闇の書 覚醒
――12月23日、PM6:45 アースラ訓練室
†††Sideルシリオン†††
≪我が手に携えしは確かなる幻想≫
――炎柱陣――
複製術式・武装を“神々の宝庫”や“英知の居館”より発動・具現させるための呪文を詠唱する。
まずは炎の柱を“あいつ”の真下から噴出させ、“あいつ”を上空へ撃ち上げる。
――輝ける白嵐――
再度真下から光の竜巻を発動させ、さらに上空へと吹き飛ばし
――終極洗礼――
次は真上に現れた幾何学模様からの一条の閃光を放つ。
その閃光が直撃した“あいつ”が地面に叩きつけられるその直前で、
――貴弾――
黄金の光の柱とともに跳び、“あいつ”へと正拳を喰らわせる。
「うぐぇ!?」
“あいつ”が苦悶の声を上げる。
だがそれはダメージよるものではなく、腹部へ正拳が入ったためのものだ。
「やっぱ硬いな、お前の障壁は。だが・・・ゼロ・ディゾ――!?」
「とおおおぉぉぉッ!!」
攻撃に移る瞬間、“あいつ”は俺の左頬に強烈なビンタを叩きつけてきた。
そのあまりの衝撃に吹き飛ばされながらも、何とか四肢をついて着地する。
だが今の一撃で目が回り、尚且つ耳鳴りが酷く集中できない。
かぶりを振って何とか立ち上がり、“あいつ”を揺れる視界の中で見つめる。
「いっきま~す!」
「うっぐ! オール・・・デッド!」
追撃のために突っ込んできた“あいつ”の懐にギリギリで入り、カウンターを撃つ。
「おわぁっ!?」
――ショッキング 私好みの 宇宙人――
面白いほど吹き飛んで・・・・ドベシャと地面と落下した。
だがすぐさま立った“あいつ”の様子からして全くの無傷だ。
「おっとっと、ねぇ。無限書庫ってとこでずっと篭ってたから勘が鈍ったんじゃないの?」
「ああ、だからこそお前に相手を頼んでいるのだろうこのド阿呆」
「あ~! またそんなことを言う!」
あらかた“闇の書”の調査を終えたのはいいが、随分と体を動かしていなかったため、リンディ艦長とクロノに頼んで、このうるさいド阿呆と模擬戦できるようにしてもらった。
「事実だろ? ところ構わず抱きついてきては戦闘の邪魔をするアホな子。
その所為で大戦の時は何度も死に掛けたのを忘れたか?」
「むぅぅ、マスターを愛するのは当然でしょ。
それに邪魔をしてるんじゃなくて守ってんの!」
両腕を上下に振りながらプンスカ怒っているが聞き流す。
「はぁもういいよ。それにしても行かなくてよかったのマスター?
誘われてたんでしょ、夕ご飯。この世界での友達に。仲良くしないと、きっと後悔するよ?」
ド阿呆こと俺の正真正銘の使い魔“フェンリル”の“異界英雄”がそう訊いてきた。
本物のフェンリルは、セインテスト王家の王城グラズヘイムで、時間凍結封印されている俺の肉体を守護しながら俺が人間へと戻るのを待っているだろう。
「いいんだよ、さすがに気を遣ってしまう。
何せなのはのご家族と会ったのはたった3回だ。
それだけで御呼ばれするのはちょっと気が進まない」
「もう少し楽しめばいいのにぃ。でもまぁ、それがマスターの意思なら口は挟まない。
けどそんなんじゃその内壊れちゃうよ?」
「すでに壊れたことを経験しているから大丈夫だ。
今はそんなことより、どうだった俺の魔術は?」
今回の模擬戦の目的。それは固有魔術と複製術式の威力差を確認することだ。
相手はクロノでもよかったが全力で断られたので、最も信頼できるフェンリルを選んだというわけだ
「受けてみてわかったんだけど、やっぱり複製術式の方が威力が高いよ。
