書き上げた結果、二話分になってしまったことに気づき、前後編とすることになりました。
地上の悲劇 ~前編~
フォワード陣の四人はヴィータたちと別れ、地上本部内へと進入。
ヴィータから預かった隊長たちのデバイスを、隊長たちに届けるために通路を駆ける。
「っ! マッハキャリバー!!」
≪Protection≫
先頭を走っていたスバルが何かに気づき、バリアを張る。
次の瞬間、スバルへと放たれた攻撃がバリアに着弾。
しかし高い防御力を誇るスバルのバリアを抜くことは出来なかった。
「みんな気を付けてっ!」
突然の奇襲に、ティアナ、エリオ、キャロの三人も身構え周囲を警戒する。
スバルもまた周囲を警戒し、自らに接近してきた襲撃者に気づく。
その襲撃者の姿を捉えたスバルは驚愕の表情を浮かべ動きを止めるが、その襲撃者の攻撃を咄嗟に両腕を構えて防御する。
しかし攻撃の勢いに踏ん張ることが出来ずに蹴り飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「スバル!」
壁に叩きつけられ倒れたスバルを見て、ティアナはスバルの名を叫ぶ。
だが彼女たちの周囲にいくつものスフィアが展開され、包囲されてしまった。
――フローターマイン――
「ノーヴェ、作業内容忘れてないっスか?」
通路に響く少女の声に、ティアナたちフォワードは声のした方向へと視線を向ける。
そこにいたのはウェンディと言う名を持つスカリエッティの作品ナンバーズのⅩⅠ。
「うるせーよ。忘れてねぇ」
先程スバルを蹴り飛ばしたもう一人のナンバーズのⅨノーヴェが不機嫌そうに返す。
「捕獲対象三名。全部生かしたまま持って帰るんスよ?」
「旧式とはいえタイプゼロがこれくらいで潰れるかよ」
ウェンディから任務の確認を告げられたノーヴェはスバルを見つつ返答。
スバルは体を起こし、その視線をナンバーズの二人に向ける。
「戦闘・・・機人・・・」
よろめきながらもそう口にする。
スバルの言葉を聞いたティアナは歯噛みし、エリオとキャロの表情が緊張の色に染まる。
そこからフォワードと戦闘機人との戦闘が開始された。
激しい攻防の最中、フォワードの四人は考える。
戦闘機人との戦闘より隊長たちとの合流を優先するべきだ、と。
――ブーステッドイリュージョン・フェイクシルエット――
「幻影!? うっそー!?」
次々と現れるフォワード四人の姿を模した幻影に、ウェンディは驚愕の声を上げた。
ティアナは幻術を駆使して、見事戦闘機人の視覚を混乱させていた。
「あたしらの視覚を騙すって、この幻術使い、戦闘機人システムのこと知ってる!?」
あまりの予想外にうろたえるウェンディ。
しかし片割れのノーヴェは激高し構え、右拳の周囲に六つのスフィアを生成する。
「ようは全部潰しゃあいいんだろうが!!」
「うぉぉおおおおおっ!!」
そのとき、無数の幻影の中から本物のスバルが突撃をし、今度はノーヴェに向けて奇襲をかける。
ノーヴェはその奇襲に反応し両腕を構えるが、先程のスバルと同様に殴り飛ばされた。
バウンドして地面をいくつも陥没させながら転がるノーヴェ。
「ノーヴェ!? っく・・・!」
ノーヴェを気遣う間もなく、ウェンディにもエリオの攻撃が迫る。
≪Form Drei. Unwetterform≫
「サンダー・・・レイジ!!」
エリオはウンヴェッターフォルムに変形させた“ストラーダ”を振り下ろす。
電撃を纏った“ストラーダ”による小規模ながらの範囲攻撃をウェンディは真っ向から防ぐ。
その結果、ウェンディ自身は無事だったものの周囲にいたガジェットⅠ型は全滅した。
「撤退!!」
ティアナの号令の下、フォワード陣は幻影に紛れその場からの撤退を完了した。
「このやろー!!」
自らの上に圧し掛かる瓦礫を押し除けながらノーヴェが悪態をつく。
ウェンディもまた爆発の衝撃を受け倒れ付していたが、何とか起き上がろうとしている。
『ノーヴェ、ウェンディ。二人ともちょっとこっちを手伝え。
もう一機のタイプゼロ、ファーストのほうと戦闘中だ』
二人の間に一つのモニターが立ち上がる。
そこに映るのはナンバーズのⅤチンク。
そして、その彼女と対峙しているのはギンガだった。
◦―◦―◦―◦―◦―◦
遥か上空にて二つの閃光が幾度も衝突しては離脱を繰り返していた。
それはユニゾンしたヴィータとリイン、ゼストとアギトによる戦いだった。
「ゼストっつったか? 何を企んでるのか目的を言えよ!
