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遥々来たよ海鳴温泉

†††Sideシャルロッテ†††


ルシルとの決別から一週間、あれから“ジュエルシード”を発見出来ずに過ぎ去った。
そのため出会うこともなかったけど、それが何故か余計にイライラする。
次に遭った時はどうなってしまうのか、正直怖いと感じる自分がいた。
今回の契約の結末までの道筋が読めない。ここまで不安になる契約というのも珍しいというか無かったわ。

「ねぇシャル? あんた、温泉って行ったことある?」

そう聞いてくるのは、なのはの友人アリサ。
綺麗な金髪をした活発な少女だ。

「ん? 行ったことない。温泉っていう言葉も、此処に来るための準備をするように桃子母さんから聞いたときに知ったくらいだから」

当然のことだ。生前は戦いの人生だったのだから知らないし、温泉なんてものはなかった。
界律の守護神(テスタメント)”となってからは、召喚された世界でも人間のような生活をすることなく、速やかに殺し壊し奪い、そして消えていたから。

「それじゃあシャルちゃんは、今日が温泉デビューなんだね♪」

ほわほわした話し方をするもう一人の友人、すずかがそんなことを言う。

「温泉デビューって面白い言い方をするのね、すずか」

「え?そうかな~?」


†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††


シャルちゃんがアリサちゃんとすずかちゃんと楽しそうに話しているのを一緒に笑いながら聞いていた私は安心した。
一週間前からシャルちゃんの様子がどうしてもおかしかったのだ。
とくにゼフィちゃんと会ったときから様子が変だった。
同じ魔術師だからそうなのかと思ったけど違うみたいだし。
役にたつかどうかは分からないけど、相談してほしいかも。なんか寂しいし。

『よかったね、なのは。シャルが元気そうで。僕も心配していたから』

『うん! この旅行でもっと元気になってもらえると嬉しいな♪』

膝の上に乗ってるユーノ君が念話で話しかけてきた。
そう。今、私たちは連休を利用して、高町家と月村家の皆さんと一緒に二泊の温泉旅行へと来ているのです。

『なのは。シャルもそうだけど、なのはだって今日はジュエルシードのことは忘れてゆっくり休まないとダメなんだからね。
最近、無理をしているからとくに心配だよ』

『にゃはは、ありがとうユーノ君。私は大丈夫だから』

心配してくれるユーノ君に感謝の言葉を告げる。
けど、私もシャルちゃんみたいに少し悩みがある。
先週出会った黒の魔法使いのこと。
今週に入ってからは一つも見つけられなかった“ジュエルシード”のこと。
色々考え過ぎちゃってるから、少しお休みするようにユーノ君とシャルちゃんに勧められた私は、この旅行のときだけは子供らしくのんびりしようと思っています。


†††Sideなのは⇒ルシリオン†††


「本当にこの近くにジュエルシードがあるのかい?
あんた、ジュエルシードの場所を特定するって言っておいて・・・ねぇ?」

「さっきからしつこいな、アルフ。すまないと何度も謝っているだろう」

俺の探査用術式は、かなりの精度を誇っているものだ。
いくら未覚醒の状態とはいえ、“ジュエルシード”のような異物くらいは容易く識別できる・・・はずだった。
意気揚々と探査を行い、気付く。精度がもう笑うしかないほどに低くなっていたのだ。
そして、場所を特定するとか言っておきながら出来ないというこの始末。
その所為でアルフがさっきから俺に文句ばっかり言ってきている。
初めて出会った時のことを未だに根に持っているのか?

