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カジヤノキヤクビト 作者:No.

工房日誌 2017.5~

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5月16日雨 『宿屋1名』

「新しいの、入ったぞー」

そう言って出た店の中には、すでに宿屋の息子であるタルトが立っていた。タルトはきょろきょろとカルラの後ろを見回してから、何気なくカルラに尋ねた。

「カルラ兄ちゃん、ニコ姉ちゃん居る?」
「ニコ? アイツは今は居ないが、何か用なのか? 色恋沙汰なら勘弁してくれよ、あまり良い思い出がねぇ」

ニコは外見的には可愛らしいと評判なため、騎士団に居た頃は、よく告白の仲介を引き受けることがあった。その度に、怨みを買うから嫌なのだ。

しかし、タルトは呆れた様子でかぶりを振った。

「違うよ。この前、うちでパンケーキを食べていったときに、忘れ物をしたみたいだから届けに来たんだよ」

甘いものを町の連中から貰っていると聞いたことは多々あるから驚きはしないが、飼い主としては複雑な心境だ。

「相変わらず、他人に迷惑を掛ける奴だな」
「それを兄ちゃんが言うの? 兄ちゃんが」
「二回言うな。盗賊に比べたら、俺は善良な方だろ」
「だから、盗賊より質が悪いけどね」

よく言われる。
タルトは少し考えてから、思い出したように尋ねた。

「そういえば、兄ちゃんはどんな女の子が好みなの?」
「胸があって身長が高くて色気があって、その上、優しくて賢くて家事が出来る奴なら、誰でも良いぞ」
「なにその、高スペックな誰でも。王様だって、そこまで高望みはしないでしょ」

そこまで希少だとは、世界はやはり狭いな。

「そういうお前はどうなんだよ。俺のことばかり聞きやがって」
「僕も大体同じだよ。でも、女の子は愛嬌がある方がいいな」
「愛嬌なんざ、大体見てくれだけだからな。人に好かれるためにやってんだ」
「そういうこと、分かっても黙っていてあげる器量が無いと、兄ちゃんは当分結婚出来ない」

やれやれと肩を竦めてから、タルトは思い出したようにカルラの方を見た。

「……兄ちゃんの好みってさ、外見以外ならシュラ姉ちゃんに合っていない?」
「そうか? だが、お子様と結婚なんかしな……い……」

そこまで言って、以前タルトが訪れたときのことを思い出す。ゆっくり振り替えると、そこには笑顔のシュラが立っていた。
あからさまな笑顔なのに、目だけは笑っていない。

「カルラさん、ご飯抜きです。あと経費も削減しますね」
「おい、あれは冗談だから、そんか怒るなよ……」
「申し訳有りません。私、お子様なので分かりません」

帳簿を抱えて、すたすたと奥に引き下がっていくシュラを、カルラが謝罪しながら追っていく。残されたタルトは、深くため息をつく。

「はぁ、学ばないなぁ。……ここに忘れ物、置いておくからね!」

そう言って、手紙をひとつ手近な台に置いていく。その手紙には、国王の封印が付いていた。
タルト・ローマン(8)
特技……空気を読む。
備考……物語の外では頻繁に訪れているが、なかなか出す機会がない。最初の月からいるのにね。
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