この小説は魔法少女リリカルなのはシリーズと、一昔前に書いたオリジナル小説のANSURのキャラクターや設定を織り込んでいます。
そういったオリジナル設定がお嫌いな方は回れ右をしてお戻りください。
それでも構わないという方はブランクの所為もあり駄文となっていますが、楽しんでいただければ幸いです。
1st Episode:全てのはじまりはここから
全てが白に染まる広さも何も分からない空間。
ただその空間にあるのは、淡く碧く輝いている直系5メートル近い光球。
そして、それを囲むようにして存在しているのは11の玉座。
玉座1つ1つで色が違い、背もたれの上にそびえ立っている十字架の形も様々だ。
そしてその玉座に座っている11の人影も、それぞれ色違いの外套を羽織っている。
ここは“神意の玉座”、またの名を“遥かに貴き至高の座”と呼ばれる最高位次元。
あらゆる世界の意思“界律”が交差する、全てが在って、全てを識る究極の根源。
その玉座のひとつ純白の玉座に座する者、3rd・テスタメント。シャルロッテ・フライハイトがふと顔を上げた。
†††Sideシャルロッテ†††
また何処かの世界の意思、“界律”が界律の守護神を求めている。
私たち“界律の守護神”は、あらゆる世界の“界律”が交差する最高位次元である“神意の玉座”に座する概念存在だ。
まぁ早い話が、幽霊&精霊&天使&神様モドキだ。
でも霊格に関しては神霊クラスであり、状況によってはそれすら上回ることもある。
そして、その存在意義はこれより起こりうるであろう世界自身、または人類の滅亡を回避する為に、その世界の界律から協力を求められて、その地へと召喚される究極にして絶対たる抑止力となっている。
「まぁ時々、世界や人類を滅ぼすこともあるけどね」
たった今も、別の世界に召喚されている私の分身体が一つの国を潰した。
多を生かすために少を排除する。そうしないと世界はバランスが取れない。
自嘲気味な笑みを浮かべていると、
「どうかなさったのですか、シャルさん?」
横の玉座に座する者から声を掛けられる。
桃色を基調としたフード付きの外套と神父服を身に纏う、私と同じ存在である“賢者と愚者は紙一重”の二つ名を有する5th・テスタメント・マリアだ。
外見は10半ばあたりの女の子だけれど、歴とした神の一体だ。
「ん? ここ最近私の契約率が上がってきているのよ。
全く、世界はどれだけ人を殺せば気が済むのだか・・・」
思わず溜息が出る。実際、その殺戮の実行者である私たちは文句を言えない。
「えっと、その、頑張ってください。私た――」
「何なら代わってやろうか!」
いきなりの大声に、近くにいるマリアの声がかき消された。
「どうよシャルロッテ。代わってやっても良いぜ?」
私の純白の玉座から右斜め前に位置する黄金の玉座に座する男がこちらを見る。
「お生憎様、あなたのような破壊神の出る幕じゃないのよ」
「んだよ。つまらない契約なのか」
私たちの会話から興味を失ったのかそう言うと、破壊と殺戮の権化である“死と絶望に微笑む者”の二つ名を持つ2nd・テスタメント・ティネウルヌスは、私達と同じデザイン、色違いである黄金色の外套のフードを被った。
どうやら本当に興味を無くしたらしい。そもそも最初から話しかけてこないでもらいたい。
「私、あの人苦手です。どうしてあのような方が・・・」
正直な話、私もあいつは苦手、というより大嫌いだ。
元が悪魔の王ということもあり、強い。それにカリスマ性もある。
しかし思考は短絡的。頭の悪い強者ほど面倒なやつはいないというわけだ。
「仕方が無いわ。神意の玉座の意志は、力があり、取引に応じる連中が欲しいだけ。性格的な問題は二の次なのよ。」
言ってて悲しくなる。結局、私たちは単なる駒でしかない。
“界律の守護神”という肩書きの割にやっていることはただのパシリなのだ。
馬鹿馬鹿しい考えを巡らしている途中、ようやく玉座から私の分身体と意識の欠片が乖離するのが分かる。
「さて、次の契約はどんなことをするのかしら?」
私、“剣戟の極致に至りし者”の二つを冠した3rd・テスタメント。シャルロッテ・フライハイトは、自分を求めているであろう世界へと自分の分身を送り込んだ。
§海鳴に舞い降りる力§
召喚先の世界へと通ずる光の奔流の中を進む。
突如、私という概念に干渉するほどの力が流れ込んでくる。
「なっ!? これは一体どういう・・・!?」
今まで六千年間、“界律の守護神”として召喚に応じてきたが、こんな事態は初めてで、さすがの私も混乱の極みに達していた。
私を構成する概念が解体されるのが分かる。
しかし、今の私にはそれに抗う術は無く、されるがままに意識が消えていった。
†††Sideなのは†††
私は学校が終わり、友達のアリサちゃんとすずかちゃんと別れて家路についていた。
そして家へと帰る途中に、ジュエルシードが発動した気配に気付く。
私はジュエルシードの発動した場所へと走って向かった。
そして神社の境内でユーノ君と合流して、目の前にいる大きな犬のような魔獣と対峙する。
いきなりの突進攻撃に、間一髪で障壁が生み出されで事なきを得るけど、かなりの距離を吹き飛ばされてしまった。
「なのは!? 大丈夫、なのは!?」
「うん、大丈夫だよユーノ君。レイジングハートが守ってくれたから」
心配そうな声をかけてきてくれたユーノ君に返事をする。
それからはバリアジャケットへと着替えて、犬さんの突進を何とか避けたり防いだりするけど、次第に動きの速さが上がっていくのが分かる。
私はただ防御と回避に精一杯になる。
†††Sideなのは⇒ユーノ†††
(一体どうすればいいんだ!?このままじゃなのはが危ない!!)
