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9月12日
-―9月11日 機動六課隊舎 PM 19:14


†††Sideルシリオン†††


「――というわけで、明日はいよいよ公開意見陳述会や。
明日14時からの開会に備えて現場の警備はもう始まってる」

ロビーに集められた私たちは、はやての言葉に耳を傾ける。

「なのは隊長とヴィータ副隊長、リイン曹長とフォワード四名はこれから出発。夜間(ナイト)シフトで警備開始」

まずはなのはとヴィータ、フォワード陣にこれからの指示が告げられた。

「みんな、ちゃんと仮眠とった?」

「「「「はい!」」」」

フォワード陣はフェイトの言葉に大きく答えた。
その声にビクッとするのは隣に立つシャル。どうやら立ったまま半分眠っていたらしい。
シャルは昼間、夜間(ナイト)シフトと関係ないのに散々眠っていた。
まぁ途中で気づいて叩き起こしたが。だというのにまだ眠たいらしい。というかまだ19時だぞ、19時。

「私とフェイト隊長、シグナム副隊長は明日の早朝に中央入りする。それまでの間、よろしくな」

「「「「はい!」」」」

だからビクッとするな、シャル。恥ずかしいだろ。
エリオやキャロでさえしっかりしているのに・・・・。

「シャルちゃん、ルシル君。二人も私らと同じ早朝出動や」

「了解した」

「りょうかいですぅ・・・・zzz」

いっそのことハバネロでも口に突っ込んでやろうか・・・?
シャルだけは先に寮に戻らせることにして、明日出動組の私たちは、これから本部へと向かうなのはたちの見送りをするため、屋上のヘリポートへと赴いた。
それぞれがヘリに乗り込もうとしたとき、ヴィヴィオとアイナさんが屋上に現れた。
なのはもそれに気づき、ヴィヴィオのもとに歩み寄っていく。

「どうしたの? ここは危ないよ、ヴィヴィオ?」

「ごめんなさいね、なのは隊長。どうしてもママの見送りをするんだ、って」

あぁ、そういうことか。ヴィヴィオの行為は解らないでもない。
ママのお見送り。微笑ましいことじゃないか。

「ダメだよ、ヴィヴィオ。アイナさんに我が侭言っちゃ」

「ごめんなさい」

なのはがヴィヴィオを優しく窘める。
ヴィヴィオも素直に謝るが、今回は仕方ないことだろう。

「ちょっと待った。ヴィヴィオにとって、なのはの夜勤は初めてだ。
だからヴィヴィオも不安になってしまったんだろう」

夜はいつも一緒だからこその不安。精神も未発達な状態なら尚更だ。

「え? あ、そっか。うん・・・・。
ヴィヴィオ、なのはママ、今日はお外でお泊りだけど、明日の夜にはちゃんと帰ってくるから」

「ぜったい?」

ヴィヴィオは目に涙を浮かべながら聞き返す。

「絶対に絶対。良い子に待ってたら、ヴィヴィオのキャラメルミルクを作ってあげるからママと約束ね」

ヴィヴィオは「うん」と頷いて、約束の証である指切りをした。
なのははもう立派なヴィヴィオの母親だが、ヴィヴィオの引き取り手が見つかってもヴィヴィオはなのはから離れない気がする。
というか絶対離れない確信がある。もうヴィヴィオをなのはの正式な養子とするのが一番だと思う。

「それじゃいってくるね」

「いってらっしゃい」

ヴィータやフォワードの子達がヘリに乗り込んだのを確認したなのはは、自分もヘリへと乗り込んでヴィヴィオや私たちに手を振った。
さて、ヘリも飛びだったことだし、寮に戻って少し早いが眠るとしようか。
指を組んで両腕を伸ばし、首を鳴らしながら屋上をあとにした。


†††Sideルシリオン⇒フェイト†††


なのはやみんなを見送って、ヴィヴィオを連れて私は部屋へと戻った。
少し早いけど明日のために休む準備を始めようとしたとき、母さんから通信がきた。
私はそれに応えて、回線を開いた。