納得できる内容なら管理局はちゃんと話を聞く!」
「若いな・・・」
幾度目かの鍔迫り合い。ヴィータはゼストへと問いかける。
目的は何か、内容によっては事も変わってくる、と。
しかしゼストはそれに答えることはなく、自身の周囲に炎のスフィアを展開する。
ヴィータも“やるしかないのか”と歯噛みし、リインの力を借りた氷結の短剣を複数展開。
そして射出、爆発。お互い至近距離での攻撃となったが両者共に無傷だった。
「――だが良い騎士だ」
『ダンナぁ、褒めてる場合かよ!』
ゼストのヴィータへ向けられた賛辞にアギトが吼える。
『リイン、気づいたか?』
『はい』
ヴィータの思念通話に答えるリイン。
『向こうのユニゾンアタック、微妙にですがタイミングがズレてます。
融合の相性があまり良くないとみました』
再度攻防を始めたヴィータとゼスト。
ヴィータとリインが気づいたものはそれだった。
ゼストとアギト、二人の融合の相性の問題。
そしてヴィータとゼストは再度間合いを空ける。
静かにヴィータを見つめるゼスト、そのゼストとユニゾンしたアギトが愚痴をこぼす。
『くそっ、あいつら融合相性も良いんだろうが練度も高けぇ。しっかり合わせてくる』
「アギト、融合を解除しろ。俺がフルドライブで、一撃で落とす」
このままでは余計な時間を掛けると判断したゼストは、融合解除をするようアギトに告げる。
『冗談! フルドライブなんか使ったらダンナの体は―――!!』
アギトはその提案に猛反対。それはゼストの体を気遣っての猛反対だった。
「終わらんさ。なすべき事を終えるまではな」
しかしゼストはフルドライブを使用するつもりでいる。
『ふっざけんなっ! ダンナのことはあたしが守るって言ったろ!?
ダンナの命は削らせねぇ! あたしが必ずダンナの道を通してやる!!』
アギトが叫ぶ。何に変えてもゼストを守り、その目的のために道をつくると。
アギトは両手に紅蓮の炎を生み出し解放。ゼストの槍にその炎を付加させた。
『猛れ炎熱! 烈火刃!!』
その光景を見たヴィータはアイゼンを構える。
「いくぞ、リイン!」
『はいです!』
再び騎士同士による空での戦いが始まった。
†††Sideシャルロッテ†††
ガジェット殲滅を開始して僅か数分。私とルシルのもとに二つの通信が入った。
『こちらロングアーチ! 現在、六課は襲撃を受けています!
