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ジェノサイド・リアリティー  作者: 風来山
第一部 『ジェノサイド・リアリティー』
31/223

31.木崎晶の蘇生

 飲め、頼むから飲んでくれ。

 上手い嚥下のさせ方が分からない俺は、貧血で白くなってしまった木崎晶の唇に口を付けて、強引にでも青い液体を流し込む。


上級ハイ ヘルス(リス)』


 飲まなきゃ、どうせ死んじまうんだ。

 俺はもう何も考えず、回復ポーションを作って飲ませるという作業に没頭した。


「ワタルくん、何をやってるの」

「ああっ久美子、木崎が息を吹き返したんだ!」


「そう、女の子を襲ってるのかと思ったわ」

「……」


 酷い言い様だなと思ったが、悪態つく暇も惜しい。

 俺は、必死に回復ポーションを口に含んで晶に飲ませ続ける。


「冗談よ、それより何をしてるの」

「みりゃわかるだろ!」


 こっちは必死になってるのに。

 いい加減にしろと、俺は怒鳴り返した。


「木崎さんが突かれたのは胸だったわよね。私も見てたから分かるけど、もう傷口塞がってるわよ」

「えっ……」


 久美子が言うので、見てみると傷は綺麗に治っていた。傷口は完全に塞がって、木崎の性格と同じく反抗的にツンと尖った形の良い乳房が、あらわになっている。

 なるほど、これじゃ襲ってると思われても仕方がない。


「私が来たときには、もう塞がりかけてたわよ。胸に穴が空くような重傷が治る瞬間とか、初めて見て驚いちゃったけど」

「治ったなら、治ったって早く言えよ。木崎の介抱、久美子に任せていいか」


「もうちょっとだけ、早く任せて欲しかったわね」


 そっちこそ、もっと早く来ればよかったんだ。俺だって、治療にかこつけてセクハラを楽しんでたわけじゃないんだぞ。

 傷が塞がったのに気が付かなかったのは不覚だったが。


 血をかなり失ってしまったので、ぐったりとはしているが形の良い胸が上下して穏やかな呼吸をしている。

 久美子は、胸に触れて脈を見ている。


「もう、自分でポーションを飲むかな」

「ショックで気絶してるみたいだから、どちらにしろ飲めないでしょうね。ワタルくんが口移しで飲ませたのは正しい処置だったわ。ちょっと、個人的には気に食わないけど……」


「心臓マッサージとか要るんじゃないか」

「いいえ、心臓はもう動いてるみたいよ。唇や肌の血色も戻ってきてるし、脈拍も安定して来ている。心配はいらないと思う」


 生徒会の連中というのは、救命措置も覚えるのか。

 俺と替わると、久美子はテキパキと呼吸と脈拍を調べて、楽な姿勢にさせる。


「そうか良かった」

「私も木崎さんは完全に死んだと思い込んでたけど、なんで息を吹き返したのかしらね」


「それは俺も分からない。急に血を吐いて呼吸が戻ったんだ、運が良かったんじゃないか」

「大剣の刃が通ったときに心臓に運良く当たらなかったとしても、太い動脈を断ち切られたら、普通は外傷性ショックか出血多量ですぐ死ぬでしょう。けど私も医者じゃないから、判断はつかない。現に生きてるのだもの、こういうこともあると思うしか無いわね」


 久美子は俺に向かって苦笑すると、木崎の胸に布をかぶせた。

 いや、俺が覗きこんでるのはオッパイが見たいからじゃないからな。心配だったからだから!


