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エリィ・ゴールデン ~ブスでデブでもイケメンエリート~ 作者:四葉夕卜/よだ

第二章 異世界ダイエット

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第25話 イケメンエリート、悪い子をおしおきする

まさかの日間ランキング2位!!
皆さんありがとうございます!!
感想、ご指摘、誤字修正、ブクマ&評価ありがとうございます!!

様々なご意見を頂き、感激しております。
ひっそりとアップしていた日々が嘘のようです。
あたたかい言葉や厳しいお言葉もありましたが、そのすべてが嬉しいです!
しつこいようですが、ありがとうございます!

まだまだエリィちゃんとイケメンの冒険は続きますので、是非とも最後までお付き合いください♪
 上の部屋は静かだった。
 魔物の大量出現と砂漠の国サンディの出兵という一大事の様子を見に行っているのか。
 いや、盗賊団というぐらいなのだから混乱に乗じてどこかを襲撃しているのかもしれない。この家の見張りが少人数の可能性が高いな。

 俺は魔力妨害の腕輪を思い切り檻に叩きつけてみる。
 ガンと鈍い音がするだけで、腕輪も檻も傷ついた様子はない。手が痺れただけだ。強引に破壊するのは難しい。

 続いて牢屋を子細に調べてみる。鉄格子はご丁寧に四方、天井、地面、すべてにしっかりとめぐらせてある。こういう異世界とか中世物の映画だと壁があってそこから脱出できるとかさ、定番だと思うんだよね。隠し通路とか排水溝とかさ……両方ねえよ?
 どこかに錆びてるところ……ないな。

 俺はダメもとで、魔力を練ってみる。

 ヘソの辺りに魔力が溜まり、ゆっくりとヘソ周辺を循環する。ためしに右腕のほうへと魔力を流すと、角砂糖を握りつぶすみたいに魔力がバラバラになった。

 もう一度、と気合いを入れて魔力を練る。
 今度は左足へ……ダメだ。

 次はお腹から……ぐっ、魔力が放出される前に消えてしまう。

 脇腹は………これもダメか。

 魔力妨害の腕輪から糸のような見えない何かが出されており、触れると魔力が散ってしまう。糸が全身に絡まっているような感覚だ。前につけられていた拘束具とはちょっと中身が違うらしい。前のやつは魔力を練っても、見えない壁に押し返される感覚だった。
 どうにか魔力の抜け穴を探せば、いけるかもしれない。


 俺は仁王立ちで瞠目し、集中する。


 雷が近くで落ちたのか、地響きがする。


 自分の呼吸音とアリアナの寝息だけが薄く伸び、時たま雷音が遠くのほうから聞こえてくる。集中だ、集中しろ。魔力妨害の魔道具の抜け道を探すんだ。焦らず、慎重に、ゆっくりと…。


 何度も魔力を練り、魔力妨害に阻まれ霧散させる。


 額から汗が流れ落ちる。


 どれぐらい魔力を練っていただろうか。
 俺は、くわっと目を見開いた。


―――――――ッ!!!!


「なんてこと……」


 思わず口から驚愕の言葉が漏れてしまう。
 いや、まさか……これは……。


 信じられない。
 だが、これしかないッ。


 ぐっ………しかし……こんな、こと。


 なぜ?! なぜなんだ!!
 そりゃやるしかないよ?!
 でもこれはひどすぎる。あんまりだ!


 これしか手がないなんてひどすぎる!


 おお神よ!
 信じてないけど神よッ!


 魔法が――――


 魔法が――――――


 魔法がッッッ――――――!!














「魔法が尻から出るッ!!!!!!」











 ズゥゥン、と外で大きな雷が落ちたのか、牢屋が微かに揺れた。



   ○



「アリアナ、ごめんね。なんか、すごく、ごめん」

 俺は葛藤しつつも、おもむろにアリアナへ尻を向けて“癒発光キュアライト”を唱えた。背に腹は代えられない。いや、背に尻は代えられない。なに言ってるんだ俺は。落ち着け。やっと魔法が使えるんだぞ!?
 これで状況は一変したのだ。喜ばしいことだ。笑え、俺よ!

