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無限書庫~Infinity Library~

†††Sideシャルロッテ†††


シグナムたちに逃げられてやることのなくなった私たちは、今回のことについての話をするために、本部(仮)であるハラオウン家のマンションへと帰ってきた。

「おかえり、お疲れ様」

クロノが扉を開けてすぐ聞こえたのは、ここ数日異世界で過ごしていたルシルの声だ。

「あ・・・! ルシ――」

「いるなら来なさいよ!!」

「――・・・むぅ」

フェイトには悪いけど、まずは私の文句を聞いてもらう。
戦いの最中は異世界にいるのだから仕方ないかなって思っていたけど、すでにこの世界にいながら来なかったっていうのは許せない。

「たった今ここに着いたんだよシャル。だからそうジリジリと近づいてくるな、怖いぞ?」

その表情に嘘は見られない、かも。
ていうか怖いってなによ。なのはといいルシルといい、私のどこが怖いっていうの?

「・・・はぁ、それが本当ならまあ許す。とりあえず、おかえりルシル」

「ああ、ただいまシャル」

何はともあれ無事に帰ってきたのならそれでいいや。
でもルシルから少し違和感を覚える。何だろう? 何かがおかしい、気がする?
 
「おかえりルシル! もう大丈夫なの?」

フェイトが私を押しのけてルシルに声をかけている。
なに? 私は邪魔者とでも言いたいのフェイト?
まぁ先に邪魔したのは私だから文句は言わないし言えないけど。

「ああ、ただいまフェイト。俺はもう大丈夫だから。なのはたちもお疲れ様」

「うん! ありがとうルシル君」

「じゃあリンディ艦長が待っているから入ってくれ」

まあいいか。フェイトがルシルにアタックし続ければルシルもいつか折れてくれるだろう。
そうなれば私もなのはたちから離れずに済むはずだ。


†††Sideシャルロッテ⇒ルシリオン†††


フェイトとなのはは、エイミィから新しくなったデバイスの説明を受けている。
どうやらある程度は強くなったらしいが、フルドライブモードというのはデバイスの自壊を招いてしまうらしい。
そこまでして主を守れなかったのが悔しいのだろう、あの二つのデバイスは。

「それにしても彼らの目的は何なのかしらね?」

「ええ、どうも腑に落ちません。彼らはまるで自分の意思で闇の書の完成を目指しているようにも感じます」

「んん? それって何かおかしいのかい? 
闇の書ってのも、ようはジュエルシードみたくすっごい力が欲しい人が集める物なんだろ?
だったらその力が欲しい人のために、あの子たちが頑張るってのもおかしくないと思うんだけど」
 
リンディ艦長の疑問、それにクロノも同意する。
アルフはそれに自分の意見を述べる。だがそれは・・・

「第一に闇の書の力はジュエルシードみたいに自由な制御の利くものじゃないんだ」

「完成前も完成後も純粋な破壊にしか使えない。
少なくともそれ以外に使われたという記録は一度もないわ」

そう、俺もクロノに頼んで見せてもらった記録の中ではほとんどが破壊の限りを尽くし、そうして最終的には自滅していくというのが結末の大半だ。
散々暴走した揚句に周囲を巻き込んでの盛大な自滅。自然災害よりタチが悪い。
まるで“ラグナロク”のようだ。

「それからもう一つ。あの騎士たち、闇の書の守護者の性質だ。彼らは人間でも使い魔でもない」

「「えっ・・・!?」」

それを聞いたフェイトとなのはは驚愕している。

「闇の書に併せて魔法技術で創られた擬似人格、主の命令を受けて行動する。ただそれだけのプログラムに過ぎないはずなんだ」

クロノはそう言うが、俺としては反対意見だ。
かつて俺とシェフィで作り上げた完全自律稼働人型魔道兵器“戦天使(ヴァルキリー)”も、当初はプログラムによって稼動していた子たちだったが、彼らは擬似人格であっても次第に心も持ち成長していく。