僕は思考をフル回転させて、魔獣の足を止める方法を模索する。
足を止めることが出来れば、目の前の動物が魔獣となった原因である“ジュエルシード”と呼ばれるロストロギアを封印することが可能となるはず。
だけど、焦れば焦るほど冷静な判断が出来なくなってしまって、自分の無力さに怒りを覚える。
「僕はなのはを助けることもできないのか・・・!」
そう打ち拉がれていると、魔獣は今まで以上の突進でなのはに襲い掛かる。
それは回避が不可能なほどの速さを持っていて、確実になのはへ直撃するコースだった。
「なのは!!!」
「く・・・!」
なのはは自分に襲い掛かるであろう衝撃を覚悟して杖を前方に構える。
僕は、なのはに起こる最悪な結果が脳裏に浮かんで叫んだ。
「風牙真空刃・・・!」
どこからともなく聞こえた声と共に、魔獣の足元へよく見えなかったけど、たぶん風の斬撃が着弾。
魔獣はそれに驚いて、急停止して警戒しながら後方に下がっていく。
「「え?」」
突然の状況に呆けるなのはと僕。
斬撃の衝撃で尻餅をついているなのはと安堵の表情で一杯の僕は、声のした方向にいるはずの攻撃の主を捜す。
そして見つけた。たぶん僕たちを助けてくれた人。
そこに立っていたのは・・・
「状況は分からないけど、助けてもよかったんでしょう?」
ふくらはぎまで伸びる水色の髪を靡かせて、右手には身長と同じくらいの桜色をした長刀を携えた一人の少女。
その少女は僕たちと魔獣を見比べながら仁王立ちしていた。
†††Sideユーノ⇒シャルロッテ†††
意識が覚醒し始めるのがわかる。
召喚先であるこの世界に来るまでに体験した異変を思い出しながら、ゆっくりと目を開けて周囲を確認する。
そして目の前に広がる光景に少し戸惑いを感じる。
「界律の守護神を求めるからどんな世界かと思ったら、随分と平和な世界ね。」
私はそう口にして、この世界の界律との精神接続を開始する。
そこで初めて自分の起こっている異変に気付いた。
――肉体の構成を確認、身体年齢を9歳に設定、この世界に於ける戸籍を確認。
海鳴市在住の高町家にホームステイすることが確定済、契約内容の提示はなし――
「・・・うそでしょ、何これ?こんなことって・・・」
あまりの情報に混乱する。本来なら私たち“界律の守護神”は召喚先の存在に干渉することなく、召喚された理由である契約を果たすのだ。
だというのに、契約内容を明かさない?肉体を構成?9歳の子供?戸籍?