「はーっはっはっはっは」

 アホかッ。
 って…誰も見ていないノリツッコミほど悲しいもんはねえな。

 魔力妨害を抜けた“癒発光キュアライト”がアリアナを包む。切り傷、打撲ぐらいなら瞬時に治る魔法だ。彼女の苦しそうな表情は和らぎ、土気色だった顔色にほんのり赤みがさし多少なりとも体調が良くなったことを伺わせる。俺はアリアナのシャツをたくし上げた。腹にあった青あざは消えていた。よかった。

 念のため、もう二回ほど“癒発光キュアライト”をかける。
 やはり、というか当然これ以上の効果はないようだ。

 下位の光魔法と、上位の白魔法の治療魔法は物理的な傷を治す事に長けており、魔法のランクで治癒できるレベルが決まっている。

 例えば魔物に噛まれて腕が取れそうな患者に“治癒ヒール”を百回かけても効果はない。せいぜい数十秒血が止まる程度だ。
 腕が取れそうな場合は白魔法の中級“加護の光”以上の魔法が必要で、唱えれば瞬時に腕がくっつくらしい。多分、腕が取れそうな患者に絆創膏をいくら貼っても意味がない、という事と同じだろう。
 そういえば、教科書には大体の効果が書かれていたな。

 俺は教科書の内容を思い出そうと、目を閉じた。


―――――――――――――――――――
治癒魔法

 光魔法
 中級「治癒ヒール」→切り傷、擦り傷、簡単な止血等。
 上級「癒発光キュアライト」→大きな切り傷、打撲、捻挫の治癒等。

 白魔法
 下級「再生の光」→斬撃、やけどの治癒等。
 中級「加護の光」→切断直後の部位接着等。
 上級「万能の光」→欠損した部位の再生等。
 超級「神秘の光」→あらゆる事象の再生等。
―――――――――――――――――――


 確かこんな感じだった。
 ということは、アリアナは少なくとも白魔法の下級以上の怪我をしているってことか。もしくは物理的なものでなく、内臓や消化器官がウイルスや菌にやられている可能性がある。内科の治療に使えそうな魔法は、下位の水魔法と、上位の木魔法だ。俺はどっちも使えないからダメだな。

 確か水魔法と木魔法はこんな感じだったか。


―――――――――――――――――――
治癒補助魔法

 水魔法
 上級「治癒上昇キュアウォーター」→治癒力を高める。

 木魔法
 下級・「緑の微笑」
 中級・「緑の浄化」
 上級・「緑の慈愛」
 超級・「緑の豊穣」
―――――――――――――――――――


 木魔法の効果はよく憶えていない。
 エイミーがいたら治癒してくれただろう。

 エイミー今頃心配してるだろうな…。
 つーかみんな俺のこと血眼になって探しているだろうな…。
 クラリスとかバリーはやばそうだな……。

 とにかくここにいてもアリアナの容態は良くならないってことは確かだ。

 俺はアリアナを縛っていたロープを極小の“ウインドカッター”で切り飛ばし、そっと抱き上げ、鉄格子の扉の遠くへと移動させた。
 そして、くいっと尻を扉へ向けて魔力を練る。

「ウインドソード!」

 岩をも切断する風の刃が鉄格子にぶち当たり、ギィンという金属音が鳴る。
 鉄格子にうっすらと傷がついた。
 やっぱダメか。

 俺は扉の錠前を目標に定め“落雷サンダーボルト”をピンポイントで落とすことにした。
 だが後ろ向きだと狙いが上手く定まらない。
 尻を突き出したままちょっとだけななめに体を動かし、魔力を練る。

落雷サンダーボルト!」

 威力を相当に落とした電撃が錠前に落ちる。
 近づくと、熱で上部が溶けていた。俺はもう一度同じポーズを取って“落雷サンダーボルト”を唱えた。

 ゴトリ、と錠前が落ち、反動でゆっくりと牢屋の扉が開いた。

「よし」

 俺は小声で叫んでガッツポーズを取った。
 階上からは物音はしない。どうやらバレてないようだ。

「アリアナ、アリアナ」

 呼ぶと、狐耳をぴこっと動かして彼女が薄く目を開けた。

「これから逃げ出すわ。背中におぶるからちょっと辛いかもしれないけど我慢してね」
「ん…わかった…」

 毛布にくるんで、アリアナを背負う。軽いので全く問題ない。
 俺は音を立てないようにゆっくりと階段をのぼった。

 上りきって壁の前に立つと、独りでに壁が動き出し、空洞ができた。室内の明かりがやんわりと差し込んでくる。アリアナを背負ったまま身をかがめて部屋を見ると、誰もいなかった。

 ソファの横には誰かが持ってきたのか、魔力ポーションやマンドラゴラ強壮剤が乱雑に置かれている。俺は魔力ポーションをポケットに入れ、一番高そうな瓶に入っているマンドラゴラ強壮剤を飲んだ。

 オロナ○ンCのような味がする。美味しい。
 雑誌作成で徹夜したときに飲んだ物よりも随分と味が濃い。多分すげえいい薬だ。しみるー。
 心なしか体が軽くなった気がした。
 十秒ほどすると体中がギンギンになった。

 周囲に気を配りながら部屋から出ようとする。
 すると奥から物音がしたので、すぐさまキッチンの奥へ隠れた。

 見張りらしき男が、濡れた手をズボンで拭きつつだらしなくソファに座った。どうやらトイレに行ってたみたいだな。

 しばらく様子観察する。
 複数見張りがいるかもしれない。
 そうだ、気をつけろ、俺!