「ちょっと待ってクロノ。私がシグナムと戦ったときは単なるプログラムというわけじゃなかった。
明らかに確固とした意思があるのは間違いじゃない」

「う~ん、エイミィ、モニターを出してくれ」

「はいは~い」

シャルの言葉を聞いたクロノは少し難しい顔をしてモニターで説明をし始める。

「聞いてくれ、守護騎士たちは闇の書に内臓されたプログラムが人の形をとったものだ。
闇の書は転生と再生を繰り返すけど、この四人はずっと闇の書とともに様々な主を渡り歩いている。
意思疎通のための会話は以前から見せているが、感情を見せたのは今までになかったんだ」

「たとえそうだとしても私は間違ってない」

クロノの説明を聞いてもシャルはあまり納得していない様子だ。
私としても納得いかないな。シグナムとヴィータは間違いなく感情がある。
プログラムなどではなく、純粋な感情だった。ヴィータは特に顕著だ。

「クロノ。たとえプログラムだとしても人と関われば必ず心が生まれるのは当然なんだ。
それが人型であり長い年月であれば尚のこと。フェイトとなのはもシャルと同じなんだろ?」

「え? うん、あの赤い子ヴィータちゃんは怒ったり悲しんでたりしてたよ」

「シグナムからもハッキリ人格を感じました。
成さねばならないことがあるって、仲間と主のためだって」

クロノの説明に異を唱えるフェイトとなのは。
俺としてもヴィータたちと直接戦い知った。まず間違いなく彼らは心を持っている。

「主のため、心を持つ、か。それが魔術師としての意見なんだなルシル?」

「ああ」

モニターが消え、静まり返る俺たち。

「まぁそれについては捜査にあたっている局員たちからの情報を待ちましょうか」

「転移頻度からみてもこの付近にいるのは確実ですし、案外主が先に捕まるかもしれません」

「だね、闇の書の完成前なら持ち主も普通の魔導師だろうし」

リンディ艦長の言葉に続くクロノとエイミィ。
これでこの場はお開きかと思いきや

「それにしてももう少し闇の書について詳しいデータが欲しいな。
そうだユーノ、ルシル。君たち二人に頼みたいことがある」

俺とユーノに頼み? 俺だけなら兎も角ユーノも一緒だと荒事ではなさそうだ。
それ以前に俺はまだ魔力炉(システム)の修復がまだだ。
戦闘は、固有魔術の大半も宝庫や書庫、居館までが被害を受けているため不可能。
今の状態で出来ることといえば軽い複製補助系術式くらいだ。

