パソコンが逝ったり、軽く事故って検査入院したり。
でも、そのおかげでのんびりでき、今日一日で書きあげる事が出来ました。
何事も前向きに・・・・・・(泣)
界律の守護神VS――――― 戦闘イメージBGM
Xenosaga ツァラトゥストラはかく語りき “promised pain”
十字架を背負いし神意の執行者 ~Predestination~
†††Sideレヴィヤタン†††
「なんでいるの?ですか・・・・・。まぁそれくらいなら話してもかまいませんね」
ベルゼブブの余裕。それも当然な事。今のわたしは“力”の無いただの小娘。
そんなわたしが、7体揃ったペッカートゥム相手に戦うなんて愚の骨頂。
自殺行為の何物でもない。でも、だからと言って退くつもりはない。
何故なら、そう、今のわたしには“ペッカートゥムの力”が無いだけだから。
(今こそルシリオンの言っていた使い時・・・なはず)
奥の手を使ってでも何とかして逃げる。もちろんルーテシアとアギトを連れて。
姉妹たちには謝る事しか出来ない。さすがに全員連れて逃げる事は不可能だ。
「あのとき、僕の中には六つの“力”がありました」
救出と逃走の段取りを考えていると、ベルゼブブがそう口にした。
「6つの“力”・・・・。そういうことか・・・!」
暴食の結界。色欲の操作。強欲の防衛。憤怒の拡散。怠惰の再生。傲慢の阻害。
確かにそれだけあるなら大抵の事に対処できる。
「確かに僕は3rd・テスタメントの攻撃を受け、この体の九割を粉砕されました。
実際、今こうして完全に復活するまでに、三ヶ月もかかってしまいましたし。
ですが、許されざる強欲たるマモンの“防衛”。許されざる怠惰たるべルフェゴールの“再生”。
許されざる傲慢たるルシファーの“阻害”。そして、許されざる暴食たる僕の“結界”。
それらのおかげで何とか生き残る事が出来たわけです」
「・・・・そして、ずっと隠れていた、と・・・」
「あぁ、いいえ。あなたが破壊して回った界律干渉の紋様を復活させていました。
実に大変でしたよ。ここミッドチルダ以外の世界に刻むのは。
まったく、あなたが破壊してくれたおかげで、しわ寄せは全て僕に来たんです。
あぁ、でも怒ってはいませんよ。確か結果オーライって言うでしたか、こういうのは・・・?」
「なっ!?(ミッドチルダ以外に刻んだ!? だったらこの世界の界律はもう動いているはず・・・!
ならシャルロッテとルシリオンも、守護神として動くはずだ!)」
「さて。あぁ話もここまでですね」
「っ!」
(来る・・・!)
ルシリオンがわたしの核としてくれた“生定の宝玉”。
その“生定の宝玉”へと送られて、貯蔵されたルーテシアの魔力を解放することで得られる戦闘能力。
その“力”で、この場をどうにかして切り抜ける。
「・・・・いきます!!」
「むっ!?」
魔力を解放。体中を駆け廻る魔力と呼ばれるわたしには縁遠かったモノ。
そう長い時間は耐えられないし戦えない。それに魔力も有限。
それに意識が飛びそうになるほどの痛みを感じる。だけど、
「ルーテシア・アルピーノが従者レヴィ・・・!」
その代償に戦える力を得る事が出来た。視線が一気にわたしに集まってきた。
身構える。いつでも反応できるように。いつでも救い出せるように。
「・・・・あははは。これはこれは。あぁ心配しないでください。
あなたを消さないように気を付けるよう、終極様から指示ですので」
「な・・・に・・・?」
どういうこと? わたしを生かしておく理由が解らない。
裏切り者のわたしを、どうして・・・?
「不思議そうな顔しているな、先代嫉妬よ」
「・・・・誰?」
わたしに声をかけてきたのは、先代のアスモデウスと同じように赤一色の初老の男。
どこかの王族が着ていそうな派手な服、そしてマントを纏っている。
「ふむ、我は許されざる傲慢。さて、先程の話だが、お前の消去は我らが任ではない」
「どういうこと・・・?」
シャルロッテとルシリオンが気づいて、助けに来てくれるまででいい。
それまででいいから、何としても時間を稼がないと・・・・。
「あんたを消すのは、そこの――あんたの大事な小娘が死んで、あんたに絶望を抱かせた後だってわけだ」
「っ!!」
(なんだそれは・・・。わたしを今生かす理由が、そんな馬鹿げた事だなんて・・・!)