「ったくなんで俺だけ見張りなんだよ…」

 男はそう呟いた。

 ふっふっふっふっふ。
 はーっはっはっはっは!
 見張りが一人とはなんてバカなんだ!
 残念だったな! 俺たちは逃げ出しちゃうよーん。

 なんか俺、めちゃくちゃストレス溜まってたのかもしれない。
 いま、猛烈にテンションが高い! 急にキタ!
 営業成績最高得点を叩き出して表彰され、朝までキャバクラとクラブで大騒ぎしたときぐらいテンションがやばい!
 魔法使えるって最高ッ! 自由最高ッ!
 イエスマイドリーーーームッ!!!

 すべてが吹っ切れた俺は、一回転して尻を向け、容赦なく“電衝撃インパルス”を解き放った。やるときはとことんやる。頬に人差し指を当てる可愛いポーズ付きだ。もってけ泥棒ッ。


 ギャギャギャギャバリィッ!!


「ぎゃああああああああ!」

 室内にクモの巣のような閃光が走り、俺は眩しくて目を細める。感電した見張り番が白い煙を頭からゆらゆらと出しながら、車に踏みつぶされたカエルのような格好でうつぶせになった。

 ソファに近づいて顔を確認すると、俺を散々バカにした前歯のない歯抜け男だった。
 どうやらまだ生きているらしい。
 出力を最低にすればかろうじて生きていられるみたいだ。これはいいことを知った。いい人体実験だ。今日の俺はマッドサイエンティスト!

治癒ヒール!」

 男をちょっぴり回復させて、男の背中の上にゆっくりと足を揃えて座った。

「ぐほっ………ひぃ…ひぃ……な、なにが起きやがった…」
「あなたに天罰が下ったのよ」
「て、てめえは……どうやって出てきたデブ!」
「お口が悪いわね」

 意識は失わないが激痛を感じる強さの“電打エレキトリック”を唱える。
 尻から放たれる電流。

「ギャアアァァアァアァーーーーーッ!」
「お口が悪い子には天罰よ」
「て、てめえ………いったい…なにを…」
「てめえ?」

 “電打エレキトリック”!

「アアアアババババアアアッババアアッ……」
「もう一度言うけどマナーが悪いとおしおきよ」
「はぁ……はぁ………くそがっ…なんの魔法だッッ」

 “電打エレキトリック”!

「ダババババッバアアアッババ!」

 男が悲鳴を上げると、電流で硬直した筋肉が手足を真っ直ぐに伸ばし、すぐ地面に落ちる。空気を入れるとぴゅーと鳴って伸び、空気を止めると縮む縁日のおもちゃみたいだ。
 ちなみに“電打エレキトリック”は俺のところまで電流がこない。便利ーっ。


 三十回ぐらいそんなやりとりをすると、歯抜け男はよい子ちゃんになった。


「マナーが悪いとおしおきよ」
「しゅみましぇん」
「いい子ね」
「はいぃ。ぼくちんいい子」
「盗賊団のアジトはここじゃないわよね?」
「うん」
「どこにあるの?」
「それは言えましぇん」
「あらぁ? 私とお頭、どっちが好きなのぉ?」
「エ、エ、エリィちゃんでふ!」
「じゃあ答えられるわね?」
「………」
「またバチバチがいいの…?」
「あ、あの! 街の西にある『ギャラン・DO』というバーの地下にあるのですぅ! ぼくちんのコインを持っていけば入れましゅ! マスターにダービィの使いだと言ってくだしゃい!」

 歯抜けよい子ちゃんはうつぶせのまま、いそいそとポケットから銀色のコインを出した。そして詳しい行き方を教えてくれる。

「いい子ね。ありがとう」
「はいぃ」
「あと手錠の鍵、持ってる?」
「お頭が持ってましゅ」
「お頭はどこにいるの?」
「アジトにいましゅ」
「他の団員は?」
「どこかを襲ってましゅ」
「お頭の得意魔法は?」
「上位の炎でしゅ。炎矢フレアアローがしゅごいでしゅ」
「へえー優秀なのね。他に上位魔法が使える団員は」
「いないでしゅ」
「わかったわ。最後に私からお願いがあるんだけどいいかしら?」
「うん」
「デブでブスの女の子を見ても絶対ブスデブって言っちゃダメよ。優しくしてあげてね。わかった?」
「わかった!」
「いい子ね。じゃあおやすみなさい」
「おやすみ!」
電打エレキトリック!!!」

 バチバチバチ―――
 よい子ちゃんは幸せそうな表情で意識を手放した。


   ○


 俺は隠れ家にあった目出し帽をかぶってロープとマントでアリアナを背中にしっかりと固定し、さらにその上から黒いマントを羽織った。これで両手が動かせる。なぜか目出し帽には頭のところに猫耳が付いていた。人族ではない、というカモフラージュなのだろうか。
 目と口しか出ていない猫耳目出し帽、黒いマント。背中に子どものようなアリアナ。怪しさがやばい。

 俺たちは隠れ家を出た。

「さあ、おしおきの時間よ!」

 依然としてテンションが下がらない。あの強壮剤のせいか?
 随分と高そうだったが…。
 まあいいっしょ! 細かいことは全部終わらせてからかんがえよ!
 そんなことよりおしおきや!

