守護騎士ヴォルケンリッター
†††Sideフェイト†††
私は傷ついたなのはと、なのはを支えるユーノを守るため、赤い子と対峙する。
私より幼い女の子。でも強い。なのはを負かすなんてよほどのものだ。
「民間人への魔法攻撃、軽犯罪では済まない罪だ」
私はあの子へと罪状を告げる。心の中で、友達を傷つけけて私を怒らせた罪も追加。
けどあの子はそれに反発するようにデバイスを掲げて、私が何者か聞いてきた。
「あんだテメェ、管理局の魔導師か?」
「時空管理局嘱託魔導師、フェイト・テスタロッサ。
抵抗しなければ弁護の機会が君にはある。同意するなら武装を解除して―――」
「誰がするかよ! バーカ!」
私の話の途中で赤い子は軽く挑発してから逃亡を図った。
つまらない挑発を私は気にせず、なのはのことはユーノに任せてあの赤い子を逮捕する為に追撃する。
「ユーノ、なのはをお願い」
追跡開始。絶対に捕まえてやるんだから。
†††Sideフェイト⇒なのは†††
フェイトちゃんが逃げた赤い子を追っていく。
また会えることを楽しみにしていたのに、こんなかたちで再会することになるなんて。
それがすごく悲しかった。
「大丈夫なのは? 待ってて、すぐに治癒魔法をかけるから」
ユーノ君は私の怪我を治すために魔法を使いながら、何故ここにいるのか教えてくれた。
「フェイトとルシルの裁判が終わって、みんなでなのはとシャルに連絡しようとしたんだ。
そうしたら通信は繋がらないし、広域結界が出来てるし、だから慌てて僕たちが来たんだよ」
「そっか、ごめんねユーノ君、ありがとう」
私は、助けに来てくれたことへのお礼を告げる。
でも今の私にはひとつ気になることがある。
「ユーノ君。アルフさんとルシル君がいない、みたいだけど・・・?」
私の前に来てくれたのはフェイトちゃんとユーノ君の二人。
アルフさんとルシル君ならフェイトちゃんと一緒に行動していると思ったんだけど。
私の疑問にユーノ君は治癒魔法を続けながら答えてくれた。
「アルフは外にいるよ。ルシルはシャルのほうへ向かったんだ。
シャルもなのはみたいに襲われているみたいだったし」
「え? そんなっ、シャルちゃんは無事なの!?」
まさかシャルちゃんも誰かに襲われていたなんて。
でもそうだよね、結界が張られたんだったらシャルちゃんだって気付くはず。
そうしたら私のところへと来てくれるか、念話で連絡してくれるくらいはあると思う。
それがないということは、シャルちゃんにも何かあったんだと思うのが普通だ。
「私、自分のことだけで精一杯だったから、どうしよう・・・」
「大丈夫だよなのは。ルシルがシャルと組んだらそれこそ無敵だよ」
ユーノ君は少し顔を背けて、引きつった笑顔でそう言ってくれた。
今の私には安心できる言葉だけど、ルシル君と向こうで何かあったのかな?
「えっと、それよりあれは誰なの? どうしてなのはやシャルを襲ってきたのか分かる?」
「ううん、ごめんね分からないの。急に襲ってきたから何とかしないとって思ったんだけど。
でもねユーノ君、あの子が使ってるデバイスってシャルちゃんと同じみたいなんだ」
私はシャルちゃんとあの赤い子が使っているデバイスが同じ機能を持つことを話す。
そうしたらユーノ君は少し驚いていた。
「シャルと同じ? だったらベルカの魔導師、なのか?
でも、それなら一体どうしてこんな辺境世界にいるんだ?」
ベルカというのは知らないけど、ユーノ君は何か知っているみたいだった。
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
“トロイメライ”を背後の相手に向けると、そこにいたのは十枚の剣の蒼翼を背に、第四聖典を携えていたルシルだった。
「ちょっと、なんでここにいるのルシル!?」
あまりの予想外の展開についつい怒鳴ってしまう。
けどルシルはそんなことを気にしない様子で返事をしてきた。
「ん? なんでって裁判が終わったのを連絡しようとしたんだけど、繋がらない上に結界まで張ってあったから来たんだよ。
それでフェイトたちはなのはへ向かわせて、俺は君のもとへと来たというわけだ。
それよりシャル。砲撃後も油断せずに周囲に気をかけないのはまずいだろう?」
「はぁ!? 見てたなら援護くらいしてよ!! 私が慣れない魔法に苦戦してたの知ってるでしょ!?」
ルシルはどうやら私とザフィーラの戦いをただ見ていたらしい。
それなら援護の一つくらいはしてくれてもいいのに。
「いや待て。以前の契約の際に援護したら滅茶苦茶怒っていたじゃないか?