わたしの逆鱗に触れた発言をした白い男。わたしは放てるだけの殺気を向けた。
「お前、必ず斃す。罪名は・・・?」
ルーテシアを死なせてから、それに絶望したわたしを消す。
そんなふざけた事を口にした白い男の名前を訊く。
「はぁー。許されざる憤怒だ」
「サタン・・・。真っ先に斃すから覚悟して」
そう挑発することで、わたしが真っ向から戦うと思わせる。
(まだ・・・? まだシャルロッテたちは気づかないの・・・!?)
もうそろそろ気づいてもいいはずなのに・・・。
やっぱりこいつらも、わたしたちの時と同じように神秘を隠匿しているのか・・・?
それとも、テルミナスとすでに事を起こしているのかもしれない。
「許されざる嫉妬。先にアギトを、終極様の命令通りに機動六課に連れていきなさいな」
「なっ、待て!!」
深緑のレヴィヤタンに向けて、レヴィヤタンと瓜二つの群青の女がそう言った。
明らかに双子。そして女という事は・・・・「アスモデウス・・・!」しかあり得ない。
色欲の罪は、必ず女性型が務めているからだ。
「分かったわ許されざる色欲」
「行かせない!!」
背を向けたレヴィヤタンに追い縋ろうとしたけど、
「あぁ、いけませんねぇ。いけませんよ先代嫉妬」
「ベルゼブブ! 邪魔を・・・・するなぁぁぁぁーーーーッ!!!!」
もう待っていられない。ごめん、ルーテシア、みんな。わたし・・・・・ここで死ぬかも。
◦―◦―◦―◦―◦―◦
――4月12日 AM8:51 機動六課隊舎前
半年前にも一度襲撃を受け、破壊された機動六課の隊舎。
そして今、その隊舎は半年前と同様に破壊されていた。
機動六課の魔導師たちと“絶対殲滅対象”による戦いによって。
「――それで? まさか欠けていないでしょうね?」
瓦礫に腰かけ空中に視線を向け、何者かと話をしている少女。
少女の名はテルミナス。終極の意を持つ“絶対殲滅対象”がナンバーⅩⅥにして、序列二位を誇る実力者。
そして元“界律の守護神”でもある。かつて最強の漆黒の第四の力として存在していた“儚き永遠を憂う者”の二つ名を持っていた守護神。
現第四の力ルシリオンにとっては二代前の先輩となる。
『はい。先代の許されざる嫉妬の思わぬ反撃を受けましたが、我々大罪は誰一人として欠けてはいません』
終極と話すのは、海上隔離施設へ襲撃を仕掛け、標的であるアギトの捕獲、そして機動六課へと送る任を負っていた“大罪”が一体、暴食の罪を背負いし許されざる暴食だ。
「当たり前でしょ。先代の、しかも大罪の“力”の無い残りカスに負けるなんて許さないから」
不機嫌そうに聞こえながらも、その声には喜悦の色が見られ、終極も楽しそうに笑みを浮かべている。
「こちらはもう済んだから、私がそっちに行く。待機していなさい」
終極がそう告げ、許されざる暴食は静かに「仰せのままに」と返す。
二体の会話をそれで終わった。
「・・・・クスクス。それじゃあ機動六課、任務開始」
「「「「「了解しました。我らが主」」」」」
機動六課の隊長陣。はやて、なのは、フェイト、シグナム、ヴィータが静かに答えた。
彼女たちの背後。そこにはスバル、ティアナ、エリオ、キャロがおり、さらに背後には他の隊員たちが待機していた。
機動六課は終極に敗れ、完全に操られた駒と化していた。
「クスクス。さぁ、早く来てルシリオン。早く踊りましょ♪」
心底楽しそうに、終極は瓦礫の中心で空を見上げていた。
新暦76年4月12日
第一世界ミッドチルダにおいて、後々の次元世界史に決して残されず語られる事のない戦争が幕を開けることになった。
†††Sideシャルロッテ†††
――4月12日 AM9:18 ミッドチルダ首都クラナガン
あまりにも静かすぎるクラナガン。何故なら人っ子一人いないから。
ミッドの“界律”が、自身に存在する生命を全て無時間空間に隔離したんだろう。
護るべき対象を契約執行中に下手に巻き込んで死なせないためにだ。
「・・・・・ふぅ」
いつか、こういう日が来ると思っていた。
ううん。必ず訪れる最後の日。逃れられない別れの日。
それが今日、私とルシルに与えられた誕生日だなんて・・・・イジメ?