 街はたいへんな騒ぎになっていた。
 人々は泣き叫びながら、大きな荷台や馬車で街の西側を目指している。時々、防衛線を越えて街に入ってきた魔物が誰かを襲い、そのたびに対抗する攻撃魔法の光が瞬く。

「おしおき! おしおき!」

 しかも雷雨だ。そこかしこで雷鳴が響き、街のどこかに稲妻が落ちる。避難する人々で渋滞になっている通りから女性の悲鳴が響く。雷に驚くのはどこの世界でも女性だ。
 でも俺の気分は最高潮。ウキウキが止まらない。心、踊るッ!

 途中、襲ってくる魔物は“落雷サンダーボルト”で撃退する。
 威力は抜群。すべて一撃だ。

「悪い子はおしおきよ!」

 俺は群衆をすり抜け、街の西側を目指す。
 路地を通り『かっこうのさえずり』という道具屋を曲がってさらに進む。途中で右、左、と何度か曲がり『蠱惑宿場』と書かれた宿屋の看板が見えたのでその先三つ目の路地で止まった。

 雨でマントがびしょ濡れだ。
 でも俺はテンションが高いおかげであまり気にならない。
 むしろ雨が気持ちいいぐらいだ。

「アリアナ、大丈夫?」
「ん……平気…」
癒発光キュアライト
「ありがと……」
「ちょっと騒がしくなるわよ」
「ん…」

 もうすでに騒がしくしているが、まあいい。彼女が小さくうなずいたことを確認し、俺は『ギャラン・DO』と魔法のネオンが光る店の扉を開けた。

 カラン、と鈴が鳴る。

 西洋風の造りのバーだ。六人掛けのカウンターと二人掛けのテーブルが二つ。まさにアジトって感じだな。
 白シャツを着た初老のマスターらしき男がコップを拭きながら、じろりとこちらを見た。

「ダービィの使いよ」

 盗賊団はおしおきよ、と言いたい気持ちをぐっと堪えて、俺はそう言ってよい子ちゃんにもらったコインを出す。
 マスターは片方の眉を上げ、くるりと後ろを振り向き、そしてどこかのレバーを引いた。
 すると奥の壁にぽっかり穴が空いた。

 俺は無言で中に入っていく。
 簡素な扉が一枚あり、俺はゆっくり開けた。

 中にはお頭ペスカトーレが、部屋の奥でなにやら書類にペンを走らせている。他には誰もいない。

 ふっふっふっふっふ。
 はーっはっはっはっは!
 団長がアジトに一人とはなんてバカなんだ!
 残念だったな! 俺がこらしめちゃうよーん。

 俺ってば本当にストレスマックスだったんだな。こんなにずぶ濡れで尻からしか魔法が出ないのに、このテンション!
 小さな声で背中のアリアナが「やっちゃえエリィ」と呟く。
 おうともやっちゃうよ!
 エリィアンド小橋川アンドアリアナ参上ッ!

「遅かったな。あのぽっちゃり領主は金を渡したか?」

 そう言ってペスカトーレはこっちを見て、ぎょっとした顔になった。
 こちら猫耳目出し帽に黒マント、背中にはアリアナだ。

「お前は、誰だ…?」
「ダービィの使いよ」
「その声、まさか!」

 素早い動きで机の上にあった杖をペスカトーレが取る。

「ファイアボ――」
電衝撃インパルス!!」

 ペスカトーレよりも早く俺は一回転して尻を突き出し“電衝撃インパルス”を遠慮なくぶっ放した。しかも両頬に人差し指をあてがうという可愛いポーズのおまけつき。もってけ泥棒ッ。今夜は大盤振る舞いだッ!

「あぎゃあああああああっ!」

 お頭ペスカトーレは整っている顔を見るも無惨にゆがめ、魔法の勢いでずっこけて京都の大文字焼きみたいに、大の字にうつぶせでぶっ倒れた。

 俺はそっと、そう、それこそ赤ちゃんをベビーベッドに寝かせるように、やさしく、愛おしく、ペスカトーレの背中に足を揃えて座った。

「うぐっ………き、貴様……どうやってここに…」
「貴様?」
「アガガガババババアアッッッバアアババババ!」

電打エレキトリック”!
 ペスカトーレに、電流、走るッ。

「言葉遣いの悪い子はおしおきよ?」
「おまえ………こんなことをして……ぐっ………ただで済むと思うなよ…」
「おまえ?」

 さらに“電打エレキトリック”!
 スタンガンのような刺す痛みの電流が駆け抜ける。

「ギィヤアアアアアッガガガガババババババッバ!」
「あなたに聞きたいことがあるの」
「俺は………『ペスカトーレ盗賊団』の………団長だ!」
「知ってるわよ」
「俺はな…………上位魔法の……炎を……使える!」
「よい子ちゃんから聞いたわ」
「お、お、俺は………お前のような……デブに……」
「デブ?」

