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カジヤノキヤクビト 作者:No.

工房日誌 2017.4~

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4月14日晴れ 『聖霊使い1名』

「新しいの、入ったぞー」
「ねぇねぇ何を売ってんの~?」

店を訪れた人物は、青く長い髪をなびかせて歩く、全身にいくつもの骨の飾りを付けた女の子だった。バンダナで隠してはいるが、額に僅かな突起が見てとれた。

「魔族か? 白昼堂々としている奴は珍しいな」
「鍛冶屋さんも珍しい人だね。普通、悪魔めぇ! て、言うところなのに」

そんな反応を予想していた割には、かなり明るく少女は言うと、カルラは大きく欠伸をしてから応えた。

「俺は無神論者だし、人種差別なんてしない主義だからな。俺に利益を出さない奴は嫌いだ」
「清々しいほど自己中だね」
「人間なんて、そんなもんだ。で、お前はどっちだ?」

カルラが尋ねると、少女は肩を揺らしなから笑い出す。そして、大袈裟にバク転宙返りを見せると、ポーズを決めて名乗りだした。

「私は聖霊魔導師ヤマト・クラシナ! 聖霊の導きに従って、旅をしてきた! お金は、無いっ!」

聖霊魔法というものは聞いたことがある。聖霊と契約して、契約の数だけ扱える魔法が増えるとか。
ま、そんなことはどうでもいい。

「金が無いなら要らね。さっさと帰りやがれ」
「ちょ、そんなこと言わないでよ! 魔法教えてあげるからさ!」
「要らねぇよ。利益が無いなら悪魔もおんなじだ!」

そんなことをしていると、二人の会話に気づいたシュラが扉を開けて出てくる。
そして、不思議そうな顔で、カルラに言った。

「あの、どうされましたか?」
「変な奴に絡まれた。金は持って無い」

適当にあしらおうとしているカルラに、ヤマトは掴みかかって大きな声で怒る。

「変なとは何さ! 私にはだって、特技があるんだよ!」
「ほう、どんなのだ?」
「聖霊魔法、妙技」

僅かに興味を示したカルラに、ヤマトは不適な笑みを浮かべて、神秘的っぽい動きを見せると、目を見開いて声を張り上げる。

「下着占いっ!」
「神かっ!?」
「聖霊魔法はそんなものではありません!」

流されそうになるカルラを、すかさずシュラが押さえる。しかし、ヤマトは虚言の気配もない無垢な目で二人を見比べている。

「でも出来るよ?」
「やってみろ。場合によったら恵んでやるからな?」

半信半疑のカルラが言うと、自信ありと言うように、ヤマトは胸を張って気合いを入れ始めた。
それに対して、魔法に詳しいシュラは呆れた様子で、反論しようと口を動かした。

「だから、聖霊魔法はそんなものではーーー」
「あの子のパンツ、ピンクのフリフリだよ。クマの刺繍が付いてるやつ」
「ーーー……ッ!」

ヤマトがシュラの腹部から少し下を指差してそう言うと、声にならない叫び声が聞こえてくる。湯気でも出せそうなほど真っ赤にして、シュラは見えるはずもない下着を隠す。

カルラは真面目そうな顔つきで、下らない魔法の使い方に文句を述べた。

「なるほど。で、どうやったら習得出来る?」

透視能力は便利だから。ほら、武器とか隠しているかもしれないときとか。
ヤマトは嬉しそうに頷いて、瞳を輝かせる。

「試練を受ければ、聖霊魔法の真髄に到達させてあげるよ!」
「魔法の真髄をそんなふうに解釈しないでください! というか、カルラさんは魔法出来ないではありませんか!」

そういや、そうだった。カルラが過去一番に、自分の才能に絶望していると、ヤマトは怪訝な顔で睨むシュラの方を見る。

「あー、そうなんだ~。じゃ、君は?」
「え?」

突然向けられた話に、目を丸くして固まる。

「好きな人の下着、見たくないの?」
「それは……」

ヤマトの質問に、シュラははっきりと答えられずに目を反らし、チラチラとカルラの方を見てくる。
何か思うところでもあるのだろうか。理解できないカルラは、そんなふうに思っていた。

脈ありと見たヤマトは立て続けに問い詰める。

「好きな人の、あんなところや、こんなところ、そんなところまで、見たくないの?」

徐々に距離を詰めるヤマトに追い込まれて、シュラは目があちこちに動かしながら、言葉にならない声を鳴らす。

「あの……その…………にゅふぁ……ーーー」

真っ赤に、顔どころか体全体を染めて、シュラは立ったまま気絶する。
これも魔法なのかと、カルラは気づかない。
ヤマト・クラシナ(57)
種族……蒼魔族
備考……聖霊魔法を研究して、ついに真髄にまで達した者。聖霊が持つ伝達意識に目をつけて、千里眼という高度な魔法を発明したのだが、本人は覗き以外に使ったことはない。
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