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ダ・カーポ

作者: ほみち




体にいいっていう、サプリメントを買いました。

一粒二粒含んだだけで、なんだか虚しくなりました。

いつも家の中に閉じこもってばかりの俺だから、

たぶんこんな錠剤よりも、わいわい友達と騒いだり、朝日を浴びたり、たまにコンビニのスイーツ食べたりするほうが、ずうっと体にいいんでしょう。


たまには外に出てみよう。



心が休まるっていう、絵画を買いました。

正確には、買わされました。

怖いお姉さんに囲まれて、サインするまで返してくれませんでした。

まったく、生きた心地がしませんでした。

この絵画を見るたびに、その時のことを思い出してしまいます。

家の中に居るのに 悲しいことに、ちっとも、安らげやしないのです。



そういえば、お金持ちになれるって言う壺も買いました。

そうです、これも買わされました。

怖いお兄さんまで出てきて、無理矢理サインさせられました。

貯金がすっからかんです。

一気に貧しくなりました。

みればみるほど、趣味の悪い壺です。



さっき、俺から電話がかかってきました。

「俺俺…あのさ、事故っちゃって…」

事故に遭って、大金が必要なんだそうだ。

多分 未来の俺からの忠告だろう。

明日からは、一歩も外に出ないで過ごそう。







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