 電打エレキトリック

「アバババババッッバババババババアビバッッ!」
「悪い子はおしおきよ」
「て……てめえ……どんな魔法を………使ってやが…」

 電打エレキトリック

「ガラバラアババババババババッバアビバッッッヒッ!」


 と、俺とお頭はそんなやりとりを百回ほど繰り返した。
 なんということでしょう。まるで子どものような、よい子のお頭ができあがったじゃないか。うんうん、やっぱり世の中はよい子で溢れていたほうがいいな。素晴らしい! エロ写真家ならきっとこう言うな。「エェェェクセレント!」と。


「聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
「うん」
「腕輪の鍵はどこ」
「ぼくのポッケに入ってるよ」

 いそいそとよい子のペスカトーレは大文字焼きのポーズのままポケットから鍵を取り出す。
 俺は右腕、左腕、右足、左足、とすべての魔力妨害の腕輪をはずし、その辺に転がした。ようやく俺は解放された。試しに魔力を循環させる。すると全身に熱い魔力が駆け巡る。
 これこれ! やっぱりこの感覚だよな!

「ありがとう。まだ聞くけどいいかしら?」
「うん」
「あなたたちはいつもグレイフナーで人攫いをしていたの?」
「そうだよ」
「ふぅん………まさかとは思うけど…孤児院を襲ったりしてないわよね」
「襲ったよ」

 なんだと……?
 孤児院を、襲った……?
 こいつらが……あの………?

「ぬわんですってええええええええええええ」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ! ごめんなさいごめんなさいエリィちゃん! ごめんなさい! ぼくはただ命令されてやっただけなんだよぅ!」
「それでもやったんでしょう!」
「はいぃ! やりました! もう二度とやらないよぅ!」
「嘘おっしゃい!」
「うそつかないよぅ! ぼくはいい子だよぅ!」
「だまらっしゃい!」
「ひぃぃぃぃ!」
「どこの孤児院なの!?」
「北側の孤児院と魔法学校に近い孤児院だよぅ!」
「魔法……学校に……ちかい……孤児院ですって?」

 間違いねえ。エリィの通っていた孤児院だ。
 俺はなんとかして怒り狂う自分の精神を抑えつける。妙にテンションの高い今の状態でそれは相当に難しかった。だが頑張った。鉄の精神で“落雷サンダーボルト”を我慢した。

「誰にやれって言われたのッ!!」
「ここの領主だよぅ!!」
「ポチャ夫ね?!」
「ポチャ夫だよぅ!」
「わかったわ。あとはあの人に聞くわね…」
「うん!」
「ちなみに子ども達はどこにいったの?」
「知らないよぅ」
「本当に?」
「ほんとうに」
「ほ・ん・と・う・に?」
「嘘じゃないよ本当だよぅ! ぼくは知らないよ!」

 ふん。
 どうやら子ども達がどこに行ったかは知らないようだ。
 武の王国グレイフナーから人をさらう芸当ができる奴らがごろごろいるはずがないのでまさかとは思っていたが……こいつらが子どもをね………許せん!
 悪い子にはおしおきだッ!!

「盗賊団は何人いるの?」
「三百人だよぅ」
「…すごいわね」
「えへへ」
「褒めてないわよ!」
「ごごごごめんなさいエリィちゃん!」
「あなたもコイン持ってるんでしょ? ダービィが持っていたやつ。あたしに
ちょうだい」
「え…………………それは………………」
「いーやーなーのぉー?」
「そ、そんなことないよ! いいよ! うん!」

 いい子のペスカトーレはあせあせとポケットから金色に光る高価そうなコインを出した。一目で最高級品だとわかる、精緻なデザインだ。

「それはぼくの団長の証なんだけど………返してくれる?」
「ダメよ。今日から私が団長ね」
「えええええっ?!」
「名前は『エリィちゃんボランティア団』よ。街の困っている人を助けるの。ゴミ拾いとか猫探しとかお掃除とか。いいでしょ~」
「そ、そ、そんなぁ………」
「……なぁに? 嫌なの?」
「いやじゃない! いやじゃないよ!!」
「よしよしいい子ね」
「うん!」
「でもちゃんと罪は償わなくちゃいけないわね。これから警邏隊のお世話になって、しっかり刑期を終えてから仕事をするのよ」
「わかった!」
「あと私からお願いがあるんだけどいいかしら」
「うん!」
「デブでブスの女の子を見てもバカにしちゃダメよ。優しくしてあげてね。わかった?」
「わかった!」
「いい子ね。じゃあおやすみなさい」
「おやすみエリィちゃん!」
電打エレキトリック!!!!」