「ア、アルフ!? ダメだよ、ルシルばっかり責めちゃ。
この周辺にあるって分かっただけでもすごいことだよ。
わ、私でもハッキリわからなかったんだから・・・!」

「フェイト~、そうだけどさ~」

フェイトがアルフを嗜める。本当に良い子だな君は。
それにしてもフェイトの母親はさぞや立派な方なのだろう。
まだ幼いというのにこれほど出来た子はそうはいない。

「本当にすまない、フェイト。俺がもう少し確り出来ていれば・・・」

「そんなことないよ、ルシル。一人で抱え込まないで、一緒に頑張ればいいんだよ」

「ありがとう。君の優しさが、アルフによる心のダメージに良く効くよ」

「なにをぉ!」

さてとアルフも黙った(ことにして)ことだし、正確な位置を掴む為に行動しようか。
フェイトも“ジュエルシード”の場所を確認する為、行動を開始しようとした時、

「それより、ねぇフェイト。この近くに温泉って大きなお風呂があるんだって。
行ってみないかい? あとルシルもついでにさ。興味あるんだよね、あたし」

なんて馬鹿な・・・と言いたいが、本当は私も行ってみたかった。
温泉・・・実に懐かしい。良い思い出も死を感じた思い出もある複雑な場所だが・・・。

「え? でも・・・今はジュエルシードを探さないと・・・」

「いいじゃないかい? 覚醒するまで時間があるんだろう、ルシル?」

「ん? まあ、そう・・・だな。半日以上はあると思う」

感知した“ジュエルシード”の魔力から概算で、完全覚醒までの時間をはじき出す。

「なら決まりだね! 行こうよフェイト~。きっと気持ち良いよ!」

「う、うん。そこまで言うんだったら・・・行こっか」

半ばアルフの強制で、俺たちは温泉まで行くことになった。


†††Sideルシリオン⇒ユーノ†††


『一緒に入ろう、ユーノ君。温泉入ったことないでしょ? 温泉はすごくいいよ~☆』

なのはが、そんなとんでもないことを言ってきた。
でも、今回ばかりは絶対にダメだ。
なぜって? そんなの決まっているじゃないか!
だって他の女の人も入るっていうんだから!!
というか、なのはの家でなのはと入ること自体がすでにアウトだ。
断りきれない僕にも十分非があるけど、でもなのはの強引さに一度も勝てないんだよっ!

『なのは、ユーノは士郎父さんと恭也兄さんに預けておいで』

『えぇ~? 一緒に入っちゃだめなの~?』

どうやってなのはを傷つけないように断ろうか必死に思案していると、僕の救世主、シャルがなのはの説得に移る。
お願いシャル、なのはを説き伏せて! いくらなんでも耐えられないって。

『なのは、この国にはこういう言葉があるの知ってる?
男女七歳にして席を同じうにせずっていうの』

『えっと・・・男の子と女の子は、七歳を過ぎたら一緒になったらダメってこと?』

『大体そんな解釈でいいかな。ユーノ、今の年齢は?』

シャルが僕の年齢を聞いてきた。
あれ? 僕が人間だってなのはから聞いたのかな?
まあいいか、僕は今の年齢、『9歳になったばかりかな』って答える。

『9歳。なのはたちと同じだね』

『決定。ユーノ、おいで。私が男湯まで連れてく』

『うん、お願いするよ。ごめんねなのは』

僕は・・・助かったんだ!! ありがとうシャル!


†††Sideユーノ⇒シャルロッテ†††


「ふう、温泉って本当にいいところね~」

「にゃはは、そうだね~!」

「本当に気持ちよかったわ~」

「うん」

温泉から私となのはとアリサ、すずかは出て、ユーノと合流した。
さっきからユーノが「ありがとう」って何度も頭を下げっぱなしだが、まあいいか。

「ねぇねぇ、あの子さ。すごく綺麗じゃない?」

「わぁ本当だ。綺麗な銀髪だね~」

「でも、男の子だね。男の子であんな綺麗な子、今まで見たことないよ~」

アリサとすずか、なのはが綺麗な子がいると騒がしい。
ん? 銀髪!? まさか・・・!

(ルシル!? 何でこんなところに!?)

見てみるとそこには、椅子に座った浴衣姿のルシルが居た。
ルシルが騒がしいなのはたちに気付き、営業スマイルで快く手を振っている。
なのはたちもそれにつられてとても良い笑顔で手を振り返している。
ちょっとちょっと、なのは。彼は私たちの敵の一人なのよ。知らないから仕方ないけど。

(他の二人は・・・いない。単独行動? 一体何を・・・って決まっている。
この付近にジュエルシードがあるんだ・・・!)

