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カジヤノキヤクビト 作者:No.

工房日誌 2017.7~

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7月17日曇り 『廃墟にて』

「新しい明かり、点けてくれ」
「はい、でありまするっ!」

鍛冶屋の一行は、自然に侵食された街の中を歩いていた。大きな荷物を担ぐ二人の横で、シュラはカルラの昔話を思い返す。

「……つまり、そのような事があったので、カルラさんは魔獣を倒したいと思ったのですね?」

しみじみと、胸中を察してシュラが尋ねると、カルラは眉を上げ、理解出来ない様子で表情を固まらせた。

「え? いや、俺はお金が欲しいから、討伐隊に武器を高値で売り付けに来ただけだぞ? 戦いたくねぇ」
「では、何故そんな話をしたのですかっ!?」

自分の言葉が恥ずかしくなったのか、シュラは頬を染めてカルラに言う。すると、カルラは頭を掻いて、欠伸混じりに答える。

「そりゃ、お前らが話せって煩いからだろ? 俺の黒歴史を紐解いておいて勝手に怒るな、驚くじゃねぇか」
「いえ、むしろそんな歴史を持っているのに、関連性が無い方が驚きです……」

呆れたような、力の抜けた声でシュラは呟く。カルラの隣で、小さな体のクリョクが、興味ありげにカルラを見た、

「主は、そのお方を探しに行かなかったのでありまするか?」

その質問に、カルラは少し考えてから口を開く。

「探したに決まってんだろ? 国の秘匿書庫で名簿を見たが、毎年確認したが、名前が同じやつは見つからなかったんだよ」
「秘匿書庫の話でしたよね……?」

まさか、騎士が情報を盗み見ていた等とは、誰も思わなかっただろう。シュラが小さく溜め息をつく。
手頃な場所を探して歩きながら、カルラは話の続きを語った、

「ついでに魔獣も、そんときの討伐隊に倒されたみたいだから、俺が何かする因果もねぇし、むしろ、倒しちまったら仕事が無くなるだろうから、わざわざ倒さない方がいいんだよ。働きたくねぇ」
「カルラさん、本音が漏れています」

面倒だから仕方ない。
森も深くなってきたとき、クリョクは立ち止まり、カルラに向かって尋ねた。

「では主、目の前に魔獣が現れたら、どうするべきでありまするか?」
「そりゃ討伐隊のところまで誘導……」

そこまで言って、言葉に詰まった。クリョクの横には、不細工な顔をした鳥が数羽、顔を出していた。

『コンニチハ』
『オカネホシイ』
『ネムイ』
『ジカンタリナイ……』

最後のはともかく、いつかの鳥に似た小鳥が、元気そうに声を出していた。

「子供出来てやがるっ!」
「主のでありまるすか?」
「カルラさん……!?」
「俺は鳥類じゃねぇよっ!」

どうしてそう思ったのか。
カルラは鞄からロープを取り出し、二人に言った。

「よし、生け捕りにして賞金貰うぞ」
「カルラさん、誘導……」
『オカネホシイ』

言葉を代弁する鳥は鳴く。
言葉を代弁する鳥
……かつて街を襲った鳥の子供。あまり強くは無いが、大きくなることで有名。人間の声を真似るが、性格によって覚える種類は異なる。
ジカンタリナイ。
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