今回からA’sへと入っていきます。登場キャラクターが増え苦労します。
STRIKERSではさらに増える、キャラクターが活かせるかすごく心配です。
2nd Episode:夜天の主と守護の騎士
§冬空に来たるは襲撃者§
†††Sideなのは†††
時刻は早朝。今、私とシャルちゃんは海鳴臨海公園内にある丘の休憩所で二人で魔法の練習をしている。
ユーノ君は残念だけど居ない。クロノ君に呼ばれてアースラへと行ってしまったから。
「それじゃあ、シャルちゃん。いつものシュートコントロールで終わろっか」
「了解。それじゃ私から行くよ。ロイヒテン・プファイル」
シャルちゃんが空き缶を放り投げ、自分の周囲に作り出した真紅の魔力弾を撃って、空き缶で打ち上げる。
「ディバインシュター、シュート!」
今度は私が空き缶へとディバインシューターを撃って、また打ち上げる。
シャルちゃんは「よしっ。追撃」と言って、プファイルを操作して空き缶を打ち上げる。
「なのはっ♪」
「うんっ♪ シューット♪」
空き缶を二人で交互に二百回打ち上げるという訓練方法だ。
もともとはシャルちゃんが始めたことだけど、これがなかなか難しいんだ。
最初は二人でよく頭に落ちてきた空き缶に痛みに悶えていたけど、今はそんなことはない。
「これでラスト!」
二百回に到達したから、私は空き缶をゴミ箱へと入れるためにシューターを操作したんだけど、空き缶は縁に当たって弾かれてしまった。
「あ~おしい。もう少しだったね、なのは」
シャルちゃんゴミ箱に駆け寄って、落ちた空き缶をゴミ箱に入れながらそう言ってくれた。
「うん。でもシャルちゃんもこの半年ですごく上手になったよね。
初めの頃は、シャルちゃんの誘導操作の軌道っていったらすごかったもん」
あれは本当に酷かった。あっちへフラフラ、こっちへフラフラとして怖かった。
最後にはシャルちゃんへ向かってきて自爆していたことが多かったし。
「む、仕方ないじゃない。あんなこと今までしたことなかったんだから。
やっていたのは術式をキルシュブリューテに乗せて撃つ、っていうものだったし」
シャルちゃんは頬を膨らませながら、少し拗ねちゃった。
初めて会ったときとは大人びてクール、カッコいいって感じの印象だった。
今は子供っぽい感じに変わっちゃたけど、私は今のほうが親しみを感じるからこのままでいいと思ってる。
「にゃはは♪ ごめんごめん。もう朝ご飯の時間だから帰ろっか」
「もうそんな時間か~。そうね、お腹も空いたし」
私たちは家へ続く帰路にへとついた。
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
なのはと二人だけの毎日恒例となった魔法の早朝練習を終えて帰宅して、制服に着替えてから朝食の準備をしていると、恭也兄さんがフェイトから郵便物が届いているとなのはに言った。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
なのはは嬉しそうに恭也兄さんのもとへと駆け寄って、大きな封筒を受け取った。
あの封筒はフェイトからのビデオメールだね。
「いつものあの子達からのだね。またビデオメール?」
「うん、きっとそう!」
美由紀姉さんの質問にも嬉しそうに答えている。
なのはは本当にフェイトのことが好きみたいだ。
「その文通も、もう半年以上になるよな~」
「フェイトちゃんとルシリオン君、今度遊びに来てくれるのよね?
家に来てくれたら、お母さんう~んと歓迎しちゃう!」
士郎父さんも桃子母さんも、なのはの様子を見て嬉しそうな顔をしている。
本当に良い家族だな~。
「そういえばルシリオン君はシャルちゃんのお友達、だったんだよね?