周辺部隊にも応援を―――』
『・・・らギンガ・・・・曹・・・・・闘機人・・・・交戦・・・・応援をお―――』
シャーリーから六課の隊舎が襲撃を受けたとの報が入る。
ノイズで全部聞き取れなかったけど、ギンガの方もかなりまずい状況だということが解った。
「ルシル・・・!」
「私が六課へ向かう。シャルはギンガのところへ向かえ。
屋内ならシャルの独壇場だろ? そして空は私のテリトリーだ」
「・・・了解!」
私は地上本部内へと防壁が降りているため強制転移する。
その所為で結構魔力を持っていかれたけど瑣末なことだ。
そしてロビーに転移してすぐ外から轟音が聞こえた。
たぶんルシルが周辺にいたガジェット群を殲滅したんだろう。
「ギンガの居場所は・・・・・・見つけた!」
AMFがキツくて分かりにくかったけど、何とかギンガの魔力の探査に成功。
居場所が分かればあとはそこを目指して走るだけだ。
ギンガの魔力を感知できた居場所へと到着する。
「っ! ギンガ!!」
私の目に映ったのは、血溜まりに浮かぶボロボロにされたギンガの姿だった。
そばにはギンガの通信にあった戦闘機人と思しき三人の影。
その三人は私の姿を見て臨戦態勢に移った。
「なんだテメェは?」
「あたしらの邪魔をするっスか?」
赤髪のガキと洋紅色した髪のガキが何かほざいている。
そう。お前たちが私の友達を傷つけたわけか・・・・どうしてくれようか。
「・・・・ふぅ。落ち着きなさいシャルロッテ・・・」
怒りで沸騰する頭を理性で冷却させて無理矢理落ち着かせる。
怒りは爆発的な力を発揮できる反面理性が飛ぶ。戦場では一番あってはならないことだ。
「その子は私の大切な友達の一人なんだ。だったら私の言いたいこと・・・・解かるよね?」
「「っ!?」」
私の威圧にその少女二人が一歩下がった。
下がったのがたった一歩だけというのには少し驚きだ。
普通なら逃げ出すか腰を抜かしてへたり込むかのどちらかなのに・・・・。
「ギンガをどうするつもり? 返答によってはしばらくの病院生活になるから覚悟してよね」
「待ってくれ」
少女二人の背後からさらに小さな子供が歩み出た。
右目に眼帯をした銀髪の少女。外見年齢で言えば10~11くらいか。
「チンク姉・・・・」
今気づいたけど、赤髪にチンクって呼ばれた銀髪少女の首下にある装甲にはⅤとある。
そして生意気そうな赤髪はⅨ、もう片割れはⅩⅠ。こういう場合はおそらく数が若い方が上だ。
だからここでは銀髪少女チンクがリーダーだ、と私は判断した。
「ドクターからは余力があり、なおかつ可能ならタイプゼロ――」
チンクの視線がギンガに向けられた。どうやら目的を聞かせてくれるようだ。
「――特にこのファーストを優先的に確保と命を受けている」
「確保が目的なら殺してはいないのよね?」
すでに私とルシルは、スバルとギンガから自分たちも戦闘機人だと聞かされてる。
「そうだ」
だからといって今のギンガの状態が良いか悪いかで言えば悪いも悪い、極上の最悪だ。
だったらギンガを早くマリエルさんのところへ連れて行くべきだ。
ならばこの三人をどうにかして、そしてギンガを保護、マリエルさんと連絡を取る。
やることは決まった。ならあとは行動あるのみ。
「分かった。ならもうギンガを確保するのは不可能だから大人しく投降しなさい」
「なんスか、それ? あたしらに勝てるとでも思ってるっスか?」
「チンク姉、さっさとこいつをブッ倒して、そいつを運んじまおうよ」
私の放つ威圧から復活した二人なんだけど・・・・なんかおかしい。
さっきから私に勝てると思ってるようだけど、私のことをスカリエッティに聞いていればこういう態度は取らないはずなのに・・・・もしかして聞かされていないのだろうか?
「IS発動、ブレイクライナー!!」
「いくっスよ! IS発動、エリアルレイヴ!」
私の思考を中断するかのように、二人の足元にテンプレートが展開される。
――エリアルショット――
ⅩⅠ(面倒だからこれでいいや)が構えたボードからエネルギー弾を立て続けにぶっ放される。
でもそんな豆鉄砲なんて私と“トロイメライ”の前では無意味だ。
“トロイメライ”で向かってくるエネルギー弾を斬り裂いていく。
――エアライナー――
そしてⅨなんだけど、どう見てもスバルやギンガのパクリとしか思えないモノを使う。
色は違えどもウイングロードのようなものを出したりしてるし、武装も似てる・・・パクリ魔?