『はぁーい、元気だったー?』

開いたモニターの向こうで母さんが笑顔で手を振る。

「うん。こんばんは、母さん」

『ヴィヴィオもこんばんはっ』

「あ、こんばんはっ」

母さんの挨拶に、ヴィヴィオは元気よく返す。
それを聞きながら、何かあったのかな?って思って聞いてみた。

『明日の陳述会なんだけどね、私も顔を出そうかどうしようかなぁって』

ということだった。

「あ、大丈夫ですよ。クロノも別の任務中ですし、本局の方もあまりいらっしゃらないとか」

『あぁそう? しばらくぶりに娘の顔を見たいし、ヴィヴィオとも会いたいんだけど・・・』

「あの母さん? 私は警備任務ですし、ヴィヴィオは寮でお留守番ですから」

だから母さんが来ても何というか言葉は悪いけど・・・・無駄?
もし来るなら全部が片付いたあとのほうが絶対に良い。

『あぁそっか、そうよね・・・。随分会ってないから寂しくってー。体調とか崩したりとかしてない?』

「大丈夫だよ、母さん」

私だってもう子供じゃないんだから、体調管理くらいはできるよ。
それから少し話をして、母さんが「おやすみ」と言おうとしたとき、思い出したように母さんがもう一つの話題を出してきた。

『そうそう、フェイト。ルシリオン君とシャルロッテさんは今居るのかしら?』

「え? ルシルとシャル、ですか? シャルはもう部屋で休んでると思います・・・。
けど、ルシルはさっき別れたばかりだからまだ起きてる・・・・かな・・・?」

母さんが少し真剣な面持ちでルシルとシャルの名前を口にした。
話があるならルシルのほうがいいと思う。シャルはすごく眠たそうにしてたし、もう寝てると思う。

「ルシル、呼んでみましょうか?」

『そんな急ぎのことじゃない・・・こともないような・・・。
実はね、ルシリオン君とシャルロッテさんにもう一度正式に管理局に入ってもらおうって。
そのことについて二人と話したかったのだけど・・・』

母さんはルシルとシャルをもう一度管理局に迎えたいと言ってきた。
もしそれが現実になったら、休みの日とか会える時間を作れることが出来るかな?

「えっと・・・じゃあルシルだけでも呼んでみますね」

ルシルの部屋に通信を入れる。
出ないから、もしかしてもう寝たのかなと思ったとき、モニターにルシルが映し出された。

『どうした、フェイト?』

「あ」

ルシルの頬が上気していて、髪も少し濡れてることから、お風呂に行ってたんだ。
そんなルシルを見て固まった私に、ルシルはモニターの向こうで首を傾げていた。

「フェイトママ?」

「あ、その・・・ルシル、母さんが少し話したいみたいで、よかったらこの部屋に来てもらってもいいかな・・・?」

ヴィヴィオに袖を引っ張られて再起動。ルシルに通信を入れた用件を伝える。

『リンディさんが私に話? まぁ、それくらいなら構わないけど・・・・。判った、すぐに行くと伝えてくれ』

通信が切れた。そして相変わらず母さんの表情は笑みだ。

「母さん?」

『ふふ、フェイトったら。さっきのルシリオン君を見て惚けてたわねー。
でも、そんなルシリオン君に私も少しドキッとしちゃった♪』

なんてことを言うのだろうか、うちの母は・・・・。
確かに私はお風呂上り直後のルシルを久しぶりに見てドキッとした。
けどそれは別にいいとして、母さんがそう言うとなんだか危険な気がする。

『ねぇ、フェイト。ルシリオン君とはどうなの?
ようやく戻ってきたのだし、アプローチをしていかないとダメよ?』

「え? う、うん。でも・・・・」

母さんの言葉に軽く頷くけど、以前シャルから何とかしてあげるから待ってて、って言われたから、今のところは現状維持のつもりでいる。

「今のところはこのままでいるつもり。それに今はそれどころじゃないし、ルシルを困らせることもしたくないし・・・」

『そう。フェイトがそう言うならそれでいいのだけど・・・』

それから少し沈黙。来てくれたルシルを部屋に招き入れて、管理局の再入局について話をした。

「すいません、リンディさん。もう一度管理局に入るつもりはありません」

それがルシルの答えだった。何となくルシルはそう答えを出すと思ってたけど、やっぱりちょっと残念。

『またミッドを離れて、“やるべきこと”を続けるため・・・なのかしら?』

「そうですね。ですが以前みたいにミッドを離れての行動はしないつもりです。
これからはミッドを拠点として続けるつもりですから。
ですから長い時間を会えなくなるということは少なくなると思います」