マスターの魔術の神秘は弱くなってるから、全く使えない力になっちゃってる。
もし固有魔術で今使えるもので戦うんなら、大火力のミカエル、ウリエル、カマエル、メタトロンの四つが最低ライン。
それ以外はほとんど使う意味がないかもだよ」
「やはり、そうなのか」
最大威力に関しては固有も複製も同じS+ランクに設定されている。
だがそれでも差が出るのは神秘の優劣が原因なのだろう。
魔術の威力を決定するのは、魔力ではなく神秘の優劣だ。
魔力が大きいおかげで威力が高められたとしても、神秘の無さがそれをマイナスにする。
だからこそ神秘における減退がない複製術式のほうが威力が高くなってしまう、ということなんだろう。
「だから界律に設定されたランクどおりの威力を出したいなら、“剣神”と同じように魔術を魔法っていうのに変えたほうがいいと思う。
魔法は純粋に魔力の大きさで威力が決定されているみたいだから」
「最悪だ。魔術を魔法に再構築する? どれだけかかると思ってるんだ」
複製術式は容易く魔法へと変換できるが、俺の固有魔術はそう簡単にはいかない。
出来ないことはないだろうが、やろうと思うと気が重い。
「・・・おぉ? それじゃ時間みたいだから、またねマスター」
フェンリルの足元が霞んでいく。召喚時間が過ぎてしまったようだ。
「ああ、ありがとう」
フェンリルが手を振りながら光の粒子となって消えていった。
俺は息を整え、修理を終えた“トロイメライ”の調子を見ることにした。
「トロイメライ、シュベルトフォルム」
†††Sideルシリオン⇒フェイト†††
12月23日 PM7:12 海鳴市藤見町 高町家
「「「「「いただきます!」」」」
私は今日、なのはに誘われて、なのはの家でご馳走になっている。
「フェイトちゃんもたくさん食べてね♪」
「はい、ありがとうございます!」
なのはのお母さん――桃子さんはすごく優しい人だ。
その笑顔を見てるだけで心がポカポカする。
「んー、でも残念ねぇ。ルシリオン君も来てくれればよかったのだけど」
「ルシル君が言うには、あまりお世話になるのも悪いからって」
「そんなことないのになぁ。なのはたちの友達ならいつでも大歓迎なんだが」
そう、ルシルはここにはいない。一応誘ったんだけど断られちゃった。
一緒にご飯を食べて、楽しく話ができたらよかったなぁ。
そのあと、なのはの家のクリスマスの過ごし方だとかいろいろ話した。
すごく楽しい時間はあっという間に過ぎて、私は美由紀さんに家まで送ってもらった。
明日はクリスマス・イブ。学校が終わってからはやてのお見舞いに行く予定だ。
でも内緒で行くことになっているので少し不安。
サプライズもいいけど、やっぱり家族の人に確認を取っておいたほうがいい気がする。
アリサはきっと聞かないだろうけど。
†††Sideフェイト⇒シャルロッテ†††
12月24日 PM2:58 アースラ艦内
「それにしてもよかったのか? 今日ははやての見舞いだったんだろ?」
今日、24日のクリスマス・イブ。
この日ははやてのお見舞いに行くという話だった。
でも朝方に“トロイメライ”の修理と最終動作確認を終えたとルシルから連絡が入った。
だから私は終業式が終わるとすぐにアースラへと急いで来たというわけだ。
「んん、そうなんだけどね。確かにはやての見舞いも大事だし行きたかったんだけど、トロイメライのほうが気になっちゃたんだよね。
ほら、いつシグナムたちと戦うことになるか分からないからさ。
そうなちゃったら、デバイス無しだとなのはたちのお荷物になっちゃうでしょ?