「・・・ルシル・・・・」
声が震える。泣きそうだ。違う。もう泣いている。
涙が止まらない。止める事が出来ない。出来ないんだ・・・・・
「ああ。いるな、絶対殲滅対象が・・・・」
ミッドに着いてすぐ気がついた。
界律の守護神が斃すべき存在“絶対殲滅対象”が、間違いなくミッドにいる。そして、
――ミッドチルダ界律より
剣戟の極致に至りし者 天秤の狭間で揺れし者に今契約を
招かれざる破滅の使徒 終極と大罪来たりし 如何なる術持ちて 彼の者らを討て
総ての制限今此処に解放し 己が存在を賭けて 討ち滅ぼすこと
是本契約とす――
“界律”からついに本契約の通達が来た。
やっぱり界律干渉の紋様を破壊したくらいじゃ諦めないか。
それにしても相手はあの序列二位のテルミナス。正直勝てる気がしない。ていうか、
「ペッカートゥム!?」
半年前に潰したのにもう湧いてきた。
何でこんなに早く揃うのか、そこまで人間の罪は重いという事なのだろうか・・・?
「もう次代が揃ったようだな。まったく、面倒事ばかり運んでくる連中だ」
ルシルは随分な落ち着きよう。まぁ確かに契約執行となれば、大罪くらい容易く斃せる。
半年前は“干渉”が使えないからこそ苦戦したに過ぎないのだから。
「それにしてもやはり終極、か。・・・・・なぁシャル、勝てないとか思っていないだろうな・・・?」
「・・・・少し、だけ」
個人の実力じゃテルミナスの方がルシルより上。
本当なら序列六位の私と序列一位のルシルの二人がかりでも勝てる相手じゃない。
ルシルもそれくらい解っているはず。だけど、
「勝つんだ。絶対に。それがみんなを護る唯一の術だ」
「っ!?」
ルシルは私を抱きしめて、優しくそう言いながら頭を撫でた。
そっか。ルシルに頭を撫でられるのってこんなに気持ちいいんだ。
すごい落ち着く。ありがとう、ルシル。もう大丈夫だよ。戦えるよ。
「ありがと。私はもう大丈夫だから。行こうルシル。世界を護るために。
・・・界律の守護神白き第三の力、“剣劇の極致に至りし者”――」
「ああ。界律の守護神黒き第四の力、“天秤の狭間で揺れし者”――」
人間としての肉体を完全に捨てる。
ここからの闘いに、人の身体はただの枷でしかないから。
それは日常からの完全なる決別。もう後戻りが出来ない一線。
私とルシルはその一線を、
「「――契約執行形態・・・・顕現!!」」
越えた。
10年間という時間、私たちを縛っていた制限から完全に解放される。
“ジュエルシード”の時や2年間の契約執行ですら完全解放が許されなかった制限。
それが今、解放された。それと同時に本来の姿を取り戻す。私は髪の長さと身長が元に。
ルシルも髪の長さが元に戻った。
次に私は白の外套と純白の“第三聖典”を。ルシルは黒の外套と漆黒の“第四聖典”を手にする。
仮面は具現化させなかった。視界を狭める可能性があるから。
「さて。早々に終わらせ―――ば、馬鹿な・・・!?」
「?? っ・・・うそ・・・・なんで・・・!?」
戦闘を開始するために位相転移で移動しようとしたとき、私たちの視界にあってはならないモノが映った。
「くっそっ!! やられた!」
私たちの上空に現れたのは、
「LS級艦船・・・・!」
時空管理局が有する次元航行艦の一種、大気圏内活動に優れた小型のLS級の戦艦5隻。
そしてもう一隻。あの黒くて大型の艦船は確かXV級の次期主力艦のひとつ・・・。
『こちら時空管理局本局次元航行部隊所属、クラウディア艦長クロノ・ハラオウン』
「「クロノ!?」」
クラウディアから聞こえてきたのはクロノの声。
偽者かと、ルシルに視線を向けると、本物で間違いないって、首を横に振って応えた。
『界律の守護神4th・テスタメント。及び3rd・テスタメント。
テルミナス様が命により、この場で殲滅する』
テルミナスが時空管理局を掌握した。私たちにとって最悪過ぎる状況になった。
「・・・・・ルシル」
本局が落とされているなら、六課も落とされていると考えていい。
なのはたちが敵になる。しかも操られて。そんなの嫌だよ。
「仕方がない。シャル、君は六課にい――」
「えっ!? ルシル!? ルシル!!」
消えた。ルシルが一瞬でその姿を消した。
今のは位相転移のようだけど、いきなりすぎる。
「シャルロッテ、お久しぶりっス!」
「ウェンディ!? それに・・・・確かトーレ、クアットロ、セッテ・・・」