ルシルの言葉に俯いていた顔を上げる。
これからもミッドに居てくれるなら、会う機会がきっと多くなるはずだ。
そう思うとすごく嬉しい。

『あら~そうなの? それは良かったわぁ♪』

「? 何が良かったんですか?」

『いいのよ♪ これからもフェイトのことをお願いね、ルシリオン君♪』

「はぁ・・・?」

ルシルは母さんが何について話しているのか解らないせいで力なく返事。
それから「おやすみ」と挨拶を交わして就寝・・・・のはずだった。

「それじゃあ私は戻るよ。おやすみフェイト、ヴィヴィオ」

「うん。おやすみルシル」

「ルシルパパもいっしょにねよ?」

「「・・・・・」」

流れる沈黙が痛い。ルシルは完全に動きを止めてるし、私もたぶん同じだ。

「ごめんなヴィヴィオ。さすがに無理だ」

「ふぇ・・・?」

即断られたヴィヴィオの目に涙が浮かぶ。
あー、なんかデジャヴ。10年前にも私がこれでルシルを困らせたことがある。

「な、泣かないでくれヴィヴィオ。フェイト、君からも何か言ってくれると助かる」

ルシルからの救援要請。私は少しだけ考えて、その考えた末の結論を口にする。

「ヴィヴィオもこう言ってるし、今日くらい一緒に寝よ?」

私の言葉にルシルは目に見えてガックリと肩を落とした。
その反応はちょっと傷つくよ、ルシル。

「ルシルパパ・・・・」

「・・・なぁフェイト。10年前にもこんなことなかったか?
確かあの時も私が折れて一緒に寝た記憶があるんだが・・・・。
今回もそのパターンだ。私が折れないとヴィヴィオの反応が怖い」

涙目のヴィヴィオに袖を掴まれたルシルは陥落。
それから三人でベッドに入って就寝。
ヴィヴィオは嬉しさのためかなかなか寝付かず、ルシルはそれで困ってた。
私もそうで、すぐには寝付けずに起きていたけど、いつの間にか眠ってた。
そして朝。起きてみるとそこにルシルの姿はなく、置手紙が一枚だけ残ってた。

――やっぱり無理。二人が寝入ったのを確認して退室させてもらった。
ヴィヴィオには適当に誤魔化してもらえると助かる――

私はその置手紙を見て苦笑。
そして置手紙のとおりヴィヴィオへの誤魔化しの言葉を考える。
でもよく考えてみたら、ヴィヴィオが起きる時間にはもう私たちは出動してるんだけど・・・・。


†††Sideフェイト⇒シャルロッテ†††


ぐっすりと眠って体調万全で地上本部の警備を始めた私とルシル(ルシルは何か微妙だけど)。
一応ということで管理局の制服を着ることになったけど・・・いいの、本当にこれで?
元管理局員であり現協力者な私たちが制服を着るっていろいろとまずい気がする。
で、一緒に来たはやてたちはフォワードの子達にデバイスを預けて中へと入っていった。
正直デバイスを預けなければならないということには驚いたけど、その分私たちが働けばいいと思うことにした。

「お、始まった」

そんなことを考えながらのんびり構えていると、ようやく陳述会が始まった。
モニターに映し出されている陳述会で繰り広げられている論争を聞きながら、私のデバイスである“トロイメライ”をそっと指で撫でる。
“キルシュブリューテ”はペッカートゥムやレーガートゥス以外に使えない。
そのための“トロイメライ”。マリエルさんに頼んできっちりメンテナンスもしたから絶好調だ。

「ふわぁ。ねむひ」

それから何事も起きずに昼を過ぎ、辺りは夕日に染まってオレンジ色だ。
そして陳述会も終わりへと差し掛かりそうなところまでいってる。
このまま何も起こらないことを祈りつつ、地上本部へと視線を向ける。

「開始から四時間ちょっと。中のほうもそろそろ終わりね」

ティアナが腕時計を確認して現時刻を告げる。
四時間、かぁ。結構無駄な時間を過ごしたかも・・・。

「最後まで気を抜かずにしっかりやろう!」

「「はい!」」

フォワードの子達のやり取りを聞いていると笑みが浮かんでしまう。
まるで昔の私たちを見ているみたいだから。
ふと隣に立つルシルを見てみると、ルシルも似たような表情をしてる。
これはこれで無駄な時間じゃなかったかもね。