やっぱり久しぶりに会えるとなると嬉しい?」
美由紀姉さんが私とルシルの関係から、そう話してきた。
正直嬉しいような、嬉しくないような、微妙に難しい感情が心を占めている。
「ええと、そうですね。嬉しいと言えば嬉しいような、といったところでしょうか」
思ったことを素直に口にする。
曖昧な答えになのはや桃子母さん、美由紀姉さんの女性陣が難しい顔をしてしまった。
え? なに? 私って変なことを言った? 言っちゃったの?
私が戸惑ってしまっていると、桃子母さんがニコッと笑みを浮かべる。
「あらあらシャルちゃん。もしかして好きな男の子をフェイトちゃんに取られちゃったから、とか?」
「なっ!? はっ!? あ、ありません! 有り得ません!
ルシルとはそんな関係じゃなかったですし!
へ、変なことを言わないでください桃子母さん!」
桃子母さんのそんな突飛な話に動揺してしまう自分が悔しい。
ルシルへ恋愛感情。それはないと断言できるはずだ。
生前は復讐心でいっぱいで、今では仲間だという感情だけだと思う。
それに好きになったところで結ばれることは絶対にない。
「うふふ、ごめんなさいね。そんなに照れなくてもいいのよ?」
「ですから違いますって!」
なのはたちはユーノのことばかり話していて、私を助けるそぶりが見られない。
うぅ、覚えていなさいよなのは。
†††Sideシャルロッテ⇒フェイト†††
「さて、じゃあ最終確認だ。被告席のフェイトとルシルは、裁判長の問いにその内容通りに受け答えをすること。
ルシル、一応魔術に関しては魔法と称して上に通しているからそのつもりで頼むよ。
それで今回はアルフも被告人席に入ってもらうことになるから」
私とアルフ、ルシル、ユーノの四人は、クロノに向かい合うように座って明日の裁判の話を聞いている。
明日の裁判で決着する。大事な大事なことだ。
「うん」
「了解した」
「わかったよ」
クロノは私とアルフとルシルについての話をした後、自分とユーノについて話を始める。
「そして僕とそこのフェレットもどきは証人席となる。
質問の回答はそこにある通りだから、忘れないように」
「わかった・・・・ん?・・っておい! 誰がフェレットもどきだ!? 誰が!?」
「ん? 何を言っているんだ、君に決まっているだろ?」
ユーノがテーブルに手を叩きつけながら怒鳴り散らしている。
けどクロノはそんなこと聞くまでもないという態度で返すものだから、さらにユーノが怒りに燃えてしまった。
「確かに動物形態でいることも多いけど、僕にはユーノ・スクライアという立派な名前がちゃんとあるんっだ!」
「とりあえず落ち着こうユーノ。いつものクロノの軽いジョークだよ。
いちいち反応していると精神がもたないぞ」
「ユーノ、まあまあ」
「クロノ、あんまり意地悪言っちゃダメだよ」
ルシルが後ろからユーノの両肩をつかんで座らせながら宥める。
私とアルフもそれに続いて宥める。
それで何とか落ち着いたようだけど、機嫌が最悪に悪いのはわかる。
そんなユーノを無視しているかのように、クロノが話を進めていく。
もぉ。どうしてクロノはユーノばかりからかっちゃうんだろう?
と思っていたら、
「クロノ。いくらユーノが君の気になっているシャルとなのはと仲が良いからと言って、ユーノにアタるのはよくないぞ?」
ルシルがなんかすごいことを言っちゃった・・・?
「はぁっ!? ちょっ、はぁっ!? 何を馬鹿な――ルシル!」
クロノは顔を真っ赤にして勢いよく立ち上がって、ルシルを怒鳴る。
するとユーノが「へぇ、そうだったんだ。ごめんクロノ」って笑うのを必死に我慢してる顔で謝った。
「だから違うと言うに! ぼ、ぼ僕が、シャルとなのはの事が好きなわけないだろっ!