いつの間にか私の背後にいたウェンディたち施設組の姉妹たち。
それに軌道拘置所に容れられているはずの戦闘機人3体。ウーノとかいうのはいない。
そしてその身に纏っているのは、かつてのバトルスーツ。
きっちり武装していて、いつでも戦えると言える格好。
「テルミナス様の御命令でぇ、あなたを殺しまぁす♪」
相変わらずムカつく喋り方のクアットロ。
そう、私の相手は姉妹たちにさせるというわけ・・・・・・
「テルミナス・・・・絶対に殺す・・・・!」
正直、トーレたち拘置所組はどうでもいい。
けどチンクを始めとした施設組だけは殺したくない。
この娘たちとはそれなりに交流も深めたし、特にウェンディとは仲が良い。
「ムリだね!!」
「っ!?・・・・へぇ、その姿、ひとつになったというわけ、大罪ペッカートゥム」
視線の先、七体の分裂体じゃなく、一つとなった本来――完全体――のペッカートゥムがいた。
艶のない漆黒の髪。見る者全てを呪うかのようなどす黒い切れ長の瞳。
そして服装は真っ白な長衣の男性型概念存在。ナンバーEX大罪のペッカートゥム。
「久しぶりだねぇ、三番! 会いたかったぜぇ!」
「・・・私は会いたくなかったわ、大罪。
その虫唾の走る顔を何度も何度も何度も潰すこちらの身にもなってみなさい」
口調を少しだけ昔に戻す。こいつの前で今の口調だとナメられる。
「釣れないね。まぁそこがいいんだけどさぁ。
あー、まぁいいや。終極様の命令でね。三番、俺達としばらくダンシング!」
「・・・・チッ」
“第三聖典”を剣のようにして構える。
契約執行中においては、“神器”より、守護神専用の“聖典“の方が遥かに強いからだ。
(ルシルはきっとなのはたちのトコに強制転移されてるはず・・・。
テルミナスの奴、ルシルをそっちに行かせるなんて・・・)
「ホント性質が悪い・・・!」
ルシルとフェイトを戦わせるつもりなんだ。外道が。
†††Sideシャルロッテ⇒ルシリオン†††
「また・・・こんな光景を見るなんてな・・・」
強制転移を受けて、着いた場所は機動六課の隊舎。
だが、隊舎はほとんど半壊状態。戦いがあったと見ていい。
「・・・・今なら簡単に直せるか」
実数干渉を使って現実に干渉し、半壊した隊舎を元通りに戻す。
今まで世話になった愛おしい場所。それを直し終えて、
「・・・・テルミナス!!」
こんなことを仕出かした敵の名を叫ぶ。
実力は向こうが上。一対一で勝てる相手ではない。
だからと言って退くつもりなど毛頭ない。
そう、序列二位を斃せるチャンスが来たと思えば良いだけの事。
「ルシル」
突然名前を呼ばれても驚かない。この声の主は知っている。
彼女の声で、私は名を何度も何度も呼ばれているから。
振り返る。そこにはやはり彼女がいた。
「フェイト」
執務官としての黒い制服。そして手にしているのは起動した“バルディッシュ”。
すでにテルミナスに操られていると見ていい。
(すまない。私たちの闘いに巻き込んでしまって・・・・本当にすまない)
声には出さないが、心の底からの謝罪を告げる。
「・・・・クスクス。ねぇルシリオン、踊りましょう♪」
「テルミナス!! 貴様・・・!」
クスクス。テルミナスの笑い方のクセ。
間違いなくフェイトは、そしてなのはたちも操られている。
――ディバインバスター・エクステンション――
「っく・・・!」
上空から襲い来る桜色の集束砲撃。
(ああ、知っているものだ。なのは・・・君なんだろう・・・)
干渉を使ってフェイトを巻き込まないように障壁を張る。
難なくなのはのバスターを防ぎきった。干渉を超えるには干渉でなくてはならない。
魔法で今の界律の守護神を斃すことは不可能だ。が、
(テルミナスにそれが解らないわけがない)
何か策があると見て間違いない。
「ルシル。さぁ私と一緒に踊ろうよ。クスクスクスクス・・・」
「フェイトの声で・・・・――」
干渉を使って、フェイトを操っている終極を引っぺがす。
「――貴様の笑い方をするな!!」
右手を伸ばしてフェイトの体に触れようとしたとき、
――凍てつく足枷――
リインが使う氷結魔法の一種が私を捕えた。
氷に閉じ込められるなんていつ以来の事だろうか。
そして氷の檻の中から見た。ユニゾンしたはやてとリインが、フェイトの隣に降り立つのを。
