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死後の世界というものは
作:八十四歳まで生きる


困った。
俺は死んでしまったらしい。

夏のある晴れた日、俺は彼女を含めた友人達6人と、海水浴に行ったんだ。
海水浴は楽しく、いい思い出になった。が、その帰り道、友人達がいるなか俺だけが暴走車の犠牲になり、即死した。

らしい。

すべては天使みたいな人に伝えられた。
俺は死んだ後、一月ほど眠り続けていたらしい。即死した奴らは、みんなこんなかんじだそうだ。

「・・・よって君には、生き返れちゃうよ権が与えられる。数日間現世へと戻り、自らの気持ちを決めた後、またここへ戻り生き返るかどうか決断せよ。
なお、生き返らないと選択した場合、この一生の記憶を消去し、次の一生を送ってもらう。よく考えるのだ。」

なんか生き返れるらしい。
俺は監視役の天使っぽい人に連れられ現世へと降りた。

「それでは、勝手に行動してください。」

天使は面倒くさそうに言った。いやまて、なんだそのかんじ。

「なんでそんな面倒くさそうなんだよ」

聞いてみた。
天使のくせに面倒くさそうにするとは生意気な。

「だって、今まで生き返れちゃうよ権を行使した人って、いないんですもん。毎回無駄なことしてるんですから、面倒くさいに決まってるでしょう。」

なんだコイツ。
天使っぽいだけか。
とにかく生き返ることができるならいますぐ生き返りたい。が、

「あぁ、あなたの受付は明日からですよ。最近は死ぬ人が多くて混雑しているので、受付がうんざりしてるんで。」

関係ねーよ。うんざりしてるってなんだ。
まぁいいや。明日には生き返れるみたいだし、今日は幽霊ライフを楽しむとしようか。
れっつぽじてぃぶしんきんぐ、だな。


まずは俺の家だ。
家族の楽しそうな明るい声が聞こえてくる。
聞こえてくる。
俺死んだのにめちゃくちゃ楽しそうだな。

「ねぇ、お母さん。
私今度からお兄ちゃんの部屋使ってもいいよね。」

なんだと。
あの馬鹿妹め、俺の部屋を使うなどと百年はやいわ。
だいたい、そういうのは死んだ人を思い出すために、当時のまま残しておくものなんだからな。

「いいわよ。」

いいのか。
まぁそういう性格だしな。母さんは。

「あぁ、お兄ちゃんのベッドの下にある本と、棚にあるビデオは見ちゃダメよ。」

「見ないよ。気持ち悪いもん。」

何で知ってるんだ母さん・・・。
まぁいいさ。そんなもんだよな、普通はさ。

「ねぇお母さん。来月からさ、お小遣い上げてくれるんでしょ?」

「えぇいいわよ。お兄ちゃんの事故の相手から、いっぱい示談金もらったしね。」

この瞬間俺の時間は停まった。示談かよ。
俺は殺されたんだぞ。いきなり車で突っ込まれたんじゃなかったのか。

「でもそんなにあげられないわよ。いっぱいって言っても1000万ないんだから。」

俺は1000万の価値もなかったのか。
いやまぁ、交通事故だもんな。とれて数百万か。仕方ないよな。たぶん。

俺は家から出た。
もうここには俺の居場所はないような気がする。
大学はどうなんだ。
・・・あそこは特に思い入れもないな。彼女にあわせて決めたようなものだしな。
そう思えば、大学に払った金はどうなるんだろうか。俺は死んだんだ。
これも一応退学扱いになるんだろうか。そうなると払った金は全部無駄になるのかな。知らんけど。

なんか色々考えながら空を漂っていたら、友人の姿を見つけた。
なんか俺が死んだっていうのに楽しそうだ。

なんだかな、俺の予想じゃこんなんじゃなかった。
もっとみんな泣いてて、悲しんでて写真とか眺めてて。
一月経ってるからか。
そういえば俺もじいちゃんばあちゃんが死んだとき、めちゃくちゃ泣いたけど一週間ぐらいだったな。
そんなもんなのか。身内でそんなだったら、友人関係ぐらいじゃ全然ダメなのかな・・・。