ルシルッ、妙な勘違いもほどほどにしてくれ!」
「分かった。すまない。とりあえず声量を下げろ。視線が集中しているぞ」
「クロノ! 言っちゃったらまずいとを言ってるって!」
なのはとシャルの事が好きだとか、それが間違いだとしてもこんな人の居る場所で大声で言うなんて。
ユーノとアルフはテーブルに突っ伏して、思いっきり肩を震わせてる。
二人は面白いのかもしれないけど、私はちょっと恥ずかしいよ。こんなに視線が集まって。
クロノは大きくため息を吐いて、座り直した。
「ともかく事実上判決無罪、数年間の保護観察という結果は確実と言っていいんだが、一応受け答えはしっかりと頭に入れておくように」
「はい」「ああ」
「ぷふ、うん」「あいよ、ぷぷ」
私とルシルは揃って返事をしたけど、ユーノとアルフだけは遅れて返事をした。
クロノは笑うのを堪えているアルフとユーノに、「もう勝手に笑ってろ」って呟いて、テーブルに突っ伏した。
†††Sideフェイト⇒なのは†††
≪Caution. Emergency(警告、緊急事態です)≫
夜、私が自室で勉強をしていると、“レイジングハート”がそう告げる。
その瞬間、私は結界が張られたことに気付いた。
「結界!? どうしよう、シャルちゃんってまだお父さんたちと出かけたままだよね・・・?」
シャルちゃんは前にも増してお父さんたちと裏山まで行って、剣術の特訓に付き合うようになっていた。
何か魔法の感覚を掴むためには良い方法だって言ってたし。
≪It approaches at a high speed(対象、高速で接近中)≫
「近づいてきてる? こっちに!?」
狙いはどうやら私みたいなので、万が一戦いになったらここじゃまずいから、場所を移して近づいてくる人を待ち構えることにした。
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
最近は夜の鍛錬まで付き合うようになって、今は士郎父さんたちと裏山に来ていた。
鍛錬も終わり家路についている途中、直感が働いた。何かが来ている・・・?
「士郎父さん、恭也兄さん。どうやら忘れ物をしちゃったみたいで。取りに行ってきますね」
「そうなのかい? 一緒に行こう」
「あ、いえ。一人でも大丈夫ですから」
「でも女の子一人で行かせるのは・・・」
「大丈夫ですよ恭也兄さん。私、強いですから♪」
そう言って右手に持つ木刀を振って見せた。
すると士郎父さんと恭也兄さんは微苦笑を浮かべた。
あはっ♪ 恭也さんと互角に戦えてしまうからね、私。
「それじゃ行ってきま~~すっ♪」
士郎父さんと恭也兄さんの返事を聞かないまま踵を返して、裏山へ走り出す。
最初の角を曲がった直後、この周囲一帯に結界が張られたのが分かった。
「なのは・・・じゃないよね?」
この結界。ミッドチルダ式じゃない。別の術式だ。
なのはに念話を送ろうとした時、私の前に現れる蒼い毛並みを持つ狼。
その光景にはかる~く既視感を覚える。アルフのときみたい。
「・・・・蒼い狼? 私に何か用でもあるの?」
もしアルフと同じように使い魔なら話すことが出来ると思い、声をかけてみるけど返事はなかった。
「用がないのならもう帰るけど、いいよね?」
私はわざと狼に背を向けて帰るそぶりをした。
するとようやく狼が声をかけてきた。
「恨みはないが、お前の魔力をいただいていく」
私は振り向き、狼の目を確りと見て今の言葉の真偽を確かめる。
魔力をいただだくって鮮血姫じゃあるまいし、血でも吸おうというのかな?
かつての同僚、第三騎士鮮血姫シリアみたいに相手の血液を吸収することによって、それの魔力を自らの魔力に融合させて扱うという方法でも取る、とでもいうのだろうか?