それに続き、背後になのはが降り立ったのが気配で分かる。
「ルシル君・・・」
なのはとはやてが攻撃態勢に入ったのが判る。
だから、
――炎人招来――
炎熱系下級魔術を使って、私を閉じ込める凍てつく足枷を吹っ飛ばす。
その衝撃で、フェイトたちも後方に弾き飛ばされたのが見えた。
「・・・・もういい。彼女たちを解放してやってくれ・・・・テルミナス」
どこかにいるであろう本体に向け、私は静かに告げた。
◦―◦―◦―◦―◦―◦
VS―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦✛
界律の守護神VS機動六課
✛―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦VS
――ミッドチルダ北部廃棄都市区画
「なんで・・・!? なんで!?」
――レイストーム――
真紅の両翼を羽ばたかせ、地上すれすれを飛行するテスタメント・シャルロッテ。
その彼女に追い縋るのは、オットーのISレイストーム。
幾条もの緑色の光線が、テスタメント・シャルロッテを撃たんと空を走る。
逃げの一手を取る彼女の表情には焦りと困惑が浮かんでいた。
「随分驚いているようだけどさぁ、どうしたんだぁ三番」
姉妹たちとテスタメント・シャルロッテの戦いを観戦する“大罪”からの野次。
テスタメント・シャルロッテは一睨みしつつ、連続ロールで光線を全弾回避。
そして、急停止してのターン。
「IS発動ツインブレイズ」
「IS発動スローターアームズ」
「IS発動ライドインパルス」
そこにディード、セッテ、トーレが同時に、失速したテスタメント・シャルロッテへと仕掛ける。
それを迎撃するため、テスタメント・シャルロッテは“第三聖典”で三人の刃を受け止め、
「やっぱり・・・っく、干渉能力・・・。どうして!?」
テスタメント・シャルロッテの表情が歪む。
本来なら、契約執行中の彼女がここまで苦戦するようなことはない。
そもそも戦いにすらならないことこそが絶対なのだ。
しかし、今の彼女と姉妹の戦況は拮抗していた。
「どうしてこの娘たちが干渉能力を使ってるの!?」
それが最大の原因。“界律の守護神”と“絶対殲滅対象”のみが扱える絶対なる能力。
その干渉能力を、下位存在たる人類の階位として定められている姉妹たちに使えるわけがなかった。
しかし現に姉妹たちは干渉能力を使用し、テスタメント・シャルロッテを追い詰めていた。
「このぉぉぉっ!!」
テスタメント・シャルロッテは、三人の干渉を上回る干渉を使って三人を弾き飛ばし、トーレとセッテを廃棄ビルに叩きつけ戦闘不能に追い込む。
そしてディードは、オットーのいる方へと弾き飛んで、オットーと激突。両者は沈黙した。
「は~、随分優しいじゃないの三番。普段なら木端微塵のバラバラにするのに。
俺にもそれくらい優しくしてほしいもんだねぇ。いっつもバラッバラにしやがってよ」
「黙れ二級品。この娘たちを止めたら、次は―――セインっ!?」
「ISディープダイバー」
テスタメント・シャルロッテの両足を掴んだ、地面より顔と両腕だけを出すセイン。
そこに、、
――イノーメスカノン――
――オーバーデトネイション――
――エリアルキャノン――
テスタメント・シャルロッテに向けて、遠距離攻撃が三方向から襲いかかる。
「っ、真楯!!」
干渉が上乗せされた防性術式が、彼女の全方位に展開された。
そして着弾。大爆発が起き、激しい爆風と砂煙によって視界が閉ざされる。
「どこに行った・・・?(なんだ? 私たちは何故シャルロッテと戦っている!?)」
チンクは砂煙によって、対象であるテスタメント・シャルロッテを見失った。と同時に、自分の意識を取り戻した。
意識を取り戻し、テスタメント・シャルロッテと戦っている自分にパニックを起こす。
「ディエチ、見えるっスか?(な、なんスかこれ!? どうしてあたしらシャルロッテと戦ってるっスか!?)」
「ノイズが酷くて確認できない(なんで!? どうしてこんな・・・!?)」
次々と自分を取り戻していく姉妹たち。そしてパニックを起こしていく。
気がつけば友達であるテスタメント・シャルロッテと戦っているのだから当然だった。
しかし、
≪クスクス。もう意識を取り戻したの? 人形のクセして結構魂が強い様ね≫
(((((!!?)))))
