ベルゼブブ戦イメージBGM
BAYONETTA『Sapientia-In The Choice Between Good And Evil』
善悪下世界の望む往き先は・・・ ~Peccatum~
†††Sideシャルロッテ†††
変態ことベルゼブブと対峙する。放たれている威圧感から、あいつの実力の高さがよく分かる。
だけど、こっちは生前から幾度も死線を越えてきた。だからこの程度の威圧感・・・・
「なんともない!」
――閃駆――
一撃で決めるために閃駆で仕掛ける。
狙うのは、どのような存在でも変わることのない急所である首。
そこを刎ねてしまえば、それで終わりだ。
「急ぎ過ぎると怪我をしますよ?」
ベルゼブブがそんなことを言う。
私についてこれないクセに何を言っているのか・・・?
「御忠告感謝・・・!!」
ベルゼブブの背後を取る。“キルシュブリューテ”を、ベルゼブブの首めがけて横一閃に振ろうとしたとき、
「いきますよ・・・!」
ベルゼブブのその言葉の次に、私の前髪が小さくフワッと靡く。風・・・・?
そう思った瞬間、私の足元に幾何学模様――“口”の開いたようなもの――があるのに気づいた。
「あぁ、一撃目はサービスです」
逃げろ。そう直感が告げる。
「くっ・・・!」
閃駆を使って、ベルゼブブから、そして“口”から距離をとる。
直後、目の前を下から上へと何かが通り過ぎて、“口”の範囲内のギリギリにあった私の後ろ髪の毛先5cm辺りが消えた。
「今のは・・・・!?」
靡く後ろ髪を手に取って、雑に切られたようになっている髪を見る。
くそぉ、毎日時間をかけて手入れしている自慢の髪なのに・・・グスッ(涙)
「あぁ、申し訳ありません。女性にとって髪は命でしたね・・・」
ベルゼブブが心底すまなさそうに謝ってるけど許さない。
全力で睨みつけながら、後ろ髪を束ねてフープバインドで結う。
こういうときにもバインドって役に立つんだぁって思った。
「分かってるじゃない。だから覚えておくこと・・・・・来世でもね!!」
――風牙真空烈風刃――
風嵐系最強の術式。真空刃を複数巻き込んだ烈風刃をベルゼブブに放つ。
当然ベルゼブブは回避か防御に徹するかと思っていた。
でも、
「うそ!?」
信じられないことに真正面から私に向けて突進してきた。
私の前には放ったばかりの風牙があるのに・・・!!
「見えるんですよ、僕には・・・。風の流れ方が・・・!」
小さく囁いたベルゼブブの声が耳に届く。
風読み。それはまるで風迅王イヴィリシリアや風の騎士公オペルのようなスキルだった。
「それにですね・・・」
「くっ・・・はあっ!!」
無傷で風牙を突破してきたベルゼブブに“キルシュブリューテ”を一閃。
けど、
「っ! ちょっ・・・!」
ベルゼブブはそれを読んでいたみたいで、振るった右腕を余裕で取って、私を背負い投げする。
私は背中から叩きつけられる前に無理やり着地。そのまま左手でベルゼブブの右腕を掴み、
「こんのぉぉぉぉッ!!」
強引に上半身を起こして、ベルゼブブを前方に引っ張り上げてそのまま地面に叩きつける。
お互いの手が離れたのは同時。だからすぐさま“キルシュブリューテ”で、地面に倒れているベルゼブブに向けて刺突を放つ。
「っとと・・・!」
地面を転がって刺突を避けるけど、私の攻撃は終わらない。
――土龍閃・私バージョン――
私のお気に入りとなった飛天御剣流の一つをここでも使う。
地面を斬り上げて石飛礫を放つものらしいけど、私はその石飛礫にさらに魔力を纏わせる。
そのため、オリジナルよりはるかに威力が高いし、神秘もあるから十分ベルゼブブにもダメージを与えることが出来る・・・はず。
「ぐぅっ・・・!」
転がった勢いで立ち上がったベルゼブブに石飛礫が殺到していく。
それをベルゼブブは顔の前で両腕を構えて防御。
今のそんなベルゼブブは隙がありすぎて、逆にこちらが困惑するほどだ。
でも、どうであれ今が攻撃のチャンスであることには変わらない。
――閃駆――
距離を詰める。“キルシュブリューテ”は取り出した鞘に納める。
今から使うのは飛天御剣流の奥義、その名も天翔龍閃!!!
創世結界作成の合間(飽きてきた頃)に“英知の書庫”で何度も練習した剣技だ。
んで、資料に書かれていた通りに何度もやったんだけど、全然上手く出来なかった。
まっ、結局は大体6回目くらいで様になった。そして今、試してみたい・・・すごく!
居合い抜き――オリジナルは抜刀術って言うんだけど――の構えで最接近。
ベルゼブブは未だに顔面を守るように腕を構えている。これならイケる。
左足で踏みこむ。この左足での踏み込みこそがこの剣技の重要すぎる要だからだ。
最初これを知ったときはそんなバカな、って思ったり・・・。
――飛天御剣流奥義――
“キルシュブリューテ”を鞘から引き抜く。
長刀の所為で時間が少しかかるけど、大したものじゃない。
――天翔龍閃――
鞘から完全に刀身が抜けて、桜色の刃がベルゼブブ一直線に向かう。
上手くいった。完全にものに出来てる。
「あっ・・・!」
「あぁ、先程の続きですが・・・」
私の右手首を完璧に捉え、掴み取ったベルゼブブがそう口にする。
やられた。発動から到達までの時間を完全に読まれていた。
「痛っ・・・!」
ゴキッ、って右手首から嫌な音がした。関節を外されたかも・・・。
右手の握力が失くなって、“キルシュブリューテ”を取り落とす・・・・って・・・!
「3rd・テスタメント。今のあなたでは、僕には勝てません・・・!」
私の右手から離れた“キルシュブリューテ”を宙で左手に取ったベルゼブブが、
「やめ・・・っ!」
生前からの愛刀“キルシュブリューテ”で、私の胸の下を横一線に斬り裂いた。
「あ・・・・ごふっ・・・げほっ・・・!」
吐血。口から流れ出る血を押さえないで、斬り裂かれた傷口を両手で押さえる。
咄嗟に身を引いたから致命傷というような傷じゃない。
「ぐっ・・・こん・・・な・・・!」
傷口を押さえながら両膝をついて蹲る。やってくれた、この偽神父。
よりにもよって私の“キルシュブリューテ”で、この私を・・・!
許さない・・・・こいつだけは・・・・絶対に!!
「あなたの敗因はですね、許されざる暴食を相手に近接戦を選択したことです。
先代も、四代前も、八代前も、九代前も、さらに前も、あなたが斃したんですよ、
3rd・テスタメント。それゆえに、あなたの戦闘パターンの構築くらいは済んでいます」
「っ!」
何故それを知っている・・・?
「ん? あぁ、もしかして知らなかったんですか・・・・?
分裂体は代を重ねるとき、知識も記録も戦力も強化されていくんですよ」
「なっ・・・げほっげほっ・・・!」
そんなことが・・・! まずい、そんな情報は玉座にはない!