「理由も分からないまま魔力を奪われるなんてイヤなんだけど?」
そう返すけど、もうあの狼からは何も言ってこない。
話す必要がないということらしい。初めから力づくってわけだ。
だったらこっちも・・・手加減なしでいくよ。
「そう。なら力ずくで聞かせてもらうから!」
“トロイメライ”を起動させて戦闘甲冑と同じデザインのバリアジャケット。
白を基調としたノースリーブのハイネックのロングコート。
喉元を覆う部分から腹部の辺りまでは鍵穴のついた金具で止められて、縁取りに鮮やかな銀の刺繍が刻まれている。
背には天光騎士団の紋章(鳥が羽を広げた姿)の刺繍。
インナーは水色を基調とした袖つきの厚手のロングワンピース。
アウターは前立てのない白いショートジャケット(ボレロ)には蒼い装飾。
両肩部分、背中部分にフライハイト家の紋章(Fの両側に翼竜)の刺繍。
両手には白い籠手を装着。脚部は編み上げのロングブーツに、白い装甲というものだ。
「よしっ。良い着心地♪」
指環型の待機モードだった“トロイメライ”はラピスラズリ色に輝く長刀となる。
エイミィとその知り合いの技術者マリエルさんの話によると、これはなのはたちの使っているインテリジェントデバイスとは違うアームドデバイスと呼ばれている物らしい。
ミッドチルダでは使い手が少ないとされていて、ベルカ式と呼ばれている術式を扱う魔導師のデバイスとのことだった。
魔力の籠められた弾丸を使用することで一時的に爆発的な魔力が扱えるという優れもの。
本当はインテリジェントデバイスがよかったな、と思っていたけど相性が悪くて断念。
でも使い慣れると、こちらのほうが手にしっくりと来た。私はやっぱり接近戦タイプだ。
「それはアームドデバイスっ!? まさかお前は、騎士なのか?」
私のデバイスを見た蒼い狼が驚きながらそう告げる。
騎士。まぁ確かに生前は騎士だったし、今でも騎士だと思ってる。
「ええ、まぁ一応は」
私はそう返事をすると、蒼い狼は深く考えるそぶりを見せる。
そして顔を上げて私をじっと見て口を開く。
「よもや敵対するのが同郷の騎士とは。こうなれば我とて手加減はせぬ」
同郷の騎士? 意味は分からないけど、そう呟いた狼が筋骨隆々な大男へと変身した。
けど私は男の頭についた犬耳に少し笑いがこみ上げてしまう。だけど何とか耐える。
アルフなら可愛いんだけど、筋肉質な大男が犬耳ってどうなのよ?
それはともかく私の騎士発言でさらに闘志を燃やしてしまったようだ。
困ったものだけど仕方ない。相手が言うように手加減なしで戦うだけだ。
「ならこっちだって手加減しないから。騎士シャルロッテ・フライハイト、参ります」
「名乗られたのであれば名乗り返すのが礼儀、か。
ヴォルケンリッター、盾の守護獣ザフィーラだ」
さぁお互い名乗りを上げた。
決して後には引かない決意を固めた決闘の開始だ。
†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††
家から遠く離れて、とあるビルの屋上へと来た。
周囲を見回して私に向かって来ている人を待ち構える。
≪It comes(来ます)≫
“レイジングハート”の警告に、私は構えいつでも行動に移れるようにする。
そして夜空の向こうに一点の閃光、それはよく見ると・・・
≪Homing bullet(誘導弾です)≫
そう、“レイジングハート”の言うとおり、それは赤い魔力弾。
私は直撃直前にシールドを張って防ぐけど、それに気を取られすぎて後ろから迫って来ていた小さな女の子にギリギリまで気付かなかった。
「テートリヒ・・・シュラークッ!!」
ハンマーのようなもので殴りつけてきた赤い女の子の攻撃を、私はなんとか右手にシールドを出して防ぐ。
けど、そのあまりの威力に完全には防ぎきれず、ビルの屋上から吹き飛ばされてしまった。
落下しながら私は“レイジングハート”を起動させる。
「レイジングハート! お願い!!」
≪Standby, ready, setup≫
変身を終えて、追撃してくるあの赤い女の子の攻撃をなんとか回避しながら話しかけてみる。
「いきなり襲いかかられる覚えはないんだけど!?