それだけはどうしてもイヤだったんだよね」
本来なら友達との約束が一番なんだろうけど、どうしても気になってしまった。
あとではやてに謝り倒そうかと思ってる。ちなみにルシルも一緒に。理由は特にないけどね。
「それにしても年内ギリギリって話だったけど、随分早く修理終わったんだね」
「修理には途中から俺も参加したしな。いくらか俺の持つ技術を使って補強した」
「本当!? 随分と太っ腹じゃない!」
「まぁ、君のあんな顔を見たら・・・な」
ルシルは私から顔を背けて早足で歩き出した。
もしかしたら照れてる? あはっ、嬉しいな。
「ルシル、シャル、少しいいか?」
「「ん?」」
背後から声をかけられて振り向いてみると、そこにはクロノが立っていた。
「何かあったのかクロノ?」
「仮面の男についてなんだが、君たちの意見と僕の意見を少し交えて考えたい。
モニタールームまで来てもらっていいだろうか?」
今から急いで病院に行ってなのはたちと合流するつもりだったけど、クロノのその真剣な眼差しを見た私たちは断ることが出来なかった。
†††Sideシャルロッテ⇒ルシリオン†††
クロノとともにモニタールームへと来た俺たち。
クロノはキーボードを操作して、モニターに砂漠での戦いに関するデータを表示させた。
映っているのはヴィータをかばい、そしてシャルを背後から襲った仮面の男。
この男が最速で二十分かかる距離を、九分という時間で転移したということはすでに聞いている。
エイミィの話ではほとんど不可能なほどの速さらしい。
俺たち守護神の扱う位相空間転移なら可能だが、それを人間が出来るわけがない。
「どう思う?」
クロノが振り向き、俺とシャルを見た。
「どうって・・・転移時間のことを言ってるの?」
「それもあるが・・・ルシル、君はどうだろう?」
「俺としては、仮面の男が二人いると考えれば筋が通ると思う」
「・・・あぁなるほど」
「やはり君もそこへ行き着いてしまうか」
シャルは思い至った顔をして、クロノは別の答えを聞きたかったという顔をした。
どうやら仮面の男の正体について何かを掴んだ――いや、判ってしまったようだ。
「しかし、やはりそれしかないのか」
「ああ」
それからもうしばらくエイミィが現れるまでクロノと話をした。
グレアム提督のこと、リーゼ姉妹のことを、そして八神はやてのことを。
†††Sideルシリオン⇒なのは†††
今、私とフェイトちゃんは、シグナムさんとシャマルさんの二人と対峙している。
「はやてちゃんが・・・闇の書の主」
それはついさっき、はやてちゃんのお見舞いのときに分かったことだ。
クリスマスプレゼントをはやてちゃんに渡すために病院を訪れた私たちは、そこではやてちゃんと一緒にいたヴィータちゃんたちと遭遇してしまったのだ。
ヴィータちゃんたちがいる。それはつまりはやてちゃんが闇の書の主ということ。
信じたくないけど、それは確かに存在している事実。
「悲願はあと僅かで叶う」
「邪魔をするなら、はやてちゃんのお友達でも」
「待って! ちょっと待って! 話を聞いてください!
ダメなんです! 闇の書を完成させたらはやてちゃんは!」
このまま闇の書が完成したら、ユーノ君たちが調べたとおりのことになっちゃう。
はやてちゃんが・・・はやてちゃんが死んじゃうことに。
「らあああああッ!!」
私はヴィータちゃんのその声で、ヴィータちゃんの攻撃に気付くことができた。
だからすぐにプロテクションを張ることが出来たんだけど、その強力な一撃に耐え切ることが出来なくて、弾き飛ばされてフェンスに衝突する。
「なのは!」
フェイトちゃんの声が少し遠くに聞こえる。
衝撃のせいで少し頭がクラクラとしているからだ。
「邪魔すんなよ。あともうちょっとで助けられるんだ。
はやてが元気になって、あたしたちのところへ帰ってくるんだ!」
赤いバリアジャケットを纏ったヴィータちゃんは両目に涙を浮かべている。
それほど必死にずっと頑張ってきたのに、闇の書を完成させたら・・・全てが失くなる。
「だから・・・邪魔すんなぁぁぁぁッ!!」
――テートリヒ・シュラーク――
ヴィータちゃんの強烈な一撃。
それによって起こった爆発の中、私はバリアジャケットを纏って燃え盛る炎から歩き出る。
「はぁはぁはぁ、悪魔め」
ヴィータちゃんの目にはもう敵意の色しか見えない。
静かに私は“レイジングハート”を構えて臨戦態勢に入る。
「悪魔でいいよ。悪魔らしいやり方で話を聞いてもらうから」
なんて言われても助けてあげたいんだ。はやてちゃんもヴィータちゃんたちみんなも。
†††Sideなのは⇒フェイト†††
私が対峙するのはシグナム。
「闇の書は悪意ある改変を受けて壊れてしまってる。今の状態で完成させたら、はやては・・・」
死ぬ、とは口に出せなかった。
口にしたら本当にそうなってしまうと思ったから。
「我々はある意味で闇の書の一部だ」
シグナムが“レヴァンティン”の剣先を向けてそう告げる。
上空で戦ってるヴィータにも私たちの声が聞こえたのか、シグナムのそれに同意してきた。