ルシルが私をチラッと見て・・・無視かい!?
いい度胸だ、今度のジュエルシード争奪戦ではボコボコにしてあげる。
ルシルは座っていた椅子から立ち上がり、なのはたち、そして私の横を通り過ぎ、

『あの子、以前会ったときよりなかなか成長しているみたいだな。
来るのだろう? ジュエルシードを封印するために。楽しみにしているよ、シャル』

界律の守護神(テスタメント)”用のリンクを通してそう言って去っていった。

(ええ、楽しみにしているわ。あなたが跪くのを見るのを、ね)

無意識のうちに妖しく微笑む私を、なのはたちや他のお客さんが見て震えていたのには終始気付かなかった。


†††Sideシャルロッテ⇒ルシリオン†††


「はぁ・・・こんなところで遭遇するとは。世界は狭いな」

まさか、シャルたちがいようとは思わなかった。
“ジュエルシード”狙いかと思ったが、シャルの様子を見た限りではそれはないと判断する。
単なる偶然、純粋に温泉力のようだ。それより問題はあの子、高町なのは。
以前見たときは完全な素人だったが、今は体外へ流れ出てしまう魔力の量がきちんと制御出来ているのだから大した進歩だ。
魔力の扱い方一つで強さは変わってくる。
強大な力を考えもせず使用し続け、その結果が最悪のことになってしまうなんて大戦に参加した見習い魔術師がよくやっていたことだ。
そう、たとえ魔力量の少ない者も扱い方によって、何倍もの魔力を持つ者を出し抜くことが出来るだけの強さを得られる。

「シャルとの鍛錬のおかげ、ということかな」

「お、お待たせ。待たせちゃった・・・かな?」

振り向くと髪を下ろし、ほんのり上気したフェイトが立っていた。
どこかもじもじして、照れているような仕草が愛らしい。

「いや、待ってないよ、フェイト。アルフはどうしたんだ? 姿が見えないが・・・」

そう、アルフがいない。フェイトを一人にするなんてことをするわけがない彼女が、だ。

「あ、アルフはもう少し入ってるって言ってたよ。温泉がすごく気に入ったみたい。
そういう私もとても気に入ったんだけどね」

フェイトが嬉しそうに話す。ああ、来てよかった。グッジョブ、アルフ!
というか、フェイトより温泉優先って・・・それってどうなんだ使い魔?


†††Sideルシリオン⇒なのは†††


夜、“ジュエルシード”の発動を感じた私とユーノ君、シャルちゃんはその場へと全力で走っていた。
そこに辿り着いたときには、すでに“ジュエルシード”を封印し終えていた黒い女の子。
それにゼフィちゃん、知らない女の人、と思ったら狼さんになりました。
そうしたらユーノ君からあの狼さんは使い魔というものだと説明してくれました。

「それをどうするつもりだ!? それはとても危険なものなんだ!!」

「私たちに答える義務はないよ、ユーノ」

ユーノ君があの子達に“ジュエルシード”の危険性を説くけど、ゼフィちゃんがきっぱりと答える必要はないと言った。

「先に帰ってて、すぐ追いつくから。ゼフィ、ちゃんと送っていきなさいよ」

「無茶しないでね」

「・・・わかった。『俺のときみたく猪みたいに突っ込むなよ』」

「オーケー!『うっさい! よく見てな!』」

ゼフィちゃん達がそう会話をして、狼さんが飛び掛ってきた。
するとユーノ君が前に出てバリアを張る。
そして、

「なのは、シャル、あの子達をお願い!」

「させると思ってるの!?」

「させてみせるさ!!」

ユーノ君は狼さんと一緒に消えてしまいました。


†††Sideなのは⇒ルシリオン†††


アルフがユーノによる強制転移で、どこかへと飛ばされてしまった。
私の忠告を聞いていてこの失態。狼なのに猪突猛進とはこれ如何に。
どこかへ飛ばされタアルフへ「強制転移、か。『ハァ、アルフ・・・突っ込むなと言ったばかりでこれか』」と念話を送る。