一体どこの子!? なんでこんなことをするの!?」
でもその子は私の質問に答えないで、左手の指の間に白い鉄球のようなものを二つ挟んだ。
「教えてくれないきゃわからないってば!!」
そうして私は変身後に放っておいたディバインシューターを二つ、あの子の背後から奇襲を仕掛ける。
咄嗟にそれに気付いたあの子は一つは避けて、もう一つはハンマーのようなデバイスで受け止めた。
(あれってシャルちゃんのデバイスに似てるかも)
シャルちゃんの蒼い剣のデバイス、“トロイメライ”に少し似た感じだけど、今はそんなことは考えていられない。
「この野郎ぉぉぉッ!!」
そんな女の子が使うようなものじゃない言葉を叫びながら突っ込んできた。
けどそんな一直線な攻撃には当たってあげるつもりはない。
≪Flash Move≫
まずは避けて、砲撃の準備に入る。
≪Shooting Mode≫
「話を≪Divine≫聞いてってば!!≪Buster≫」
ディバインバスターの威嚇射撃であの子の戦闘行動停止を狙う。
あの子は私の砲撃に驚いているのかどうかは知らないけど、完全に動きを止めた。
私の狙い通り、直撃ではなくあの子を掠めるようにディバインバスターは通りすぎた。
けどその衝撃で被っていた帽子がボロボロになりながら落ちていったのを見て、あの子の目に怒りの色が見えた。
デバイスを横に振り、足元には赤い見たことのない魔法陣が浮かびあがった。
「アイゼン! カートリッジロード!」
やっぱりシャルちゃんの“トロイメライ”と同じだ。
シャルちゃんの“トロイメライ”もあんなふうになったことを見たことがある。
確か魔力の籠められた弾丸を装填することで、一時的に魔力が上がるっていう。
≪Explosion. Raketenform Form≫
あの子のデバイスがその言葉を合図として変形が始まる。
変形後、その姿は片方に黄色い四角錐の突起、もう片方にはロケットようなものが付いていた。
「ラケーテン―――」
あの子が魔法陣の上でデバイスを振り回しながら回転している。
よく見るとあのロケットのようなところから炎が噴射していた。
だぶんあれの力を借りて回っているのだと考えられる。
そして回転を終えて、私へと突っ込んできた。
一撃目はなんとか避けるけど、二撃目は避けることが出来ないと判断してバリアを張る。
だけどまるでバリアなんて初めからないというような勢いで簡単に砕け散る。
そして“レイジングハート”にぶつかり、少しずつだけど砕いていく。
「―――ハンマァァーーーーッッ!!!」
私はその衝撃に耐えられず、向かいのビルまで吹き飛ばされてしまった。
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
「このぉぉぉッ!!」
「くっ、おおおおおおッ!!!」
私の斬撃を紙一重でかわし、カウンターの拳打を撃ってくるザフィーラとかいう人狼。
さっきから私の斬撃とザフィーラの手甲が衝突しては火花を激しく散る。
盾の守護獣という二つ名は伊達ではないらしく、防御力が異常に高い。
ならばと思い、間合いの外から魔力刃を放つけど、それすら防御されてしまう。
私は魔法を防がれるのを見て、やっぱりという気持ちが心を占めていくのがわかる。
私は固有魔術を非殺傷設定が出来る魔法へと組み直した。
何せ魔法に関しては“界律”から何も干渉してこないので、魔術より扱いやすいからだ。
でも・・・
「むぅ。やっぱり・・・」
そのおかげで下手に相手に傷つけることはなくなった。
だけどその所為かは知らないけど、魔力から神秘性がなくなってしまい、魔法でも容易く防がれるようになってしまったのだ。
実際なのはのシールドに攻撃が防がれたのを見て、しばらくショックで立ち直れなかったのを覚えている。
でもそれが魔法を使う代償だというのなら、私はそれを甘んじて受けよう。
(私は魔法となった術式でまた最強を目指す。だからこんなところで躓いているわけにはいかない!)
