第一話:始まり
上を見れば青空が広がり、後ろを振り向けば小高い山々が連なっている。 特に大きなビルなど目立ったものがなく田畑が広がるのどかな町にこの物語の主人公は暮らしていた。彼の名は侑人。この町の中学校に通う中学3年生だ。
侑人は、勉強の成績は中の上、部活はサイクリング部に所属していた。 侑人は野球も好きで、休日は友人と公園で野球をするのが侑人にとって一番楽しいひとときであった。
【二】
中学3年生という時期は、誰もが異性に興味を持つ時期だ。それは侑人も例外ではなかった。
侑人は、隣のクラスの友希弥が好きだった。 友希弥は小学時代からの同級生で今でもクラスは違うが顔を合わせる度に話をしている。侑人は、一年ほど前から友希弥に恋心を抱いていた。
侑人は、どうしたら友希弥の気を惹くことが出来るのか考えた。 侑人は、サイクリング部に所属しているが、部活動というよりは愛好会に近い。大会などの公式戦がなく、部の活動として年に数回サイクリングに行き、普段は部室で世間話をしたり、宿題をしたりするような活動しかしない部活なのだ。 だから、学校でサイクリング部が脚光を浴びる事は皆無に等しい。むしろ、学校の生徒にサイクリング部に所属していると言うと、
「あのなんもしてない地味な部?」
とか、
「えーサイクリング部?」とか言われて周囲に人がよって来なくなる。 部活でダメなら勉強で友希弥の気を惹こうと考えた。しかし、侑人よりも友希弥の方が成績が良い。
勉強でもスポーツでも友希弥にアピール出来ない自分に腹が立つ。侑人はそう思った。
そんな事を思いながら学校の廊下を歩いていると、掲示板にこんな張り紙があった。
「クラス対抗野球大会のお知らせ 出場希望者は担任の先生に申し込むこと。 希望者が多数の場合は選抜を行います。」
侑人は自分でも気付かないうちに職員室に向かって全力疾走していた。 |