◦―◦―◦―◦―◦―◦


遥か上空で地上本部を見つめる二つの影。
それは大男であるゼストと、赤い少女アギトの二人。

「連中の尻馬に乗るのはどうも気が進まねぇけど・・・」

「それでも貴重な機会ではある。今日ここで全てが片付くなら、それに越したことはない」

アギトの言葉に、ゼストは目の前に展開されたモニターに映るゲイズ中将を見ながら答える。

「まーね。つうか、あたしはルールーも心配だ。大丈夫かな、あの子」

「心配ならルーテシアについてやればいい」

ゼストの返答を聞いたアギトは、ゼストの顔の前まで移動する。

「今回に関しちゃダンナのことも心配なんだよ!
ルールーにはまだガリューや虫たち、それに・・・レヴィもいるし。でもダンナは一人じゃんか」

ゼストの言葉に少し不機嫌そうにそう口にするアギト。
しかしゼストは何も答えない。視線はずっとモニターに映るゲイズ中将に注がれている。

「ダンナの目的はこのヒゲ親父だろ? そこまではあたしがついていく。
ダンナのこと、守ってあげるよ」

「お前の自由だ。好きにするといい」

モニターを消し、ゼストは静かに告げた。

「するともさ! ダンナはあたしの恩人だからな」 
 

◦―◦―◦―◦―◦―◦


「ナンバーズ、ナンバーⅢトーレからナンバーⅩⅡディードまで全機配置完了」

スカリエッティのラボの一室、ナンバーⅠウーノが自信の周囲に展開されている、まるで鍵盤のようなキーボードを叩きながら、背後にいる自分たちの主スカリエッティに報告する。
彼女の前に展開されているいくつかのモニターには、ナンバーズやゼストとアギト、そして腕を交差したルーテシアと、隣に立つ許されざる嫉妬(レヴィヤタン)が映っている。

『お嬢とゼスト殿も所定の配置に就かれた』

左端のモニターに映るⅢと刻まれた装甲を持つ紫色の女性、トーレから報告が入る。

『攻撃準備も全て万全。あとはゴーサインを待つだけですー♪』

新しく展開されたモニターに映るクアットロからも準備完了の報が入った。
ウーノはキーボードを叩きながらもそれに「ええ」と応じる。
そのとき、彼女の背後に座るスカリエッティから抑えられた笑い声が漏れ始める。

「楽しそうですね」

「ああ、楽しいさ。この手で世界の歴史を変える瞬間だ。
研究者として、技術者として、心が沸き立つじゃあないか。そうだろ、ウーノ?」

スカリエッティの言葉にウーノは笑みを返すことで肯定の意を告げる。
そしてスカリエッティは椅子から立ち上がり、計画実行の合図を告げる。

「我々のスポンサー氏にとくと見せてやろう。我らの思いと、研究と開発の成果を、な。さあ、始めよう!!」

「はい」

ウーノが複数のキーを同時に叩き、計画が実行に移された。
ナンバーⅣクアットロは、自らのIS“シルバーカーテン”で地上本部のシステムに干渉、C4ISR機能をダウンさせる。
ナンバーⅥセインは、IS“ディープダイバー”によって、地上本部の指揮管制室に特殊ガスが仕込まれたハンドグレネードを天井から投下、管制室の局員を無力化。
ナンバーⅤ、銀髪に右目に眼帯を付けた小柄な少女、名をチンク。
彼女は地上本部の内部施設、魔力炉を、IS“ランブルデトネイター”で破壊。
地上本部の防壁の出力を減衰させた。
そしてルーテシア。彼女の遠隔召喚によって地上本部周辺に無数のガジェットを展開。
地上本部へと襲撃をかけさせる。
ナンバーⅩディエチは、地上本部から遠く離れた場所より固有武装“イノーメスカノン”による砲撃を実行。
地上本部より少し離れた海上、そこにいたのはナンバーⅢトーレ、そしてナンバーⅦ、桃色の長髪をした少女、名をセッテの二人。
援軍として現れた地上航空隊の魔導師部隊を悉く撃墜していく。
そしてそれをただ傍観する三つの影。
一つは大鎌を構え、一つは腕を組み、一つは刀身が赤黒い四角柱の剣を構えている。
表情はどれも冷笑を浮かべていた。