『う、うっさいよ! こ、これは作戦さ! 厄介なサポーターを引き離すってやつさ!
そっちの剣を持つ女と砲撃の女は、フェイトとあんたでどうとでも出来るだろ!
て、適材何とかってやつだよ! だからこれはミスしたわけじゃ――のわっ? こっちは任せて、そっちは上手くやりな!』

・・・・なんて下手な言い訳だ。適材適所、も言えてないじゃないか。
だがアルフの言うことにも一理ある。あのユーノとかいうフェレットもどき。
防御や転送などを専攻しているんだろう。妙な絡め手を使われる危険性もあった。
ふむ。アルフはなかなかに良いミス(作戦通りと言い張るが)をしてくれたな。

「・・・アルフ『どうしようか、ルシル?』」

フェイトが迷っている。んん・・・そうだな、ここは、

『彼女たちの所有するジュエルシードもこの際だから頂いていこう。
それで目標へと少しは近づくはずだから、それでいいな?』

『え、う、うん! それじゃ、私があの白い子と戦えばいいんだね』

『そういうことだ。俺からあの子達へ提案する。いくぞ、フェイト』

念話で今からなすべきことを決め、いざ、というときになのはは話し合いでことを終えようとしてくる。
確かに話し合いというのは大事なことだが、今に限って言えば私たちには必要のない解決方法だ。
すると今まで傍観していたシャルが口を開く。

「なのは、あの子達を倒してジュエルシードを奪うわよ」

「え? シャルちゃん、それって・・・!」

シャルも同じことを考えていたようだ。
この場で完全に勝敗を決め、後の行動を制限させる為の戦闘。
いいだろう。その覚悟、受けて経つ。

「私が相手になる。ついておいで、シャルロッテ」

「・・・なのは、そっちは任せる。特訓を思い出して」

「・・・・・・・うん、分かった!」

シャルとなのはが短い話をして、シャルは俺へと近づいてくる。
そして俺はシャルを連れて森の奥へと向かった。


†††Sideルシリオン⇒なのは†††


シャルちゃんがゼフィちゃんと一緒に森の奥へと入っていった。
正直、私は戦いたくない。お話が出来れば戦わずに済むと思っていたかった。
けどもう戦うしかないみたいだ。なら覚悟を決めるしかない。

「私が勝ったらちゃんとお話を聞いてもらうから!」

「・・・いいよ、私に勝てたら、ね」

「いくよ、レイジングハート!」

≪All right≫

「バルディッシュ・・・!」

≪Yes, sir≫

どっちが勝っても恨みっこなし。
私はシャルちゃんとの特訓を思いだしながら戦闘に入った。

「すぐに終わらせる。バルディッシュ、フォトンランサー・・・」

≪Photon lancer.get set≫ 

「撃ちぬけ、ファイア!!」

「≪Flier fin≫ レイジングハート、≪Divine shooter≫・・・いっけぇ!」

魔力弾が交差する。だけど、お互いがそれを回避する。
まずは距離を置くための攻撃だったけど、うまくいったかな・・・?
シャルちゃんの助言、黒い子は機動力がすごいけど、その反面防御力がない。
だからディバインバスターで勝てるまではいかないまでも、かなりのダメージを与えることができるらしい。
でも、向こうは速さに特化しているので、何もしない状態では当てられない。
けどそれなら、当てることが出来る状況へと持っていけばいい、とのこと。
そこで私に提示されたのが誘導弾による相手のかく乱、誘導、そして足止め。
前のゼフィちゃんとの戦いで、シャルちゃんとしたようなことを今度は私一人で行う。
そのために、模擬戦と称してシャルちゃんが的となってくれた。

(全部避けきられたうえに反撃されたけど・・・)