“トロイメライ”の刀身に真紅の雷光を纏わせる。
「雷牙――≪Blitz Lanze(雷槍)≫――!閃衝刃!」
ザフィーラ目掛けて雷撃の刺突を飛ばす。
だけどそれもまた回避されて、私の術後の隙を突いて接近してきた。
放たれるザフィーラの強烈な右ストレート。私はそれに左手を向けてシールドで防ぐ。
≪Hartriegel Schild(堅固なる盾)≫
何とか受け止められたけど、間髪いれずに左拳を叩きつけてきた。
「無駄なことだ。はああッ!!」
「ぐっ!? がはっ・・・!」
その衝撃に抗いきれなかった私は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「いっつぅ、まだまだいける。トロイメライ!」
≪Leuchten Pfeil(輝ける閃矢)≫
誘導弾を8発、次の攻撃への布石として放つ。
なのはのように事細かな制御はまだ出来ないけど、今はこれで十分だ。
生前から苦手としていた術式発動後の操作を、デバイスの力を借りることによって使えるようになったのは嬉しいことだと思っている。
だって操作して狙った標的に当てたときの快感は忘れられないから。
向かってくる誘導弾を、ザフィーラは拳で弾いては回避という行動をしている。
「風牙烈風刃ッ!」
≪Windstoβ(突風)≫
魔法へと変化したこの風圧の壁を叩きつける術式によってザフィーラを吹き飛ばそうとしたけど、その巨体の所為で少しの距離しか離すことが出来なかった。
「トロイメライ、カートリッジロード」
≪Explosion≫
カートリッジ一発を消費して、いつでも砲撃を放てるようにしておく。
さらにザフィーラに間合いを離させるため射撃魔法を使う。
「ロイヒテン・プファイル!・・・発射ッ」
≪Jawohl(了解)≫
ザフィーラの足元に集中して放つけど、物凄い勢いで回避してタックルしてきた。
もちろん回避して、振り向きざまに一撃与えようと考えて行動に移そうとしたとき、
「しまっ・・・!?」
ここに来てバカなミス。石を踏んづけてしまい、バランスを崩してしまった。
その一瞬の隙を見逃すはずもないザフィーラは、さらに勢いをつけたタックルを私へと直撃させた。
「あ゛・・・っ!?」
バリアジャケット越しに伝わるシャレにならない衝撃。
そのまま吹き飛ばされながらも、距離があいたことが分かっているために砲撃を放つ。
正直意識がとびそうだが、詰めは誤らない。
「グランツ・・・フォーゲル!!」
“トロイメライ”を横一線に振り抜き、発動するのは真紅に輝く鳥の形をした砲撃魔法。
ザフィーラはそれに驚き、防御か回避かに移ろうとするけれど間に合わず直撃した。
私は着地して、念のため魔法の発動準備をしておく。
“トロイメライ”から使用済の薬莢が排出され地面に落ちた音が響く。
土煙が次第に晴れていき、そこにいるはずのザフィーラの様子を見ようとするけど・・・。
「・・・っ!? いない!? 一体どこに・・・!?」
周囲を見渡すけどどこにもいない。ふと空に気配を感じて、見上げてみる。
そこには狼形態に戻っていたザフィーラが滞空していた。
「あのタイミングで避けられた・・・?」
いや違う、きちんと入っているようだ。
直撃だけは避けられたみたいだけど、それなりのダメージは与えられたみたいだ。
まぁあのタイミングでの砲撃で、無傷で済まされたとあってはへこんでしまう。
ザフィーラは少し私を見たままだったけど、何も言わずに去って行ってしまった。
その行動に妙な胸騒ぎをして、なのはに念話を通してみる。
だけど、なのはからは一切返事がない。
「しまった。何で早く気付かなかったわけ私!?