 回復ポーションで、傷口が塞がり血が止まったので助かったということか。

 七海の腕も繋がってたし、断ち切られた動脈も治る。造血効果もあるようで、回復ポーションは、かなり万能なんだな。


 息さえあれば、無理やり飲ませても蘇生の可能性はあるということか。

 いいことを聞いた。木崎が蘇生したこともめでたいが、回復ポーションの良い実験台になってくれたと言える。


 一足遅れて、七海達もやってくる。


「七海達は何をやってたんだよ」

「すまない、真城ワタルくんっ! こっちはこっちで治療があってね」


 まあしょうがないか。死ぬまでいかなくても、七海のグループにも怪我人はいた。

 すでに死んだと思われたこっちの三人の死体の始末より、まだ生きてる方の手当を優先するのは当たり前だ。


「木崎くんも生きていたのか! ああっ、一人でも多く生きていてくれてよかった……」


 七海は、眼に涙を滲ませて喜んでいる。すぐに惜しみない涙が、七海の頬を伝った。

 誰のためにでも、すぐに涙を流せるのが七海修一だ。こいつが泣くと俺ですらじんわり来るのは、生まれついてのカリスマ性があるからだろう。


 七海に釣られて、木崎を囲むみんなは涙ぐんでいる。もちろん俺は泣かないけど、男のくせに泣きだしてしまう奴もいた。

 七海が涙脆いのは、情味のあるリーダーという演出のためかと前は思っていた。


 だが七海の実情を知ってしまうと、こいつだって泣けるところで泣かなければ壊れてしまうのかもれないとも思うのだ。

 強い感情というのは、表に出さないと澱のように鬱積していく。それでまた壊れられても困るし、泣きたいなら泣けばいいさ。


「ううっ……アタシは、一体」

「眼を覚ましたようね、木崎さん。まだ動いちゃダメよ、もう少し休んでなさい」


 久美子に抱かれている木崎晶は、小さな呻き声を上げて眼を覚ました。

 俺は、そっと木崎を囲む輪の中から離れる。七海は、寝ている木崎に自分の外套マントをかぶせる。


 本当に七海は、女の子にかぶせる外套マントを何枚持っているのかと笑ってしまうが。

 これで木崎晶が最初に見たのは、泣きながら喜んでいる七海修一だ。


 自然な形で彼女を介抱して蘇生させたのは、七海と久美子ということになるだろう。

 それで、こっちも都合が良い。


 オッパイも見てしまったし、口移しでポーションを飲ませたし、俺はしばらく木崎とは顔を合わせたくない。

 久美子にも、余計なことを言わないように後で釘を刺しておかないと。


 ふと振り返ると、扉の前ではウッサーが一人で黙って暗闇を見つめていた。


 普通のモンスターが現れるか。

 先ほど落とし穴に落とした黒の騎士(ブラック・デスナイト)の残り四体が、また階段を登って攻めてくるんじゃないかと警戒を怠っていない。


 見張りは大事な仕事だ。

 ウッサーが、一番油断なく動けている。


「お疲れ、ウッサー」

「ハイ! 旦那様のお役に立ててるなら嬉しいデス」


「今回は本当に良くやった。活躍してるのに言うのはなんだが、お前は今からでも魔法力を伸ばしたほうがいい」

「魔法を使うと、武術の冴えが鈍るような気がしていたのデス。でももうそんなことは、言ってられないデスね」


 そうだ、分かってるなら良い。ちょっと厳しいかもしれないが、得意なことだけやっていて良いわけじゃない。

 生き残ることを考えれば、ウッサーはヘルスポーションぐらいは自分で作れないと今後は危うい。


