああ熱いぃぃい一体何が起きたんだぁ! 天変地異っ?!」


 その生物はキザったらしく尻をさすりながら、うざったく髪をかき上げて、うっとおしくズビシィッとポーズを取る、亜麻クソだった。


 なんで樽ん中に亜麻クソがいるんだよ………。


 メンバー全員が呆然として視線を亜麻クソに集中させると、あいつは尻を片手で押さえながら高らかに笑った。

「はーっはっはっはっはっは! 諸君! 国境を越えるまで我慢しているつもりだったんだけどね、この僕を旅のメンバーに加えないなんてありえないことだよ! さあつるっぱげで色黒の御者の君っ。早く出発したまえ」
「亜麻クソてめえどうしてここにいるんだよ!?」
「どうしてって決まっているじゃあないか。エリィ・ゴールデン嬢を助けに行くんだろう?」
「だーかーらぁーっ。どうしててめえがエリィ救出隊のパーティーに潜り込んでんだって聞いてんだよ!」
「はーっはっはっはっはっは! スルメ君、それは僕がリーダーだからに決まっているだろう! なんだいもう忘れてしまったのかい?」
「誰がスルメだよ誰がッ」
「君のあだ名だろう?」
「てめえにスルメって言われんのが一番腹が立つんだよ! つーかどこのどいつがリーダーなんだよ、ああん!?」
「僕に決まっているだろう。合宿班でも僕がリーダーだったじゃないか」
「これは遊びじゃねえんだよ! 冒険者Cランク以上じゃないとメンバーに参加できない過酷な旅なのぉ!」
「う゛っ………」

 亜麻クソはてめえがEランクだということを思い出し、気まずそうに一歩下がる。

「わかったら帰れっ。とっとと帰れっ」
「ふふふっ…………はーっはっはっはっはっはっはっはっは!」
「何だようるせえな」
「今はEランクだが来年Cランクになる予定だ! 僕はランクの前借り制度をいまここで発動させることを宣言する!」
「はあああああああっ!? 寝言は寝て言え!」
「もう手遅れだよスルメ君。このぶぉくが前借り制度を宣言してしまったからね…」

 ふっ、ふっ、と前髪に息を吹きかけて自分の発言に酔いしれ、身もだえする亜麻クソ。
 ………ぶん殴っていいか?

「よし。よーくわかった」
「ふっ……やっと理解してくれたみたいだね…」
「とりあえず一発殴らせろ」
「なはぁっ! どうしてそうなるんだい!?」
「意味はねえ。ただむかついたからだ」
「ふふふっ、このぶぉくを簡単に殴れると思っているのかい?」

 片足を上げ、左手を額に当て、右手に杖を持って、右腕を地面と水平に後方へと亜麻クソは上げた。キザの代名詞みてえなうっとおしポーズが“ドバピュウウン”という感じで決まる。

 よし、ガチで殴ろう。

「身体強化ッ!!」
「なはぁっ! スルメ君それは反則じゃあないかな?!」
「っるせえっっ!」

 オレが地面思い切り蹴って前方へダッシュしようとすると、オレと亜麻クソの真ん中あたりの空気が大爆発を起こした。とんでもねえ爆風に、オレと亜麻クソはおもちゃみてえに吹っ飛ばされて、地面を三メートル転がった。

「おやめなさい」

 アメリアさんが冷たい表情でこちらを見ていた。
 やべえ……あれはぜってえ怒っているときの顔だ。

 オレは素早く立ち上がり、駆け足でアメリアさんの前に直立した。本能的にアメリアさんは怒らせたらやべえ人だと察したのか、亜麻クソも猛ダッシュしてオレの隣に直立し、冷や汗を流しながら無駄に敬礼を三回する。

「わたくしはエリィ・ゴールデンの母、アメリア・ゴールデンと申します。亜麻クソ君……と言ったわね?」
「イエスマムッ!」

 ズビシィッ、と敬礼をする亜麻クソ。

「あなたもエリィのために、私たちと一緒に行きたいのかしら」
「当然だ! なんたって僕は合宿班のリーダーだからね」
「……死ぬかもしれないけど、いいのかしら」
「なはぁっ!」
「旧街道には強力な魔物が数多く生息しているわ。遭遇せずに抜ける、という幸運はまず起きないでしょうね」
「きゅ、旧街道だって?! なんだってそんな危険なルートを?」
「近いからよ」
「な、なるほど…それでランクC以上でないと参加できないと……」
「そういうこった。ペッ」

 様子を見ていたガルガインが腕を組んだままツバを吐く。

「帰るなら国境を越えていない今しかないわ。あなたがどうしたいのか聞かせてちょうだい」
「ぼ、ぼくは……」

 亜麻クソは猛禽類のようなアメリアさんの本気の睨みを受け、威圧感からか両手をぶるぶると震わせる。
 覚悟がない者がアメリアさんの威圧を受けると、完全に萎縮して言葉が出なくなる。旅の途中でエイミーやサツキにちょっかいを出してきたゲスな男たちが、この目の犠牲になっていた。
 だが何を思ったのか、顔を上げて亜麻クソはこう言った。

「死ぬなら死んだで構わない! 連れて行ってくれたまえ!」
「はあっ? てめえまじで死ぬぞっ?」
「スルメ君、やはりリーダーが同行しないのは締まらないだろう。ここは死ぬ覚悟で同行させてもらおうじゃあないか」
「だからいつてめえがリーダーになったんだよ」
「わかったわ亜麻クソ君。あなたの同行を認めましょう」
「は……………はーっはっはっはっは! 望むところだよ!」
「なっ! まじで言ってんすかアメリアさん」
「ええ、本気よ。ただし条件が一つあります」
「なんだいエリィ嬢のお母上。何なりとお申し付けを…」
「旅の途中で一言でも根を上げたらその場で放り出します。いいわね」
「はっはっはっは! そんなことならお安いご用さっ。アシル家の人間として弱音なんて吐いたことがないよ!」
「ビシビシ指導するからそのつもりでいなさい」

 オレ、ガルガイン、エイミー、サツキ、テンメイは思わず亜麻クソから顔を背けた。
 旅をしながら訓練なんて、考えただけでゲロを吐きそうになる。
 亜麻クソ、ご愁傷様……。

「お、おい君たちぃ……なぜそんなに顔が青ざめているんだい…?」
「てめえは知らねえほうがいい……いずれわかることだからな……」
「ではみんな、出発するわよ! 準備を始めてちょうだい!」
「その前にひとつだけいいかい諸君!」
「なんだよ」


 亜麻クソが偉そうに手を挙げたので、渋々振り返る。


「樽の中で二日間トイレに行ってなかったんだ! トイレはどこだい?」


   ○


 こうしてオレ達は亜麻クソというアホな同行者を加え、グレイフナー王国から『湖の国メソッド』へ行くため『青湖』へと馬車を進めていった。

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次回「第20話 イケメン砂漠のハーヒホーヘーヒホー」


明日投稿致します!
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