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シャルロッテと海鳴市


†††Sideなのは†††


昨日の夜、私はシャルちゃんの抱える心の闇を知りました。
いつも独り。それは以前の私にもあったものです。
お父さんが仕事で大怪我をしたとき、お母さんとお兄ちゃんは翠屋を経営し始めたばかりで、あまり繁盛していなかったために忙しく、お姉ちゃんも病院へお父さんのお見舞いに行ってよく家を空けていました。
だからシャルちゃんの想いには共感できたのです。
ご飯を食べ終えた後、シャルちゃんは泣き疲れたのか座ったまま眠ってしまいました。
お父さんがシャルちゃんを抱えて、お父さんたちの部屋へと連れて行きました。
どうやら今日は一緒に眠るつもりのようです。
それを見て、私は何の迷いもなくハッキリと、

「私も今日はシャルちゃんと一緒に寝る!」

そう口にしました。だって、あんな話を聞いたらそうしたくなるから。

「そうね、なら今日はみんなで一緒に寝ましょうか」

お母さんは微笑みながらみんなを見渡す。

「うん。私もシャルちゃんと一緒に寝るよ」

お姉ちゃんも笑顔で賛成してくれます。
そしてお兄ちゃんは、「俺はどうしようかな?」って少し迷っているみたい。
けど今日くらいは一緒でもいいと思うんだけど・・・

「恭也、布団がもう入らないから俺と一緒の布団で寝ることになるが・・・」

戻ってきたお父さんの開口一番のそれを聞いて、

「じゃあ自分の部屋で寝るよ」

拒絶の言葉を一切の迷いなく即答したのでした。
あ、お父さんの表情が一気に残念そうなものへと変わってく。

「恭也、もう少し父と子のスキンシップというものをな・・・」

「いや、さすがにこの年で親と同じ布団というのは少し・・・いやだ」

お父さんとお兄ちゃんの会話を聞きながら、私はお風呂に入るべく自分の部屋へ着替えを取りに向かいました。

それと今日のジュエルシード探索は、ユーノ君と相談してしないことにしました。


†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††


ゆっくりと意識が覚醒する。朝日が部屋の中へと差し込んでいる。
いつの間にか私は眠ってしまっていたようだ。
辺りを見渡すと、昨日案内してもらった私の部屋でないことに気付く。
そして同じ布団の中には、なのはが可愛らしい寝顔で眠り続けていた。

「ここは・・・?」

何故知らない部屋で寝ているのか分からない為、昨晩のことを思い出す。
そして、夕食時の私を思い出し、恥ずかしさのあまりに一気に頭に血が上る。
今の私の顔は恥ずかしさの所為でとんでもないくらい赤くなっているに違いない。

「やってしまった。まさかあんなことになるなんて・・・」

いくらなんでもあんな子供のように泣くなんてどうかしている。
ハァ、軽く・・・いや、かなりヘコんでしまう。
そういえば“彼”が以前教えてくれた言葉がある。

(精神は肉体に引っ張られる・・・か)

最初、その言葉の意味がさっぱり分からなくって、何それ?って鼻で笑ったことがある。
今ではもう体験した後なので嫌というほど理解できた。
“彼”もこんな思いをしたのだろうか・・・。
全く、私はこんなにも心が弱かったのか、鍛え直す必要がありそうだ。

「「おはようシャルちゃん」」

声が聞こえた方に顔を向けると、そこには士郎さんと桃子さんがいた。

「おはようございます、士郎さん、桃子さん」

そう返すとお二人の表情が少し残念そうに変わる。
ん? 何かおかしなことを言ったかしら。

「シャルちゃん。お母さんって呼んでもいいのよ?」

「そうだぞ。俺のこともお父さんと呼んでくれていいぞ?」

と、士郎さんと桃子さんがとんでもないことを言い出す。

「え? あ、いえ・・・そんな・・・えっと・・・」

「「さぁ♪」」

(そんな笑顔で言われても困ります!!)