「クロノ。またルシルに滅茶苦茶なことをさせるつもりじゃないでしょうね?」

「え? そうなの? ダメだよクロノ。いくらルシルだってまた倒れちゃうよ」

二人に言い寄られたクロノは後ずさりしながらも「違う」と言って宥めている。

「二人には調べ物をして欲しいだけだ。ユーノと僕の知人だけじゃ手が足りないだろうからルシルにも手伝ってもらおうと思ったんだ」

クロノは俺の状況を知っているからこそ、その役を任せたいんだろう。
俺が今戦闘に出たところで足手纏いになるのは確かだから。

「ふ~ん、ルシルという戦力を調べ物のためだけに放棄するなんて、何か隠してない?」

シャルが俺とクロノに疑いの目を向けてくる。
ここで知られてはシャルがどんな行動をとるか解ったものじゃないため、誤魔化さなければ。

「シャル、それはクロノの気遣いだよ。調べ物という名目での休暇みたいなものだ」

「そ、そうだ。ルシルにはずっと動いてもらっているからね。もう少し体を休ませようと思ったんだ」

「・・・・っそ」

苦しい言い訳だったが何とか切り抜けられたな。
クロノと二人して安堵の息を吐く。

『ルシル、君の報告にあった第三者だが、おそらく今日僕に奇襲をかけてきた奴と同一人物の可能性がある。
だからそれについての話がしたい。あとで僕の部屋に来てくれ』

『ああ、判った、あとで行くよ』

今度こそこの場はお開きとなった。


†††Sideルシリオン⇒なのは†††


フェイトちゃん家からの帰り道、シャルちゃんと並んで歩いているんだけど、

「おかしい、絶対におかしい」

さっきからそればかり言っているシャルちゃんに声をかけてみる。

「えっと、何かさっきの話におかしなことでもあったの?」

シャルちゃんは一度ため息をついて答えてくれた。

「守護騎士の話じゃなくてルシルのこと。何か隠しているようにしか見えないの。
クロノの態度もおかしかったし、私たちといなかった間に何かあったとしか思えない」

「そうかな~? 私はいつもどおりだったと思うんだけど、たとえば?」

クロノ君たちが隠し事をしているなんてあり得ないと思う。
だって何か大事なことがあったり分かったりしたら教えてくれるはずだから。

「たとえば・・・か。ルシルが実は蒐集されてたとか?」

シャルちゃんがそう言うけど、

「『ないない』」

ユーノ君と一緒にそれはないと告げる。
だってあのルシル君だよ? ヴィータちゃんを相手に簡単に勝ったのに負けたってこと?
それはないよシャルちゃん。

「そうよね~、考えすぎか」

シャルちゃんは一人納得して黙ってしまった。
今度は私が聞きたいことがあったので、街中ということもあって念話でユーノ君に話しかける。

『ねぇユーノ君、闇の書の主ってどんな人なのかな?』

『闇の書は、自分を扱える資質を持つ人をランダムで選ぶみたいだから』

『んー・・・そっか。案外私たちと同い年くらいの子かもしれないね?』

『う~ん、さすがにそれはちょっと』

『あり得るんじゃない、そんな可能性も』

私は冗談のつもりだったけど、シャルちゃんはそうかもしれないって言ってきた。
その言葉の真意を聞こうとしたところで、私のケータイの着信音が鳴った。
受信したのは写真つきのメール。すずかちゃんのお家にお友達が泊まりに来たみたい。
名前は八神はやてちゃん。今度紹介してくれるらしいとのことだった。


†††Sideなのは⇒ユーノ†††


翌日、僕とルシルは、クロノとエイミィに連れられて管理局本局へと来た。
ここに来るまでに僕にだけルシルの今の状況を教えてもらった。
もちろんなのはたちには話さないことを条件として。

「でもまさかルシルが蒐集されていたなんて」

昨日シャルの言っていたことが現実に起きていたことでかなり驚いた。
半年前にルシル対クロノとフェイトの一対二の模擬戦を見せてもらったからだろうか。
今でも信じられなかった、あの二対一でありながらもフェイトとクロノに勝ったルシルが負けただなんて。

「俺の力を信じてもらっていたのは嬉しいけど、それでもやっぱり最強とはいかないよ。
確かに俺が万全ならそれなりの強さを持つけど、少し崩れたら一気に脆く壊れるのも事実なんだよ。
そこのところは真っ先に改善する必要性ありってところだ」

そう言ってルシルはため息を吐いた。

「それじゃあ今は全然戦えないんだ?」

「ああ、全然。戦闘に関する魔術や複製術式関連は見事なまでに被害を受けた。
もしかして狙ったんじゃないかって言えるくらいにな。
一応複製能力は使えるけど、あくまで補助関係の術式じゃないと上手く発動できない」

確かに補助だけであの守護騎士と戦うなんて無謀だ。

「それならあとどれくらいで魔力炉(システム)って完治するんだ?」

「あと4日ってところくらいか、リンカーコアと違って魔力炉(システム)は結構繊細でな。
魔力ダメージなら兎も角として、一度本体にダメージを受けるとなかなか治らない」

