『空・一考』
神の思し召しか、人智では計り知れない自然の妙味か…それとも偶然のなせる仕業か、想像することさえ適わない遥かなる昔日。音も無く人の知える色も無くただ不気味な紋様渦巻くガス状の暗雲が幾重にも重なり宙を覆っていた。
宙は針の先ほどの光も無く、ただ激しい勢いで歪み膨張と凝縮を繰り返していたが、気の遠くなるほどの時を経て、あるとき無辺に拡がる宇宙の片隅に一条の閃光が瞬き、一瞬闇を切り裂いた。と同時に鋭い紫電は暗澹とした闇が渦巻く宙に凄まじい雷鳴を誘発した。
雷電はビリビリと暗黒の宇宙空間を震わせた。 極限まで圧縮されたガス雲を人知では伺い知
ることさえ覚束無い轟音を伴い一気に起爆へと導いた。
爆発と同時に宇宙を覆っていたガス雲は極熱の炎を燃えたぎらせ暗黒の闇に集っていた星混を灼熱の炎で包み、そして粉砕し摩訶不思議なる宇宙の彼方へと弾き飛ばした。
岩魂の藻屑と化した小さな星たちは、互いにその身を拉ぎあい衝突集散を繰り返し異なる銀河系、小宇宙、大宇宙を形成した。
そのころ宇宙には空が無く、ただ熱風渦巻き燃えるガス群と正体の伺えない星の群れがゆがんだ暗雲に漂っていたが、自然の法則か偶然のなせる所業か、それが神の御心なのか、不思議なる力に導かれ荒れ荒び地表を這う熱き炎はその矛先をゆっくりと終息した。
地球を覆っていた厚雲のある一片は、徐々に形成され始めた宙から成層圏に飛び出し宇宙の塵となった。と、同時に神は何を思いいずるのか、銀河系に群れ成す四千億万個以上の星の中から、小さき星地球上に必要不可欠な糧をその手の中から地上に投げ垂れた。
さらに気の遠くなるような永い時を経て、穏やかな風がゆっくりと吹きやわらかい雨が地表に落ちる頃、雲のまにまにうっすらと靄に包まれたような大気が上空に現れた。
強い光輝に炙られながらも、雲が風に流れ彼方に去ると青き壁、紺碧の空が宙に広がつた。
空が上空に現れた。
陽は爛々と地表を照射し、小さな星、地球に生きる全ての生きる物に恵みを与え、生きるための糧を芽生えさせた。
億億万分の一の確立でさえ成立しえない偶然のなさる業か・・・。
恵まれた地球とその天元。
小さき星、地球。その地球を青き大気で覆う空。
その空の青さは永遠か・・・。 終わり
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