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それと怠惰でルシファーと仮名ふってますけど、誤字にあらず。
ベルフェゴールと打つのが面倒になってきたので・・・。
彼女の選ぶ道
許されざる怠惰(ルシファー)の視線の先で行われているクアットロとディエチの会話。
玉座に囚われ苦しむヴィヴィオを見て、今回の計画に疑問と迷いを口にしたディエチ。

「技術者の復讐とか、そんなのって・・・」

「あぁ、あれ。あんなのドクターの口先三寸。ただの出鱈目よ?」

ディエチにそう返すクアットロ。それを聞いたディエチは驚いたように俯いていた顔を上げる。
「そうなの?」と、その真意を訊こうとクアットロへ視線を移した。
クアットロはキーボードを叩く手を休めずにそれに答える。

「ドクターの目標は初めっからひとつだけ。生命操作技術の完全なる完成。
そしてそれが出来る空間創り。この“ゆりかご”はそのための艦であり実現のための力。
ま、今回の件で軽く何千人か死ぬでしょうけど百年経たずに帳尻が合うわよ。
ドクターの研究は人々を救える力だものぉ♪」

そう嬉々として話すクアットロ。しかし彼女たちは知らない。
そのドクター――スカリエッティの身に今何が起こっているのか。
そして“大罪(ペッカートゥム)”と関わった時点で全てが破綻しているということも。
彼女たちの背後で佇む存在が、彼女たちを今からどう処理しようか思考しているのかさえ知らない。

「どうしたのディエチちゃん? お姉さまやドクターの言うこと、信じられなくなっちゃたぁ?」

「そうじゃないよ。そうじゃないけど・・・ただ、こんなに弱くて小っちゃい命が、それでも動いて生きてるの見ちゃうと、この子たちは別に関係ないんじゃないかって・・・」

ディエチに迷いがあるのは確実だった。
許されざる怠惰(ルシファー)はそんな会話を聞きながら、再構成した許されざる色欲(アスモデウス)を操作していた。
シャルロッテをこの“ゆりかご”へと近づけさせないための駒として。
全ては、目的としているルシリオンを集中的に狙って取り込むために。
可能ならば許されざる色欲(アスモデウス)にシャルロッテを取り込ませ、後に吸収することも考えていた。
玉座の扉横の壁に背を預けていた許されざる怠惰(ルシファー)は、近づいてくるディエチを一瞥する。
ディエチのその表情にはやはり迷いが見られた。
ディエチも許されざる怠惰(ルシファー)に一瞥を与えて、そのまま玉座の間を出ていった。

「何にも出来ない無力な命なんてその辺の虫と同じじゃない。
いくら殺しても勝手に生まれてくる。それを玩んだり蹂躙したり、籠に閉じ込めてもがいてるのを眺めるのってこーんなに楽しいのにねぇ!」

クアットロのそんな言葉を聞いた許されざる怠惰(ルシファー)はゆっくりとクアットロへと歩み始めた。
そして彼女の小さく動いた口からでた言葉は、

「・・・・それは貴様も含めてだ、クズが・・・」


◦―◦―◦―◦―◦―◦


「なんのために戦ってるのか、それだけでも教えて!!」

フリードリヒに跨るキャロの叫び。
対するルーテシアは無表情のようでいて迷いが見える顔で、

「ドクターのお願いごとだから・・・」

そう答え、周囲にいる召喚虫インゼクトツークをキャロへと襲撃させる。
キャロもそれに応じ、直射型射撃魔法“ウイング・シューター”を放つ。
互いはそれをバリアで防ぎきり、キャロはフリードリヒから、ルーテシアはガジェットⅡ型から廃棄ビルの屋上へと降り立った。
屋上で向かい合う二人。

「ドクターはわたしの探し物レリックの11番、それを探してくれる手伝いをしてくれる。
だからドクターのお願いを聞いてあげる・・・・」

「そ、そんな・・・そんなことのために・・・」

「そんなこと?」

キャロの言葉足らずの返答を聞いたルーテシアの表情に怒りの色が現れた。
彼女の怒りに応えるかのように周辺に滞空していたインゼクトヅークが発光。
ルーテシアはキャロを指差し、攻撃対象を再びキャロとして・・・・撃った。