 ウッサーの集団パーティーはすでに全滅していて、生徒のみんなとは少し距離がある。

 こいつも俺と一緒で、この先一人になるかもしれない。ウッサーの職能は偏りがありすぎる。


「攻撃魔法を覚えろとまでは言わないが、回復は自力でやって補助魔法も使えるようになるべきだ」

「ハイ、ありがとうデス」


 俺はウッサーに、空ポーション瓶を二つ渡してやった。

 安全マージンを取りまくってる俺でさえ、だいぶ手持ちが少なくなってるがこれぐらいの余裕はまだある。


「ちょっといいか」

「なんだ、三上」


 三上も、『三叉の神矛(トリアイナ)』を油断なく構えて扉の前まで来た。

 戦闘に長けているやつから、順番に警戒心を取り戻しつつある。まだ、敵は四体残っている。終わっていないのだ。


「お前は、残り四体をここで待ち構えて殺るつもりなんだろ」

「そうだよ。後は俺に任せてお前達は街に戻ればいい」


 弱い奴がいても足手まといになるだけだ。

 俺と『孤絶ソリチュード』は出来が違う。俺一人で、殺ったほうが絶対にいい。


「水臭いな、俺達にも最後まで手伝わせてくれよ」

「三上、お前本気で言ってるのか」


 さっきの死闘、三上も含めて九人いたアスリート軍団は、二人死亡した。しかも、二人とも一撃で即死だった。蘇生できた木崎は、本当に奇跡的に運が良かっただけだ。

 すぐに回復ポーションで治療したようだが、三上だって腕に深い傷を受けていただろうに、力の差をまだ分かってないのか。


「本気で言ってる、お前の足手まといにはならない。俺も仲間の仇を討ちたい」

「はぁ……そこまで言うならしょうがねえ。黒の騎士(ブラック・デスナイト)の残り四体を殺るまでだからな」


 三上は腕に深い傷を負ったが、言い換えれば一撃では死ななかったということだ。

 一撃受けて死なないだけの戦闘力があるなら、壁ぐらいにはなる。


「おう、こいつの借りは返す」


 三上は、俺が渡した『三叉の神矛(トリアイナ)』の柄を叩く。

 まあそいつが、あったから戦えたということもあるか。三上はパッシブスキルもちゃんと発動できていたし、スプラッシュトライデントは黒の騎士(ブラック・デスナイト)にも通用していた。


「無理はするなよ、無駄に死なれても迷惑だからな」

「フッ、言ってくれる。あんな敵を目の当たりにしてしまっては、俺もそうは強がれんが……」


 三上は、斬られてすでに治っている右腕をさすりながら苦しげに笑う。

 ちょっとキツく言い過ぎたか、危険を理解してまだ戦うというなら俺が口出しすることでもないんだが。


「それより、少し気になってるんだが、仲間の死体はどうするつもりなんだ」

「それは、近くの隠し部屋にでも安置しておく……」


「それ言ってる意味、分かってるのか」

「分かってる。七海副会長は、街まで連れていきたいと言っていたが、無理だろ。生きてる人間を優先すべきだ」


 ここに置いて行けば、やがて死体はスカベンジャースライムに喰われる。

 三上はそれを理解して、死体の保全より仲間の安全や脅威の排除のほうを優先すると言う。こいつは、七海よりも現実が見えている。


「分かってるならいい。黒の騎士(ブラック・デスナイト)四体は、お前らが手伝ってくれれば安全に倒せるだろう。だがそこまでにしとけよ、すでに空ポーションを消費し過ぎているから、ここから先は危険過ぎる」

