クロノ・ハラオウン執務官
†††Sideルシリオン†††
窓から見るのは、茜色に染まっている空。
俺が“ジュエルシード”の魔力を感じ、その場へと向かった時より、時間は少し遡る。
時は昼間、俺とアルフはフェイトの治療を終え、時の庭園よりこの世界の拠点である遠見市のマンションへと帰ってきた。
フェイトはあれから気を失ったままだが、制限されていない俺の固有魔術で治癒系術式の“傷つきし者に、汝の癒しを”を使用したので、今のフェイトの顔色は時の庭園に行く頃以上に良い。
「それにしてもすごいねぇ、魔術師ってやつは。
他の魔術師もそんな簡単に怪我を治せるのかい?」
アルフは俺が治癒関係の魔術を見てそう訊いてきた。
魔術に関して別に知られても構わない情報だけはすべて教えてあるため、
「いや、あれは俺だけが出来るものだから、他の連中は出来ない」
隠すことなく教える。
「ふ~ん、まあいいや。んで、これは一体何なんだい?」
アルフが指差すのは、フェイトの寝ているベッドを覆っている蒼く光るドーム状の結界。
俺が先ほどフェイトの治療のために張ったばかりのものだ。
「ああ、この結界には対象者の疲労などを回復させ、睡眠がよくとれるようにする効果がある。
30分もしないうちに万全な状態まで回復出来るだろう」
「あたしはどれだけあんたに驚けばいいんだろうねぇ?」
アルフが腕を組みながら俺を見て、感心したよう呆れたような複雑な顔をしている。
「う~ん・・・死ぬまで?」
「っ!・・・ということはあんた、これからもあたしたちと一緒にいてくれる、と思っていいのかい?」
かるいギャグのつもりだったが、アルフは本気にとってしまったようだ。
やはり慣れない(人間だったころは日常茶飯事だったが)ギャグなどを、結構真面目なアルフに言うのはまずかったか・・・?
どう返せばいいか思案しての沈黙。アルフは半目となって、「何か言いなよ」と急かしてくる。
「なぁ、ルシル・・・?」
おそらくこの“ジュエルシード”の一件が終わったとしても、俺は、たぶんシャルもだが、この世界に残っているままだと推測している。
“界律”はわざわざ肉体や戸籍まで用意したのだ。
今までの経験上、そういった契約はかなりの長期となる。
俺の契約期間の最長記録は1歳の赤ん坊から、あの世に召されるまでの70年弱。
そのときも肉体が構成された、が戸籍は確か無かったな。
今回の契約には戸籍まで用意されているので、それなりの期間はいるはずだ。
ならこう答えるのが一番だろう。
「そうだな。出来る限りの間はフェイトやアルフと共にいようと思ってる。
まぁ迷惑だと言うならいつでも出て行くつもりだ」
「そうかい! これからも一緒にいてくれるんだね!
いや~、よかったよ! フェイトが聞いたら喜ぶだろうねぇ♪」
そう言うと、アルフが喜びながら俺の両手をとって上下に振りまくる。
というかアルフ、もう少し静かにしろ。嬉しいのは判るが。
「ほら、アルフ。フェイトが起きるから、もう少し声のボリュームを下げろ」
「あ、ああ、とごめんよ。つい嬉しくてね」
おいおい、泣くほど嬉しいってどれだけの感情なんだ。
「そんなに喜ぶことなのか? 俺がいなくなったところで困るようなことはないと思うけどな」
俺は背伸びしてアルフの頭を優しく撫でる。
アルフは初めは驚いた顔をして、少し経つとニコニコ笑って喜んでくれている。
「なぁルシル?」
「ん? どうし――む!」
どこかで強力な魔力が生まれ、俺の魔力探査に引っかかった。
この感じは・・・間違いなく“ジュエルシード”。
俺は「アルフ」と、目の前で嬉しい顔のまま俺へ笑いかけている彼女の名を呼ぶ。
「どうしたんだい?」
「ジュエルシードの魔力を感知した。俺一人で行くから、アルフはフェイトを看ていてくれ」
「・・・ちょっ!? ルシル一人でかい!? 危ないよ! フェイトを起こして――」
アルフがそう言ってくるが、君はフェイトの使い魔だろう?