彼女に会いにきた。
会うといったって、俺は眺めることしかできないんだが。
彼女は今、どうしているんだろうか。

「・・・・・・」

彼女は写真を眺めていた。俺と二人で写っている写真だ。
彼女は今にも泣き出しそうな顔をしている。俺はすぐにでも抱きしめたいが、今の体は彼女をすりぬける。

「もう泣くなよ。あいつもお前がいつまでも泣いていたら、心配して成仏できないぞ。」

親友もいる。こいつは俺とは小学生からの10年以上の付き合いだ。
彼女を慰めてくれていた。さすがは俺のべすとふれんど、だ。
俺が生き返ったら、彼女の次にお前に会いに行くぜ。

「そうかな・・・、でも私・・・そんなに強くないから・・・。」

かわいいぞ。
べりーきゅーと、だ。

「そんなことないって、君は強いよ。あいつのこともきっと乗り越えられるさ。」

「そう・・・かな・・・」

なんだか雲行きが怪しくなってきた。乗り越えちゃうのか。乗り越えないよな。

「だから俺と一緒にやりなおさないか?」

「・・・でも私、まだ彼の事忘れられないから・・・。それにまだそういうこと・・・考えられないから。」

「もう一月も経ったんだぞ。あいつを安心して成仏させてやるためにも、俺は、君に笑顔でいてほしいんだ。」

「そんな・・・それって、ちょっと・・・」

「受け止めてほしいんだ。君に、俺の気持ちを・・・。」

んっ・・・(ちゅー

「・・・私、うん、そうだよね・・・。彼もきっと言ってるよね。
お前は俺の事なんか忘れて幸せになれ、って。」

「きっとそうだよ。あいつはそういう性格だからな・・・。本当にいいやつだから・・・。」

「天国で応援しててね。・・・君。」

できねーよ。
なんだよこれ。え?ネトラレ?
ちゅー見ちゃったよ。やめてくれ。やるならやるで俺の見てないところでやってくれ。
いやまぁ今の俺が見えないのがいけないんだけどさ。

俺はまた空を漂っていた。夜の空を。いい星空だ。
今日一日いろんな場所をまわり、大勢の親戚から友人知人を見てまわった。
誰の生活にも変化はなかった。

「今日はいい一日でしたか〜?」

俺の監視をサボり、現世を漫遊してきた天使モドキが帰ってきた。

「ああ、今日は最高の一日だったよ。クソッタレ」

毒づいてみた。天使モドキは無表情でいう。

「皆そう言うよ。」

マジか。
死んだ奴は皆、このなんともいえないモヤモヤした感じを味わうのか。

「生き返りたいって言った奴はいないってのか・・・?」

「いるにはいますけどね。でも生き返れちゃうよ権は悪い事をした人には与えられないから。
生き返りたいって叫ぶのは悪人ばっかりだよ。」

天使は言った。
生き返れる権利が与えられるのは善人だけってことなのか。
俺って善人だったのか。嘘をついたこともあったんだけどな。
つーか、悪人は生き返りたいのか。
いや、違うか。
権利がもらえない奴は現世を見に戻れない。俺だって現世を見なかったら、即生き返りたいって・・・実際思ったしな。
でもそう思うと、この天使が面倒に思うのもわかるかな。
いや、なんとなくさ。


次の日、俺は自分の気持ちを紙に書いて受付に提出した。

「なぁに、来世でもきっとうまくやれるさ。」


人間はいうほど弱い生き物ではないのかもしれないなぁ、と。案がポッとでてから一時間で書いたので、もっと整理してから書けばよかったかなと。とにかく、死んだ人間の居場所は、意外とすぐなくなるものだ。ということが伝わればいいかなぁと。少し不謹慎な気もするので、不愉快になった人には謝っておきます。すみません













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