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カジヤノキヤクビト 作者:No.

工房日誌 2017.8~

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8月29日曇り 『&'@*1名』

「新しいの、入ったぞー」

 カルラは川で組んできた水を煮沸して、飲み水を作り出す。辺りも暗くなり始めた頃、カルラは頭を抱え、自分達が陥った事実を認識した。

「……しかし、やられたなぁ。なんて技だ? 俺が全く認識できないなんて」
「拙者も、まったく分からぬでありまする! きっと高度な魔法かと」

 川に足を入れて遊ぶ、妖刀クリョクは同調して深く頷いている。何故、こんなところでキャンプを起こさねばならないのか、カルラは深く溜め息を吐く。

「いえ、単に迷っただけですからねっ!?」

 現実逃避するカルラ達の言葉を、弟子の少女は強く否定した。それに大してカルラは、王宮で貰った紙切れを取り出す。

「迷った? 馬鹿言うんじゃねぇよ。こんな分かりやすい地図もらっておいて、迷うわけがねぇだろ」
「主、それ上下逆さまでありまする」

 クリョクに諭され、南が上になっている地図を見るカルラは、そっとそれを鞄にしまう。

「……仕方ねぇな。今日はここで野宿になりそうだ」
「何事も無かったかのように続けないでください。あと、ここで野宿はダメですよ?」

 弟子は周囲を見回してからそう言った。そわそわと、不安を感じている様子で落ち着いていない彼女に、カルラは首を傾げる。

「どうして?」

 そう尋ねられると、彼女は言いづらそうに唇を数回開いてからようやく理由を述べた。

「……だって、この辺りは、幽霊が出ると聞きますから、その……怖いです」

 頬を赤くして、まるで子供のように震えている。
 カルラは、川から戻ってきたクリョクに向かって、囁くような小さな声で相談を始めた。

「なんか、いつになく素直で怖い」
「きっと思うところがあるのでありまするよ。シュラ殿は日々進歩しているのだから」
「いや、よく分からない進み方されてもなぁ」

 カルラは戸惑いながらも立ち上がり、小さく震える少女の頭を撫でた。

「大体、幽霊なんざ居ねぇだろ。居ても、物理で攻撃すればなんとかなるって、騎士団の研修で言ってた」
「どんな研修ですか……」

 安心したのか震えも止まり、頬は赤く照れている。そして、その手を両手で持ち上げ、少し膨らんだ胸元まで持っていく少女は、上目遣いで願う。

「ともかく、ここは幽霊が出るのでダメ――――」
「カルラさん、申し訳ありません! 何故か、道に迷ってしまって……」

 林の中から、白く長い髪を揺らしながら、シュラが疲れた様子で現れて、すでに居る自分の姿を認識する。
 自分よりも少しだけ積極的に行動している自分に、シュラは戸惑っていた。

「「ふぇ?」」

 二つの声が、夜に聞こえる。
シュラ・トンプソン(偽)
名称……奥の自分
備考……旅をしていると仲間とはぐれ、ようやく見つけたかと思えば自分が楽しそうに話し込んでいる。そんな怪談。
本物の胸は、僅かにも膨らんでいません。
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