Ⅸの赤髪の通称、独自判断でパクリ魔に決定。
「待てっ! ノーヴェ、ウェンディ!!」
チンクが二人の名前と思う言葉を叫ぶけどもう手遅れだ。
陸戦である以上、お前たちでは私は倒すことは不可能だ。
「もらったーーーー!!!」
パクリ魔がウイングロードもどきで私の背後に回りこんだけど・・・・遅いよ、間抜け。
振り返ると同時に“トロイメライ”の柄をパクリ魔の横っ腹に叩き込む。
「っが・・・・!?」
「はーい、一名様入院コースへごあんなーい♪」
「エリアルキャノン!!」
吹き飛んだパクリ魔と入れ替わるようにしてⅩⅠが砲撃を撃ってきた。
威力もそれなりだし及第点をあげよう。
「その程度の砲撃で私を―――!?」
私は“トロイメライ”で砲撃を裂こうとしたけど、直感が働いて回避へと変更した。
次の瞬間、私のいた場所に複数の投げナイフが突き刺さる。
そして続くようにⅩⅠの砲撃も着弾、爆発を引き起こした。
「待てと言ったのに・・・」
どうやら今のスローイングナイフはチンクのモノらしい。
だけどおそらくそれだけじゃない。彼女にも何かしらに能力があるはず。
「どうであれ私にケンカを売ったことを病院のベッドの上で後悔しなさい!」
“閃駆”を使い、一気にⅩⅠとの間合いを詰める。
「っく、これでどうっスか!?」
――フローターマイン――
「っとと。これは・・・反応弾ね」
私の周囲に展開された無数の桃色のスフィア。
たぶん少しでも触れたら爆発するというものだと思うんだけど・・・・。
「IS発動、ランブルデトネイター」
さらに私の周囲にいくつものスローイングナイフが展開された。
睨み合う私とチンク。そしてチンクは右手を挙げて指を鳴らした。
――オーバーデトネイション――
展開されたスローイングナイフによる集中攻撃。
魔力でないため正確な威力は判断できないけどかなりあるかも・・・。
これはちゃんと防御しないとまずい。そう一瞬の内に判断を下し、
――真紅の両翼――
直撃寸前で紅翼を展開。
「・・・・バカな!?」
「チンク姉の攻撃で・・・・無傷っスか!?」
爆炎の中から私が無傷で現れたのがよほど信じられないみたい。
確かに直撃はまずいけど、私の紅翼の防御力なら容易く防げる。
「くっそー。やりやがったな・・・」
パクリ魔が立ち上がるのを確認。
やっぱり戦闘機人相手に手加減したのが失敗だったようだ。
なら今度はしばらく立ち上がれないようにしてあげよう。
「さてと。それじゃ・・・・続きといこ――キャアッ!?」
“閃駆”で再度間合いを詰めようとした瞬間、目の前にいたチンクの背後から無数の白い何かが襲い掛かってきた。
私はそれの勢いに負けて、遠く離れた壁にまで吹き飛ばされて叩きつけられてしまった。
「ぅぐ・・・一体何が・・・・あっがっ・・・!?」
突然全身を貫くような痛みに襲われた。
単に壁に叩きつけられただけのものならこれほどの痛みは覚えない。
ゆっくりと自分の体を確認しようと下へと視線を向ける。
「あぐぅ・・・これは・・・やられ・・・た・・!」
痛みの原因はすぐに解かった。
私の腹部を貫いて、私を壁に磔にしていたのは赤黒く染まる四角柱の刀身を持つ剣。
見覚えがある。これはルシファーの剣だ。
どうやらルシファーがご丁寧にも真正面から襲撃してきたようだ。
「これは予想外。こうも簡単に三番を討つことが出来るなんて」
声が聞こえる。その姿は・・・・ルシファー・・・じゃない? 女?