代を重ねることで強化されるなんて・・・ペッカートゥム・・。厄介すぎる特性だ。
「最悪・・・」
斃せば斃すほどに強くなるなんて・・・反則だよ、コイツら。
「それと、確かにあなたは疾い。ですが、それは人間としての疾さでしかない。
界律の守護神の位相空間転移ならまだしも、ただの歩法が僕に通じることはないです。
見えてしまいますので。あなたの歩法の疾さ程度ならば・・・・」
何とか立ち上がりながら、ベルゼブブを睨みつける。
鞘を離して、新たに取り出すのはナイフ型の概念兵装“祝福の証ゼーゲン”。
“キルシュブリューテ”に比べれば心許ないけど、武器が無いよりはマシだ。
「まだ戦うつもりですか。ですが先程申した通り、戦いが目的じゃありません。
ですので、僕はこれで失礼させてもらいます。あぁ、それと・・・」
私に背を向けて余裕をかまし、
「この刀、少しお借りしますね」
そんなことを言い放って、波打つ空間に消えていった。
っていうか・・・・、
「返せぇぇぇぇぇぇッ!! げほげほっ・・・・!」
叫んだらお腹から血が噴いた。危険危険危険・・・・危険だよぉ。
「あ~、なんかまずいよぉ・・・。でもこの程度・・・!」
頭がフラつく。血を流し過ぎたかも・・・。でもこんなんでリタイアなんてしない。
何故ならベルゼブブの顔の形が変わるまで殴り倒して、“キルシュブリューテ”を取り戻さないといけないから。
だから、
「フェイト? ちょっと助けてくれる? っていうか、シャマルいます?」
『っ!! シ、シャル!?』
まずは治療が先だ。
†††Sideシャルロッテ⇒フェイト†††
「ちょっ、ダメよフライハイトちゃん!!」
「そうですよ、シャルさん!」
「傷口が開いてしまいます!!」
「っていうかヴァイス陸曹、何見てるんですか! 男の人はこっち見ないでください!! セクハラで訴えますよ!?」
「痛っ! おいっ、俺も一応重傷なんだぜ!?」
シャルからの通信に応えて、シャルをシャマルの許まで運んだ私とエリオとキャロ。
お腹からたくさん血を流していたシャルを見たエリオとキャロは顔が蒼くなった。
見せるんじゃなかったって少し反省と後悔。
そして今、ヴァイス陸曹のヘリの中で治療(応急)を終えたシャルがゆりかごへ向かおうとするのを必死に止めるシャマルとスバルとキャロ。
ティアナは、上半身が包帯だけの、半ば裸であるシャルを見ているヴァイス陸曹を訴えるとか言ってる。
「ここまで傷が塞がったら大丈夫。あとはゆっくりとゆりかごの中で治すから」
「無茶だよ、シャル。あんなバッサリ斬られているのに・・・!」
お腹の辺りまではだけさせていた水色のワンピースの袖に腕を通して、前の留め具を嵌めてから、横に置いてあった白のロングコートを手に取って羽織る。
「あのクソ神父をボコボコにしないと気がすまないの。
それにスバルとティアナは行くんでしょ、ゆりかごに」
「「それは・・・そうですけど・・・」」
ゆりかごに居るなのはたちと連絡が取れないということが分かってる。
それはAMFが原因だということも。だからスバルとティアナが迎えに行く。
スバルは戦闘機人としての力を使えば、たとえAMFの中でも支障はないから。
そしてティアナは、ヴァイス陸曹のバイクで進入することになってる。
「私もそれについてく。いいよね? ね? ね? ね~?」
「「うっ・・・はい」」
「「「ええええええええ!?」」」
迫ってきた怖い笑顔のシャルの前に、ついに折れるスバルとティアナ。
それを見ていたエリオとキャロとシャマルからの驚愕の声。
私はもう慣れた。というよりはもう諦めに近い。
何を言っても聞かないんだから。なのはとシャルは・・・・ハァ・・・。
「それにやっぱり気になるんだ。ベルゼブブのことが・・・」
真剣な面持ちになったシャルがゆりかごを見る。
「え~と・・・じゃあシャルさんも一緒に行くってことでいいんすか?」
「もう! 無茶だけは絶対にダメよ、フライハイトちゃん!」
シャマルも折れた。人差し指を立てて、少し怒りながらの注意。
医者としては止めるべきだろうけど、もう言っても止まらないのはシャマルも解ってる。
「ありがとうシャマル。それじゃ、フェイトたちも気をつけて」
「うん。シャルも。そしてスバルとティアナも気をつけて」
「「はい!」」
私とエリオとキャロは地上に残る。
一度は活動を停止したガジェットがまた動きだしたからだ。
すでにレヴィヤタンたちが、せめての罪滅ぼしということで掃討に向かっている。
一度レヴィヤタンたちと合流するためにヘリを降りた私たちは、ゆりかごへ飛んで行ったヘリを見送った。
「それじゃあエリオ、キャロ。疲れてくるかもしれないけど、もう少し頑張って」
「「はい!!」」
私たちは地上に蔓延るガジェットの掃討へと出る。
もうこれ以上好き勝手させないために。
†††Sideフェイト⇒なのは†††
神父のような人を見て怯えているヴィヴィオを強く抱きしめる。
震えているのが分かる。けど、それは私も同じ。震えが止まらない。
「あれが・・・ペッカートゥムってやつなんか・・・?」
リインを強く抱きしめるはやてちゃんの震えた声。
あの人はさっきまで戦ってたバエルって女の人以上に危険だ。
そして、その人が持っているのはシャルちゃんの刀“キルシュブリューテ”だ。
しかも刀身に血が付いている。誰の?と考えて真っ先に浮かぶのは、
「シャルちゃん・・・の・・・?」
“キルシュブリューテ”の持ち主のシャルちゃんただ一人。
そんなこと考えたくない。でも、一度そう思ったら頭から離れない。
シャルちゃんが、あの人に“キルシュブリューテ”を奪われて斬られて・・・・。
「それならここに用はありませんね。ですので、勝手ながら退かせていただきます」
その人が綺麗な一礼をしてそう口にした。
助かった。正直あの人とこうして相対しているだけで冷や汗が止まらない。
「待て」
それを止めるのはルシル君。ゆっくりとあの人に歩いていく。
手に持っているのは“グングニル”。戦う気だ。
「ルシ―――」
それを止めようとしたとき、ルシル君が一瞬だけ視線を向けてきた。
「もう一度訊く。そのキルシュブリューテはどうした?」
怖い。今のルシル君のことが怖い。
私たちに向けられたものじゃないけど、その殺気の濃さは十分すぎる。
「あぁ、これですか? お借りしたんですよ。あぁ、持ち主は無事ですので安心を。
僕は許されざる傲慢を斃しに来ただけなんで、無駄な殺害はしません」
「ルシファーだと? さっきまで戦っていたのは女だったが・・・?」
ルシル君の歩みは止まらず、徐々にあの人に近づいていく。
「その辺りはこちらの不手際ということで」
「そうか。で、お前もペッカートゥムなんだな?」
「ええ。大罪が一、許されざる暴食です」
あの人がベルゼブブ。確かペッカートゥムの中で最強ってシャルちゃんに聞いた。
それを聞いたルシル君が歩みを停めて、背中に12枚の蒼い剣の翼を展開した。
「ならばここでお前を斃す『なのは、はやて。私が時間を稼ぐ。君たちは急いでこのゆりかごから脱出するんだ』」
念話でルシル君がそう告げてきた。
腰のホルスターに納められた黄金の“星填銃”を抜いて、銃口を私たちに――正確には出口を閉ざしている扉に向けて撃とうとしている。
私たちは巻き添えを受けないように急いで扉から離れる。
直後、銃口から蒼い閃光が放たれて、扉を吹き飛ばした。
「「ルシル君・・・!」」
「ルシルさん!」
「ルシルパパ・・・!」
それぞれルシル君を呼ぶ。振り向くルシル君は、私たちを心配させないためか笑顔だった。
「大丈夫だ。すぐに終わらせて、必ず追いつく。だから先に行っていてくれ」
視線をベルゼブブに戻して、私たちに振り向かない。