だから最後まで言わさずに、こちらが先に言葉を紡いでやる。
「お~い、アルフ。俺はフェイトを休ませる為に寝かせているんだ。
それなのに使い魔である君が、主であるフェイトを起こしてジュエルシードの封印に向かわせるなんて言うものじゃないと思うぞ?」
「じ、じゃあ、あたしも一緒に行くよ!」
今度はそんなことを言ってくる。俺がそんなに信用出来ないのだろうか?
少しショックだよアルフ。
「主のもとから使い魔が無断で離れるのはまずいだろ?
それに俺一人でも何とかできるはずだ。だからアルフはフェイトが起きるのを待っているんだ。
もしフェイトが起きてもまだ俺が帰ってこない場合は、俺は海鳴臨海公園という場所にいるから来てくれ」
念のために“ジュエルシード”の魔力を感じる場所の名前を言っておく。
まぁフェイトが起きる頃には戻ってきていると思うけどな。
それにしても、俺の魔力感知レベルがかなり高くなってきている。
ここまで離れた場所にいるのに分かるなんて・・・どういうことだ?
「・・・分かったよ。無茶はするんじゃないよ」
「ああ、行ってくる」
まぁその方が、都合が良いから助かるんだが。
俺はシャルたちが現れる前に事を終わらせる為、急いで公園へと向かった。
†††Sideルシリオン⇒シャルロッテ†††
私とユーノ君とシャルちゃんは、“ジュエルシード”が発動したのが分かったので、海鳴臨海公園に向かう。
そして、そこにいたのは、
「あれ? ゼフィちゃん・・・だけ?」
ゼフィちゃん一人だけだったのです。
そしてゼフィちゃんのすぐ近くには、“ジュエルシード”がいつでも封印できるような状態で浮遊していた。
「フェイトとアルフが・・・いないみたいね、どういうこと?」
シャルちゃんもそれが異常なことだと思っているのか難しい顔をしている。
悩んでいても仕方がないので、私たちはゼフィちゃんのもとへと向かった。
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
おかしい。ルシルが単独で“ジュエルシード”の封印へと来るなんて。
「フェイトとアルフが・・・いないみたいね、どういうこと?」
疑問を口にしても意味がないのは分かっているけど、そう口にせずにはいられなかった。
なのはがルシルのもとへと歩き始めたので、私とユーノもそれに続く。
「ゼフィちゃん!」
なのはが背を向けているルシルを呼ぶ。
ルシルは振り向き、私たちに始めから気付いていたのか挨拶してきた。
「こんにちは、なのは、ユーノ・・・シャルロッテ」
「こ、こんにちは。あの・・・フェイトちゃんとアルフさんは?」
私も聞いておきたい疑問をなのはが先に口にした。
素直に答えてくれるとは思えないけど、なのはからの問いということで、なのはの純粋さにルシルはおとなしく答えそうな気もする。
「あの二人は今日は休み、最近は忙しいからね。
だから私一人でジュエルシードの探索をしているんだ」
ルシルは今でも、声と口調を少女のように変更している。随分と慣れたものだ。
そろそろ素顔とかバラしてもいいと思うのだけどね。
「そ、そうですか・・・えっと・・・」
なのはが話すことがなくなったのか、視線を彷徨わせている。
私たちが何をしに来たか忘れたんじゃないのかしら?
仕方ない、助け舟を出しましょうか。
「もう分かっていると思うけど、私たちはそのジュエルシードを確保しに来たの。
黙って渡してくれると嬉しいんだけど」
「そ、そうだ! あれは昨日みたいな危険のある物なんだ!