 バチバチバチ――
 あたたかい毛布にくるまれて眠る子どものように、気持ちよさそうにペスカトーレは気絶した。きっと夢を見ていることだろう。幸せで、楽しい夢をね…。


   ○


「おしおき! おしおき!」

 俄然テンションマックスな俺。
 このほとばしる熱いパルスが稲妻になってトクトールの街に鳴り響く。

 途中、避難する人を襲っている不逞な輩はしっかりとおしおきをした。
 その数、二十数名。内、『ペスカトーレ盗賊団』……もとい『エリィちゃんボランティア団』は十九名。まったくもってしょうがない団員だ。みんなすぐよい子になったけどな。

 街の警邏隊に、隠れ家、アジトの位置を伝え、不逞な輩の逮捕もお願いする。警邏隊の人数は相当に少ないがすぐに対応してくれるとのこと。仕事熱心な人を見ると応援したくなるな。俺のことを見て、やたらぺこぺこお辞儀をしていたのはなんでだろう。
 ま、細かいことはいい!

「悪い子はおしおき!」

 ついに親玉の本拠地、ポチャインスキーの屋敷に到着した。
 なかなかに豪華な屋敷だ。高さ五メートルほどある鉄柵が敷地を守るようにして覆い、白壁に赤い屋根がなんともお洒落だ。

 俺は濡れた猫耳目出し帽を脱いで、水が抜けるようにしっかりしぼってかぶり直す。

 正面玄関には護衛らしき甲冑の男が二人立っていた。

電衝撃インパルス!」
「あぎゃあ!」
「ひぎゃあ!」

 もはや躊躇などしない。
広範囲にまき散らされる放射状の電流に巻き込まれ、あっという間に護衛二人が失神した。

「アリアナいくわよ」
「やっちゃおうエリィ…」
「その前に“癒発光キュアライト”」
「ありがと…」
「辛くなったらすぐ言うのよ」
「わかった…」

 “癒発光キュアライト”をちょくちょく唱えてあげているのでアリアナの容態は問題なさそうだ。それに、彼女もおしおきを望んでいる。

 屋敷に入り、その辺にいたメイドを捕まえてポチャ夫の部屋まで案内してもらう。彼女のほんの一メートル横に“落雷サンダーボルト”を落としたら、ちゃんと言うことを聞いてくれた。うんうん、教育が行き届いているじゃあないか!

「こちらです…」
「ありがとう。お願いがあるんだけどいいかしら」
「なな、なんなりとお申し付け下さひッ!」
「この屋敷は非常に危険だわ。すぐに使用人全員で避難してちょうだい」
「危険?!」
「大きな雷が落ちるのよ」

 うそぶいて、タイミングよく俺は五メートルぐらい先に“落雷サンダーボルト”を落とした。ガラスと共に、屋敷の壁が木っ端微塵になる。メイドは転がるようにして廊下を駆けていった。いい走りっぷり! 君のあだ名は今日からスプリンターだ!

 俺は親指を立ててから、ポチャ夫の書斎へと続くドアノブをひねった。ガチャリ、と音がして扉が手前に開かれる。
 高級そうな赤絨毯が敷き詰められ、巨大な本棚に様々な書籍が置かれた、だだっ広い部屋が広がっていた。

 正面の机にポチャ夫がおり、奴は一心不乱に本をめくっている。
 ふっふっふっふっふ。
 はーっはっはっはっは!
 屋敷の主が一人で―――以下略ッ!

「遅かったではないか! エリィちゅわんを連れてきたか?!」
「ええ、ここにいるわ」
「その声は!!」

 ポチャ夫が読んでいた本を放り投げて机をぐるりと回り込み俺のほうへと近づいてくる。
 そして不思議そうな顔をした。

「どうしてそんな格好を?」
「悪い子におしおきするためよ」
「魔力妨害の腕輪が、ないっ?!」

 ポチャ夫は思ったより素早い動きで袖口に仕込んであった杖に手を伸ばし、振りかぶった。

「我の声を聞き水の精霊よ収束せよ。ウォーターウォ――」
電衝撃インパルス!!」

 あくびが出そうなぐらい遅い詠唱付き魔法より速く、俺はたっぷり三回転して“電衝撃インパルス”を気持ちよくぶっ放した。しかも右手でピースを作り、くるっと回して右目の横に当ててウインクするおまけ付き。もってけ泥棒ッ。今夜は大盤振る舞い赤字大安売りだッ!


 ギャギャギャギャバリィ!