「分かった。待ってるからね、ルシル君。行こう、はやてちゃん、リイン。ここに私たちが残ると邪魔になるから・・・!」
「・・・ごめんなルシル君! 力になれんくって!」
「ごめんなさいです!」
ヴィヴィオを抱き上げたまま壊れた扉の先を目指す。
はやてちゃんはリインを肩に乗せてから戦闘機人を背負って、私の先を行く。
出口を潜って走りだそうとしたとき、
「「「「っ・・・!!?」」」」
私たちの間を何かが通り過ぎた。足を止めて、ゆっくりと後ろを振り返る。
「あぁ、申し訳ありませんお嬢様方。手加減が難しかったもので・・・」
さっきみたいに綺麗な一礼で謝ってくるベルゼブブ。
その周囲にある五つの光球が、ベルゼブブを中心として回っていた。
「・・・じゃあ・・・今の・・・!」
通路の先にいたのは、四肢をついて起き上がろうとしていたルシル君だった。
ということは、やっぱりさっき私たちを通り過ぎて飛んでいったのは・・・、
「ルシル君!!」
ルシル君だったんだ。
†††Sideなのは⇒ルシリオン†††
やられた・・・? いきなりの高速移動で不意を突かれ、通路まで吹き飛ばされた。
何とか立ち上がって玉座の間へと、ベルゼブブへと視線を戻す。
そして心配そうな顔のなのはたちと目が合う。
「・・・問題ない。さぁ、みんなは早く行くんだ」
口に中にある血を吐き捨てる。女の子の見せるようなものじゃないが、今はそんなことを言ってはいられない。
「でも!」
はやてが声を荒げるが、
「この戦いは私たちの問題だ。みんなを巻き込むわけにはいかない。
それに・・・・君たちの魔法じゃ許されざる暴食には通用しない」
さっきのように魔法に神秘を乗せたような術式を展開してやればいいが、あれではリスクが大きすぎる。
攻撃の手段があっても、防御の手段がなのは達にはない。
それはつまりベルゼブブの攻撃を常に防がないといけなくなる上、ちょっとしたミスでなのは達を死なせるようなことになってしまうということだ。
そうなれば自殺ものだ。かつてのように守れなくて、心が壊れ、その果てに・・・・。
「ルシルパパ・・・」
なのはに抱き上げられているヴィヴィオが手を伸ばしてくる。
玉座の間に向かう足を止め、そっと優しく握る。
「小さいな・・・・」
誰にも聞こえないように静かに呟く。
この子たちの未来を奪わせないためにも負けるわけにはいかない。
「行ってくれ・・・」
それだけ告げて、振り返らずに玉座の間へと再び歩みを進める。
すると背後から「頑張って」とヴィヴィオの声援を受けた。
それに片手を上げることだけで応える。それで最後だ。通路を走る足音が遠ざかっていく。
「あのお嬢様方と一緒に行かれれば・・・・」
「絶対殲滅対象は全て滅殺。それが界律の守護神が存在意義。
理由はない。そうなるよう世界が定めている。ゆえにそれに従おう」
契約は果てていない。堕天使エグリゴリを殲滅し終えるまでは。
それまでは踊ってやるさ。無様だろうと何だろうと・・・・。
「そうですか・・・・決められた事項を果たすだけ・・・ですか。
あぁ、なんと哀しい方々だ界律の守護神。かなしい哀しい悲しいカナシイ」
ベルゼブブの周囲を回転している光球がさらに速く回る。
そしてその全てがベルゼブブの胸へと入っていき、
「あまりに哀れで涙を誘います。あぁ、やはり主の言うことは正しい」
VS―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦✛
其は大罪が暴食ベルゼブブ
✛―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦VS
「くっ・・・!?」
ベルゼブブの存在感が一気に跳ね上がった。これは・・・・!?
「暴食、色欲、強欲、憤怒、怠惰、傲慢の六つの“力”です。
嫉妬はいろいろとありまして無いですが・・・。それでも十分でしょう?」
不完全だが“大罪”となりつつある。だというのに“界律”は何もアクションを起こさない。
どういうことだ? ここまで派手に存在している“絶対殲滅対象”が居るというのに・・・。
「どうでしょう4th・テスタメント。先程3rd・テスタメントにも言ったのですが、大罪の目的は界律の守護神と戦うことではないのです」
「っ!・・・で? その割に随分な力を見せつけてくれるじゃないか。
それで戦いたくないと言われても信じられないし、こちらには戦う理由がある」
「・・・あぁ、そうですか。3rd・テスタメントと同じことを言うのですね。
やはり霊長の審判者を悪としているからですか・・・・?」
心底残念そうな顔で訊いてくるな。それにしても“悪”だから、か・・・・。
「絶対殲滅対象である以上は斃させてもらう。それこそが理由だ」
善悪なんてものを動機としてしまえば、上位存在の大乱戦となるのがオチだ。
善、悪。それは存在するモノの数だけあるものだ。絶対正義もなければ絶対悪もない。
まぁ、例外というのも存在しているが・・・・。
それに、“界律の守護神”もまた悪を行う。必要悪というものだ。
その筆頭が第四の力“天秤の狭間で揺れし者”である私だ。
召喚された世界においては“悪”として、その世界の抑止力となる英雄たちに殺されるなんてこともある。
ああいう契約は本当に堪えるんだよな。そう思うのも初めのうちだけだったが。
少し思考がズレたか・・・・?
「それ以前に解っているはず。善悪で計れるほど簡単な存在ではないだろ?
界律の守護神テスタメントだろうと絶対殲滅対象アポリュオンだろうと・・・・」
「確かに・・・。対立物の統一と闘争の法則・・・・・ですね」
よくそんなことを知っているな、こいつ・・・。少し驚きだ。
だが、それの結果は全ての滅びでしかない。
「互いが滅び滅ぼされ、空席が生まれ、そして埋まるたびにまた闘い、場合によってはどちらかに寝返ることもある。終極がいい例だな・・・」
終極テルミナス。先々代の4th・テスタメントだった“絶対殲滅対象”だ。
「それはあなたも同じでしょう、4th・テスタメント・ルシリオン。
かつてのナンバーⅣ亡失であるアーミッティムス様・・・・」
「遥か過去の事だ、思い出させるな」
こんな昔話をしに来たんじゃないな。そろそろ始めようか・・・・。
「話はこれで終わりだ、ベルゼブブ」
“グングニル”を手に取り、臨戦態勢に入る。
注意すべきはさっきの高速移動法。そして他の罪の“力”というものだ。
それにどういうものか分からないが、ベルゼブブ本来の“力”にも注意を払う必要がある。
シャルを一時的にも倒すほどのものだ。最重要として注意する。
「・・・・逃げられないみたいですね。仕方ありません。
3rd・テスタメントと同様、少し痛めつけてから離脱させてもらいましょう・・・!」
――憤怒の力――
黄緑色のレーザー群が、ベルゼブブの周囲から放たれる。
ならば一つ残らず迎撃してくれる。
「輝き燃えろ、汝の威容!!」
設定する攻撃範囲はこの玉座の間全体。レーザーごと燃え尽きてしまえ、ベルゼブブ。
――暴食の力――
「なに・・・!?」
私が床に展開した円陣を上書きするように現れたのは、幾何学模様で構成された“口”。
それが円陣ごと蒼炎を全てを飲み込んだ。これは・・・この術は見覚えがある。
「結界・・・くっ!」
――憤怒の力――
そう発した直後、レーザー群が襲いかかってきた。
レーザー群を“グングニル”で捌きつつ回避を行うことで、いくつかを掠る程度で済んだ。
「あぁ、気づいてしまいましたか。そうです。僕の“力”は“結界”です。
“口”の縁を境界線として結界を張ることのできる“力”ということです」
知っている。これを使うヤツを。この“力”の所為で・・・“彼女”は・・・!!