――プロテクション――

キャロは先程と同じようにバリアを張って防御。次々と襲い掛かる爆発の衝撃に耐える。

「・・・あなたにとって“そんなこと”でも、わたしにとっては大事なこと」

煙が晴れていき、キャロが姿を現す。
しかし無傷とはいかず、呼吸は激しく、顔は爆発の影響か少し黒く煤けていた。

「違う違う、探し物のことじゃなくて・・・!」

「ゼストももうすぐいなくなっちゃう。アギトもきっとどこかへ行っちゃう。
でも、このお祭りが終れば、レヴィやドクター、ウーノたちみんなで11番を探してくれる。
そしたら母さんが帰ってくる。そしたらわたしは・・・不幸じゃなくなるかもしれない」

「違う! それ違うよ!」

「あなたと話すの・・・嫌い」

ルーテシアの言葉をまるで合図として、キャロの背後にガリューが降り立った。
キャロもそれに気づくが、振り向くと同時にガリューの一撃が迫る。

「でやあぁぁぁっ!!」

そのガリューからキャロを助けるのはエリオ。
上空から一直線にガリューへと迫り、その一撃を捌き、キャロからガリューを遠ざけた。
だがガリューはエリオとキャロに向けてエネルギー弾を放った。
起こる爆発。エリオとキャロは無事だったが息は乱れ、片膝をつき、全身がほとんど煤けていた。

「違うんだよ! 幸せになりたいんなら・・・自分がどんなに不幸で悲しくても、人を傷つけたり不幸にしたりしちゃダメだよ!
そんなことしたら、欲しいものも幸せも何も見つからなくなっちゃうよ!」

ルーテシアは答えない。
少し俯き加減だったルーテシアの頭が、キャロが立ち上がったことで上がる。

「わたし、アルザスの竜召喚士! 管理局機動六課の魔導師キャロ・ル・ルシエ!」

「同じくエリオ・モンディアルと、飛竜フリードリヒ!」

二人は名を告げる。全てはそれからだ、と。
フリードリヒもそれに応えるかのように大きく吼えた。

「話を聞かせて! レリック探しも、あなたのお母さん探しも、わたしたちが、機動六課のみんなが手伝うから! あなたの名前を・・・!」

『あーららぁ、ダメですよルーお嬢様もガリューさんも』

キャロたちの前に現れたモニター。そこに映るのはクアットロだ。
それぞれがクアットロの映るモニターへと視線を移す。

『戦いの最中、敵の言うことに耳を貸しちゃいけません!
邪魔なものが出てきたらぶっち殺して罷り通る、それが私たちの力の使い道♪』

それを聞いたエリオとキャロは半ば睨むようにクアットロを見る。
クアットロはそれを気にせずにルーテシアへと言葉をかける。
 
『ルーお嬢様にはこのあとぉ、市街地のライフラインの停止ですとか防衛拠点のぶっ潰しとか、いろいろお願いしたいお仕事がありますしぃ♪』

聞いていて不愉快な言葉が次々とクアットロの口から出てくる。
そして、そんなクアットロへ歩み寄ってくる許されざる怠惰(ルシファー)がモニターの端に映りこむ。
だがこの場にいるキャロたちには知覚できていなかった。
見えていても脳が見えていない、と判断している状態だ。
ルーテシアはキャロたちの言葉、クアットロの言葉を聞いて再び迷い始める。

『あー迷っちゃってますねぇ。無理もないです。
純粋無垢なルーお嬢様に、そこのおチビの言葉は毒なんですねぇ。と、いうわけでポチッと』

突然ルーテシアの足元にベルカ魔法陣ではなく、戦闘機人と同様のテンプレートが展開された。
それだけでなくルーテシアの周辺近くにインゼクトズークの召喚魔法陣。
そしてキャロたちの居るビルを囲む四方のビルの屋上にも召喚魔法陣が展開。
召喚されたのは地雷王四体。そしてルーテシアは苦悶の表情を見せ、苦しみ始めた。

『ルーお嬢様が迷ったりしないようにしてあげまーす!
ドクターが仕込んでくれたコンシデレーション・コンソールで、誰の言うことにも聞く耳を持たない
無敵のハートをプレゼント!!』