「そうなんだ」

「だからといって魔術が完全に使えないわけじゃない。
暴発・不発の覚悟で使おうと思えば、攻性なども発動できるだろう」

ルシル、今ものすごいことを言ったよ。
あんな威力の高い魔術の暴発なんて、それこそ一大事だよ。

「やめてよ。暴発して原型留めてないルシルなんて見たくないから」

「俺だってそんなくだらない理由で壊れ(シに)たくないさ」

僕とルシルが話し終えて黙ると、前を歩いていたクロノとエイミィの話が聞こえた。

「それにしても四人がかりで来たけど向こうは大丈夫だろうか?」

「まぁモニタリングはアレックスに頼んできたし、大丈夫じゃないかな?」

海鳴市を出る前にクロノから僕たちのやることは“闇の書”の詳しい調査だと聞いた。
そしてこれから会うのはその辺りに顔の利く人たちらしい。


†††Sideユーノ⇒ルシリオン†††


クロノたちに案内された部屋にいたのは猫耳と尻尾のついた女性の使い魔が二人。

「リーゼ、久しぶりだ。クロノだ」

「わぁお! クロすけお久しぶりぶり~♪」

クロノが挨拶を終えると、その片割れがいきなりクロノに抱きついてきた。
クロすけ? もしかしてクロノのことを指す名前のなのか?
それにしても何故に“すけ”なんだ?
抱きつかれたクロノを見たユーノは呆気にとられ、俺はクロすけという単語が微妙に気になりながらも、その猫耳の娘を見て思い出したくもないあの“ド阿呆”が重なってしまってしまい気分が悪くなった。
まぁその辺りはどうでもいいか。

「ちょっとロッテ、離せコラッ! 彼らが引いているだろ!? そうだろ二人とも!?」

クロノは自分が逃げるためだけに俺とユーノに話を振りやがった。
一体どう答えろというんだあのバカッ!

「んん?・・・・まぁいいじゃん! 久しぶりに会った師匠とのスキンシップだよ!」

ロッテという娘は俺とユーノを一瞬だけ見た後に再度クロノを抱きついた。

「アリア! ロッテ(これ)を何とかしてくれ!」

往生際の悪いクロノはもう片割れのアリアと呼ばれた娘へと助けを求めた。
俺もそのアリアに視線を移した。

「久しぶりなんだし、好きにさせてやればいいじゃない? 君たちもそう思うよね?」

今度はアリアが俺たちへと話を振ってきた。
初対面だというのに何ですかこのフランクさは?
でもまぁその意見には賛成派なんで、「そうですね、クロノの師匠ってことですし、弟子なら何にでも応えるべきです」とクロノを切り捨てる。

「おお! 判ってるねキミ!」

「なっ!? おい! どういうつもりだルシル!?」

俺の言葉にロッテはさらに激しくクロノを抱きしめる。
クロノは俺の言葉に異論でもあるのか抗議の声をあげるが知ったことじゃない。

「まぁこの子もそう言ってるし、クロノも満更じゃなさそうだし、ね」

「そんなわけあるかぁぁぁぁッ!!」

クロノの最後の希望はここに潰えた。
クロノはロッテに押し倒され、成されるがままになってしまった。
俺としては強く生きろとしか言いようがないためにクロノを視覚内から削除した。

「あはははは! アリア、おひさしぃ!」

「うぅん! おひさしエイミィ!」

エイミィが押し倒されたクロノを見てひとしきり笑ったあと、アリアと挨拶を交わす。

「それより助けろエイミィ!っていうか、なんとか言って止めさせてくれアリア!」

「いや~、リーゼロッテも相変わらずだね~」

「まぁ我が双子ながら、時々計り知れないところもあるねぇ」

クロノの必死な助けの声もスルーされてしまった。
さすがに哀れになってきたが、どうすることも出来ないために諦める。

「ふわぁ、ごちそうさまぁ❤」

そう口にしながらソファの陰から起き上がったロッテ。
その満足げな顔には恐怖を覚える。

「ロッテ、おひさし!」

「おお! エイミィおひさしだ! んん? 何か美味しそうなネズミっ子がいる。どなた?」

エイミィとロッテの挨拶も終わったのも束の間、今度はユーノに危機が迫る。
ロッテとアリアが見た目どおりなら、猫を素にしている使い魔で間違いないだろうな。
フェレットに変身できるユーノを、猫としての本能が獲物と告げているみたいだ。
ユーノへと笑顔を向けながら寄っていくロッテを見ながら、俺はクロノの傍へと近寄る。

「何であんなのが僕の師匠なんだ?」

「お疲れクロノ、災難だったな」

「どの口が言う、裏切り者」

「裏切ってなんかいないさ。表切ったったんだ」

「意味が解らん」

「そうか。横切ったんだな」

「余計に意味が解らん・・・」

そうは言うが初めから俺に出来ることなんてなかった。
それくらいは判っているだろうが文句を言っておかないとダメなようだ。
そんな滅茶苦茶な時間もひと段落し、ようやく話に入れることになった。