さっきまでのルシファーに対する怒りとは別の怒りが満ちる。
すでにそれは怒りというレベルではなく憎悪に近い。
「っ! さすがは最強の第四の力。人間へと霊格が落ちようと凄まじい・・・!」
「浄化せよ――」
右手の床につき発動させるのは、炎熱系対人攻性術式メタトロン。
屋内戦において効果を発揮し、“グリュートトゥーンガルズの戦い”で、連合の前線砦を落とした術式だ。
床についた右手を中心として八方に拡がっていく浄化の蒼炎。
それが床を、壁を、玉座の間の天井を走り、ついた右手のちょうど真上にまで届く。
床、壁、天井に引かれた八つの蒼炎が波打ち、
「――汝の聖炎!!」
玉座の間を吹き飛ばすほどの爆発が起きる。
対炎の魔力障壁を張って、未だに爆炎が治まらない中、ベルゼブブのいた玉座付近に視線を移す。
「・・・・無傷・・・!?」
さっきまでと何ら変わらずに佇んでいたベルゼブブ。
蒼炎が・・・・届いていない!? ならばこれでどうだ!!
――殲滅せよ、汝の軍勢――
1000の槍群を撃ちだす。
だが、カマエルはベルゼブブへと届く前に消滅していっている。
まるで見えない何かが妨げるような・・・・・まさか!!
「中級術式の神秘が、ベルゼブブの神秘を下回っている・・・!」
そうとしか考えられない。
「これは当然の結果です。嫉妬を除く“罪”が今、この身の内にあります。
“干渉”ならまだしも、神秘があるとはいえ単なる人間の技。
通用しないのは自明の理のはずです、4th・テスタメント・・・!」
――ライドインパルス――
さっき私の不意を突き、殴り飛ばしたときに使った高速移動法だ。
確かに速いが、一度見た以上は、
「通用しないと知れ!!」
左側面に移動したベルゼブブに向けて、“グングニル”を振るう。
能力解放状態じゃないが、それでも中級術式以上の神秘はある。
直撃すればそれで、
「終わる!」
「ふっ・・・!」
短く息を吐いたベルゼブブが、“キルシュブリューテ”で迎撃してきた。
「「っ・・・!」」
“グングニル”と“キルシュブリューテ”が激しい火花を散らす。
“ヴィーグリーズ決戦”を思い出す光景だな、これは・・・。
――傲慢の力――
「なっ・・・・!?」
視界からベルゼブブの姿が忽然と消えた。知覚阻害か・・・!?
「どこだ!? ベルゼ――っが!?」
攻撃に備えて構えようとしたとき、右わき腹に何か衝撃が来た。
この感覚は蹴りによるものだ。
「分かたれた“力”は今一つとなり、本来の効力を発する。ということです」
片膝をつき、知覚阻害を解いたのかベルゼブブが目の前に現れた。
「本来の効果を発揮、か・・・!」
“グングニル”を支えにして立ち上がる。
今の蹴りは効いたが、戦闘には全く支障ない。手加減をしたな。
≪我が手に携えしは確かなる幻想≫
「撃鉄を起こせ、黒金の猟犬。銃口の先、狙うは拒みしもの。
示せ、慈悲の殲弾。厳粛なる裁きの鉄槌を撃て・・・・」
――銃軍嬉遊曲――
魔術が通用しないのならば、神器で掃討するのみ。
展開する約190の銃火器群。ターゲットはベルゼブブ一体のみ。
玉座の間を吹っ飛ばしたことで、展開するには十分な広さだ。
「氷結剣クロセル・・・!」
右手に携えるのは、ソロモン72柱の魔神の一体クロセルが持つ、溶けることのない氷の剣。
この剣で斬られた傷口は、重度の凍傷を与え腐らせるという。
「・・・・・!!」
――暴食の力&憤怒の力――
「あぁ、どこまで通用するか、どうぞお試しあれ・・・・・!!」
銃火器群の真下に“口”が展開。銃火器群を次々と飲み込んでいく。
すでに放たれている無数の弾丸をレーザー群でピンポイントで迎撃。
それでも突破した弾丸を“キルシュブリューテ”で弾く。追撃するなら今だ。
「邪しき凍土!!」
――強欲の力――
“氷結剣クロセル”を床に突き刺し、周囲一帯、ベルゼブブや銃火器すらも凍結する。
視界の全てが白銀世界である中、目の前には氷漬けにされたベルゼブブがいる。
「トドメだ。・・・・グングニル!!」
その場で回転し、遠心力を乗せた“グングニル”を投げ放つ。
ベルゼブブに到達するまでに、通り過ぎた部分の氷を粉砕しながら巻き込んでいく。
“グングニル”が中れば終わりだ。しかし、
「あぁ、残念ですが足りません・・・」
ガラスが割れるような轟音が鳴り響き、全ての氷が砕け散る。
それはベルゼブブを凍結していた氷までも。そして迫る来る“グングニル”を回避し、
――ライドインパルス――
またあの高速移動。しかし見えている以上は脅威じゃない。
ベルゼブブは手にする“キルシュブリューテ”で、私の足を狙うように振る。
こちらの足を潰して、そのまま姿を消すつもりだろうが、
「させるか!!」
“氷雪剣クロセル”を盾にするように構える。
神秘のランクとしてはこちらの方がおそらく下だ。
たとえ能力が解放されていない“キルシュブリューテ”でも、その神秘は高い。
何せ創造したのが“魔神アルメリア・フォン・シュゼルヴァロード”だ。
彼女の創る魔造兵装は、どれもがふざけた能力を持ち、神秘も半端じゃない。
「さっさとその汚らわしい手をキルシュブリューテから離せ・・・!」
衝突するお互いの剣から火花が散り、数秒で“氷雪剣クロセル”が切断される。
それを見て、私もベルゼブブもたった2秒程度だが硬直する。
だがそれだけ時間が稼げれば十分だ。さっき投げ放った“グングニル”が、ベルゼブブの背後から迫る。
≪我が手に携えしは確かなる幻想≫
私の呪文を聞き、ベルゼブブがすぐに行動に移ろうとするが、
「っ!!」
背後から迫る“グングニル”に気づいたベルゼブブだがすでに遅く、“キルシュブリューテ”を持っていた右腕が吹き飛ばされた。
私は左手で戻ってきた“グングニル”を取り、空いた右手で宙を舞う“キルシュブリューテ”を取る。
「おおおおおおッ!!」
右の“キルシュブリューテ“をすぐさま前方、ベルゼブブへと向けて振り下ろす。
「ぐぅっ!!」
一瞬で左腕を斬り落とす。両腕の無くなったベルゼブブだが、
――怠惰の力――
それは一瞬だった。気づけば失っていたはずの両腕が再生した。
手にしているのは“ルートゥス”二振り。視認したすぐに“グングニル”を横一閃に振るう。
それをベルゼブブが両手の“ルートゥス”で防ぎ、
――憤怒の力――
私とベルゼブブの間に生まれる黄緑色の光球。
すぐに“グングニル”を引き、ベルゼブブから距離を開ける。
と、同時に一斉に放たれるレーザー群。すぐさま空戦形態ヘルモーズへと移行し、回避行動に入る。
――熾天覆う七つの円環――
七枚の花弁が開く。レーザー群は盾に拒まれ突破できないが、次に来た攻撃で一気に消された。
その攻撃とは“ルートゥス”の弾雨。阻害の概念がある武装だ。
それで盾を構成する魔力を阻害され、その上で神秘は向こうが上だったからだろう。
だが、こちらの次の攻撃への時間稼ぎは出来た。
「目醒めよ、神槍グングニル!!」
能力の限定解放。完全解放には魔力が全然足りないからだ。
オーバースローで“グングニル”を放とうとしたとき、
――傲慢の力――
また知覚阻害を使って姿を晦ましたベルゼブブ。本当に面倒だ。
†††Sideシャルロッテ†††