なのはの方にも、アイツの仲間が襲いに行ってるってこともあるじゃない!」
私はすぐさま追撃をかけるために真紅の片翼を出す。
≪Eins Rubin Flügel(真紅の片翼)≫
私は空高く飛び、ザフィーラの向かった方向を目指そうとした。
と私の背後に気配がしたので、振り向きざまに“トロイメライ”の剣先を背後の相手へと向ける。
そこにいたのは・・・・
†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††
あの子の一撃で向かいのビルまで吹き飛ばされた私は、その部屋の中で咽ていた。
だけどそんなことはお構いなし、とあの子がまた突撃を仕掛けてきた。
≪Protection≫
“レイジングハート”は私を守るためにプロテクションを張ってくれた。
なんとか拮抗しているけど、
――ラケーテンハンマー――
「ぶち貫けぇぇぇ!!」
≪Jawohl(了解)≫
プロテクションを少しずつだけど抜けてきて、最後は完全に破壊されていまった。
また吹き飛ばされてしまう私。もしかして今日はそういう日なのかもしれない。
痛みで意識が朦朧とする中、あの子が近づいてくるのが分かったので、力を振り絞ってボロボロになってしまっている“レイジングハート”をあの子へと向ける。
でもどうすることも出来ないことは、自分が一番分かっている。
あの子が私に向けてハンマーのようなデバイスを振り上げる。
(こんなので終わり? イヤだ、シャルちゃん、ユーノ君、クロノ君、ルシル君・・・)
私はみんなの心の中で名前を呼ぶ。このままお別れだなんて絶対にイヤだよ。
前に言ってくれたよね、だから私は呼ぶよあなたの名前を・・・。
(フェイトちゃん!!)
振り上げられたあの子のデバイスは、私に当たることはなかった。
恐る恐る目を開けてみる。
「ごめん、なのは。遅くなった」
「ユ、ユーノ君・・・?」
そこにはユーノ君。そして私をかばうように立って、あの子のデバイスを受け止めているのは、やっぱりフェイトちゃんだ。
マントをはためかせて、“バルディッシュを構えているフェイトちゃん。
「チッ、仲間か?」
赤い子がそう聞き、フェイトちゃんから距離をとる。
≪Scythe Form≫
それを聞いたフェイトちゃんは一言告げる。それは私にとってとても大切で嬉しい一言。
「友達だ」
†◦―◦―◦―◦―◦↓シャルシル先生の魔法術講座↓◦―◦―◦―◦―◦†
シャル
「やっほーっ♪ この、シャル先生の魔術講座改めシャルシル先生の魔法術講座の先生、シャルだよ♪
えっと、今回は残念ながらなのはとユーノは居ないの。ごめんね~」
ルシル
「だからと言って、どうして俺を無理やり引っ張ってくる意味が解らん。
そもそも何だ、シャルシル先生の魔法術講座、とは?」
シャル
「分からない? 私シャル先生とあなたルシル先生による魔法と魔術の講座。
略してシャルシル先生の魔法術講座。我ながら良い略し方じゃない? シャルシル」
ルシル
「いや、微妙。あと、どうしてそんなにテンションが高いんだ? 君はそういうキャラではなかったよな」
シャル
「私としてもこんな子供っぽくなるなんて予想外だったけど、なのはやアリサにすずかと過ごしていたら自然とね。
なのはも、今の子供らしい私の方が好きだって言ってくれるし。私としてもこのほうが楽なんだよね」
ルシル
「(生前を知る俺としては目が飛び出るぞ、今の君は)そうゆうものか。それで? 俺は何をすればいい?」
シャル
「適当に」
ルシル
「適と・・・、了解。生前と合わせて6千年以上の付き合いだ。ある程度は応えてやる」
シャル