泣きたくなってくる。ふざけるな、この野郎。
それにこういう契約は、“天秤の狭間で揺れし者”の名を冠する4th・テスタメントが主に担当することになっているはずだ。
「まだ何かあるし・・・」
提示された情報はまだある。解放できる能力値が最大10%、使用できる魔術もほとんどが制限されていることになっていた。
「戦闘・殺戮専門みたいな私に対して妙な制限ね、これ。
戦わせたいのか戦わせたくないのかどっちなのかしら?」
とはいえ、この世界を見る限り魔術を使う必要性があるとは思えない。
それほど平和に見えるのだ。
「ハァ、考えていても仕方ない。まずは高町家というのを探そう。」
何時の間にやら傍に置いてあった旅行カバンの中身を確認する。
着替えに財布に・・・パスポートって何? この世界は私に何をさせるつもりだ。
少し涙目になりながら、私を呼んだこの世界の界律を頭の中で罵る。
荷物を確認し終え、その場から去ろうとする。
すると、そう遠くない場所から魔力が行使されているのに気付く。
私は意識だけを戦闘モードへと切り替える。
「魔力行使? 思考に夢中で気付かないなんて。とにかく行ってみますか。」
荷物を手にし、魔力が行使されている場所へと向かった。
辿り着いたそこには、白い服を着て杖らしき物を携えた少女と喋る小動物がいた。
それだけでなく、少女の目の前には四つ目の大型犬のような生物がおり、その白い少女と対峙していた。
「さっき感じた魔力反応はあの子達からね。それにしても・・・」
少女は逃げては防御だけしかしていない。
どういうつもりなのか反撃しようというアクションを一切とろうとしない。
少女の見方であろう喋る小動物はただ焦っているだけだ。
(・・・ふ~ん、全然なってないわ。ど素人とわけか)
戦闘経験が一切感じられない、完全に素人の動きだ。あれではそう長くないだろう。
だからこそさっきから危ない動きを見せるわけだ。そう考えた瞬間、先ほどの予想が当たる。
あの犬っぽいのが少女に向かって再度突進する。紛れもない直撃コースだ。
あれは避けきれないし防ぎきれないだろう。第三者の助けが無ければゲームオーバーだわ。
「仕方ない、見捨てるわけにもいかないし手を貸しますか」
右手に生前からの愛刀“断刀キルシュブリューテ”を魔力で現実へと再構成させ、軽く身体を強化する。そして・・・
「風牙真空刃・・・!」
威力を最小限にまで抑えた真空の斬撃を犬と少女の間に放って、犬の行く手を妨害した。
†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††
「状況は分からないけど、助けてもよかったんでしょう?」
仁王立ちしていた女の子がそう言ってこちらに歩いてくる。
私は尻餅をついたまま、女の子に向かってお礼を言う。
「あ、えっと、助けてくれてありがとうございます」
「大したことはしていないわ。それで、あの犬っぽいのは何?」
女の子は私のところにまで来て左手を差し出してきた。
立たせてくれるんだ。そう思って手を取って、「ありがとう」とお礼を言いながら立ち上がらせてもらった。
「え~と、なんと言いますか、あれは・・・その・・・」
私が説明に困るとユーノ君が代わって、「ジュエルシードと呼ばれる、古代遺産によるものです」って説明を始めてくれる。
女の子は「古代遺産?」って考える仕草をしました。
「はい。本来は、手にした者の願いを叶える魔法の石なんですが、単体での発動は不安定で暴走しやすいんです」
「単体ってことは複数あるってことよね――ッと、少し待ちなさい」
「「うわっ!?」」
女の子は私を脇に抱えて、ユーノ君は鷲掴んで、突進してきた犬さんを避けた。
犬さんはそのまま止まらずに進行方向にあった木にぶつかって、痛そうに唸ってます。
女の子は「続きお願い。何も知らずに手を出すのは私の経験が許さないの」と言って、ユーノ君に説明の続きをするように言います。
「あ、はい。えっと、暴走して使用者を求めて周囲に危害を加える場合もあります。
それに、たまたまジュエルシードを見つけた人や動物が間違って使用してしまって、それを取り込んでさらに暴走したりもします」
「なるほど。今あなた達が対処しているあの犬っぽいのも、間違って使用してしまった犬が変異してしまったもの、と考えていいのね・・・?」
「はい。そういうことです」
私とユーノ君を地面に下ろした女の子が「そういうことね」と頷いて、「もっと詳しい話を聞きたいから、まずはアレをどうにかしましょ」って、まるで今から自分も参加するようなことを言った。
私とユーノ君が「え?」と聞き返すと、
「あれの動きを止めれば何とかなるのよね?」
いつの間にか放していた刀を手にしていた。
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
私はフェレットの説明を聞き、願いを叶えるという“ジュエルシード”の存在に少し引っ掛かりを覚えた。
(まさかそのジュエルシードというのが、今回の契約に何らかの関わりがあるのかしら?