「うおおおおおおッ!!」
スバルが四角形の結晶体に突撃していく。
そして私は、ティアナの運転するバイクのタンデムシートに座って、
「ロイヒテン・プファイル!」
スバルの援護をするための射撃魔法を連射。
こんなことばかり続けてるからスバルの体力が心配だけど、さっき訊いたら「大丈夫」らしい。
さすがはなのはとヴィータに鍛えられただけはある。
そのヴィータともさっきすれ違った。
一瞬だけど、ヴィータは血だらけと言えるほどにダメージを負っているのを見た。
でも武装隊の人と一緒だったし、おそらくゆりかごから離れるはずだ。
「さっきから大きい爆発が続いてますが、なのはさんたちがまだ戦ってるんでしょうか?」
バイクを運転するティアナがそう口にする。
確かにどっか遠くで、微かだけど爆発音と小さな揺れが連続して起きている。
ここまで届くのだから爆心地はとんでもないことになってるはずだ。
「もしそうなら急がないとだね」
“マッハキャリバー”の速度を落として、バイクと並走するスバルを見る。
でもやっぱり少し疲れが見えた。
「なのはたちの戦いは終わってると思う。たぶん今戦ってるのはルシル。
ベルゼブブがゆりかごに進入したのは間違いないから・・・」
「「ベルゼブブ・・・・」」
二人の表情が曇る。
「・・・・あれは・・・・なのは! ヴィヴィオ!」
長い長い通路の先になのはと、なのはに抱き上げられているヴィヴィオがいた。
そしてその隣には、何かを背負っているはやてと、はやての肩に乗るリイン。
「シャルちゃん! スバル! ティアナ!」
「なのはさん!」「八神部隊長!」
通路を走っていたなのはたちの許に急ぐ。
見た限りなのはとヴィヴィオは大した怪我を負っていなさそう・・・良かった。
で、やっぱりルシルがいない。ベルゼブブと戦っているのは確定みたい。
「シャルちゃんは大丈夫なの!?」
なのはが私を頭から足先まで見て心配してくる。
見ればはやてとリイン、ヴィヴィオまで同じように見てくる。
「大丈夫大丈夫。ほとんど傷も塞がったし・・・・。
それで、ルシルはやっぱりベルゼブブと・・・・?」
一応確認しておく。するとなのはたちの表情が一気に強張った。
「そうだよシャルちゃん! ルシル君一人残って、私たちが逃げる時間を稼ぐって・・・!」
「いくらルシル君でも、あんなん相手に一人って・・・!」
「・・・・分かった。みんなはゆりかごから脱出して。
私はこのままルシルのところまで行って加勢す・・・っ!」
「「「「「「っ!?」」」」」」
そのとき、大きくゆりかごが揺れた。立っていられないほどの揺れ。
明らかにルシルの魔術の所為だ。この場で私にしか解らない神秘の奔流を見たから。
「みんなは急いで脱出して」
そう言ってバイクから降りる。身体損傷率は10%を切った。
これも“祝福の証ゼーゲン”の加護のおかげだ。これなら多少の全力戦闘も出来る。
「スバル、ティアナ。なのはたちをお願い」
ゆっくりと通路を歩きながら、ここまで送ってくれたスバルたちに告げる。
「「・・・・はい!」」
「ん、良い返事!」
「シャルちゃん!」
なのはが私を呼びとめる。私を振り向いて、なのはに視線を移す。
「・・・待ってるから。ルシル君と一緒に帰ってきて・・・」
「当然!」
それだけ答えて、私は走る。そして背後からなのは達の音が遠ざかっていく。
これでゆりかごを破壊するような魔術を使っても、巻き込む心配はなくなった。
「今行くから・・・・。覚悟しろ、ベルゼブブ・・・・!」
私が全力で殴り飛ばすまで、お前が生きていることを願おう。真剣に。
通路を走る中、ハッキリと感じられるようになる。
ベルゼブブの存在感。地上のときとは圧倒的に違う強大すぎる存在感だ。
どうして? こんなにまでなったベルゼブブがいるのに、“界律”が動かない?
「何か仕掛けているのか・・・?」
そんなことを考えながら、次第に強くなっていく存在感を頼りに向かう。
そして一気にゆりかご内部の風景が変わる。
さっきまでは綺麗な内装だったのに、今じゃボロボロに焼け爛れている。
何か大きな爆発が起こったような・・・・って、さっきの揺れの・・・。
ボロボロになっている通路を走る。走りにくくて嫌になるけど、そんなことは言ってられない。
次第に聞こえてくるのは、怒声と衝突を繰り返す衝突音、そして爆発音。
「目醒めよ、グングニル!」
ルシルの声。近い。もう少しでたどり着くことが出来る。
お腹に当てるようにしていた鞘に納められた“ゼーゲン”を抜く。
そして見えた。“グングニル”と、私の“キルシュブリューテ”を携えたルシルと、ルシルの目の前に走りこんできている“ルートゥス”を携えたベルゼブブ。
けど、ルシルはそれに気づいていないのか周囲を見渡している。
そこで解った。ベルゼブブは知覚阻害を使っているって。
だから、
「いっけぇぇぇぇッ!!」
“ゼーゲン”をベルゼブブに向けて全力投球。
迫る“ゼーゲン”に気づいたベルゼブブが、片方の“ルートゥス”で弾いて、“ゼーゲン”が粉々に砕け散った。
――閃駆――
一気にルシルにまで走り寄って、
「ルシル!」
「っ、ああ!」
ルシルが右手に持っていた“キルシュブリューテ”を私に向けて投げる。
私は跳んで“キルシュブリューテ”を手に取る。
「どっっせぇぇーーーーいっ!」
――双牙氷閃刃――
ベルゼブブに向けて魔術を放つ。
それは直撃だった。だけどベルゼブブは何事もなかったように立っていた。
「ちょっとルシル。あれどういうこと・・・?」
ルシルの隣にまで跳躍して下がる。視線の先には無傷のベルゼブブ。
「見て解るはずだ。ベルゼブブの神秘の強さに。
私の中級魔術――メタトロンやカマエルが通用しなかった・・・」
メタトロンって確か・・・・中級第三位の火力を持つ術式だったっけ。
そしてカマエルは中級第二位。それが通用しないというわけか。
「なるほど。なら私の真技で斃す」
「ついでにベルゼブブは嫉妬以外の“力”を使うらしい。
その上何らかの高速移動法を使う。まぁ、速さで言えば圧倒的にシャルが上だが・・・」
それこそ見れば解る。ルシファーの“ルートゥス”を使っているんだから。
それに高速移動法っていうのもあるらしい。ルシルの言葉が正しいなら、私よりかは遅いらしいけど。
「あぁ、これはいよいよまずくなってきましたね。
では、これから全力の離脱を試みますので、邪魔をしても無意味と・・・っ!!」
――閃駆――
ベルゼブブの話の途中で最接近。
ホントは殴り飛ばしたいけど時間も無ければ余裕もない。
ゆりかごが軌道上に上がるまでに斃して、脱出しないと・・・。
だから一気に決めて、なのはたちのところに帰るんだ。
「言いませんでしたか3rd・テスタメント。あなたの戦闘パターンはすでに解析済みだと・・・・!」
「それは一対一での話でしょ。今、ここにはルシルがいる・・・!」
“キルシュブリューテ”を振るう。狙いはベルゼブブの腕。
ベルゼブブとのすれ違いざまに一閃。左腕を斬り落とす。
――怠惰の力――
「はあ!?」
斬り落とした瞬間にはすでに新しい腕が構成されていた。
ズルっ! さすがにそれは卑怯だよ!!