†††Sideルシリオン†††


それはあまりに突然のことだった。
陳述会もあと僅かの時間で終わると思われたとき、警備に当たっていた部隊に緊急の全体通信が流れた。
内容としては“管制システムが乗っ取られた”というもので、すぐに通信が切れた。

「あまりに早かったな、陥落するのが・・・・」

地上本部の防壁は鉄壁とか言われていたが、実際はあまりに短時間での陥落だった。
これなら私の持つ電子戦用能力でも容易く落とせる気がしてきた。

「くそっ、いくぞテメェら!」

「「「「はいっ!」」」」

それからすぐに私たち六課は行動を開始。襲撃を受けた地上本部へと走る。

「――ガスは致死性ではなく麻痺性。今、防御データを送るです!」

先程からリインが撒かれたガスの成分を解析していて、その効果を割り出した。
フォワードの子達のバリアジャケットに、対ガス用の防御が施される。 
ちなみに私とシャルにそういったものは必要ない。ガス程度でどうにかなる防御力ではないからだ。

「通信妨害がキツい・・・。ロングアーチ!」

『外からの攻撃は一先ず止まってますが、中の状況は不明です!』

ロングアーチから報告が入る。
いくら魔力が強くともフェイトたちはデバイスを持っていない。
そんな状況でもし戦闘になったりでもしたらまずい。

「副隊長! 私たちが中に入ります! なのはさんたちを助けに行かないと・・・!」

スバルの言葉に他の三人が頷いて応える。
ヴィータは少し考えているようだが、もう心のうちでは決まっているはずだ。

『地上本部へ航空戦力、ランクは推定オーバーSランクです!』

次から次へと面倒事が増えるな、本当に・・・。

「ヴィータ、私とシャルで外のガジェットを殲滅する」
 
「セインテスト・・・わりぃ。ロングアーチ! そっちはあたしとリインが上がる!
外はセインテストとフライハイト、中には新人どもが行く!」

『了解しました!』

ヴィータからの指示に答え、私とシャルはガジェットの迎撃に。
ヴィータとリインは新たな航空戦力へ、フォワードの子達は中にいるフェイトたちを助けるため。
それぞれに行動を開始。
私とシャルはヴィータたちと別れて、ガジェットの出現が多い場所へと来た。
視界に入るのは、ガジェットが地上本部の障壁に張り付いて、AMFの効果で突破しようとしていたガジェット群だっだ。
それにしてもガジェットの数が半端じゃなく、そのうえまだ増え続けている。

「うわっ、なんかすごいことになってる」

「無駄話はあとだ。さっさと片付けてしまおう」

周りに局員がいないことを確認して臨戦態勢に入る。

「うん。トロイメライ、いくよ」

≪Jawohl, Meister. Explosion≫

“トロイメライ”がカートリッジをリロードする。
シャルは“トロイメライ”を軽く振って、四機のガジェット三型へと突っ込んでいく。

「こっから先は通行止めで~~~すっ!」

――光牙月閃刃シャイン・モーントズィッヒェル――

≪Schein Mondsichel≫

シャルのほうは問題ないだろう。私も私のやれることをやるのみだ。
障壁に張り付いているガジェットをまずは殲滅する。

≪我が手に携えしは友が誇りし至高の幻想≫

引き出す複製術式は実妹、拳帝シエルの固有魔術。
そして私が持ちえても制御しきれない属性を利用した一撃だ。
術式発動に達しようとしたとき、周囲に“ギンッ”と鈍い音が一瞬だけ響く。
そしてシャルが効果範囲にいないことを確認して・・・・発動する。

「・・・・墜ちろ」

――圧戒(ルイン・トリガー)――

術式発動と同時に、障壁に張り付いていた約二十機のガジェットが地面に叩き落された。
そのまま地面にめり込んでいき、かけられた“重力”に耐えられず次々と爆散していく。

「ちょっとルシル、拳帝の固有魔術使うの止めてほしいんだけど。大戦のトラウマが甦ってくるから」

遠く離れてガジェットを真っ二つにしていっているシャルがそう口にした。

「シエルと君との間に何かあったっけか?」

「うそ、もしかして覚えてないの?私の心慧騎士団の過半数は、拳帝の圧戒(それ)で壊滅したんだけど・・・」

そんなことあったような、なかったような・・・・?