“騎士の決闘に横槍入れるなんて信じられない”ってさ。
だから今回は黙って見ていたのに、その理不尽な怒りを向けられる覚えはないぞ」
「あ、ごめん、そうだったね。確かにあれは私とザフィーラだけの戦いだった。
ありがとう、ちゃんと見ていてくれて」
私はルシルに怒鳴ったことへの謝罪と、見守っていてくれたことへの感謝を告げる。
ルシルは「気にするな」って言ってザフィーラが向かっていった方向を見据える。
「さてと再会の挨拶はここまでだ。そのザフィーラという狼を追撃して動機を聞く。
その後フェイトたちと合流、状況によっては加勢する」
「え? すぐに加勢しないの?」
ルシルの発言に疑問を抱き、聞き直す。
でもすぐには答えず、ルシルは移動しながら説明すると言った。
†††Sideシャルロッテ⇒フェイト†††
本当ならなのはの傍についていてあげたいけど、嘱託魔導師となった以上はまずあの赤い子を捕まえるのが先決だ。
「バルディッシュ――≪Arc Saber≫――はっ!!」
私は手始めにアークセイバーを放ち先制する。
「アイゼン!――≪Schwalbe fliegen≫――はぁっ!!」
あの子もまたそれに対抗するように四つの球体をハンマーのようなデバイスで叩きつけ撃ってきた。
「障壁!」
≪Panzer hindernis≫
飛来する刃を、あの子は回避ではなく防御を選択する。だけどそれは間違った選択だ。
私はあの子の放った誘導弾を回避しながら、自滅させるように誘導して処理した。
私は未だにあの子のバリアと拮抗しているアークセイバーを爆破させることを選択。
上手くいけばこれで片がつくかもしれない。
「セイバーブラスト!」
≪Saber Blast≫
「うわあっ!?」
アークセイバーの爆発によってバリアは砕けるものの、あの子はその速い動きでダメージ判定圏内から離脱した。
でも残念。あの子の離脱した先にはアルフが攻撃態勢で待ち構えている。
あの子はアルフに背を向けるようにしていた為に気付くのに遅れた。
「そおぉらぁぁぁッ!!」
「まだいたのかっ!? チッ、こぉんのぉぉッ!!」
≪Panzer hindernis≫
アルフの拳打を私に使ったバリアで防ぐけどそれもまたミスだ。
「バリアァァ・・・ブレイクゥゥッ!!」
アルフが放った拳打は、アルフが得意とするバリア生成プログラムに割り込みをかけて破壊するバリアブレイクの一撃。
アルフのそれはクロノのバリアもルシルが学んで組んだ魔法のバリアも、時間がかかったけど破壊できた、二人のお墨付きを頂いた魔法だ。
次第にヒビが入っていき、ついには再度破壊されるあの子のバリア。
「何なんだよ、これぇぇぇッ!?」
次々と襲い掛かるあまりの予想外の展開に叫ぶ赤い子。
私は再度投降を呼びかける。
「もうこれ以上はやっても仕方ないから、おとなしく投降して名前と出身世界、そして目的を聞かせてもらう。
ちなみにこれが最後の通告だ。受け入れられない場合はこちらも全力で相手をしないといけない」
「上等だっつうの! アイゼン!!」
やっぱりダメだったみたい。
あの子は“アイゼン”っていう名前らしいハンマー型のデバイスを掲げながら突撃してくる。
「フォトンランサー――≪Photon Lancer≫――ファイア!」
行く手を妨害する為にフォントンランサーを五発放つ。
けど最小限の動きで全弾回避してさらに速度を上げてきた。
「おらああぁぁぁッ!!」
「バルディッシュ!――≪Scyth slach≫――はあっ!」
あの子のハンマーによる直接攻撃を回避して、すぐさま魔力刃による直接斬撃でカウンターを仕掛ける。
けどあの子もまた回避して再度ハンマーで私を狙ってくる。
それから何度もデバイス通しがぶつかり合い火花を散らす。
その力強さに多少押されてしまうけど何とか耐え切っている状態だ。
(それにしてもここまでついて来られるなんて)
確かにこの子は速いし強い。
だけど、私はアースラで何度もルシルを相手に戦ってきた。
炎攻め、水攻め、槍攻めetc... そんな冗談じゃない攻撃をたくさん受けてきたんだ。
それに比べたら今の状況ははるかにマシだ。
(だから、ルシルの顔に泥を塗らないためにも、私は負けられない!)