まぁ、それはともかく・・・)
「あれの動きを止めれば何とかなるのよね?」
少女とフェレットに向けて確認を取る。
するとフェレットのほうが、「はい、そうです。あの、協力してくれるんですか?」とそう訊いてくるので、私は一切の迷いを口にせずに「えぇ。今は関わった以上は力を貸すわ」と答える。
「そんな危ないですよ!?」
白い服の子が驚いた顔でそんなことを言う。
それはこちらのセリフだ。あなたの動きのほうが断然危ない。
「問題ないから安心しなさい。それじゃ、さっさと片付けましょうか」
そう断言し、白い服の子を黙らせる。
するとフェレットがその子に向けて声をかける。
「なのは、今は手伝ってもらったほうがいいよ。
今の僕たちじゃ無傷じゃ終わらせられないんだ」
「・・・・うん、わかった。それじゃ、よろしくお願いします!」
沈んでいた表情から一転、元気な声でお願いされた。
なら、それに応えるのが大人の役目だ。まあ今は見た目が子供だが気にはしないわ。
「そうと決まったら行くわよ!」
「はい!!」
そうして、こちらを様子見していた犬に向かって私たちは駆け出す。
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
私たちに協力してくれることになった謎の女の子。
その子は犬さんの突進を最小限の動きで回避して、長く重たそうな刀の峰で目と鼻の間を殴打する。
すると、犬さんはあまりの痛さだったのか前足で殴打された場所を押さえる。
「今だよ、なのは!!」
ユーノ君が叫ぶ。私はジュエルシードを封印する為にレイジングハートを向けて封印作業に入る。
「ジュエルシード、シリアルⅩⅥ封印!」
光り輝くジュエルシードは犬さんから抜けてレイジングハートの中へと封印される。
犬さんも元の姿の可愛らしい子犬へと戻っていた。
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
犬っぽいのから蒼い宝石が抜けて、あの子が持つ杖の赤い宝石の中へと消えていった。
これでひとまず大丈夫らしい。
「もう大丈夫のようね。」
私は、“キルシュブリューテ”を魔力の粒子へ戻して体内へと還す。
そして、そのまま立ち去ろうとすると、背後から「待って!」と私を呼び止める声を聞く。
「何かしら?」
「手伝ってくれてありがとう! 私はなのは、高町なのは、っていいます!」
その子は自己紹介と共に、私に感謝の言葉を述べた。
(ん? ちょっと待って。高町なのは・・・高町?)
この出会いはおそらく、いや間違いなく必然だ。
初めから私を“ジュエルシード”に関わらせるために、この場へと召喚したんだ。
「私はシャルロッテ、シャルロッテ・フライハイト。
みんなからはシャル、もしくはロッテと呼ばれるわ。個人的にはシャルがお気に入りよ」
これから先も関係を保つことになるだろうから、こちらも名乗り返す。
「それでこの子はユーノ君」
「ユーノ・スクライアです。先ほどは助けていただきありがとうございます」
フェレットはユーノという名前らしい。うん、なかなかに可愛らしい。
「どういたしまして、なのは、ユーノ」
そして二人と一匹は笑みを浮かべ、握手を交わす。
―――――――――――――――――――――――――――
こうして魔法少女高町なのはと抑止力テスタメント・シャルロッテは出逢った。
幾度の困難を乗り越え支えあう友人として共に過ごす。
いずれ訪れる回避できない別れのその日まで。
重要キャラクター紹介
“3rd・テスタメント・シャルロッテ・フライハイト”
髪の色はアクアブルーで脹脛まで流れる艶やかなロングストレート。瞳の色はアザレアピンク。
“剣戟の極致に至りし者”の二つ名を持ち、界律の守護神の中でも近接最強とされる“力”。
主な契約は、世界の敵となる存在の完全抹消、つまりは殺戮がほとんど。
使用武装。
神器・魔造兵装第九位“断刀キルシュブリューテ”
刃物には少なくとも“斬る”、“刺す”といった概念がある。
その概念を限界まで高めてあるのが「桜」という意味を持つこの“キルシュブリューテ”。
その能力を解放すれば、“キルシュブリューテ”の神秘以下の存在は全て切断することが出来る。
界律:
その星そのものとされる意思。自分自身である世界の秩序を管理するもの。
すべてがそこから生まれ、そして還っていく永久機関。
過去、現在、未来の全ての情報があるともされる知識の蔵。
それぞれの星に必ず存在する究極にして絶対たる力の根本、とされる。
神意の玉座:(ディヴァイン・ウィル)
あらゆる次元に存在する世界の“界律”が交差する最高位次元“遥かに貴き至高の座”。
全ての界律と繋がっているため、全ての世界の情報もここに集約されていく。
究極にして絶対なる抑止力“界律の守護神”を保有する。
界律の守護神:(テスタメント)
あらゆる世界の“界律”からの助力要請で、その世界へと召喚、契約を執行する抑止力。
霊格に関しては神霊クラスと同等、神殺しの契約内容によってはそれすら上回る。
呼ばれた世界に住まう存在とは一切関わらず、契約を執行するのが普通。
だが時には干渉しなければならない場合もあり、その際には肉体などが形成される、かも。
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