白髪の女だ。灰色のスリーピーススーツに白いクロークを纏っている。
別のペッカートゥムというのは解かる。でもそいつの顔もまた知らないヤツだった。
「く・・・・。力が・・・入らな・・・・」
まずい、意識が落ち始めた。それだけじゃなく魔力まで扱えなくなってしまってる。
おそらく私を貫いているこの剣の持つ能力か何かが原因だろう。
「っつ・・・ごめ・・・ギンガ・・・」
意識が落ちる寸前、知覚が捉えたのは、白髪の女に重なって見えた邪悪な笑みを浮かべたルシファーの影。
そしてここからの角度じゃ見えないけど、間違いなくスバルの叫び声が耳に届いた。
「・・・・さいあ・・・く・・・」
そこで私の意識は完全に落ちた。
†††Sideシャルロッテ⇒ルシリオン†††
シャルがギンガのもとへと向かうために地上本部内に転移したのを見届けた。
「シャーリー、すぐに私が向かう。それまで持ち堪えてくれ」
『了解です。お願いします!』
ロングアーチとの通信を切り、六課へ向かう。
しかしそれを邪魔しようと私の行く手にガジェット群がさらに増える。
「・・・・どれだけ集まろうとガラクタはガラクタなんだよ・・・・馬鹿が」
――罪ある者に、汝の慈悲を――
上空から蒼雷の十字架群を降らせ、ガジェット群へとぶつける。
ガジェットに直撃した十字架が炸裂し、さらに周囲へと被害を拡大させていく。
レミエルによって周囲一体に一機も残っていないことを確認して空戦形態ヘルモーズへと移行、空へと上がる。
海面間近を飛び、最短距離で六課の隊舎を目指す。
そして未だはるか遠くだが、うっすらと視界に入ったのは赤く燃え上がる隊舎だった。
「・・・・なんてことを・・・!」
一体何が目的だ?こちらで回収してあるレリックを目的としているのか、それとも別の・・・・。
いや、まずは襲撃犯を押さえることを優先するべきだ。
目的云々なら捕らえたあとでゆっくりと聴き出せばいい。
「・・・・っ! これはサタンか!?」
あと1分弱飛べば隊舎に着くというところでレーザーのようなものが放たれてきた。
シャルから話に聞いているサタンによる砲撃だろう。
「悪いが行かせられねぇな、欠陥品よぉ!?」
「というわけでここから先は行き止まりよ」
前方には大鎌を構えたアスモデウス。後方には腕を組んでいるサタン。
二体一。だが戦場は空。現在の戦闘形態は空戦仕様。勝率は高いだろうが油断はするな。
「・・・急いでいるんだ。大して時間はかけられない。故に――」
――第三級断罪執行権限、解凍――
「――始めから全力でいくぞ! アスモデウス、サタン!」
≪我が手に携えしは確かなる幻想≫
僅かな魔力で神秘による物量攻撃を行うことを選択。
引き出すのは自作の銃火器型神器群。
私がかつて率いた後方支援部隊の魔術師たちに与えたモノだ。
私の周囲に次々と現れる、現代では質量兵器と捉えられる銃火器群。
「おお! 俺たちと砲撃戦をやろうってか!?」
「飛び道具に頼るのは三流の証よ、欠陥品」
「三流かどうかはその身で確かめてみろ!!」
機関銃型神器、トンプソンM1A1、MG34、ZB vz.26、MAT M49 SMG、計40挺展開。
小銃型神器、レミントンM700、モーゼルM1918対戦車ライフル、SVDドラグノフ狙撃銃、H&K SL-9SD、ステアーSSG69、FN FNC、シモノフPTRS1941計80挺展開。
散弾銃型神器、モスバーグM590、ミロクSP-120、FN-TPS、M3A2スーパー90、計45挺展開。
これぞ私が“孤人戦争”と謳われた由縁の一つ。
――銃軍嬉遊曲――
これだけ展開しても魔力はほとんど消費していない(大体AA+)。
そして両手に構えるのはウィーチェと名付けられた――命名はカノン――白銀のライフル。
本来の名前はウィンチェスターライフルM1873と呼ばれるレバーアクションライフルだ。
私が自作した銃器型神器の中でも単発においては上位に食い込める威力を持ち、星填銃の二挺よりもさらに高い。
それでも私の最高傑作“星填砲シュヴェルトラウテ”には遠く及ばないが。
それにこのウィーチェを使用するのには一手間掛かってしまうものだが、そこが何となく気に入っていて愛着がある。
「全器ターゲットロックオン。撃てぇぇッ!!」
計165挺の銃火器型神器が一斉に火を噴いた。
火とは言っても神秘弾発射に使用された魔力のカスがそう見えるだけだが。
「面白れぇぇ!!」
サタンがそれに対抗するように数えるのも馬鹿らしいほどのレーザーを真っ向からぶつけ相殺していく。
アスモデウスは回避を繰り返しては神秘弾を大鎌で斬り裂いていく。
だがアスモデウス、サタン。私の手にも銃器があることを忘れてはいないだろうな。
「避けてばっかりではなく反撃の一つでもしたらどうだ!?」
ウィーチェを前方に交差させて構え、強力な一撃をそれぞれからぶっ放す。
アスモデウスとサタンは射線上から離脱して直撃を逃れる。
だが展開されている165挺からの一斉掃射が続いているために一箇所には居続けられない。
その二体の行動を見ながら、両手のウィーチェを指で回転させてレバー操作。
この一手間を行わないと次弾発射が出来ないのだが、これが良いと思っている私は変だろうか?