確かに一対一では向こうに分があるけど、私にはアルフがいてくれる。
このまま押していけばきっと勝てるはずだ。
私は一度間合いを取り“バルディッシュ”をデバイスモードへと変更して、砲撃魔法サンダースマッシャーの発動準備に入る。
「バルディッシュ――≪Thunder Smasher≫――サンダースマ――なっ!?」
あの子へ砲撃を放とうとした瞬間、目の前に剣を持った女性が現れてその剣で私を薙いできた。
その突然の襲撃に驚きながらも咄嗟に“バルディッシュ”を構えて防御した。
けどその衝撃は、あの赤い子以上に速くて重く、私は耐え切ることが出来ずに弾き飛ばされた。
「フェイト!?」
アルフは弾き飛ばされた私を見て心配の声をあげるけど、今の状況でそれはまずい。
完全に意識が襲撃者ではなくて私に向いてしまっているから。
「はあぁ!!」
「ぐっ!? うああ!!」
その女性は半回転して剣を、今度はアルフへと叩きつけた。
アルフはシールドを張ったけど容易く破壊されて、私と同じように弾き飛ばされてしまった。
†††Sideフェイト⇒????†††
「らしくないなヴィータ。お前が苦戦するような相手ではないと思うが」
「苦戦なんかしてねぇ、ちょっと遊んでただけだ」
助けてくれたシグナムに、あたしが苦戦していたと言われつまらない言い訳をした。
認めたくねぇけど、こいつらの強さは本物だった。
あのままあいつが砲撃を撃っていたら落とされるとはいかないまでも、それなりのダメージは受けていたと思う。
「そうか、それは済まなかったな。てっきり苦戦していたように見えたのだが、そうか遊んでいただけか。
だが気をつけろ。ザフィーラがもう片方の対象に撤退を余儀なくされるほどのダメージを与えられた」
シグナムはそんな信じられないことを言ってきた。
ザフィーラが、負けた? そんなことあるわけねぇ。
「嘘だろ!? ザフィーラは今どうしてんだよ!?」
「落ち着け。今はシャマルのところへ行き、回復してもらっている最中だ。
しばらくすれば合流できるだろう」
「・・・なんだよ、それくら――「あなたもその子の仲間ですか!?」――はぁ?」
あたしたちが話してるつっうのに、黒いあいつがシグナムに向けてそう聞いてきた。
ったくうっせぇなぁ、しゃあねぇ。
「シグナム、先にこいつら片付けて蒐集しちまおう。
さっきあたしが潰したガキはまだ動けねぇみたいだしさ。
こいつもあの白いガキと同じくらい魔力持ってるみたいだし」
「ふむ、そうだな。だがザフィーラを退かせた騎士というのが気になる。手早く済ませよう」
ん? シグナムは今なんつった? 騎士?
「シグナム、今――「来るぞ」――あ~もう! 邪魔すんな!」
話してる途中で割って入ってくるのはマナー違反だってことを知らねぇのかよっ!
