挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
カジヤノキヤクビト 作者:No.

工房日誌 2017.9~

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

261/338

9月4日曇り 『戦隊1名』

「新しいの、入ったぞー」
「悪は絶対許さないっ! 五人で正義を守る人! 『善人戦隊カジレンジャーレッド』!!」

 風変わりな赤い服を着た女性がポーズを決めると、ドカンと背後で当然のように爆発が生じる。どこかの世界に存在しそうなヒーローを思わせる赤い格好をした人物を前に、カルラは気まずそうに口を開いた。

「いや、まあ、言いたいことは色々とあるんだが、とりあえず……」

 周囲を二、三度注意深く確認してから、やはり変わらない事実を述べる。

「どう見ても一人だよな?」
「はい」

 すでに言われなれてしまっているのか、レッドは動揺することなく、真っ直ぐにカルラの目を見て頷いた。

「今回、私はただのおつかいです。リーダーとして、全員分の武器を揃えてくるように言われています」
「いや、ただの使い走りじゃあねぇか」

 カルラにそう言われると、レッドは赤いスカーフを風に揺らしながら、哀愁を漂わせる声色で小さく呟いた。

「リーダーなんて、そんなものですよ……」

 なんか言ってる。
 奇妙なヒーローの扱いに困っていると、店の奥から足音が近づいてくる。カルラが振り返ると、そこには白く小さな少女が立っていた。

 カルラの弟子であるシュラ、通りに残された焦げ跡を視認してから尋ねる。

「あの、カルラさん、先ほど大きな爆発が聞こえたのですが、何をしたのですか?」
「何で俺が原因だと思ったのか、聞いていいか?」
「え、聞く必要があるのですか……?」

 在るはずが無いのだけれど、多少は信じて欲しいというのは、やはり無理なのだろうか。
 カルラは内心で肩を落とし、目の前に立つ、一見普通ではない女性を指差す。

「さっきの爆発は、こいつのものだ」

 そう説明されたレッドは、小さく頭を垂れて謝罪の言葉を口にした。

「すみません。登場すると、何故か爆発する仕様でして」
「何ですか、その怖い仕様……」

 確かに怖いが、うちの品も大体そんな感じだから強くは言えない。
 レッドは何処かの楽しげに、世間話でもするかのように微笑んだ。

「五人揃うと、それはもう、大きな爆発が起きるので、大抵開けた土地で戦います」
「あれ? 今はどうして一人なのですか?」

 再び、爆発でも起こりそうな地雷に触れたため、レッドの表情は、時間が凍りついたかのように固まる。
 そして、レッドは視線を落として、低い声で答えた。

「リーダーとして、個人の自由を尊重した結果です」
「いや、ただ面倒なだけだろ。嘘ついてんじゃねぇよ」

 カルラがそう言った途端、レッドは両手を地面について崩れ落ち、大粒の涙を流して悲しみを吐き出した。

「だって皆、私を置いて何処か行っちゃうし、知らない所で問題起こすし、いつの間にかブルーとピンク、イエローとグリーンが付き合ってるし、独り身に優しくないしぃ」

 ヒーローの癖に、売れ残った女性社員みたいな愚痴を溢している。誰か、ブラックとか、その辺が貰ってやればいいのに。
 カルラは周囲の視線を気にしながら、そっとレッドに告げた。

「やめろ、夢が壊れるじゃねぇか」
「カルラさん、無理を言わないであげてください」

 ヒーローにも事情がある世界。
レッド(26)
所属……善人戦隊カジレンジャー
備考……超人によって編成された特殊部隊の隊員。魔界からの怪物と隠密に戦うことを目的としている。中でも最年長のレッドは強く、五人全員の技が使えてしまう独り身仕様だったりする。

戦隊スーツ
……とても丈夫で、通常の攻撃で傷が付くこともない服。自己再生もする不思議な衣服は変身することで強度をさらに増すことが出来る。その際、背後で何故か爆発が発生する。
その昔、カルラが作ったものであるが、当人は忘れている。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