「ああ、現状は分かってるつもりだ。黒の騎士(ブラック・デスナイト)の全滅を確認したら、俺達は一旦上まで戻るよ」


 一旦じゃなく、もう二度と来て欲しくないんだけどな。

 上層階やせいぜい中層階辺りまでで戦っているならいい。せいぜい稼いで、街の連中の生活を支えるといいだろう。


 だがここより下に来られると俺の邪魔だ。

 それを直接言うのも角が立つ気がするが、婉曲的に表現する言葉がなかなか見つからない。


「あれだ、黒の騎士(ブラック・デスナイト)だけじゃない。これから、どんな強いモンスターが上がってくるか分からないから注意しろよ」

「ああ真城、心配かけてすまん」


 うん、伝わってるのかな。

 三上があれでも、七海修一のほうによく言い聞かせておけば良いか。


 リーダーの七海が正常なら、強行軍をやらかすこともないはずだ。

 さて、後残り四体、ここで待ち受けるかそれとも打って出るか。腕を組んで考え込もうとした俺の後ろから、突然甲高い声が聞こえた。


「あっ、ああーっ、あの!」

「どうした、木崎。もう身体は良いのか」


 そう奇声を上げた木崎に聞いたのは、俺ではなく三上だった。

 木崎晶は、頬を赤らめて声を詰まらせ、尋常ではない様子だし、大丈夫だと聞きたくなる気持ちは分かる。


 俺はごく個人的理由で、木崎と会話したくなかったので、なるべく後ろに下がって気配を殺す。


 それなのに、木崎は真っ先に俺の前までやってきてしまった。

 木崎晶は、ジッと食い入るような瞳で俺を見る。


「なんだよ」

「あの、あんたがアタシのこと助けてくれたんだって……」


「はぁ、誰に聞いた」

「九条から教えてもらった……」


 木崎の後ろで、処女ビッチが悪い笑いを浮かべている。

 久美子は、なんで話をややっこしくするんだよ!