返答に詰まっていると、お二人の後ろに救世主が現れました。

「シャルちゃん、起きた~?」

「あ、美由紀さん。おはようございます」

助かった、とそのときは思った。
けど、美由紀さんの顔が、士郎さんと桃子さんのと同じ残念そうな表情へと変わったことに気付いてしまった。
あぁそうですか、美由紀さんも私の敵だったのですね。

「シャルちゃん、お姉ちゃんって呼んでいいんだよ?」

もう折れるしかないのか。でも、それも少し悪くない気がし始める。

「あの・・・」

覚悟を決めて言葉にしようとしたその時、部屋に音楽が流れ始める。
私の隣でモソモソと何かが動く気配、そして・・・・

「うぅ~~ん、シャルちゃん?・・・おはよう、シャルちゃん」

グッドタイミングなのかバッドタイミングなのかは微妙だけど、なのはが目を擦りながら起き始める。
けど、ちょっと残念だったかな。

「おはようなのは、今日はいい天気よ。それで士郎さん、着替えたいので、その・・・」

そう少し頬を赤くしながら士郎さんに向けて言外に出てけと告げる。
今は子供でも実際は大人なのだから許してほしい。

「ああ、それはごめんよ。もう朝食は出来ているから用意が終わったらおいで」

「なのは、シャルちゃんを洗面台に案内してあげて」

「待ってるからね~」

士郎さんは苦笑しながら部屋を後にする。桃子さんと美由紀さんもそれに続く。

「それじゃあシャルちゃん、顔を洗いに行こうか」

「ええ、そうね」

なのははそう言って着替え始める。
さあ、この世界で初めての朝を迎えましょうか。


†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††


「お待たせ~」

「お待たせしました」

私とシャルちゃんは急いでダイニングへと向かい、椅子に腰掛ける。

「おはようなのは、シャルちゃん」

お兄ちゃんが私たちにそう挨拶してきました。

「おはようお兄ちゃん」

「おはようございます恭也さん」

私たちはお兄ちゃんへと挨拶を返します。

「よし、みんな揃ったことだし食べようか。いただきます!」

高町家を代表してお父さんが元気よくいただきますと手を合わせる。

「「「「「いただきます!」」」」」

それに倣って私たちも手を合わせ食べ始めた。


†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††


「それでなのは、今日はどうするんだい?」

昨日、お風呂に入ってないからと私は入浴を勧められ、入浴し終えて上がってきた後、美由紀さんに髪を乾かしてもらってからダイニングへと戻ると、そんな士郎さんの声が聞こえてきた。
士郎さんがなのはに向けて今日の予定を聞いているみたいね。

「うん? えっと今日はシャルちゃんにこの街を案内して、それからアリサちゃんとすずかちゃんも紹介したいから・・・」

どうやら街の案内となのはの友人を紹介することになっているようだ。
そういえば昨日、夕食の前にそんなことを決めていた気がする。

「そうか。それとシャルちゃんは明日からなのはと同じ学校に通うことになるから、一応学校のほうも案内してあげるんだぞ?」

そうだった。ここへは留学生という設定で来たんだった。
この世界の界律も面倒なことをしてくれる。もう少し簡単な設定は無かったのか?

「なのは、途中まではお母さんも一緒に行くから。
シャルちゃんの制服をお店まで取りに行くことになってるの。今準備してるから少し待ってて」

桃子さんの声が廊下のほうから聞こえる。
というか私の制服の寸法とかいつの間に測られたの?
というか界律よ、これは少々ご都合主義にも程があるのではないだろうか?
私は界律のあまりに万能かつ無駄な労力に、敬意とそれ以上の呆れた思いで胸が一杯になってしまう。
本当に一体何をさせたいのか、軽いイジメなのかも?