「言うのを忘れていたが、ベルゼブブには高速再生能力もある」
「遅っ!」
砲塔が三つある青銀のガトリングガンを手に、ベルゼブブへと銃口を向けるルシルからの遅い情報。
それの巻き添えを食らわないために全力で離脱しながら叫ぶ。遅すぎだって、ルシル。
直後、三つの砲塔、その24の銃口から無数の神秘の弾丸が斉射される。
――ライドインパルス――
あれは・・・・アスモデウスが使っていたものだ・・・。
なるほど。あれがルシルの言っていた高速移動法ってわけだ。
ルシルのガトリングガンから放たれる弾丸を、速度に物を言わして回避し続けるベルゼブブ。
でも、私がいることを忘れないでほしいな・・・!
「くらえぇぇーーーッ!!」
“キルシュブリューテ”の神秘の斬撃を放つ。
その斬撃すらもギリギリで回避していくベルゼブブだけど、
「いけ、グングニル!!」
ルシルはガトリングガンを斉射しながらも“グングニル”を投げ放つ。
それを“ルートゥス”で弾こうとするけど、逆に“ルートゥス”が砕かれた。
「っ・・・これは・・・!」
「そう何度もグングニルの打撃を受けて無事なわけがないだろう・・・!」
「よそ見注意!」
もう一度斬撃を放つ。さっきと同じようにベルゼブブの腕を斬り落とすけど、
――怠惰の力――
すぐそばから再構成が始まって、二秒とせずに元通りだ。本当に性質の悪い“力”だね~。
「斬ろうが潰そうがすぐに再生か・・・・。ああいうのは本当に面倒だな」
「そうは言いますが、界律の守護神も同じですよね」
そこは否定できない。守護神としての戦闘で、万が一ダメージを負った場合にはすぐに再生される。
それもベルゼブブの再生よりさらに速く、だ。
『私の上級か真技を使えれば容易いが・・・・。シャル、飛刃・・・いけるか?』
『飛刃? 使用制限は受けてないから大丈夫。けど、アレって“キルシュブリューテ”を完全解放しないと使えないんだけど・・・・』
ルシルからのリンク。さっきまでは使えなかったけど、至近でのリンクは繋がるみたい。
で、ルシルの提案だけど、能力を完全解放するにはXXランクの魔力が必要だ。
術式の使用は問題ないから、あとは魔力をどうにかすればいいだけ。
『ならいけるな。私の魔力を使えば撃てるだろう』
『・・・やっぱそれか。いいよ。やろう』
「あぁ、仕方ありません。一度殺しますので、再召喚で帰ってきてください」
そう言って、ベルゼブブの雰囲気が変わった。完全に戦闘モードになったらしい。
威圧感が消えて、波の無い湖面のような静けさを身に纏い始めた。
これは・・・ちょっとまずいかもね。
――暴食の力――
床一面に展開された“口”。逃げ場がない・・・!
「結界には結界をぶつけるのみ!!」
――聖天の極壁――
ルシルが床に手をついて、“聖天の極壁”を現実に展開した。
†††Sideシャルロッテ⇒ルシリオン†††
本日二度目の“聖天の極壁”。しかも今回は現実への展開だ。
「これが・・・・!」
ベルゼブブが周囲を見渡して少し驚きの表情を見せる。
「結界には結界を。いいですね。あぁ、それには賛同できます」
ベルゼブブが笑みを浮かべる。すると“聖天の極壁”全体に“口”が展開された。
おいおいおいおいおいおい。それはさすがに・・・・駄目だろう!?
次の瞬間、視界が暗転。結界内に風が吹き荒び、“聖天の極壁”が消えた。
目を開けると、そこは相変わらずゆりかご内。
なんてヤツだ。まさかペッカートゥム――しかも分裂体であるベルゼブブに――創世結界を破られるとは。
「ねぇ、ルシル。今のって反則じゃない?」
シャルが信じられないといった感じで訊いてきた。もちろんそれには賛成だ。
「手段は選んでいられない。シャル、今すぐ私から魔力を持っていけ。あとは君に任せる」
恰好悪い話だが、シャルの真技に頼るとしよう。
直撃させれば、再生なんてものが無意味になるほどのダメージを与えられるはず。
「・・・・了解。行くよ、ルシル・・・!」
私の魔力炉から一気に魔力がなくなって、シャルへと流れ込んでいく。
意識が遠のき視界が揺れる中、シャルが少し苦しそうに顔を歪ませている。
SSS以上の魔力が制限されている所為だろう。
「はぁはぁはぁはぁ・・・・。あとは任せて、ルシル」
意識が途切れる前、確かに聞いた。
ああ、ならあとは任せて、少し眠るとしよう・・・・。
†††Sideルシリオン⇒シャルロッテ†††
この身に宿す魔力はXXランク。魔力炉破綻寸前だ。
だけど、ルシルから託された以上は必ず勝つ。
ルシルが背後で倒れたのが分かる。けど振り返らない。絶対大丈夫だから。
私が見るのはベルゼブブのみ。理由はどうあれ斃すべき敵。
「すぅ・・・はぁ・・・っ、いくよ・・・!」
――閃駆――
一気に距離を詰める。魔力を身体強化と、能力解放に当てる。
だから魔術は使わない。使う必要もない。それ以前に使えない。
“キルシュブリューテ”の完全解放時に使える術式は、最も簡単な身体強化だけになるからだ。
「っ!? はや・・・!?」
――キルシュブリューテ第一完全解放――
“キルシュブリューテ”の刀身に桜色の光が生まれる。
それと同時に刀身の平地の部分に文字が現れ始める。
ベルゼブブの両腕を吹っ飛ばす。だけどすぐさま再構成されていく。
――キルシュブリューテ第二完全解放――
桜色の光はさらに強く、現れる文字も刃先まで伸びていく。
再構成された両腕をもう一度斬り吹っ飛ばす。
ベルゼブブは離脱を図り、あの高速移動で一気に距離を開ける。
口の中に血の味が広がり始めた。鉄の味。いつまで経っても慣れることのない嫌な味だ。
――閃駆――
離脱しているベルゼブブに追いつく。
それに気づいたベルゼブブが新しい“ルートゥス”を取り出す。
無駄な足掻きを。そんなもので私の剣神の魂は止められない。
「なっ・・・!?」
紙のように何の抵抗を受けずに“ルートゥス”を斬り裂く。
振るった“キルシュブリューテ”を返し、そのまま左腕を吹っ飛ばす。
直後、私の目の前と足元に“口”が展開された。
「無駄よ・・・ベルゼブブ・・・!」
まずは目の前の“口”を切断。次に床にある“口”へと刃を突き刺し、裂く。
対処終了。ベルゼブブの表情が驚愕に染まる。