「調子に乗るのも大概にしておきなさいよ、欠陥品!」
アスモデウスが無理やり神秘弾の雨を突破してきた。
振るわれた大鎌を、右手に持つウィーチェの銃身に備え付けられた剣で防ぐ。
「ぐっ・・・馬鹿力だな、アスモデウス」
「レディに対して馬鹿力なんて、お前には躾が必要のよう・・・ね!!」
数秒間の拮抗の果てにウィーチェが真っ二つに切断される。
“神造兵装”を弾き返すほどの代物だ。概念兵装で防げるわけもないか。
「捉えた!!」
下げられていた大鎌を今度は振り上げようとしている。
だがこの位置関係はまずいと思うぞ、アスモデウス。
「残念だったな」
大鎌の刃が届く前に“星填銃オルトリンデ”をホルスターから引き抜き、アスモデウスの腹部に照準を合わせる。
「どうかしら?」
だがここでまた邪魔が入る。
――Mors certa/死は確実――
隊舎のほうから放たれたすみれ色の閃光が、私とアスモデウスの間を抜けていった。
「助かったわ、許されざる嫉妬」
「・・・そっちはそっちで・・・・勝手にやってほしいのに・・・・」
海面に立つのはレヴィヤタン。
だが明らかに不機嫌そうなのは何故だろうか?
しかし考える暇もなく状況は変わっていく。
様々な場所に展開していた銃火器群が破壊されていっているのに気づく。
「なかなか面白かったぜ。銃ってのはよ」
纏っていたインバネスコートは見るも無残にボロボロだが、サタンは無傷だ。
なるほど。これは結構まずい状況だ・・・なんてことはない。
「三対一。お前たちが相手で陸戦であったなら私が圧倒的な不利となっただろう。
しかし現状は空での戦闘だ。完勝とはいかずとも私に敗北はない」
未だに残っている約50挺の銃火器群を一斉掃射。
私自身は左手のウィーチェと右手の“オルトリンデ”でレヴィヤタンを狙撃する。
アスモデウスは大鎌による切断。サタンはレーザーによる相殺。レヴィヤタンは・・・・、レヴィヤタンは・・・・バカな!?
「直撃で無傷だと!?」
「・・・・撃って」
――Mors certa/死は確実――
驚愕に体を固めてしまった私に向けて、レヴィヤタンからすみれ色の閃光が放たれる。
その閃光をギリギリでかわす。もし空戦形態でなければ今ので終わっていた。
「あー惜しいな、許されざる嫉妬」
神秘弾をその身に受けながらのカウンター砲撃。
何故レヴィヤタンがここまで強い!?
「どういうことだ、アスモデウス、サタン!?」
私は愚かにも敵であるアスモデウスとサタンに問いただした。
速さで大罪一、それだけではなく防御力でも大罪一なのか・・・このレヴィヤタンは?
「・・・・知る必要なんて・・・・ない」
このとき私は、いや、“界律の守護神”全体が知らなかった。
こいつらは代替わりをすればするほど、その“概念”が強化されていくということを。
「そんなこと教える必要なんてないでしょう?」
問いただしはしてみたものの真っ当な返事なんてものは始めから期待していない。
「・・・・ならばダメージを負わせることの出来る方法を取るだけだ」
神器、概念兵装程度ではレヴィヤタンにダメージを負わせられないということだ。
“グングニル”ともう一つ何かの神器を取り出すために、オリジナルスペルを唱えようとしたところで、強烈な胸騒ぎが起こった。
脳裏に浮かんだのはシャルの姿。
「・・・シャル? おい、シャル。シャル!?」
リンクを通してもシャルからの返答が来ない。
「うそ・・・だろ? シャルが・・・負けた・・・?」
ありえない。シャルが陸戦で完全敗北するなんてことが。
大戦時、もし戦って負けるならシャルロッテが良いと思うまでに認めた唯一の敵だった。
その彼女が・・・・負けた?・・・・信じるものか。
「いや、以前の地下でのようにリンクを妨害する術を持つペッカートゥムがいるかもしれない。
ああ、そう考えればどうってことはない」
今はそう信じるしかないだろう。
シャルの安否確認や六課襲撃犯の捕縛のために今は・・・・。
「貴様らを斃すのみ!!」
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。