そして最も重要なのは、決して接近されないこと。
正直な話、私はあまり運動は得意なほうじゃない(涙)。
そんな私が接近戦に持ち込まれたら絶対に負ける、って言われた。

「もう一回お願い、レイジングハート!」

≪Divine shooter≫

今撃てるだけのディバインシューターで、あの子を取り囲む。
もう少しで包囲網が完成する。そして、

「・・・レイジングハート・・・!」

≪Divine buster Stand by≫

「バルディッシュ、いくよ」

≪Thunder smasher≫

「≪Divine≫バスタァァーーーッ!!」

私とあの子の砲撃が同時に放たれる。


†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††


「あは! なのは、きちんと私が言ったこと守ってるみたいね☆」

「余所見をしている暇があるのか?」

「少しはいいでしょう? ほら、あなたのパートナーが結構苦戦してるじゃない?」

「フェイトがあの程度の策で負けるとでも思っているのか?」

私とルシルは木々が生い茂る中、全力で走っている。
こんな場所では“キルシュブリューテ”は使いづらいので出してはいない。
そこで今使っているのが、私のもう一つの相棒“ゼーゲン”。祝福の意味を持つナイフだ。
ナイフと思って侮るなかれ。刀剣類である以上、私の魔術を乗せることが可能だ。
走りながらルシルへと真紅(私の魔力光)の魔力斬撃を放ち続けていると、上空が桃色の閃光に染まる。
どうやらなのはがフェイトに砲撃を当てたらしい。
気にはなるけれど、今はルシルからは目を逸らすことができない。
下手に隙を与えると、ルシルは的確な射砲撃で迎撃してくる。

「ちゃんと避けさないよルシル!」

――氷牙凍羽刃アイス・ツァプフェン・フリューゲル――

氷で出来た鋭い羽根型小刀を12発弾丸みたいに飛ばし、触れた木々を切り裂いていく。
ルシルはブッ太い木の幹を盾代わりにして、何とか回避していった。

「くっ、ならこちらは・・・これだ!!」

≪我が手に携えしは確かなる幻想≫

ルシルの怒声。そして複製術式発動の詠唱。
詠唱と共に手の平に現れたのは・・・宝石? 
直径一cmくらいの様々な色をした球体だ。
現れた球体の正体を探ろうとした瞬間、ルシルの手から強力な電撃が放たれて・・・

「避けなければ・・・死ぬぞ」

――レールガン――

その一言の後、私へ向かってとんでもない速さで雷撃を纏った球体が襲い掛かってきた。
私は全力をもって回避行動に移り、何とか射線上より退くことが出来た。

「ハァハァハァハァ、い、今のは・・・黄金砲台の・・・電磁砲・・・」

あの攻撃は、生前見た、アンスールの一人で黄金砲台と恐れられた魔術師“殲滅姫カノン”の術式だ。
いや、違う。アンスールの複製魔術を使用するときの詠唱は別にある。
なら、今のはまたどこかの世界の別の誰かの力というわけだ。

「・・・よくかわせたな。フェイトのほうも終わったようだし、こちらも終わりだ」

「な・・・っ!? なのは!?」

私が見たのは、フェイトがなのはの首に刃を向けているところだった。


†††Sideシャルロッテ⇒黒の少女†††


あの子は砲撃を私に直撃させたと早とちりをしたのか呆けていた。
甘い。あの程度で勝ったと思ったのなら私の敵じゃない。
私は“バルディッシュ”をサイスフォームにして、白い子の首筋に掠めるように突きつける。
すると、