「よしっ。それじゃ始めよっか。今回から私は魔法を使うことになったんだけどね」
ルシル
「そうだな。デバイスを持ち、魔道式を魔導式に変換したらしいじゃないか」
シャル
「めっちゃ苦労したけどね。魔法って、かなり頭が良くないと扱えないってことが良く分かった」
ルシル
「そうらしいな。魔術も魔法を大して変わらないと思っていたんだが、それなりに計算能力が無いと駄目だというのはフェイトとクロノから教わった。
俺としては、魔術の方が複雑だと思うんだが」
シャル
「まぁそれは人それぞれよね。私の魔術の術式はほとんど感覚だけで組んだものだから、それを魔法っていう計算式に変換したのがもう泣きたくなるほど面倒だったよ。
だから魔法の方が私は難しいとかってね。っと、それじゃ本題に行くけど」
ルシル
「おう、来い」
シャル
「今回から始まった第二章、その第一話で使われた私の魔法は、
――雷牙閃衝刃――
――堅固なる盾――
――ロイヒテン・プファイル――
――グランツ・フォーゲル――
の四つなんだけど」
ルシル
「閃衝刃と盾は魔術から魔法へ変換した術式だな。
真紅の雷槍を放つという雷撃系攻性術式、雷牙閃衝刃ブリッツ・ランツェ。
ブリッツは雷光。ランツェは槍という意味だな。
そして、四重の六角形で構成された対物理障壁の真紅の盾である、堅固なる盾ハルトリーゲル・シルト。
ハルトリーゲルは、花水木のドイツ語読みだ。堅固とは花言葉のうちの一つだ。シルトは盾という意味だな」
シャル
「お、おお。すごいすごい。そうゆう感じで良いんだよルシル先生♪
次は私が紹介するよ。まずは、魔術から変換したんじゃなくて、一から魔法として組んだ魔法の第一弾ロイヒテン・プファイル。
ロイヒテンは光る、輝く。プファイルは矢っていう意味なの。
術式名の通り矢じりの形をした射撃魔法で、誘導操作弾だから対象を追撃することが出来るの」
ルシル
「射撃か。剣騎士としての君が持つことになるとはな」
シャル
「だね~。この魔法、なのは直伝なんだよ。いやぁ、なのははもう射撃魔法の師だね。
で、始めて使ったとき、それはもう苦労したよ。軌道がハッキリしないし、自爆もしたし。
心が折れそうだったけど、なのはが励ましてくれたから実戦でも使えるようになった」
ルシル
「そうか。良い関係を築いているようで良かった」
シャル
「うんっ。んで次は、翼を広げた鳥の形をした砲撃グランツ・フォーゲル。
グランツは輝き、光沢。フォーゲルは鳥という意味なの。
鳥ということで、軌道変更が出来るんだけど・・・・まず使わないかな」
ルシル
「諦めているのか。まぁ君の場合は、敵に近づいて剣で斬る。それだけで十分強いぞ」
シャル
「ちょっと馬鹿にしてない?」
ルシル
「まさか。褒め言葉だよ」
シャル
「むぅ。だといいんだけどさ。とまぁこんな感じなんだけど」
ルシル
「大体は解った。毎回こういうやり取りをしていけばいいんだな」
シャル
「そういうこと♪ それじゃあ今回はここまでっ。まったね~~~~♪」
ルシル
「またな」
アームドデバイス“トロイメライ”
この世界でのシャルロッテの愛機である“夢想”という意味を持つ蒼い刀身の長刀型アームドデバイス。
機能構想はシャルロッテ。開発はマリエル技官。
ヴィータのグラーフアイゼンと同じ回転シリンダー方式のカートリッジシステムで、鍔部分に設けられている。
装填数は六発。排気口は刀身の付け根に設置されている。
形態は全部で四つ。待機の指環。基本の長刀。そしてあと二つ。
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