クアットロは、条件付けを利用した洗脳技術であるコンシデレーション・コンソールを起動。
影響下のいる者の自我を喪失させ、怒りや悲しみなどの感情を強化、そして肉体や精神の限界を無視した能力強化の果てに全てを破壊衝動へと持っていく技術。
四方にいる地雷王が雄叫びを上げる。
それは主ルーテシアから伝わる苦しみゆえか・・・。

『お嬢様ぁ、聞こえますかぁ? 目の前にいるのがお嬢様の敵でーす♪
全力でぶち殺さないと、お母さんと逢えませんよぉ?』

その言葉を最後としてモニターが消え、クアットロはそれ以降キャロたちの前に姿を見せなかった。
このとき、クアットロは許されざる怠惰(ルシファー)の襲撃を受け、玉座の間の壁を突き抜け別区画まで吹き飛ばされていた。
クアットロの保有する全ての指揮権限、武装・能力すらも奪われて・・・・・。
そしてもう少しでその命すらも奪われていた。

「インゼクト、地雷王、ガリュー・・・・」

目を開けたルーテシアは涙を流し、殺意の色でエリオとキャロを見た。

「こいつら・・・殺して・・・・殺してぇぇぇぇッ!!!」

ルーテシアの叫びが響き渡る。
このとき、許されざる嫉妬(レヴィヤタン)はこのルーテシアの激しい感情を感じ取り動きを止めていた。
その結果がシャルロッテの一撃を受けることになってしまっていた。


◦―◦―◦―◦―◦―◦


「レヴァンティン!」

≪Schlange form≫

シグナムとゼストの激しい空中戦は続いていた。
幾度目かの衝突の後、シグナムは鞘を取り、“レヴァンティン”を納め、カートリッジをロード。

『炎熱加速!』

ユニゾンしているリインにより、シグナムの一撃が強化される。
シグナムはシュランゲフォルムとなった“レヴァンティン”を抜き放つ。
それを見たゼストは槍を水平に構え、対応できるように身構えた。

「『飛竜一閃!!』」

炎を纏った“レヴァンティン”がうねりながらゼストへと向かう。
対するゼストもカートリッジを一発ロードし、

「はあああああっ!!」

『炎熱消去。衝撃加速!』

アギトの力を以ってして生まれた対炎熱用の力を槍に付加。
ゼストは槍を振り下ろしてその一撃を放つ。
真っ向から衝突する互いの一撃は相殺という形で終わる。

「『っ・・・!?』」

シグナムとリインは驚愕する。
ただでさえ強力な一撃である飛竜一閃。それをさらに強化したにも拘らず、相殺されたということに。
そしてこの驚愕による意識の散逸が隙となってしまった。
すぐそこまで接近を許したゼストの強力な振り下ろしが、シグナムに襲い掛かる。
“レヴァンティン”はシュランゲフォルムのままなために防御に使えず、シグナムは左手に持つ鞘で防ぐ。
だが、ゼストの一撃は鞘の防御力の上をいき、鞘を真っ二つに両断。
シグナムはその衝撃に耐えられず地上へと弾き飛ばされた。
地面に衝突する寸前に、ミッド式魔法のフローターフィールドと酷似した魔法を使い、衝突を免れたシグナム。
はるか頭上では、ゼストがアギトとユニゾンを解除して、地上本部へと飛び去る姿があった。

「しまった」

『ロストはしてません! 追いかけるです!』

「ああ!」

ゼストを追ってシグナムもまた地上本部へと急ぐ。


◦―◦―◦―◦―◦―◦


瓦礫に叩きつけられたスバルを見つめるギンガ。
頬に付着したスバルの返り血を手で拭い去り、立ち上がるスバルから視線を逸らさない。
対するスバルは満身創痍といった風で、ふらつきながらも立ち上がる。

≪Blitz Calibur, no response(ブリッツキャリバー、応答ありません)≫

「AIユニットをいじられてるんだ。ギン姉・・・。
急ぐんだ。ギン姉もみんなも、あたしが助けるんだから・・・・」

口の端から流れる血を拭って、視界が霞みながらも前を見据える。
やるべきことはある。そのためには休んではいられない、と。

≪Load cartridge≫

「うおおおおおおおおッ!!!」

――ウイングロード――

気合の咆哮。“マッハキャリバー”は空転して火花を散らしている。
そしてスバルとギンガ、お互いがウイングロードを発動し、空で交差する。
スバルの拳打は容易くギンガに防がれるが、それだけでは終わらず逆の左手からも拳打を放つ。
しかしギンガからの一撃の方が速く、スバルの頬へと一直線に刺さる。