「私が黒衣の少女を相手にしよう。ヴィータはもう一人のほうを頼む」
シグナムが勝手に決めちまったけど、そのほうが早くケリがつくだろうと思うから文句はない。
「わかった。グラーフアイゼン、カートリッジロード」
「レヴァンティン、カートリッジロード」
≪≪Explosion≫≫
シグナムの言った騎士っつうのが気になるけど、今はこいつらをぶっ潰すのが先だ。
†††Sideヴィータ⇒ユーノ†††
「フェイトちゃん! アルフさん!」
「まずい、新手だ。シャルとルシルはまだなのか!?」
最悪な状況だ。あの赤い子一人だけなら何とかなりそうだったけど、さらに増援として来たあの女の人は直感が危険だと告げている。
シャルと同格か、もしくは上。今のフェイトじゃ勝てないのだけは明らかだ。
「どうしようユーノ君!?」
なのはが聞いてくる。
こうなったら僕が出て、少しでもフェイトたちの助けにならないと。
「僕も行くよ。だからなのはは、
妙なる響き、光となれ、癒しの円のその内に、鋼の守りを与えたまえ
この結界の中で待ってて」
僕が張ったのはラウンドガーダー・エクステンドと名づけられた高位結界魔法だ。
それは身体と魔力を回復させ、その上防御結界としての機能も持っている。
「それじゃあ行って――「その必要はないから」――へ? あ、シャル!」
突然声をかけられて振り向くと、シャルが立っていた。
よかった。ようやく来てくれたんだ。これで何とか互角の戦いに持っていけるはずだ。
シャルをあの剣士に。フェイトとアルフを赤い子に向かわせれば。
「シャルちゃん! シャルちゃんは大丈夫なの!?」
なのはがシャルの心配をして声をあげる。
シャルは笑顔で返事をした。
「見てわかるとおり大丈夫。少し苦戦したけど何とか退けられたから」
「そう、なんだ。よかった~。あれ、ルシル君は?」
そうだ、ルシルがいない。シャルと一緒に来てくれたと思ったんだけど。
するとシャルはフェイトたちのほうを指差し告げる。
「ルシル? それならあそこ。魔術で姿を消しているから見えないと思うけど、ちゃんとフェイトとアルフを見守っていて、いつでも戦闘に移れるようにしてる」
シャルはそう告げたまま何もしようとしない。
おいおい、早くフェイトたちを助けに行かないとまずいよ。
「っていうかシャル!? 早くフェイトたちを助けてあげないと!!」
「そ、そうだよ! こんなところでのんびりしてる場合じゃないよ!?」
僕となのははシャルのその行動に戸惑い、声を張り上げる。
シャルは僕たちへと視線を移して真剣な顔で見つめてくる。
「・・・・・ここに来るまでにルシルと相談したの。
確かに今私たちが手を貸せば簡単に、とはいかないかもしれないけど勝てると思う。
でも、だからといっていつも私たちが手を貸してちゃあなたたちが成長できないって。
だから出来るだけあなたたちに任せることにした、ということなんだ。
これは私たちが何時いなくなっても大丈夫なように、あなたたちを成長させる為なの。
分かってくれる、よね?」
「いなくなってもって、そんな、でもシャルちゃん・・・!」
なのははシャルのその言葉に少しショックを受けているみたいだ。
今まではずっと助けてくれたのに、今になって自分たちの成長のためにという理由で助けてくれないことに。
「私もルシルもずっとなのはたちと一緒にいることが出来るわけじゃない。
私の留学期間もあと少しだし、まぁルシルはどうか知らないけど」
そうだ、いつかシャルとは別れなければならない時が来る。
いつでも、いつまでもシャルたちに手伝ってもらえると考えるのは間違いだ。
「・・・シャルちゃん、でも、でも!」
「安心してなのは、本当に危ないと判断したらちゃんと助けるから。
だから今は黙って見ててあげて」
シャルはなのはの頭を撫でながら優しい声でそう告げる。
僕は二人が姉妹のように見えて、ずっと一緒にいられたらいいなと思った。
†††Sideユーノ⇒フェイト†††
赤い子と女の人が「カートリッジロード」と告げると、赤い子のハンマーが変形、女の人の剣からは炎が吹き上がる。
「え!?」
その光景に戸惑ってしまうけど、それは一瞬のことですぐに対策を思考する。
でも魔力が一気に増大していると分かったために上手く思考がついていかない。
女の人が炎の剣を構えて私に向かって斬り掛かって来た。
あれはまずい、明らかに威力が高い。
「紫電・・・一閃!!」
おそらく私の防御魔法で受けきるのは不可能だと判断、だからこそ。
「コード・エオロー!!」