お前たちは知らないだろう。かつての魔術師――その中でも最高クラスの魔術師――は、その実力を以って上位種と戦い、そして勝つことも出来るほどの化け物ぞろいだということを。
――キルシュブリューテ完全解放――
“キルシュブリューテ”が目醒める。切断、刺突の概念においては最強の魔造兵装。
純粋な戦闘に特化した武装。刀身が完全に桜色の光に包まれる。
平地に現れた文字もハッキリと浮かぶ。そこにはこう書かれている。
――危なねぇぜお嬢さん。オイラに触れると真っ二つだぜ――
ふざけた概念文だ。これを創ったヤツの顔を見てみたい。
しかもこの文字の正体と意味は教えられたものだ。
かつての“ヴィーグリーズ決戦”の二日目。ようやく戦場で会えたルシルから。
私が“キルシュブリューテ”を完全解放したとき、突然笑うから怒ったものだ。
そして知った。この文字が魔界で使われるもので、その意味を。
「ふふ、懐かしいな」
逃げに徹しようとするベルゼブブの両足を斬り吹っ飛ばす。
「バカな・・・・このような・・・・聞いていない・・・!」
すぐさま再構成された両足で立ち、天井と床に大きく“口”を展開した。
そして吹き荒れる暴風。“キルシュブリューテ”の神秘で、その暴風を斬り裂きつつベルゼブブの姿を探し、見つけた。
取り出した鞘に“キルシュブリューテ”を納め、
「真技・・・・」
ベルゼブブの前方の空間が波打つ。逃げる気だろうけど、もう遅い。
――飛刃・翔舞十閃――
抜き放つ。絶対切断の概念を持つ桜色の刃が放たれる。
その神秘は絶大。たとえベルゼブブが波打つ空間に入ったとしても、その空間ごと断つ。
十の刃が絡み合うように向かって行く。斬撃にして砲撃とも言える私の遠距離真技。
「我が剣神の魂の前に――」
ベルゼブブの背後に到達した十閃。
閃駆でルシルのところまで向かって、そのままの勢いでルシルを抱え上げる。
そこで勢いを止めずに一気にこの場から離脱する。
そして、キンッと音がした直後、この場の全てを吹っ飛ばした。
「――敵は無し・・・・!」
走る中、振り向くとベルゼブブが粉々に吹き飛んでいくのが見えた。
終わった。これで暴食、色欲、強欲、憤怒、怠惰、傲慢の六つが消え、あとは嫉妬のレヴィヤタンだけだ。
対象に到達した十閃の拡散によって起こった爆風に吹き飛ばされながらも、何とか着地して、通路を駆ける。
ルシルからの魔力供給を止めて、魔力炉を休ませる。
だから“キルシュブリューテ”も消えていった。
「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・!」
女の子が一人で、しかも魔力無しで大の男を背負うなんて辛すぎる。
え~と、ここから出口と言うと・・・・・うわぁ、とお~い(泣)
†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††
「シャルちゃんとルシル君はまだなんか?」
ヴァイス君のヘリの中で、焦るのははやてちゃん。
落ち着いて。って言いたいけど、私も落ち着けないで窓の外を何度も見直す。
「はいです・・・」
リインも落ち着かないのかずっと宙を飛びまわっている。
「なのはママ・・・・」
隣に座るヴィヴィオが袖を引っ張る。すごく心配そうな表情。
ヴィヴィオだって大変だったのに、それでも休もうとしなかった。
ルシル君とシャルちゃんを待つんだ。って言って。
「大丈夫。ルシル君もシャルちゃんも絶対に帰ってくるよ。だから心配しないでいいよ、ヴィヴィオ」
「・・・・うん」
ヴィヴィオの頭をそっと優しく撫でて、私の肩にもたれ掛けさせた。
きっと大丈夫。あのシャルちゃんとルシル君なんだから・・・・。
『なのは、ルシルとシャルはまだ戻らないの?』
「フェイトちゃん・・・。うん・・・まだ・・・」
地上でのガジェット掃討をしていたフェイトちゃんたちライトニング。
それももう終わった。ガジェットが一機も来なくなったから。
他の航空武装隊の人たちもほとんどが待機態勢になってる。
『そう。・・・・はやて、今からライトニ――』
「「「「「「「っ!!?」」」」」」」
轟音がこの空域全体に響き渡った。私たちの視線が向かうのはゆりかご。
視線の先に飛んでいるゆりかごの前方、場所からして玉座の間の辺りだ。
そこの上部付近が丸ごと吹き飛んでいるのが見て分かる。
「シャルちゃん・・・・ルシル君・・・・」
煙を噴くゆりかごを見て、急に心配になった。
きっとあれはシャルちゃんたちの仕業だと祈る。
私たちじゃ立ち入れない戦いが今あそこで起きている。
だから祈るしかない。無事に帰ってきてって・・・。
†††Sideなのは⇒はやて†††
あかん。あんなん一度見たら心配で仕方ない。
ゆりかごの前方で起きた大爆発。たぶんルシル君の魔術やと思う。
そう思いたい。そう思わな居ても立ってもおられへん。あ、そういえば・・・、
「フェイトちゃん、さっき何か言おうとしとったけど・・・」
さっきの轟音で遮られたけど、フェイトちゃんは何かを言おうとしとった。
『あ、うん。はやて、ルシルとシャルを迎えに行きたいんだ。
もしかして何かトラブルがあったかもしれないし、起きるかもしれない・・・』
フリードリヒに乗るフェイトちゃんの顔は少し青い。
ルシル君たちのことがほんま心配なんやね。当然私らもやけど。
でも、
「ごめんな、フェイトちゃん。それは許可出来ん。
今ルシル君たちが戦っとるんはとんでもないやつや。
だから、そんな危険なところに行かせるなんて・・・・・」
『あの、八神部隊長。僕からもお願いします!』
『わたしからもお願いします! ルシルさんたちを迎えに行かさせてください!』
エリオとキャロからもお願いされた。
どうする? 行かせるべきか、このまま待機させるべきか・・・・・。
『こち・・・スター・・・5・・・』
私らの前にモニターが浮かび上がる。
ノイズがすごいけど、聞こえたんは間違いなくルシル君の声や。
「ルシル君か!?」
半ば叫ぶようにルシル君の名前を呼ぶ。
『はや・・・ああ・・・・』
そう返ってきた。ノイズの中にルシル君の顔が見えた。
よかった。無事でほんまよかった・・・・!
