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僕らの事情
作:松の慎


よく晴れた空。
だけど全然気持ちいいとは思えない。

あの空の色は・・・
大っ嫌いなあいつを思わせるから。

「詩緒、すっげぇな!またお前一番だってなー」
「らしいねー」
「うわっさらっと言いやがったな!」

竹内詩緒しお17歳。
生徒会長。

「おい流果ーお前まぁた先生に説教きらってたんだってー?」
「うっせぇな、別に良いだろー」
「今度はなにしでかしたんだよーw」

竹内流果るか17歳。
教師に目をつけられる問題児。

そう、2人は双子。

「なんでお前ら双子なんだー?ぜんっぜん似てねぇよ」

揃いも揃ってみんなこう言うんだ。
俺だって好きで双子やってるわけじゃない。

「「知るかっ」」

お互い、嫌いあってる仲だ。

あいつの全てが憎くてたまらない。

*********************************************

「あ、生徒会終わった?」
「うん。待っててくれたんだ」

幼馴染みの杏。

素直でかわいらしくてとってもいい子。

「流果今日も怒られてたねーw」
「ほんっとあいつはバカだからね」

どこをどう間違って一緒に生まれてきてしまったのか、とか

どうしてあいつはあいつで、俺は俺なんだろうって・・・

『詩緒、なんで流果を嫌うの?』
『だってあいつむかつくんだ』

いつだったか、あれは春のこと。
杏にはじめてそう尋ねられた。

『あいつ・・・俺にないもの持ってるんだ』

バカのくせに周りからはあんなに人気があって
いつだって流果の周りには人が集まってる。

好きなことをしてる。

『あいつバカだけど・・・俺のほうがもっとバカだ』

それに、杏はあいつのことが好きで・・・

『でも、流果がいなきゃ困るでしょ?』

別に憧れとか会長の地位とかそんなんどうでも良い。
欲しいっていうんだったらくれてやる。

俺の欲しいものなんか、手に入ったことは一度もない。

『流果がいなきゃ良かったなんてことないでしょ?だって、流果がいなきゃ詩緒は成り立ってないよね』
『そんなことない。あいつなんかっ・・・』
『違うよ』

そうして彼女はほほえみながら言った。

『だって詩緒にないものを流果が持ってるんだもん。2人そろってなきゃ意味ないの』

俺にないものを持ってるあいつが憎い。
どうしてあいつばっかりあんなに好かれるんだろう。

心ん中はそんなことでいっぱいだ。

******************************************************

「じゃあまた明日ね」
「うん、お休み!」

俺は家に入った。

するとちょうど流果が階段から降りてきた。

「ああ、流果」

嫌そうな目で俺を見る。
お互い憎みあっているのがよく分かる。

だって、そうでなきゃいけないから。

「杏と帰ってきたのか」
「ああ」

そして流果は鼻で笑ってこう言う。

「・・・おぼっちゃまは良いご身分だな、欲しいもん全部手に入ってよ」

その言葉で俺はいつの間にか、流果の胸ぐらを掴んでいた。

「もう一回言ってみろ・・・」
「なんっ・・」
「言ってみろって言ってんだよ!!」

俺がいつ手に入ったって?
俺がお前のなにに勝ってるって言うんだよ。

「離せよっ!!!」

そう言って流果は俺の手を払った。

「何度でも言ってやるよ!お前なんか大っ嫌いだってな!!!」
「そんなん俺だって!!」
「お前なんかいなきゃ良かったんだっ!!」

小さい頃からずっと詩緒と比較され続けた。

結局なんだっていとも簡単に俺よりも、できてしまうんだ。

『詩緒くんはほんといい子ねー』
『ねぇ。同じ双子なのにこうも違うのね』

誰もが憧れる存在で、みんなが必要とする奴。
俺なんか別にいなくたってって構わないんだ。

あいつさえいれば良い。

「みんながお前を必要としてるんだ!良かったな、みんなに愛されて!!」

顔が似てたって
声が似てたって

ちっとも意味なんかない。

「できることならなりたかったよっ・・・お前に!!」

杏だってあいつの肩ばっかりもって。

別に他のもんはいらない。
せめて杏だけは手に入れたかった。

「なんで・・・」
「え?」
「なんでお前がそんなことっ・・・流果にそんなこと言われなきゃなんないんだよ」

俺になりたかっただと・・・?
ふざけるな・・・ふざけるな!!

「俺が今までどんな思いでっ・・・」

確かに俺のほうが周りからはよく見られてたかもしれない。
すごいって言われてたかもしれない。

『杏は・・・もしかして流果のこと好きなの?』

けど

けど

『うん。ずっとずっと大好きなんだwでもこれは流果には内緒ね!』

一番欲しいもの

それだけ手に入ってくれれば他はなにもいらないのに

どうあがいたって

俺じゃだめなんだ。

「・・・ふざけんな!お前には杏がいて、それ以上なんの幸せがあるって言うんだよ?!」
「詩・・・」
「俺じゃだめなんだって・・・お前じゃなきゃだめなんだって分かってるだろ?!」

そんなに欲しいか?
俺の持ってるもの。

だったらやるよ。

「なんでそんなこと言うんだよっ・・・・俺だって!俺だって・・・お前になりたかった!!」

だけどそんなこと無理だから

無理だけど、無理って思えないから流果を憎むことしかできないんだ。

「詩緒・・・俺・・・」
「はやく行けよ」
「え?」
「せっかく俺が諦めるって言ってんだ。さっさと行ってこい」

そうして流果は走って家を出ていく。

俺はその場に座り込んで手で顔を覆う。

らしくなく涙なんかが流れるんだ。

「はは・・・ばっかだよな、俺も」

わざわざ背中を押すようなことして。

だけど、流果の気持ちも分からないでもないんだ。
俺が苦しんでたように、流果だってずっと苦しんできてた。

仕方ない。
仕方ないことなんだ。

だけど、流れる涙は一向に止まる気配を見せない。

せめて
この涙が乾くまでは杏を好きでいていいですか。

17年間の思いは嘘だったんじゃないんだって信じたいから。

「杏、俺ずっと前からお前のことが・・・・・」

それは

夜空に綺麗な星が光る夜の

双子の男の子たちの恋物語でした。

      fin














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