「うぎゃあああああああああああああああ!」

 ポチャ夫が突然の電流で痙攣し、倒れそうになる。
 俺はすぐさま右の人差し指をくいっと動かした。

「ウインドストーム!」

 下から上へと吹き上がる竜巻状の強風に巻き込まれ、ポチャ夫は時計回りに回転しながら天井に突き刺さる。
 パラパラと木片が落ち、重力に逆らえず、ポチャ夫の体が自由落下する。

 俺は絨毯を蹴って前方に突進し、右手に“電打エレキトリック”をまとわせ、落ちてきたポチャ夫の腹を殴り飛ばした。

「エリィちゃんパーンチ!」
「へぼおおおおおおおっ!」

 秘密特訓場で試したパンチはとんでもない威力だ。
ポチャ夫が後ろへ吹っ飛び、仕事机にぶつかって、その勢いで机のへりに身体が埋まり、壁にぶつかると机が爆散した。
 あへあへ言いながら、ポチャ夫は前のめりにぶっ倒れた。
 間違えて踏みつぶしてしまった蟻んこのように、ぴくぴくと動いている。

癒発光キュアライト

 なんだか死んじゃいそうだったので割と強めにポチャ夫を回復し、俺は……そう、子守歌を歌いながら愛しの我が子を撫でる母親ように、優雅にも見える動きで、愛と慈しみを持ってポチャ夫の背中にそっと腰を下ろした。

「うごっ………あれっ…………我が輩は何を?」
「おしおきされたのよ」
「ああ…………天使の声が聞こえる……」
「今までいっぱい悪いことしてきたでしょう?」
「我が輩は……悪いことなど………何一つして……ないッ」

 電打エレキトリック
 ポチャ夫に突き刺さるような電流が走る。
 悲痛な叫び声。


 たっぷりと電流を味合わせると、ものの五分でよい子が完成した。


「例えばどんなことしたの?」
「ぜぜ、税金を無理矢理……引き上げましゅた」
「それから?」
「強引に立ち退きさせて一家離散させたのでしゅ」
「それから」
「女、子どもを誘拐させまひゅた」
「それで?」
「ぼくの……好きなようにしたんだよぉ」
「その子達はどこに?」
「気に入った女の子は隣の部屋。あと小さい子は砂漠の国サンディに売りましゅた」

 俺はちらっと隣の部屋へと続く扉を見た。

「サンディのどこに売ったの?」
「特殊な工作員を養成しているところ」
「グレイフナーの孤児院の子どもは」
「全部サンディ。ぼくも頼まれただけでしゅ」
「誰に頼まれたの?」
「有名な貴族」
「なんて名前?」
「わからないよ」
「教えなさい。い・ま・す・ぐ!」
「ひぃぃぃ! わかったよエリィちゃん!!」

 ポチャ夫は立ち上がって粉々になった机をひっくり返し、一枚の手紙を差し出した。十字に落ち葉のようなマークが入った印が押してある。
 俺はポケットにしまい込んだ。大事な手がかりなのであとで調べよう。

「工作員を養成している場所はどこ?」
「ぼくにはわからないよ」
「本当に?」
「うん」
「本当の本当に?」
「うん!」
「ほ・ん・と・う・に?」
「ほんとだよエリィちゃん! ぼくは嘘付いたりしないよ!」
「うそおっしゃい!」
「あひぃーーーー! ごめんなしゃい! でも本当だよぅ!」
「分かったならいいわ。じゃあ隣の部屋に案内してね」
「うん!」

 そのあと隣の部屋で捉えられていたぽっちゃり系の女の子五名を解放し、ポチャ夫に見舞金として一人に百万ロンと清潔な洋服を準備させた。女の子らには何かあったらグレイフナー王国のコバシガワ商会を尋ねるように、と伝えて屋敷から脱出してもらう。
 ついでに俺も首から下げる巾着袋に金貨を三十枚ほど入れた。帰宅用の資金だ。

 俺とアリアナ、ポチャ夫は屋敷の外へ出た。
 雨はまだやみそうもなく、雷が轟く。
 屋敷に人がいないことはしっかりと確認してきた。

「ではポチャ夫さん。冥途のみやげにいいことを教えてあげるわ」
「メイドのモミアゲ?」
「冥途のみやげよ! み・や・げッ!」
「はいはい! おみやげほしいでしゅ!」
「こほん。デブでブスの女の子に優しくすると幸せになれるのよ。知ってた?」
「知りませんでしゅた!」
「いいことを知ったわね!」
「うん! エリィちゃんありがとう!」
「じゃあおやすみなさい」
「おやすみッ!」
「いい夢を」
「うん!」
電打エレキトリック!!!!」

 バチバチバチバチ――
 ポチャ夫は、二日徹夜してベッドに飛び込み、泥のように眠る期末テスト明けの学生みたいに穏やかな顔で眠りについた。大丈夫。すぐに誰かが君を見つけてくれるさ…。

 そして俺は最後に、エイミーに使用、というか試すことすら禁止されていた新魔法“雷雨サンダーストーム”を唱えようと意識を集中させた。自分の目に見えている範囲に“落雷サンダーボルト”を落としまくるという広範囲殲滅魔法だ。

 心の中で強く魔法名を念じ、魔力をこれでもかと練り上げる。
 まだだ…
 もうちょっと練る……
 よし。いくぞ。いけーーーーっ!

