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カジヤノキヤクビト 作者:No.

工房日誌 2017.6~

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6月20日晴れ 『呉服屋にて』

「新しい服、買わなければいけないのですか?」
「まあ、アイツらの所とはいえ、そこそこの格好じゃなきゃ、潜入にならないからな」

 カルラ達三人は、潜入に必要な衣装を買い揃えるために、近隣にある大きめの街を訪れていた。経費で落とせるはずなのだが、シュラは何故か浮かない顔をしている。

「いえ、そういうことではなく……」

 それについて言及する前に、呉服屋の前にたどり着く。店の扉を開くと、モノクロを掛けた男が、訝しげな視線を向けてきた。

「おやおや、お客様。なんて最悪な格好をしているんでしょうか?」

 いつもの作務衣ではないが、それでも綺麗とは言い難いため、その反応も分からなくはないが、少しばかり失礼である。

「仕方ないだろ、仕事の合間に来てるんだからな。どんな客にでも笑顔で接しろ」
「カルラさんも、これからそうして下さいね?」

 何故かこちらに向けられる矛先を無視していると、モノクロの男はそれでも丁寧な物腰で尋ねた。

「それで、どのようなものをお探しで?」
「晩餐会に招かれたが、正装なんて持ってねぇ。それらしいものを適当に選んでくれ」
「かしこまりました」

 深々と頭を下げると、男は店の奥へと消えていく。数分待つと、男はいくつかの袋を抱えて戻ってきた。

「そうですねぇ~。お客様の体格なら、このサイズが妥当かと」
「そうだな、確かに大きさはピッタリだ。あとは、これが正装であればいい。……なんでピエロだ?」

 男が見せていたのは、原色が散りばめられた目立つ服だった。

「晩餐会に招かれたと聞きまして正装を……」
「誰が道化師の正装を頼んだ? 客として呼ばれたんだよ!」
「それなら初めから言えば……あ、お嬢さんのはこれで」
「なんで、それは正装なんだよ!?」

 シュラが受け取った服は、黒の飾りが少ないワンピースではあったが、確かに客の格好である。
 しかし、シュラは泣き出しそうな表情をしている。

「わ、私は子供ではありません……!?」
「うーん、申し訳ありません。そのサイズで大人物は、当店にはございませんので」

 シュラが渡された服は子供服だったらしく、やむを得ず、カルラ達は店を後にした。扉を開けると、クリョクが立っていて、暑さも見せない顔で笑っている。
 そして、こちらに気がつくと、なにかを思い出したように口を開く。

「そういえば主、優しいお姉さんから、荷物が届いていたでありまするよ?」
「はぁ? なんでまた……」
「【よろしく】と書かれていたでありまする」

 また変な契約を結んでしまったらしく、カルラは大きく溜め息をついた。
 ちなみに、サイズはピッタリだったそうな。
近隣の大きな街
……そこそこの規模で、カルラ達の街から日帰りで行ける位置にある。特産品はないが、様々な店が軒を連ねる商業都市。

エイルのプレゼント
……中身不明の箱が、時折鍛冶屋に届く。中身は毒であるときもあれば、たまに普通の贈り物であるときもある。開けるときは防毒マスクを推奨。
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