左手の小指に嵌められた指環が光る。
ルシルの魔術、確かルーンって言ってた術が籠められた指環だ。
術式名を告げるとともに蒼く輝く紋章が現れて、炎を纏った斬撃を防ぐ。
「なにっ!?」
それを見て驚愕する女の人は、しばらくそのままの体勢で障壁を破壊しようとするけど、結局破壊できずに距離を取った。
紋章が雪のように散っていくのと同時に私は“バルディッシュ”を振るって追撃する。
「はあぁっ!!」
「くっ、はああぁっ!!」
私のサイズスラッシュを剣で捌き、あちらも同様に剣を振るってきた。
≪Defencer≫
速い、回避できる体勢じゃなかったから防御を選択する。
バリアを破壊されながらも攻撃を受けることなく、何とか逃げ切ることが出来た。
お互いが相手を見据え静かにたたずむ。
あの女性は私の指環を見ているようだ。
(良かった。ちゃんと使うことが出来た)
さっき使ったこの指環は半年くらい前、私とアルフの契約記念のお祝いとしてルシルがくれたものだ。
銀のリングにルシルの第四聖典の形をした十字架が付き、そして四方と真ん中に嵌められた小さな丸い宝石が輝く指環。私の宝物だ。
真ん中の金色の宝石は私、右はオレンジ色の宝石でアルフ、左は青色の宝石でルシル、上はピンク色の宝石でなのは、下は赤色の宝石でシャル、そして十字架の円環は私たちを出会わせてくれたユーノとクロノたち管理局ということを表しているらしく、みんなが私と一緒にいるという意味だと話してくれた。
ちなみにアルフは指環ではなく腕輪で、宝石の位置もオレンジの宝石が真ん中にきていて、金色の宝石が右となっている。
「んだぁっ!? この盾は!」
どうやらアルフもルシルから貰った腕輪の力を使ったのか、赤い子の打撃を防いでいる。
でもこれには一つ欠点がある。それは一度使うと一日使用不可となることだ。
確かにこれほどの強力な障壁なら、連続して使えるはずがないとその時も思った。
ともあれひとつの危機を脱したのだからよしとしよう。
「まさか私の一撃が防がれようとは・・・。それはお前の魔法か?」
「いいえ、私の大切な人がくれた力です」
「そうか。しかし先程の斬撃には肝を冷やしたぞ。
なかなか良い剣筋だった、良い師を持っているのだな」
私がそう返すと、女の人はそれとは別の話をしてきて私の攻撃を褒めた。
何故かは知らないけど私の師、リニスとルシル、クロノのことを褒められて、それが嬉しかった。
「え、その、ありがとう・・・ございます」
「だが、確かに腕は良いが我らベルカの騎士に一対一を挑むにはまだ・・・足りん!!」
私がお礼を言ったそばから攻撃を仕掛けてきた女の人に、同じように“バルディッシュ”を振るって斬撃を叩き込む。
†††Sideフェイト⇒ルシリオン†††
シャルと共に蒼い狼ザフィーラの辿った軌道を飛んできたが途中で見逃してしまった。
しばらく索敵してみたが、転移して逃げたのか見つけることが出来ず、諦めてフェイトたちのもとへと向かった。
ここに来るまでにシャルと決めたことを守るため、俺は複製術式の遮断羽衣を発動し、フェイトとアルフの戦闘を見守っていた。
(あの剣士は強いな。たぶん大戦時の騎士の中で、下の上から中の中くらいだろう。
今のフェイトでは経験が少し足りないか)
少し考えていると、フェイトがビルへと叩き落されてしまった。
剣士がフェイトに近づき何やら話しているようだが聞き取れない。
それだけでなくアルフのほうにも、シャルから聞いたザフィーラと名乗った狼が近づいているのを視認する。
(ここまでか。『シャル、戦闘開始だ』)
リンクを使い、シャルに俺たちの戦闘開始を告げる。
続けてフェイトとアルフにも念話で俺たちが戦闘を引き継ぐことを告げた。
『フェイト、アルフ、よくやった。ここからは俺とシャルが剣士と赤い子の相手をする。
二人には悪いがもう一人新手が来そうなんだ、そっちを任せたい』
『ルシル!? もしかして見てた!?』
『そうなのかい!? だったら早く助けてくれてもいいじゃないか!?』
フェイトとアルフは、俺の行動にショックを受けてしまったようだ。
だが今はあの連中の始末のほうが先だ。あとでいくらでも文句を聞こう。
『それに関してはあとで説明するから。今は新手のほうをお願いしたい、頼む』
『・・・あとでちゃんと聞かせてねルシル』
『はぁ、あいよ。新手ってどんな奴なんだい?』
よかった、なんとか言うことを聞いてくれるみたいで助かった。
俺はフェイトとアルフに新手の説明を終え、赤い子供のほうへと向かう。
†††Sideルシリオン⇒シャルロッテ†††
