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カジヤノキヤクビト 作者:No.

工房日誌 2017.9~

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9月30日晴れ 『作者1名』

「新しいの、入ったぞー」

 秋の日差しが心地よい昼頃、カルラが店の前でそう言った。誰も立ち止まらないことを確認してから振り返ると、そこには月末の珍客が、同然のように居座っている。

「もう、夏の面影が無くなりましたね~」
「そうだな。そして、てめぇは一向にコラボ企画とやらを進めてねぇんだな」
「も、申し訳ないとは……思っているのですよ……?」

 "作者"No.は、何処かの店で買ったのであろう串団子を頬張りながらたじろぐ。危機感のないその様子に業を煮やし、カルラは頭を掻きながらなげやり尋ねた。

「だいたい、作品読んで書くだけだろ? 何がそんなに時間が掛かるんだ?」

 No.は串団子を、湯のみ茶碗に注がれた緑茶で流し込むと、一息ついてから口を開く。

「私は小説家志望なので、読む時間よりも書く時間の方が長いのです。それに読むのだって、特徴が有るキャラクターに焦点を当てるので、基本的に主人公は扱えません。よって、選別に時間が掛かります」

 実際、そうなのかもしれないが、しかし思う。

「適当にやれば良いんじゃね?」
「無責任!」

 約束を果たさずに、時間だけを無為に過ごしている人には言われたくないものだ。とりあえず、何かひとつは進めるべきだろう。
 No.は食べ終えた串を袋にしまい、そっと軒先から立ち上がる。

「とまあ、今月の報告としては、急激なスランプに襲われたことでしょうかね」
「下手が下手になったのか。それは大変だな」
「事実ではありますが、ちょっと黙っていてください、泣いてしまいます」

 本気で泣かれそうなので、黙るカルラ。それを確認したNo.はコホンと咳払いをしてから続ける。

「なるべくストレスを溜めないのと、皆さんの暖かいお言葉のお陰で、なんとか無事立ち直ることが出来ました。有り難く存じます!」

 誰に言っているのか、No.は嬉しそうにそう言っている。あまりにも普通の回答が気に入らないカルラは、腰につけた鎚を手に取り、No.に向けて構えた。

「今後のために、一応気合いを入れておくか? 歯、食いしばれ」
「……私、そんな体育会系の治療は信じてません。イタイノ、ダメ、マジカンベン」
「なんで片言なんだよ?」

 動揺するNo.は、ただでさえ小さい体を、さらに小さく縮ませて震えていた。そんな状態でも会話は続けるようで、次の話題へと移される。

「あ、あと今月は、レビューをふたつも頂いたのです! とても素敵な文章、有り難く存じます!」

 毎月のようにお礼を言って、言い続けるだけのNo.に、カルラは小さく呟いた。

「……お前、貰ってばかりだな」
「自分でも分かっているので、何も言わないでください。お願いします」

 そう言ってから、何かの限界を越えたのか、なげやりにNo.は喚きだした。

「いつか全員分書くもんっ! だから大丈夫なんだもんっ!」
「うるせぇ」
「はい」

 一瞬で鎮圧されるNo.は、ふと何かに気がついたようで、周囲を見回してから首を傾げる。

「ところで、今日の癒しは?」
「いや、おやつみたいに言うんじゃねぇよ。……あいつらは、いま出掛けてる。クリョクの服の素材を買いにいったから、暫く戻らねぇ」

 普段ならそこで、文句の一つや二つ言うところなのだが、今日はやけに静かに、その場に収まっている。
 カルラは訝しそうに、店の端に座り込むNo.を眺めた。

「今日は随分、落ち着いて………………いや、気絶してるな。ストレスに弱すぎんだろ……」

 こんな9月が終わります。今月も、有り難く存じます。
No.(?)
備考……
私生活と、趣味を両立させることは難しいですね。特に、夢を見るというのは理解されないので、あまりにも不自由。ともかく、今月もまた、御読了、有り難く存じます。
今日が良い日になりますように……。
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