「リボルバー――」

唸りを上げ始めたギンガの“リボルバーナックル”。
それに気づいたスバルはバリアを張り防ごうとする。
しかし、スバルのバリアと衝突したギンガの貫手が手首から先が回転を始め、さらに突破力を増強させた。

「――ギムレット」

そのギンガの一撃を以ってスバルのバリアは容易く突破され破壊、スバルは弾き飛ばされた。
だがギンガの攻撃はまだ終わってはいない。弾き飛ばされたスバルの背後へとウイングロードを伸ばし、スバルに強烈な蹴りを叩き込んだ。
まともにそれを受けたスバルは受身も取ることができずにハイウェイ上へと叩きつけられた。

「ギン・・・姉・・・」

倒れ付したスバルの目の前にギンガが降り立つ。

「ギン姉・・・」

呼びかけても返ってこない。返ってくるのはスバルを見下ろすギンガの冷たい視線だけ。

「ギン姉ぇぇぇぇぇッ!!!」

涙が止め処なく溢れ、その涙は地面を濡らした。


†††Sideシャルロッテ†††


レヴィヤタンを貫く私の“キルシュブリューテ”。
どうして? 解らない。なんでこんなにも簡単にレヴィヤタンを貫けた?
それに今、“ルーテシア”って叫んだ。誰かの名前なのは間違いない。
だけど何故? レヴィヤタンが動きを止めてしまうほどに・・・・・大切な人?

「ぅ・・・・っ・・・・ああああああああああ!!!!!」

「ぅぐ!・・・・うあっ!?」

レヴィヤタンから放たれる強烈な神秘の奔流。
目が開けていられないほどで、仕方なく目を瞑った。
私は少しの間だけどそれに耐えた。だけど結局耐え切れずに吹き飛ばされてしまった。
“キルシュブリューテ”がレヴィヤタンから抜けたのが手の先からの感覚で分かる。

「シャル!!」

「フェイト!」

フェイトが私を受け止めてくれた。
抱きかかえられてよく見てみると、アスモデウスも同様に吹き飛ばされていた。
レヴィヤタン。ペッカートゥムにおける七番目の罪“嫉妬”の具現化した存在。
そんな最弱とされていたレヴィヤタンがここまでの力を持っているなんて思いもしなかった。

「これは私の本来の力をフルに使わないとまずいかも・・・」

でも使えないのが現実だ。“界律”が現状私に許した能力は生前の大体六割。
もう少し制限を緩めてもらわないと・・・・負ける。

「くっ・・・・許されざる嫉妬(レヴィヤタン)! 今すぐに力を抑えなさい!!
このままでは・・・界律が動き出して・・・うぐっ・・・三番と・・・欠陥品が・・・!」

微かに聞こえたアスモデウスの声。
どうやら“界律”が動き出して、私やルシルが守護神として覚醒しないようにしたいらしい。
それは間違いじゃない。私はともかくルシルが守護神として覚醒すれば戦いは一瞬で終わる。
そして1分とせずにこの事件は終息する。
ペッカートゥムも速やかに殲滅し、ゆりかごも一撃の下、消滅するだろう。

許されざる嫉妬(レヴィヤタン)!!」

アスモデウスの叫びが一際強く聞こえた。
すると奔流が止んで周囲が静まり返る。

「フェイト・・・大丈夫?」

「う、うん・・・大丈夫。・・・シャルは?」

「もちろん大丈夫。だけど・・・・」

私の視線の先、壁に叩きつけられていたアスモデウスが崩れ落ちる。
そして奔流を生み出していた張本人レヴィヤタン。ヤツは・・・・・居た。
大きく肩で息をして、俯いているレヴィヤタン。
しかも胸に空いた孔も塞がっているというおまけ付きで。
でも殺るなら今しか、弱ってる今しか・・・・・・ない!!
“トロイメライ”を床に突き刺し、“キルシュブリューテ”を今取り出した鞘に納める。
使用魔術は真技“牢刃・弧舞八閃”。“キルシュブリューテ”の能力を限定解放。

「・・・やめて・・・・今すぐやめて!! 許されざる怠惰(ベルフェゴール)!!」

出鼻を挫かれた。レヴィヤタンの小さな体からは出ないような大声が周囲を響かせた。

『・・・やめて、とは?』

レヴィヤタンと私たちの間に浮かび上がるモニター。
そこに映るのは白髪の女。どうやらヤツが怠惰のベルフェゴールらしい。
残るは暴食のベルゼブブの一体のみなんだけど・・・・未だに姿を現さない。
どういうこと・・・?