「だから当たり前だ! あたしたちが一番闇の書のことを知ってんだ!」
「じゃあどうして! どうして闇の書なんて呼ぶの!? なんで本当の名前で呼ばないの!?」
なのはの悲痛な叫びが聞こえる。
あっちのほうも気になるけど、今はシグナムを止めることが先だ。
≪Barrier jacket. Sonic form≫
対シグナムのために用意した機動力重視の“ソニックフォーム”へと変身する。
≪Haken≫
“バルディッシュ”をハーケンフォームへと変え、臨戦態勢に入る。
「ただでさえ薄い装甲をさらに薄くしたのか」
「その分速く動けます」
「ゆるい攻撃でも当たれば死ぬぞ? 正気かテスタロッサ?」
「あなたに勝つためです。強いあなたに立ち向かうにはこれしかないと思ったから」
覚悟はある。決意もある。
これくらいしなければ勝つことはまず出来ないと思ってる。
相手はあのシャルを真正面から打ち破った剣士だ。
砂漠でのシャルとシグナムの戦闘内容については“トロイメライ”の記録から知っている。
力押しでは絶対に勝てない。だからこそ機動力に特化したソニックフォームだ。
シグナムの体を炎が包み込む。そして炎が消えて現れたのは、バリアジャケットに身を包んだシグナム。
「こんな出会いをしていなければ、私とお前、フライハイトとも・・・一体どれだけの友になれただろうか」
「まだ間に合いますシグナム。私だって、シャルだって。それに、なのはたちも。
友達になれます。なれるんです。だから――」
「テスタロッサ。もういい。止まれん。我ら守護騎士、主の笑顔のためならば騎士の誇りさえ捨てると決めた。もう・・・止まれんのだ!」
シグナムの瞳から一条の涙が流れ落ちる。
この優しき剣士を止めることこそ私の役目だ。
「止めます。私とバルディッシュが・・・必ず!」
†††Sideフェイト⇒ヴィータ†††
さっきから高町が“闇の書”の名前が何だとか言っている。
そうは言っても何も思い出せない。思い出せない?
「ほんとの名前?」
わからない。思い出せない。“闇の書”に本当の名前なんてあるのか?
霞が掛かったかのようなそれを思い出そうとしていると、高町にバインドがかけられた。
「バインド!? また!?」
「なのは!?」
テスタロッサが高町にかけられたバインドを見て、シグナムとの距離をとってから周囲に気を配っている。
「・・・っ! そこ!」
――プラズマランサー――
テスタロッサの放った攻撃が何かに当たり、その場の空間が揺らいだ。
そしてテスタロッサはその波打っている空間へと直接攻撃を加える。
空間が揺らいでそこに現れたのは、以前あたしやシャマルを助けた仮面の男。
姿を隠してあたしたちのことをずっと見ていたらしい。
「その手はもう通用しない!」
現れた仮面の男にデバイスを構えるテスタロッサは、突如現れたもう一人の仮面の男に蹴り飛ばされてバインドを掛けられた。
それだけじゃない。あたしもシグナムもシャマルも、みんなバインドをかけられた。
バインドを掛けている奴とは別の奴の手に“闇の書”が現れる。
そして仮面の男に従って“闇の書”があたしたちのリンカーコアを体から抽出した。
「最後のページは不要となった守護者自らが差し出す」
いやだ。そんなことになったらはやてと別れることになる。
抵抗しようにもバインドをかけられた上、抽出の激痛によって何もできない。
「これまでの幾度かそうだったはずだ」
≪Sammlung≫
“闇の書”の蒐集が完全に始まった。
あたしの目の前で、苦痛のうめき声を漏らすシャマルが消えていく。
ヤメロ。ヤメロヨ。
「壊れたロストロギア―――」
今度はシグナムが消えていった。
ヤメロ、ヤメロ。ヤメロって言ってんだろっ。
「――こんなもので誰も救えるはずもない」
「シャマル! シグナム! なんなんだ・・・何なんだよテメェら!?」
今度はあたしのリンカーコアの蒐集が始まった。
「プログラム風情が知る必要はない」
足元から消え始めたあたしの体。
(ごめん、ごめん・・・はやて)
ここで完全に意識を途切れてしまった。
最後に思ったことは・・・
(もう一度みんなではやてのご飯、食べたかったな・・・)
†††Sideヴィータ⇒はやて†††
一人病室で休んでると、突然何か得体の知れない胸騒ぎがわたしを襲った。
(なんやろ? シグナムたちが気になってしゃあない)
愛する家族がなんか離れていってしまいそうな、そんな嫌な感じがさっきから続いとる。
すると今度は急に胸が痛み出して、気がつくとどこかのビルの屋上へと来てた。
「なのはちゃん? フェイトちゃん? 何なん? 何なんこれ?」
目の前で宙に浮いている変わった服を着たなのはちゃんとフェイトちゃんがいた。
それだけやない。ヴィータも磔にされてるみたいに宙に浮いとるし、ザフィーラはわたしの真ん前で倒れとる。
「君は病気なんだよ。闇の書の呪いって病気」
「もうね、治らないんだ」
「闇の書が完成しても助からない」
「君が救われることはないんだ」
闇の書の呪い? 治らない? 助からない? 救われない?
