狼につき、?
かなーり短い短編です。ちなみにお話は「狼につき、嫉妬」あたりです。どうぞお楽しみください*
◆
イライライライラ
今の俺に効果音を付ければ、まさにこんな感じ。
なんだかんだ、原因はやっぱりあいつに違いない。
中村 サキ
俺に付いていた編集者だ。
過去形な理由は、今や俺は"あいつの担当する作家の一人"になった事だ。
はっきり言うと、無性に気に入らない。
あいつが居ないと部屋は樹海のまんまだし、
うまいコーヒーは飲めねぇし、
なにしろ暇だ。
まぁその暇も憂鬱も苛々も、あと五分もすれば解消されるのだが。
・・・ガタン!
バタバタバタ
「せんせいっ!?」
「おう、来たな」
「・・・」
大きな目がさらに開いて、途端に眉間に皺がよる中村。
俺は反対に、自分の頬が緩むのが分かった。
「メールで、死にそうって」
「・・・」
「風邪ひいたって」
「・・・」
「ーっかえる!」
勢いよくきびすを返した中村の、細い腰に腕を回して引き寄せる。
ひさびさに感じる柔らかな感触に、情けないが眩暈が起きそうだ。
「中村が、不足気味だ」
◆
ーこれは、やばい
堅苦しいスーツから覗く白い首筋に、唇を押しつけて後悔した。
唇が触れた肌の熱さは俺のでもあって、彼女のでもある。
顔が見えない分、真っ赤な顔の彼女を想像してしまう。
うなじに舌を這わせるたび毎に、顎が上がる。
お腹に回る腕の力を強くするたびに、肩が上がる。
やばい、いいかも
「〜っせんせ、」
なに、
声に出すことなく、掻き上げた髪から覗く耳に軽く歯を付けた。
「・・っ顔が、みたい・・・」
なんだこれ
なんだこいつ
・・・今まで一番、キた、かも。
「せんせい・・・?」
「やばい、今ので一回イけそう。」
「へ、、、えぇ?!」
真っ赤に染まる耳元で、甘く囁けば。
「責任、とって。サキ」
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このシリーズを続けて欲しい、のコメントだけで作者が猛烈やる気でちゃいました。笑)閲覧してくれる方、ありがとうございます!