「・・・ルーテシアを・・・苦しませてる・・・・それをやめて・・・」

もうひとつ浮かび上がったモニターに映るのはエリオとキャロ。
そして紫色をした髪に真紅の瞳の少女。苦しそうに叫びながら泣いている。

「エリオ! キャロ!」

私の後ろに居るフェイトが心配そうにエリオとキャロの名前を呼んだ。
見れば二人とも煤けているし辛そうだ。

『何故? やめる必要性を感じない。好きにやらせておけばいい。
それにルーテシアをあんなにした戦闘機人はもういない。どこかに吹き飛ばしてしまったしね」

「っ!」

フェイトが息を呑むのが分かる。
もうスカリエッティがどうとか戦闘機人がどうとかじゃなくなってる。
完全にペッカートゥムがこの事件を掌握してしまっている。

「・・・やめろ・・・」

レヴィヤタンが再度呟いた。
どうすればいいか迷う。今ならいける。けど、もう一人の私が“見守れ”と告げてくる。
本能と経験がせめぎ合ってる。“行け”という経験と“見守れ”といる本能が。

「・・・っつう・・・許されざる嫉妬(レヴィヤタン)・・・あなた・・・」

アスモデウスがゆっくりと体を起こして立ち上がった。
この状況は下手に動くとまずい・・・のは確かかもしれない。
私が選択したのは本能。今は事の成り行きを見守る。
最悪な結果になったらフェイトだけでも無事に逃がす。

「・・・・わたし・・・やめる。・・・・わたしは・・・ルーテシアが大好き。
だから・・・ルーテシアの生きるこの世界・・・・滅ぼさせない!!」

耳を疑った。世界と人類を滅ぼす“絶対殲滅対象(アポリュオン)”。その一体であるペッカートゥムが世界を守る?
しかも、その世界に生きる人のために? 信じられない。
だけどレヴィヤタンから感じ取れる想いは本物なのは解る。

『フェイト、ここで待ってて』

『・・・・・うん』

念話でそう告げる。今フェイトが動くのはまずい気がした。
だからこのまま待っててもらう。そして私はゆっくりと歩き出す。

「本気で言っているの? 大罪(わたしたち)の役目を放棄して、人間(ルーテシア)のために裏切ると?」

アスモデウスの殺気が膨れ上がるのが分かる。
レヴィヤタンの返答によっては殺す気だ。

「・・・・許されざる色欲(アスモデウス)許されざる怠惰(ベルフェゴール)・・・・死ね」

レヴィヤタンが完全な決別の言葉を口にした。
顔色が変わるアスモデウスとベルフェゴール。

『っ!・・・そう。・・・・なら許されざる色欲(アスモデウス)許されざる嫉妬(レヴィヤタン)を取り込め。
必要のない“ソレの力”は私が有効に使わせてもらう』

ベルフェゴールのモニターが消える。
それと同時にアスモデウスがレヴィヤタンを殺すために、大鎌を振り上げながら突進した。

「おっと、そうはさせないから!」

「「っ!?」」

私はレヴィヤタンを庇うために躍り出た。
“キルシュブリューテ”と大鎌がぶつかって火花を激しく散らす。

「はあああああッ!!!」

ファイト・・・いっぱーつ!!
“キルシュブリューテ”に気合を乗せて思いっきりそのまま振り切る。
するとガラスが割れたような音を発しながら、アスモデウスの大鎌が砕け散った。

「どういうつもり!? 許されざる嫉妬(それ)はお前の敵でしょう!?」

アスモデウスは驚愕しながらバックステップ。私から距離を取る。

「・・・なんで・・・?」

対するレヴィヤタンも驚愕。そしてすぐに戸惑いの色を見せる。
アスモデウスの激しい疑問と、レヴィヤタンの静かな疑問。

「レヴィヤタンはこの世界を守るって言った。しかもルーテシアという子のために。
正直聞いたときは信じられなかったけど、その子が口にした“大好き”って言葉は本物。
そしてお前の言うとおり守護神(わたしたち)にとってレヴィヤタンは滅ぼすべき敵。だけどね・・・」