なのはちゃんとフェイトちゃんが一体何を言っとるのかわからへん。
でも、たとえ本当にそうでもわたしは・・・
「そんなんええねん。ヴィータを離して。ザフィーラに何したん?」
家族とその許された時間を生きられるだけで十分。
わたしはもうそれだけで十分なんや。
「この子達ね、もう壊れちゃってるの。私たちがこうする前から」
「とっくの昔に壊された闇の書の機能を、まだ使えると思い込んで無駄な努力を続けてた」
「無駄ってなんや!? シグナムは!? シャマルは!?」
無駄っていうことも気になるけど、ここにいないシグナムとシャマルのことのほうがもっと気になった。
フェイトちゃんが顔を上げて、わたしの背後へと目を向ける。
わたしもそれに続いて後ろへと振り向いた。
そこにあったのは、わたしがシグナムとシャマルに買ってあげた服。
服だけがそこにあって風に靡いて揺れとった。
わかってしまった。わかりたくなかったんやけど直感が告げてくる。
シグナムとシャマルはもう・・・・おらんって。
「壊れた機械は役に立たないよね」
「だから壊しちゃお」
その言葉の意味だけはわかってしまった。
それはヴィータをザフィーラを示す言葉やと。
「や、だめ、やめてぇぇぇぇっ!!」
「やめてほしかったら」
「力ずくでどうぞ」
「なんで!? なんでやねん!? なんでこんなん―――」
これ以上、わたしから何も奪わないで。
わたしが一体何したっていうん?
わたしは幸せになったらあかんの?
なんでわたしの前には絶望しかあらへんの?
「はやてちゃん」
「運命って残酷なんだよ」
「やめ・・やめて! やめてぇぇぇぇーーーーーっっ!!!」
あの二人の手の輝きがさらに強くなっていく。
そして次の瞬間、目の前に光の爆発が起きた。
わたしの願いも空しく、ヴィータとザフィーラが消えてしまった。
この瞬間、わたしから全てが失くなってしもうた。
もう何も考えたくない。こんなに悲しくて辛い現実なんて
(いらない)
≪Guten Morgen, Meister≫
そこでもう何もかも分からんくなった。でもそれでもええ。
もうどうでもええんや。もう家族のおらへん世界に居ったって、楽しくない。
†††Sideはやて⇒なのは†††
私とフェイトちゃんの目の前で起きた悲劇。
私たちを捕らえていたクリスタルの檻とバインドを破壊したときには全てが手遅れだった。
両手をついて俯いているはやてちゃんが、顔を上げて絶叫する。
はやてちゃんの足元から表れた黒い光の柱がはやてちゃんを飲み込む。
黒い光の柱が消えそこから現れたのは、ルシル君と同じ綺麗な銀色の長髪に黒い服、そして背には四枚の黒い翼を生やした女性が立っていた。
「また全てが終わってしまった。一体幾度こんな悲しみを繰り返せばいい?」
その女の人は両腕を広げ、空を仰ぎながら涙を流していた。
「我は闇の書。我が力の全ては――」
≪Diabolic Emission≫
右腕を掲げて、その手のひらから黒い球体が現れ一気に大きくなる。
「――主の願いの、そのままに」
いくつものルートを考え書いた上での今回でした。
シャルも見舞いに行く、ルシルも見舞いに行くなどのルートを一度書きました。
ですがシャルの場合は、トロイメライがないためシャルが完全に空気化。
ルシルの場合はもう魔術が使えるので、仮面の男たちによる騎士たちの蒐集が難しくなってしまいました。
ルシルの複製術式。
ANSUR
ジャーマ=炎、コルムナ=柱。スペイン語
アクティース=光、ディーネー=竜巻。古代ギリシャ語
プレギエーラ=祈り、プロイエッティレ=弾丸。イタリア語
テイルズオブグレイセス
ゼロ・ディゾルヴァー
ギルティギア
オールデッド
登場させた俳句は実際の見たものです。
ANSURキャラクター
フェンリル
代々アースガルド王家に使えている狼。
本来の姿は全長30m近い狼。
普段は普通サイズの狼、または人間形態をとっている。
彼女のマスターになった者は、彼女のいき過ぎた献身的な行為に振り回される。
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