 七海修一が颯爽と助けたでいいだろ。そしたら、木崎だって女なんだから喜んだだろうによ。

 なんで本当のこと言っちゃうんだ。


 俺は頭を抱えた。

 口止めが遅かった。久美子の奴、何の意趣返しのつもりだよ。


「キスして、胸をたくさん揉んだって言ってた……」

「バッ……バカ言うなっ!」


 マジで吹いたわ。

 何も飲んでないのに、驚きすぎてなんか口から出たわ。


「あー違うのは、分かってるから」

「いや、分かってねえよ! 口移しでヘルスポーションは飲ませたが、胸には一切触れてないからな」


 そこだけは、ちゃんと分かって欲しい。

 冤罪もいいところだよ、全く。


「キスはしたんだ……」

「それはしたよ、ディープなやつをな!」


 嘘を言ってもしょうがない。俺はもう開き直ることにした、命のかかったダンジョンなんだから、まさかセクハラで訴えられることもあるまい。

 どうせ俺の印象は、女子には最悪だろうし、女との上手い付き合い方など俺には分からん。


 いや、女子と仲良くしようという気すらない。生徒会対策は、七海と三上さえ味方につけておけば十分だ。

 木崎晶は血色の良くなった唇を、手で擦っている。もともと気の強そうな女子だったしな、どうせ罵倒してくるんだろう。


 なんとでも言えと、俺は覚悟を決めた。

 女子に何と罵られようが、それで死ぬわけじゃない。非情な俺は、蚊が刺したほどにも感じない。


「ごめんね」

「はあ?」


 なんでそこで謝る、罵倒してくるんじゃなかったのか。

 ズッコケそうになったわ。


「違う、ごめんってのは、アタシみたいな男みたいな女のとその……真城もキスしたくなかった、だろう。だから……その」


 意表を突かれた。外套マントの胸元をギュッと握って、ブラウンの瞳をギュッと瞑る木崎晶を見て、なるほどそっちかと思った。

 あれほど反発してきた男まさりな女子が、女としての自分には自信なかったりするわけか。


 良くあるパターンではある。

 どっちにしろ、女にごちゃごちゃ言われるのはかなわん。変な雰囲気にもなってるし、俺は断ち切るように言い切った。


「俺は気にしないから、木崎も気にするな。しょうがなかったことだから、忘れたらいいだろう」

「うん、ありがとう」


 なんかシュンとしてるな。

 あっ、あれか、木崎が謙遜してるのに俺がそのまま受けたのがまずかったのか。


「えっとあれだ、キスしたくなかったってことはなかったぞ。蘇生措置とはいえ、俺も男だから役得だと思ったよ」


 蘇生措置とはいえ、俺みたいな男に無理やり唇を奪われた女の子が自己卑下してるのもおかしいし、俺がゲスってことで丸く収まるなら良いだろう。

 よく知らない女子だが、純粋に外見だけで言えば木崎みたいな綺麗な女は、俺の好みでもある。


 俺がしたかったからやったんだってことで終わらせようと、その場を下がろうとした俺の外套マントを、木崎は必死に掴んだ。

 やけに絡んでくるな。


「でもアタシみたいなのに、キスしたり胸なんか触っても嬉しくなかっただろっ!」

「だから、胸は触ってねえって言ってるだろうっ!」


 なんで喧嘩みたいになってんだよ。

 俺は怒るより笑えてきた。


「ごめん、でも真城は胸は見たんだよ、な……」

「それは見た、すまん」


「……」

「……」


 なんだよ、恥ずかしそうに俯くな。

 やりにくいな。怒ってるほうがまだ良い。


「あの、どうだった?」

「聞くなよ!」


「ごめん」

「はぁ……もういい。そこも役得だと思った、お前みたいな綺麗な女子にキスができて胸を見られて、良い目の保養だった。これでいいか」


 木崎は、俺をどうしても介抱にかこつけてキスしてオッパイを見たゲスにしたようだから逆らわず言ってやった。

 俺にも後ろ暗いところがないわけじゃないから、喧嘩はしたくない。女ってのはあれだろ褒めておだてておけば満足するし、男が悪者になっとけばいいんだろ。


「ほんとに? 綺麗なんて誰にも言われたことないし、気を使って言ってるんだったら……」

「ごちゃごちゃといい加減にしろ木崎。俺は全部正直に言ってるだろうが。気なんか使ってなんかねえよ、俺はお前にキスできて、胸も見られて超ラッキーだったって言ってんだ!」


 もうほんとに解放してくれよ。セクハラで訴えられる方がマシだ。

 みんなの前で、女子に「お前アタシが気絶してる間にキスして胸を見ただろう、どんな気分だった?」とじっくり詰問されるとか、なんだよこの罰ゲーム。


「そっか……」


 ようやく、木崎は俺の外套マントから手を離してくれた。

 扉の前で仁王立ちになって見張ってるウッサーが、めっちゃ機嫌悪そうにこっちを睨んでる。


 すまんなウッサー、こんなくだらない話に付き合わせて、恨みなら久美子に返してくれ。

 俺は、長い耳を逆立ててガルルルッと唸り声を上げてるウッサーの肩をドウドウと叩いた。


「見張りは俺がやるから、ウッサーはちょっと休め」

「ハイ、じゃあすぐに休ませてもらうのデス!」


 休めとはいったが、俺に抱きつけとは言ってない。

 見張りを代わるって言ってるんだよ!


「なあ、真城!」

「まだ何かあるのかよ」


 命を助けられたお礼に来たんだよな木崎。

 ここまで、ねちっこく言われるほど俺は悪いことはしてないと思う。


「アタシ、初めてだったんだよ」

「そうか良かったな」


 これで、何のこととか聞くほど俺は子供じゃない。

 キスのことだろ。あるいは、オッパイを見られたことも含まれるかもしれない。


 本意ではないが、俺は結構経験ある。

 余計なことを口走ってくれた、そこの処女ビッチのおかげでな。


「良かったのかな……」

「俺に聞くな。お前が決めることだ」


 俺がそう言い切って、もう振り返らず相手にしないでいれば、俺を食い入るように見つめていた木崎は、ようやく大人しくなった。

 あれだろ、初めてのキスってのは女子には重いんだろ。それは分かってるから、普段だったら嫌味の一つぐらい聞いてやってもいいんだが


 いまのんきに、キスだなんだ言ってる場合じゃないんだよ。

 見張りをしている以上、扉の前から目を離すわけにはいかない。


 黒の騎士(ブラック・デスナイト)を落とした穴だが、当然のごとく落とし穴には近くに登る階段があるものだ。

 これまでのパターンから考えると、敵は引くって判断はしないだろう。いつ攻めてきてもおかしくはない。


 むしろ、攻めてくるのが遅すぎる。

 この不吉な気分にも、もう慣れっこになってしまったな。

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