チラッとレヴィヤタンを見る。その目は私に対する警戒で染まっている。当然だけど。

「・・・ごめん、ルシル。・・・・行きなさいレヴィヤタン。
今はあなたを信じてあげる。だからルーテシアとかいう子を止めてあげなさい。
でも私の友達に手を出したりしたら許さない。エリオたちを傷つけないで止めて。
それを条件として行かせてあげる。・・・・・どう?」

ルーテシアという子を止めるのに、エリオとキャロが危険な目に遭うのだけはダメだ。
それを先に言っておかないとレヴィヤタンが暴走しそうな気がする。

「そして、事件後のあなたの処遇はルシルに頼み込んでなんとかしてあげる。
その代わり、あなたたちペッカートゥムの目的を全て聞かせてもらう」

「・・・何を馬鹿なことを言っているの?」

アスモデウスが笑みをつくりながら、殺気満載の視線を向けてきた。

「・・・・ルーテシアと・・・一緒にいられるなら・・・・なんでも・・・する」

強く頷いたレヴィヤタン。これで決まりだ。一番厄介なレヴィヤタンをどうにか出来た。

「この・・・・愚か者がーーーーーーッ!!!」

両手にルシファーの剣“ルートゥス”を持ち、叫びながらアスモデウスが突撃してきた。
真っ向から私に向かってくるなんて馬鹿なヤツ。
魔法で迎撃して・・・・あ、“トロイメライ”が・・・ない。

≪Plasma smasher≫

アスモデウスの真横から襲い掛かるフェイトが放ったプラズマ・スマッシャー。
気づいたときにはすでに遅く、アスモデウスは黄金の雷光に飲まれて吹っ飛んだ。

「あの・・・第三の力(しろいろ)・・・ありがとう・・・」

そう言ってレヴィヤタンが位相空間転移で消えた。ありがとう、か。
ルーテシアのいる場所に向かったんだろう。あの子を救うために。
レヴィヤタンにとって、あのルーテシアという子こそ戦う理由であり存在する理由なんだろう。
心が無い、というのを訂正しておかないといけないなぁ、もちろんレヴィヤタン限定で。

「あ、AMFが・・・・消えた・・・?」

そして今度はここのAMFが解除されたのが分かった。
どうやらシスターたちが上手くやってくれたみたいだ。

「フェイト!」

「うん! いけるよ、シャル!」

「よくもまぁこんな・・・・随分と馬鹿にしてくれたわね・・・・」

倒れていたアスモデウスの今日何度目かの立ち上がりを見る。

「ふふん、もうお前の敗北は決定している。AMFがなくなった以上、フェイトの戦力は私と同等。
そんな私とフェイトを同時に相手して勝てると思ってる?」

「ふふふ・・・・あははははは!!! 勝てる? その必要はないわ!
お前をこの場に足止めできた時点で、許されざる傲慢(わたし)の目的は果たしているのだから!!」

「あし・・・どめ・・・?」

私を足止めすることで目的を達成?
じゃあなに? ヤツらの目的は他の別にあるということ・・・?

「お前を・・・って、シャルじゃなくて・・・ルシルの方・・・?」

横に並ぶフェイトがそう呟いたのが聞こえた。
確かに私とルシルならお前たち(・・)と言うはず。
それをアスモデウスは私独りを指してお前、と言った。

「何を企んでいる!?」

「さぁ? 私と戦って勝てたら教えてあげてもいいわよ?
でも全てが終わっていればそんなこと関係なくなるでしょうけど・・・」

嫌な笑みを浮かべて・・・・ムカつく。

「急ごう、シャル!」

「ええ!」

さっさとヤツをどうにかしないと。
お願いだから無事でいてよ。ルシル、なのは。

ここでもう一度謝罪を。すいませんでした。
アニメを見直してみると、なのはがなかなか出てこない。
出てきたらと思えば通路でガジェット殲滅中。玉座の間にたどり着いてねぇ。
もう予告はしないでおきます。


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