「・・・あ、もしかして“アルグレーンの戦い”・・・か?」

「そう。あの島の戦い。天光騎士団が大戦での初陣だったのに・・・あんな簡単に・・・。
ああもう思い出したら泣けてきた・・・・」

シャルは“トロイメライ”も地面に突き刺して、両手で顔を覆った。
いやいやいや、そこまでガジェットが来ているんだが・・・・。

「・・・なんてね。もう過ぎたことだし、戦争だから仕方ないことだった」

シャルは“トロイメライ”を手に取り、向かってきたガジェットの一型と三型、計19機を瞬殺。
その目には想像していた涙はなかった。

「でも、そんなに使わないでほしいのはホントだから」

シャルはそう呟いて、再びガジェットの群れへと突っ込んでいった。
シャルのあんな悲しそうな顔を見た以上は、彼女の前ではもう使えない。

「仕方ないか・・・・」

腰のホルスターに納められた“星填銃オルトリンデとグリムゲルテ”を手にする。
銃口は全てガジェット群に向ける。魔力を流し、弾丸を精製。

「一機残らず撃墜といこうか・・・」

引き金を引いて魔力弾をガジェットへと撃ち込んでいく。


†††Sideルシリオン⇒ヴィータ†††


はやてとシグナムのデバイスをスバルたちに預けて、あたしとリインは空に上がった。

「「ユニゾン、イン!」」

騎士甲冑に変身して、融合機としてのリインとユニゾンする。
相手はオーバーSランクだ。これくらいはしておかないと勝てないと判断したからだ。

「リイン、停止の呼びかけ頼む」

シュワルベフリーゲンを用意しながら、リインに未確認に停止の呼びかけを頼んだ。
あたしはいつでも攻撃に移れるようにしておく。

「はいです!『こちら管理局。あなたの飛行許可と個人識別票が確認できません。
ただちに停止してください! それ以上進めば迎撃に入ります!』」

停まる気配が全然なかった。だからあたしはシュワルベフリーゲンを撃つ。

「一気にいくぞ、リイン、アイゼン!」

アイゼンをギガントフォルムに変えて、一撃必倒に賭ける。
フリーゲンを操作しながら、未確認の背後から奇襲を仕掛ける。

「ギガント・・・ハンマァァーーーッ!!」

振り上げたアイゼンを思いっきり振り下ろす。

『外したです! 相殺と防御で防がれました!』

「一筋縄じゃいかねぇってか。けどダメージは通した。続けてぶち抜く!!」

そして雲の中から出てきた未確認の男の外見がさっきと変わっていた。
茶色がかった髪は金色になって、体の周囲には炎が揺らめいてた。

『やっぱり融合型!』

「あたしたちと同じか・・・。管理局機動六課、スターズ分隊副隊長ヴィータだ!」

「・・・ゼスト」

C4ISRのことは書かないといけません・・・・ね?
Command, Control, Communications, Computers, Intelligence,
Surveillance and Reconnaissance
指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・監視・偵察の頭文字を取ったものです。
軍事力を効果的に発揮させるために不可欠な機能のことですね。
簡単に管制システムと書いたほうが良かったかもしれません。

それと、アルグレーンの戦い、ですか。
ANSURの戦いの一つで、天光騎士団の大戦初陣となった戦場の名前です。
“すべて緑”という意味を持つ島です。
そこでシャルロッテと率いる騎士団が、アンスールの拳帝シエルと殲滅姫カノンの率いる部隊と交戦、シエルの圧戒とカノンの支援砲撃でほぼ壊滅といったものでした。


複製術式

圧戒(ルイン・トリガー):ANSUR
シエルの任意の場所に最大直径800メートル、最大10倍の重力をかけられる。
ルイン・トリガー/破滅の引き金という意味を持つ。

ルシルのオリジナル・スペル
≪我が手に携えしは友が誇りし至高の幻想≫
この場合は、アンスール、ヴァルキリーといった戦友の術式や武装などを
引き出す際に使用されるものです。
それ以外は、≪我が手に携えしは確かなる幻想≫となります。


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