「あ~なるほど、闇の書の捜索ね」

「事態は父様から伺ってる。出来る限り力になるよ」

父様? 誰のことだ? 気になったので隣に座っているエイミィに、話の邪魔にならない程度に小声で聞いてみることにした。

「エイミィ、あの二人の言っている父様というのは?」

「ん? あー、グレアム提督のことだよ。
二人とも提督の双子の使い魔で、見て判るように猫を素体にしてるんだ。
そんで、クロノ君に戦い方を教えたお師匠様でもあるんだよ。
きっちり座って行儀が良いのが魔法教育担当のリーゼアリア。
そして、あのだらしない格好で座っているのが近接戦闘教育担当のリーゼロッテ。
さっきの様子から信じられないかもしれないけど、結構すごいんだよリーゼ姉妹って」

「そうなのか、教えてくれてありがとうエイミィ」

「ううん。どういたしまして♪」

グレアム提督の使い魔か。なら相当の場数を踏んでいるのだろうな。

「二人に駐屯地方面に来てもらえると心強いんだが、今は仕事なんだろ?」

「う~ん、武装局員の新人教育のメニューが残っててね」

「そっちに出ずっぱりにはなれないのよ、悪いね」

クロノの提案をやんわり断るリーゼ姉妹。俺個人としては正直助かったりもする。
フェイトとなのはは今結構いいところまでいっている。
デバイスを強化したことで守護騎士と、一対一において互角に近い力をつけた。
あと何度か戦えば、それなりの勝率を叩き出せるはずなんだ。
それをリーゼ姉妹のような実力者に出てこられて、その機会を潰されるのはまずい。

「いや無理を言ってすまない。実は今回の頼みは彼ら二人なんだ」

ようやく本題へと入った。長かったなここまでが。
リーゼ姉妹が俺とユーノを見るけど、何故か俺にだけ視線が集中しているような気が。
なんだ? 顔に何か付いているのか? 本局に来る前に身だしなみは整えたんだが。

「それで、頼みって?」

「彼ら二人の無限書庫での調べ物に協力してやってほしんだ」

無限書庫? 名前からして心が躍る。
無限と言うからにはそれなりの情報が集まった場所なのだろう。
それから案内された無限書庫なんだが・・・あぁなんて素晴らしい場所なんだろうか。
上を見ても下を見ても、どこを見ようとも本、本、本、俺にとっては正しく宝の山だ。
ここに居られるなら管理局入りも悪くは・・・・って違う!

「管理局の管理を受けている世界の書籍やデータが全て収められた超巨大データベース」
 
「いくつもの歴史が丸ごと詰まった、言うなれば世界の記憶を収めた場所」

「それがここ無限書庫。とはいえ中身のほとんど全てが未整理なまま」

「ここでの探し物は大変だよ~」

「本来ならチームを組んで年単位で調査する場所なんだしね」

一つのことを調査するだけで年単位、か。それはそれで楽しそうだ。
シャルのことも言えないな、まさか管理局に俺の理想郷があったとは。
私も複製してきた魔法や魔術、能力や知識を収めている巨大書庫である創世結界・“英知の居館(アルヴィト)”を創るほどだ。
だからこう言った場所は、俺にとっては楽園、聖域と言っても良い。

「過去の歴史の調査は、僕らの一族の本業ですから。
一応検索魔法も用意しましたし大丈夫です」

検索魔法? それはまた魅力的な術式を耳にしたものだ。
教えてもらえないかなその術式。

「そっか、君はスクライア一族の子だっけね。でも君はどうするの?」

理想郷に酔いしれていたら、ロッテが話しを振ってきた。

「え? ああ、俺も手はあるんで大丈夫です。邪魔にはなりませんよ」

ユーノが先ほど言った検索魔法を複製するか構成式を教えてもらうかすれば、今の俺でも十分扱えるはずだ。

「そうなの? それならいいのだけれど。
私もロッテも仕事があるしずっととはいかないけど、なるべく手伝うようにするから」

俺の言葉にアリアがそう返してきてくれた。
さっきの部屋での視線からして何かあったのかと思ったけど何でもないようだ。

「可愛い愛弟子、クロすけの為だもんねぇ」

(そうと決まれば早速読み漁るとしますか)