 くるっと一回転して両手でピースを作り、両目に添えて頬をふくらませるという可愛いポーズのおまけつき。もってけ泥棒ッ。こんなにサービスするのは今日だけなんだぜッ!


「“雷雨サンダーストーム”!!!!!!!!!!!!!!」


 風船の空気が抜けるように魔力が一気に消費される。
一拍おいて、ゴロゴロゴロと雷雲が轟いた。
 失敗か!?
と思った瞬間、目の前が閃光で埋め尽くされ、ポチャ夫の屋敷が光で見えなくなった。


 ガリガリガガガガガバババッババリバリバリバリバリバリバリィ!!
 ピッシャアアアアアン!
 ズドーンズグワーン
 キャーーーッ!!
 ヒヒーン
 ドンガラガッシャーン
 ヒーホーヒーホー、ヒッ…
 ブシュワーーーーッ


 数え切れないほどの稲妻が右へ左と入り乱れ、圧倒的なエネルギーで屋敷を破壊し、地面をえぐり、空気を切り裂き、粉微塵になった破片にも容赦なく降り注ぐ。あまりの雷鳴にそこかしこから女の悲鳴が聞こえ、馬が転倒し、物が大量に倒れ、臆病者のヒーホー鳥が呼吸困難でヒーホーヒーホー鳴きながらついには失神し、ポチャ夫の屋敷があった場所から、温泉が噴き出た。


 屋敷は灰燼と化し、穴だらけの更地になった。


「おしおき完了!」
「やったねエリィ…!」
「ええッ!」



 これにて一件落着ッ。



 その後、自由国境の街『トクトール』は雷雨と魔物の大量発生で未曾有の危機に陥ったが、温泉街として奇跡的な復興を遂げる。背景には、見た目が盗賊団のようだが純朴な男たちが無償で働いてくれたことが大きいとのことで、彼らは自分たちのことを『エリィちゃんボランティア団』と呼称し、今では街の名物になっている。街の五分の一の住民が団員になるほど人気のボランティア団体だ。

 彼らに聞いても名前の由来は憶えていないそうだ。悪い子にはおしおきがある、と常々言っており、雷雨の日はひどくおびえた様子になるらしい。そして彼らは不思議なことに、太っている女の子やブスとからかわれている女の子に異常なほど優しく、女性から非常に評判が良かった。

 また、トクトールの街では子どもを叱るとき、必ず「黒い猫耳のカミナリ様がおしおきをしにくるわよッ」と言うようになったそうだ。災害の日に、子どもを背負ったカミナリ様の目撃情報が多々上がったことから、こういった逸話が生まれたらしい。



   ○



 俺とアリアナは避難している屈強そうな冒険者の兄ちゃんにお願いし、馬車に乗せてもらった。さらに魔法で服を乾かしてもらい、ホッとすると、疲れが一気に出てきて、興奮状態が徐々に冷めてくる。


 そして気づいた。


 んんんんあああああっ!
 恥ずかしいッ!


 俺はなんてことをしちまったんだ。
 あんな恥ずかしいポーズを何度も取り、おしおきだ、とか言って街中で落雷魔法をぶっ放しまくった。穴があるなら入りたい。恥ずかしい、恥ずかしい、きっとあのマンドラゴラ強壮剤のせいだ!
 誰だあれを俺に飲ませた奴は!


 俺だッ!!!!!


 冒険者の兄ちゃんに聞いたら『リアルマンドラゴラ濃縮強壮剤』だろうと予想され、薬は一本五百万ロンほどする代物らしい。興奮作用と引き替えに、魔力を限界値まで引き出す魔薬なのだそうだ。


 俺は心に誓った。
 もうあの薬は絶対に飲まないと――


「エリィのポーズ、可愛かった……」


 アリアナやめてくれぇぇぇ!
 俺の傷をぐりぐり抉らないでくれぇぇぇ!


「私にもあとで教えてね…」


 やめてくれええええ!
 それ以上言われると引きこもるわよッ!!!


「おしおきッ……めっ」


 アリアナが寝っ転がったまま、指を頬に当てた。
 かわいいッ!
 彼女の体調が悪くてもこの破壊力……これは………。


 そんなこんな言っていると急激な睡魔がやってきた。今日は一日中気持ちを張り詰めていたからなぁ。
 俺たちは疲労ですぐ眠ってしまった。


 馬車はごとごと揺れながら安全地帯へと移動していた。
エリィ 身長160㎝・体重84㎏(±0kg)
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