するとモニターのノイズが弱まって、ハッキリとルシル君と、ルシル君にお姫様抱っこされとるシャルちゃんが映った。
『すまないが、出口まで迎えに来てくれると助かる。今の私とシャルは魔力が使えない状況なんだ』
疲れきっとるルシル君が弱弱しい笑みでそう口にした。
魔力が使えんっていうことは飛べんってことやね・・・・。
『はやて。ライトニングが行くよ。スバルたちもそう何度も行けないでしょ?』
フェイトちゃんにそう言われ、ヘリ内に設置されとるイスに座るスバルとティアナを見る。
確かにフェイトちゃんの言う通りや。スバルはギンガとの、ティアナは戦闘機人との戦闘で負ったダメージがある。
それに今空に上がっとるフェイトちゃんたちの方が速いし、フリードリヒの方が乗れるやろ。
「そやな。うん。ライトニングはゆりかごへ行って、ルシル君とシャルちゃんのお迎えや」
『『『了解!』』』
『助かるよ、はやて、みんな』
二つのモニターが閉じる。
「・・・・ふぅ」
「お疲れ様です、はやてちゃん」
リインが私の目の前まで飛んできた。私はリインに笑みを向けることで応えた。
†††Sideはやて⇒フェイト†††
エリオとキャロはフリードリヒで、私は飛行魔法でゆりかごの突入口に降り立った。
ここでルシルとシャルを迎えるために。
「ルシルさんとシャルさん。勝ったんですね、あのベルゼブブって人に」
「すごいですよね、ルシルさんとシャルさんって・・・・」
エリオが静かに呟いて、キャロもそれに続いた。
確かにすごい。私ですら怯えてしまう威圧感を放っていたベルゼブブ。
そんな存在と当たり前のように戦うルシルとシャル。すごい、本当にすごい。
でも。あの二人は・・・・きっと何かを隠してる。そう思ってしまう。
「フェイト! エリオ! キャロ!」
通路の先から、シャルを抱えたルシルが走ってきた。
「「ルシルさん! シャルさん!」」
私たちの前まで走ってきて、ゆっくりと止まった。
「ルシル。シャルは大丈夫・・・?」
私は二人に駆け寄って、抱えられているシャルに視線を移す。
少し苦しそうだけど、聞こえてくるのは寝息だ。
「ああ。結構な無茶をさせてしまったからな。それの代償と言うべきか・・・・。
それよりエリオ、キャロ、そしてフリードリヒ。ありがとう。シャルを頼めるか・・・?」
「あ、はい!」
キャロにそう答えられて、ルシルはフリードリヒの背にシャルをうつ伏せで寝かした。
「それじゃあエリオ、キャロ。お願いね」
「「はい!」」
二人は元気よく返事をして、先に地上に降りていった。
あとは、
「えっと・・・・ルシルはどうする・・・?」
背負う? それとも後ろから抱えるようにして飛ぼうか・・・?
頬が熱くなるのを自覚しながら考える。
「ん? あぁ、私はギリギリで飛べるだけの魔力は戻った。だから自力で飛ぶことにするよ」
「へ? あ、そう・・・そうなんだ・・・・」
少し残念だったり。一気に火照った顔が冷めるのが分かった。
「と、言いたいところだが、肩を貸してくれないか、フェイト?」
そう言って私にもたれ掛かってきたルシル。
よく見れば少し顔色が悪い。さっきまでのルシルはきっとやせ我慢だったんだ。
「うん。掴まってルシル」
ルシルの右腕を取って、私の肩に回す。私も左腕をルシルの腰に回してしっかり掴む。
「助けに来てくれてありがとう、フェイト」
空へと躍り出て滑空してるとき、ルシルがお礼を言ってきた。
「当たり前だよ。だって私はいつもルシルに助けられてきた。
だから私だってルシルを助けるよ。いつだって、どこだって、ずっと・・・」
10年前からずっと私は、私たちはルシルたちに助けられてきた。
だから私たちも、ルシルたちがもし困っていたら助けるんだ。
「ハハ、そうか。フェイトももう立派な一人前だな」
「む、それって今までの私は半人前だってことだよね?」
確かにルシルたちからすれば半人前かもしれないけど。
でも、それでも認められたんだから、これでよしとしよう。
このあと、聖王のゆりかごはゆっくりと上昇を続けて、ミッド軌道上で待機していた艦隊によって撃沈された。
新暦75年9月19日。
後にジェイル・スカリエッティ事件と呼ばれることになる今回の戦いは、こうして終わりを告げた。
3rd Episode:高き破滅より来たる大罪 Fin
Next Episode:←○↑△↓X→□
†◦―◦―◦―◦―◦↓シャルシル先生の魔法術講座↓◦―◦―◦―◦―◦†
シャル
「第三章、無事終了っ♪ ということで始まりました、第三章最後のシャルシル先生の魔法術講座!」
なのは
「やっと私も出られたよぉ。これまではずっと忙しかったから」
フェイト
「そうだね。私は一応前回も出たけど、ほとんどアルフとユーノに喋ってもらってたし」
シャル
「いやぁフェイトの考えは良かったよ。ユーノとアルフって本当に出番少ないし」
なのは
「さっきメールもらったよ。久々の出番がミニコーナーって悲しいって」
シャルト
「・・・・」
なのは
「・・・・切実だよね」
フェイト
「えっと、じゃあ今からでも呼ぶ?」
シャル
「あーごめん。本編の文字数の関係で、これ以上は出せないんだ。
今のこの時点で文字数が2万1千越えててさ。だからすぐに本題に入らないと」
なのは
「そうなんだ、残念だね」
シャル
「というわけで、行くよっ。
――浄化せよ、汝の聖炎――
――飛刃・翔舞十閃――
この二つだね」
フェイト
「上はルシルの魔術だけど、ルシルが居ないよ?」
シャル
「あーうん。ルシルは今回はお休み。いろいろあってね。
だからルシルの魔術も私が紹介するよ。そんじゃ、コード・メタトロンね。
ルシルの有する中級術式第三位の炎熱系術式だね。メタトロンは、屋内でその効果を十二分に発揮するの。
浄化の蒼炎を建造物内に這わせて、通った道を一気に爆破するというものなんだけど。
爆破のタイミングや通る道、その全てが遠隔操作で行われるから、爆破によっては建造物を崩壊させることも出来たりするの」
なのは
「建物って大体どれくらいのものまで破壊できるの?」
シャル
「そうねー・・・・聖王教会本部くらいなら、メタトロン一発で更地に出来るんじゃない?」
なのフェイ
「・・・・・・そっか」
シャル
「んで次ね。飛刃・翔舞十閃。以前紹介した牢刃・弧舞八閃と同じ真技だよ。
私の愛刀・断刀キルシュブリューテの能力・絶対切断を完全開放した場合のみ撃てる魔術ね。
絶対切断の概念を持った神秘の刃を対象に向けて十閃放つんだけど、牢刃よりかは避けられやすいかな。
でも、十閃が何かに着弾すると、無数の小さな魔力刃となって全方位に拡散してさ、避けた奴とかその周囲をバラバラに斬り刻んでいくの。
だから味方が周囲に居る乱戦の戦場じゃ使えないんだよね」
なのは
「当たり前だよっ! すっごい危ない魔術だよコレ!」
フェイト
「絶対切断を防ぐ術なんてないんだよね、私たちに。バラバラか・・・・」
シャル
「そっ。だからなのはたちの側じゃ使わないよ。余程の事が無い限りさ」
なのは
「うわぁ、もう何かシャルちゃんが凄すぎて何て言えば良いか分からないよ」
シャル
「あはは。私の真技なんて、ルシルの真技に比べればまだ優しい方だよ。
さて、それじゃあ今回はここまでにしよっか。また次回でお会いしましょうっ♪」
ようやく3rdも終了です。上の隠しコマンドっぽいのは何でもありません。
次のエピソード名はお楽しみ、ということで。
内容としては残りの期間です。一話完結型のショートストーリーみたいなものにするつもりです。
六課メンバー(特にシャル)に散々バカをさせるつもりでいます。
ANSURでは真面目な騎士だったのに、いつの間にかギャグキャラに・・・(笑)
えー、それと私はギャグとかが苦手なので、既存の物(マンガ、アニメ、ゲーム)を真似たりすることになるやもしれません。いけませんね、あぁ、いけませんよ。
それでは、もうしばらくお付き合い。
Fate/stay night:熾天覆う七つの円環
ANSUR:氷結剣クロセル
ANSURキャラクター
アルメリア・フォン・シュゼルヴァロード
魔界最下層を管理する上位七体“支配権”の第七位。
ルシルに“フォン・シュゼルヴァロード”を与えたのは、彼女の双子の娘。
娘ルリメリアとリルメリアに“支配権”の第七位の座を継がせる前に死亡する。
+注意+
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