「ルシル、闇の書のことを調べるんだからね。そこは忘れないでよ?」

「う、何故わかったユーノ?」

思っていたことをあっさりと当てられたことで、さすがの俺もビックリだ。

「だって顔に書いてあるよ、読み漁りたいって」

「そこまでハッキリと出ていたのか?」

「「「うん」」」

ユーノだけでなくリーゼ姉妹にまで、何たる醜態だ。
そんな俺を見て笑い声をあげるユーノとリーゼ姉妹、俺をつられて笑ってしまった。
・・・・って、全く何をやっているんだ俺は? 馬鹿か。俺に笑顔なんて・・・。

「いやいやちゃんと探すから、ユーノ、探索魔法っていうのを見せてくれ」

「あ、うん」

無限書庫での調査初日はこうして始まった。
結果的に検索魔法の複製は出来たし使うことも出来た。
それから少し時間が経った後、ユーノが話しかけてきた。

「そういえば、さ。ルシルとシャルってこれからどうするの?
以前は別れる日が来るから何とかって言っていたけど、シャルの様子からしてこのまま管理局に入りそうな勢いだよ?」

「そうなんだよな。シャルは完全に今の生活が気に入っているから、それについてどうにか説得しないといけないんだよ」

シャルの管理局入り。それはどうにかしたいが、俺も正直揺れ始めた。
何せこのような楽園があるのならそれもいいかな、とか思ってしまっている。

「ええ!? 勿体ないよそれぇ!」

次の仕事までの時間まで手伝ってくれているリーゼ姉妹のロッテが声をあげる。
少し離れた場所にいたアリアも頷いているし。

「だってあの子ってすごい強いじゃん! 見たよ、あの子の戦闘データ!」

「それに君も強いじゃない。半年前のクロノとの模擬戦のデータ見せてもらったよ」

どれだけ流出している俺たちの戦闘データ?

「えっと、それじゃあリーゼさんたちは、ルシルとシャルはどこの部署がいいと思いますか?」

ユーノがこの話をさらに広げようとしてきた。
リーゼ姉妹は顔を見合わせただ一言。

「「武装局員でしょ」」

「やっぱりそうですよね~」

ユーノもそれを聞いて納得するが、戦いに借り出されるのは正直御免だ。
ていうか入るとも言っていないし、入る気もさほどない。
それに入るなら、この無限書庫関連の仕事がいい。

「ルシリオン君って嘱託の試験を全部満点通過の一発合格でしょ。
武装隊って結構狭き門だけど、君なら簡単に入れそうだよね。 
それに、あのなのはって子も武装隊に入ってくれると武装隊の質が一気に上がるよ」

なのはにまでその話を持っていきますかこのお二人は。

「ならフェイトはどうなんです?」

なのはが武装隊ならフェイトは何だと思い尋ねてみた。

「う~ん、あの子はクロすけに似た感じだから執務官とか向いてそうだね」

「執務官ですか?」

確かにクロノと結構能力的に似ているかもしれないし合うかもしれない。
そうとなれば会う時間が一気に減り寂しくなるが、それもまたあの子の道だ。
それにそうなるように仕向けようとしていた俺が寂しいなんて言えるようなものじゃない。

「おっと、もうこんな時間だ。私たちはもう行くね」

「時間が空いたらまた来るから」

「「はい!」」

リーゼ姉妹が時間だといって無限書庫を後にした。
あの二人がいなくなったことで一気に静まりかえる無限書庫。

この数時間後、クロノから連絡が入るまで延々書庫内の書物と格闘した俺とユーノはただ一言。

「「整理が必要だ、ここ」」



守護騎士とはやての出会いをすっ飛ばしました。
あの場面を文字に変換するとなると結構大変だったので挫折。
初めは書いていたんですが、次第に書いてることがおかしくなって諦めました。

それとルシルは極度の本の虫です。
どれだけ好きかというと英知の書庫なんてものを創り出すくらい好きです。
知識を吸収することが生き甲斐でもあります。



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