ルシルからリンクを通して戦闘開始の合図を受けた。
そうと決まればあの剣士と戦うまでのことだ。というより戦いたい。
「さて、行ってくるねなのは、ユーノ」
「シャルちゃん・・・・その、気をつけてね」
「危なくなったら僕も加勢しに行くから」
私は二人の声を背に聞きながらあの剣士のもとへ飛び立った。
私は剣士との距離を詰め、“トロイメライ”を向けて戦闘の引継ぎを告げる。
「ここからは私が請け負います。フェイト、ルシルに言われた通りにお願い」
「白い騎士甲冑、蒼い刀剣型のアームドデバイス。そうか。お前がザフィーラの言っていた騎士か」
フェイトはアルフと合流して、ザフィーラとの戦闘に入るのを私は確認した。
それにしてもザフィーラの様子からして、私の砲撃があまり効いていなかったみたいだ。
「ザフィーラには逃げられたけど、あなたは逃がさないのでそのつもりで」
“トロイメライ”を構え、いつでも戦闘に移れるようにする。
それを見た剣士もデバイスを構え、名乗りを上げた。
「守護騎士ヴォルケンリッターが将シグナム。そして我が剣レヴァンティンだ」
「シュテルンリッターが第五騎士シャルロッテ・フライハイト。愛剣トロイメライ」
静かに対峙して互いを見据える。やばい、すごく楽しみで仕方がない。
なのははロングレンジの砲撃系、ルシルは一応オールラウンドだけど、正確に言えばロングだ。
唯一のクロスはフェイトだけど、私の相手には全然足らない。
だからこそ、このシグナムとの決闘に心が躍る。
「フライハイトにトロイメライか。お前もベルカの騎士なのか?」
「ベルカ? いいえ、この世界の騎士よ」
私の魔法陣はベルカのものではなく、私の出身世界であるレーベンヴェルトの紋章だ。
でもその形が似ていることから、もしかしたらベルカはレーベンヴェルトの未来の名かもしれない。
「そうか、いや忘れてくれ。今はお前との戦いを楽しみたい」
「同感です。ベルカの騎士の力、見せてもらいます」
お互いの闘気が膨れ上がるのがわかる。
さぁ今の私がどこまで戦えるか・・・・いざ勝負!!
「紫電・・・一閃!!」
「炎牙・・・月閃刃!!」
私の“トロイメライ”には真紅の炎、シグナムの“レヴァンティン”には紅蓮の炎が渦巻いている。
そして瞬時に間合いを詰め、互いに斬撃を放つ。
†††Sideシャルロッテ⇒ルシリオン†††
フェイトとアルフが合流して、ザフィーラとの戦闘に入るのを確認した。
そして今俺が対峙するのは不機嫌さを隠そうとしない幼い赤い少女。
その態度を見て、何故か夢幻王を思い出してしまった。
「あんだよ、テメェも管理局かなんかか?」
「そうだ。管理局嘱託ルシリオン・セインテスト・フォン・シュゼルヴァロードだ。
フェイトからすでに聞いているかもしれないが、名前、出身世界、目的をとっと話せ幼女」
どうせ何も話さず戦いを仕掛けてくるのだろうから、期待せずに挑発しておく。
案の定「あ゛あ゛!?」と女の子にあるまじき言葉を吐いている。
「上等だよテメェ、アイゼンの頑固な汚れにしてやるよ!! アイゼン!!」
≪Schwalbe Fliegen≫
指に挟んでいた四つの鉄球らしき物体をハンマーで打ちつけて放ってきた。
――術式名:シュヴァルベ・フリーゲン。付与効果:飛翔・誘導制御・バリア貫通・着弾時炸裂。
複製完了、英知の書庫類似術式検索、ヒット1319件、時限登録280秒。発動開始―――
「シュワルベ・フリーゲン」
俺は八つの弾丸を作り出し、第四聖典で打ちつけて放った。
それを見た少女は目を見開いて驚愕していた。
グダグダ感いっぱいの二話目となりました。すいません。
シャルとルシルの可能な限りの戦闘不参加は、管理局側と守護騎士側の戦力差をどうにかするためにこのような構成と相成りました。
というよりは、なのはたちの見せ場を出来るだけ潰したくなかっただけですが。
フェイトの指環とアルフの腕輪
ルシルが神々の宝庫と英知の書庫の二つの力を使って作り出した概念兵装の一つ。
もしルシルが界律の守護神状態で作っていたら神造兵装になってました。
効果はアースガルド四王族のみが使えるルーンをフェイトとアルフも使えるというもの。
防御のエオロー、瞬間移動のラド、治癒のラーグが使用できる。
ですがこれもまた少し反則なので、使用制限を付けさせました。
連続かつ無限に使えてしまったら反則的な強さを得ますから。
+注意+
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