「は~い。それじゃ少し待ってよっか」

「ええ」

五分位待っていると桃子さんがやってきた。

「お待たせ~。行きましょうかなのは、シャルちゃん」

「それじゃお父さん、行ってきます!」

「あなた行って来ます」

「行ってきます。・・・・士郎・・・父さん」

「ああ、行って・・・・へ?」

うわぁ、顔から火が出そうだ。士郎さんも私の突然の言葉にフリーズしている。
そして隣にいるなのははすごく嬉しそうに笑っている。
というか桃子さん、そんな顔で私を見ないでください! ちゃんとお母さんと呼びますから!
もうこれ以上この場に留まることは出来そうになく、振り返らずに高町家を後にする。


†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††


家を出てから二時間弱、途中でお母さんと別れ、お父さんたちが経営する喫茶翠屋など大体の場所は案内し終えた。
そして今は私が通い、そして明日からシャルちゃんが通うことになる私立聖祥大付属小学校の校門前に立ち、肩に乗せたユーノ君やシャルちゃんと一緒に校舎を眺める。

「ここが明日から私の通う学校・・・」

シャルちゃんが学校を珍しそうに眺める。

「どうしたのシャルちゃん? 何か学校が珍しそうに見てるけど・・・?」

「え? ううん、何でもないわ。場所は大体分かったからもう大丈夫。
それに通学用のバスもあるんでしょ? なら迷えってほうが難しいわ」

「そっか。うん。なら次はお待ちかね♪ 私の友達を紹介するね♪」

「わっ、危ないってなのは!」

私はシャルちゃんの手を引いて友達の家、すずかちゃんの家へと向かう。
昨日の内に、すずかちゃんとアリサちゃんにシャルちゃんのことを連絡しておいた。
だからすずかちゃんの家にはアリサちゃんもいるはずだ。


†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††


なのはの手に引かれて案内されたのは大きな屋敷。
私の過ごした屋敷もそれなりだったけれど、目の前の屋敷もまたそれなりだ。
門を潜り屋敷の前まで歩いていく。
なのはは扉の横に付いた呼び鈴(インターフォンというらしい)のボタンを押す。
すると・・・

「いらっしゃいませ、なのはお嬢様、シャルロッテお嬢様」

扉が開き、私たちにお辞儀をする一人の女性がなのはと私の名を口にする。

「あ、シャルちゃんのことはもう教えてあるんだ」

顔に出ていたのだろうか、なのはが私の耳元で囁く。
なるほどね。それなら知っていて当然だわ。

「シャルちゃん、こちら、月村家メイド長のノエルさん」

「どうも初めまして、シャルロッテお嬢様」

「初めましてシャルロッテ・フライハイトです」

自己紹介も済み、私たちは屋敷の中へと案内される。


†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††


「あ、なのはちゃん。いらっしゃい!」

「やっと来たわね、なのは」

ノエルさんに案内された先に、すずかちゃんとアリサちゃんが待っていた。

「うん、ゴメンね~」

約束の時間まではまだ余裕があるけど、待たせたのなら一応謝っておく。

「その子が昨日のメールで言ってた・・・・」

「あ、うん! この子がシャルロッテ・フライハイトちゃん。
昨日メールした通り、ドイツからの留学生で、今は私の家にホームステイしてるの」

「初めましてアリサ・バニングスよ」

「初めまして月村すずかです」

「初めましてシャルロッテ・フライハイトよ。シャルって気軽に呼んで」

「分かったわ。よろしくシャル」

「よろしくねシャルちゃん」

良かった。シャルちゃん、アリサちゃんとすずかちゃんと打ち解けてくれたみたい。
それから私たちは遅くまで話に花を咲かせた。
シャルちゃんも楽しんでくれたようだし本当に良かったよ。
夜、自分の部屋のベッドに入って、明日からの学校生活のことを思うと興奮してなかなか寝付けなかった。
シャルちゃん、友達がたくさんできるといいな。



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