突如頭の中に響いた他人の声に、姉妹たちはさらに混乱しだす。
≪クスクス。もうしばらく私の駒でいて≫
「(冗談じゃ――)しまっ――」
「ごめん、ディエチ・・・!」
――風牙烈風刃――
砂煙に紛れて突進してきたテスタメント・シャルロッテは、一番近くにいたディエチへと“第三聖典”を振るい、彼女の固有武装“イノーメスカノン”を圧砕、彼女自身も吹き飛ばし気絶させた。
「おらああああああ!!!(なんなんだよこれ!? 体が勝手に動いちまう!!)」
「っ、ノーヴェ・・・!」
「おおおおおお!!(避けてくれシャルロッテ!!)」
ノーヴェが自身の固有能力エアライナー上を疾走しながら、テスタメント・シャルロッテへと奇襲。
テスタメント・シャルロッテは咄嗟に“第三聖典”を盾にして、ノーヴェの“ジェットエッジ”の一撃を防ぐが、
――フローターマイン――
ウェンディが展開した無数の反応弾がテスタメント・シャルロッテを包囲。
中らなければどうってことはない。しかし、ノーヴェの一撃を防いでしまったことで、その衝撃に耐えきれず弾き飛ばされてしまい、
「しまった・・・!!」
直撃だった。約30近い反応弾が一気にテスタメント・シャルロッテを襲い、彼女の干渉による防御を破った。
何度も巻き起こる爆発と周囲へ拡大する砂煙。
「やったか!?(シャルロッテ!?)」
「直撃っス♪(もう・・・もうやめてくれっス!!)」
「IS発動ランブルデトネイター(やめろ! くっ、やめろっ!!)」
必死に自らの動作を止めようとするチンクたち。
だが、終極の絶対操作という干渉能力に隙はなく、意識を取り戻していようが、ただ見ていることしか出来なかった。
「オーバーデトネイション(っ! 頼む、逃げてくれ!!)」
砂煙の中にいるであろうテスタメント・シャルロッテを包囲するように、チンクの固有武装“スティンガー”が無数に現れる。
そしてチンクが指を鳴らし、全弾テスタメント・シャルロッテを襲撃。
さらに強大な大爆発を起こした。
「あー、これで決まったかぁ・・・。 やっぱり終極様の干渉は凄まじいねぇ。
罪人にすら干渉を扱えるように操作するってんだから」
それこそが姉妹たちが干渉能力を使用している理由だった。
下位の存在に、上位の“界律の守護神”にダメージを負わせる方法、即ち干渉能力を持たせる。
そしてその策は上手くいき、テスタメント・シャルロッテに苦戦を強いていた。
「・・・・・あ~らら。そう簡単に落ちるわけないよなぁ三番。さっすがぁ!」
“大罪”の視線の先、砂煙が晴れたそこに両翼は吹き飛び、左腕が根元から消滅しているテスタメント・シャルロッテが佇んでいた。
表情は俯いていて分からないが、明らかに怒りの雰囲気を醸し出している。
そして次の瞬間にはすでに左腕は元通りに修復され、何事もなかったかのように、ただ、
「ごめん。巻き込んで・・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
姉妹たちに謝罪した。“第三聖典”を掲げ、一気に振り下ろし地面に突き刺した。
――遥かに遥か、白の真白の、高き夢々、汝よ祈れ――
テスタメント・シャルロッテの干渉が地面を伝わり、残りとすでに倒れている姉妹たちを遥か上空に吹き飛ばし、強制転移で施設組は先端医療技術センターへ。拘置所組は本局へと送った。
「第一ラウンドはガラクタ人形共の負けかぁ。ま、当然だよなぁ。それじゃあ三番。第二ラウンドだ」
「っ!・・・・・・クズめが・・・!」
第二ラウンド。その相手を見て、テスタメント・シャルロッテの表情は今度こそ怒りに歪んだ。
「クロノ、ユーノ、アルフ、ギンガ・・・ルーテシア・・・」
テスタメント・シャルロッテの視線の先、彼女の友人たちの姿があった。
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