≪put out≫

白い子のデバイスがジュエルシードを出した。

「レイジングハート!? 何を!?」

主人、この白い子の事を考えて、“ジュエルシード”を差し出したんだ。

「きっと、主人思いのいい子なんだ」

私は“ジュエルシード”を手にした。もうこの場所には用はない。

「帰ろう、アルフ、ゼフィ」

近くまで来ていたアルフとルシルに声をかける。

「さっすがあたしのご主人様! じゃあね、おチビちゃん」

「・・・もうこの件から引きなさい、高町なのは」

アルフとルシルはそれぞれの別れを済まし去ろうとするけど、

「ま、待って!」

あの子が私たちを引き止める。まだ何か用があるというのだろうか?
けど、私にはもう言うことも何もない。だから、

「出来るなら私たちの前にもう現れないで。
もし次があったら、今度は止められないかもしれない」

もう関わってくるなと、次はないと口にする。

「名前・・・あなたの名前は!?」

「・・・フェイト。フェイト・テスタロッサ」

「あの、私は・・・」

聞きたくない、あの子の名前を知ってしまうと何故か必ず再会してしまうような気がしたから。
だから最後まで聞かずにこの場を去った。

「バイバイ♪」

「・・・」


†††Sideフェイト⇒なのは†††


「・・・なのは」

ユーノ君は沈んだ声で私の名前を呼んだ。
私は振り返って、「ごめんね、ユーノ君。ジュエルシード・・・取られちゃった」と謝る。

「ううん、なのはが無事ならそれでいいよ」

「それに謝るなら私のほう、ごめんなさい」

私たちは、フェイトちゃんとゼフィちゃんの前ではまだ弱かったんだ。

「もうこの件から引けって言われたけど・・・どうするなのは?」

「・・・諦めないよ。まだちゃんとお話していないから」

そう私はシャルちゃんに静かに告げた。
少しだけ垣間見た、フェイトちゃんの綺麗な赤い瞳の中に揺らぐ感情。
優しさ。寂しさ。いろいろな複雑な感情を見たと思う。
お話ししたい。きっとだけど分かりあえると思うから。



†◦―◦―◦―◦―◦↓シャル先生の魔術講座↓◦―◦―◦―◦―◦†


シャル
「また来たの? 物好きね。でもようこそ、第二回シャル先生の魔術講座へ。
シャル先生ことシャルロッテ・フライハイトよ。よろしく」

なのは
「助手の高町なのはだよ♪」

ユーノ
「えーっと、生徒らしいユーノ・スクライアです。
あの、シャル? なのはが助手なのに、どうして僕は生徒なの?」

シャル
「そういう立ち位置がベストと思うのだけど。
なのはは学ぶつもりないどころか常に頭の上に?マークを浮かべているしね」

なのは
「サラっと“馬鹿”って言われた気がする!?」

シャル
「気のせいよ。ユーノは学ぶ姿勢があるから生徒という立ち位置ということよ。
なのはは邪魔にならないように助手ということね。あ、そこ、ちょっと邪魔ね。こっち来て」

なのは
「ひどい! 何がひどいかって、何の躊躇もなく邪魔って言った!!(大泣)」

ユーノ
「ちょっとシャル! さすがに言い過ぎだよっ!」

シャル
「まさか泣くほどだなんて・・・。ごめんなさい、なのは。
邪魔じゃないからこっちに来なさい。ほら、よしよし良い子良い子❤」

ナデナデ♪

なのは
「あぅ~、なんか駄々をこねる小さな子供をあやすみたいにされてる?」

シャル
「それも気のせいよ。さて。これ以上、脱線するわけにはいかないわね。
それじゃあ今回使用された魔術は1つ。その魔術を紹介するわ。

――氷牙凍羽刃アイス・ツァプフェン・フリューゲル――

羽根の形をした氷で出来た小刀を、弾丸のように複数対象へ放つ術式よ。
そうね。直射型の射撃魔法と捉えてもらっても構わないわ」

ユーノ
「そうなんだ。なのはとは違って近中距離系なんだね、シャルは。
うん。でもこれってすごいバランスが良くない?
なのはの中遠距離、僕のサポート、シャルの近中距離。
このチームってよく考えれば最強の布陣になるかも」

なのは
「でもそれって、きっとフェイトちゃん達の事も言えるよね?」

シャル
「そうね。そこをどう切り崩していくかが私たちの課題ね。
さて。そろそろ終幕を行きましょうか。それでは、第三回シャル先生の魔術講座でお会いしましょ」

なのは&ユーノ
「ばいばーい♪」




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