だから僕たちはジュエルシードを集めないといけないんだ。
だから・・・お願いだから・・・渡して欲しい!」
私に続いてユーノもルシルに向けて“ジュエルシード”を渡すように言う。
どうせ聞かないと思うけど、一応は言っておいたほうがいい。
「・・・ごめん。私にもジュエルシードを集める理由があるんだ。
フェイトとアルフのために、あの二人の幸せのためなら・・・私は!!」
ルシルの魔力が膨れ上がる。
戦う気満々だけど、私たち三人を相手に勝てるわけがないのは分かっているはずだ。
昨日は私一人に苦戦したのだから。
「なのは、ユーノ、やるわよ」
「でも、ゼフィちゃんとも、ちゃんとお話をして・・・」
「なのは、彼女はまずい。まずはジュエルシードを封印したほうがいい」
なのはがルシルと話がしたいというが、ユーノが“ジュエルシード”の封印を優先するように言う。
私もそれには同感だ。今のルシルには、フェイト以上に話が通用しないかもしれない。
「そういうこと。私がゼフィを抑えるから、封印のほうは任せた」
「う~ん、わかった。ゼフィちゃん、あとでお話してもらうからね!!」
「・・・ごめん」
ルシルはそう呟き、“ジュエルシード”を無数の鎖で覆った。
「え?」「な!?」
その光景に驚くなのはとユーノ。そろそろ慣れたらどうなの?
魔術は魔法とは似て非なるモノ。魔導師の常識は一切通用しない。
「これで昨日のように暴走することはなくなった。
だから、お互い全力で戦える。シャルロッテ、昨日は遅れをとったけど今日は負けない、負けられない」
ルシルがいつも以上の敵意を剥き出しにしている。
一体何があったっていうの? ここまでやる気をみせるなんて。
それにフェイトとアルフの幸せのためって?)
私はどうしても戸惑ってしまう。おかしい、これは本当に異常だ。
「・・・そこまで言うのだったら、こっちも本気を出す『なのは、ユーノ、ゼフィの様子がどうもおかしい。何をしてくるのか分からないから、少し離れてて』」
“キルシュブリューテ”を構え、ルシルと対峙する。
なのはとユーノは、私とルシルの戦いに巻き込まないために離れて見ててもらうことにした。
≪我が手に携えしは確かなる幻想≫
その呪文と共に現れたのは、ルシルの体を覆う紅蓮の炎。
背には一対の炎の翼が現れて空気を焼いていてる。
そして左手には同じ紅蓮の炎を纏った長刀が握られていた。
「いくよ・・・!」
――飛焔――
ルシルが刀を振ると、炎が周囲へと拡がりながら飛んできた。
かなり威力が高い。これは結構な高ランクの術式らしい。
だけど、
「甘い。雷牙し――!!」
術式を発動させようとした瞬間、ルシルが炎の中から現れ、斬りかかって来た。
(馬鹿な!? 私を相手に剣で戦うつもり!?)
咄嗟に跳躍して炎を回避するけど、ルシルが追撃をかけてきた。
――龍翔閃――
「くっ、この・・・!」
何とか捌くがさらに追撃をかけてきた。
「「はぁぁぁぁあああああッ!!!」
――空破斬――
――風牙真空刃――
ルシルが放つ真空の刃と、私の放つ真空の刃が衝突する。
ドンッ!という大きな音と共に周囲に衝撃波が拡がり、私はさらに上空へと押し上げられた。
私がその一瞬、目を閉じたのを最大の隙として、ルシルが炎と刀を消す。
今度は両手に風が集まり竜巻となるのを見た。そして私に向かって跳躍。
「風牙裂千 空帝 双嵐掌!!」
膨大な力を誇る竜巻を纏った攻撃を、他人事みたいに思いながらこの身に受けてしまった。
†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††
シャルちゃんがゼフィちゃんの攻撃を受けて吹き飛び、海に落ちてしまった。
「シャルちゃん!!?」と叫びながら、シャルちゃんの落ちた海へと駆け寄ろうとした。
早く助けないと。助けたいのに。今すぐ助けたいのに・・・
「次は君だよ、なのは」
「っ・・・!」
ゼフィちゃんの冷ややかな声で、私の体が震えあがる。
怖い。背を向けたくない。そんなとき、「行って、なのは!」って、ユーノ君が私とゼフィちゃんの間に立ち塞がった。
「ユーノ君!?」
「僕はが何とかしてゼフィを食い止めるから、なのははシャルを助けてあげて!!」
「そんなダメだよ! ユーノ君が、今度はユーノ君がシャルちゃんみたいに・・・!」
そんなやり取りをしてる中でもゼフィちゃんがゆっくりこっちに向かって歩いてくる。
両手のグローブには蒼い魔力が迸っていて、少しずつナイフのような形になってってる。
震える両手だけど、それでも“レイジングハート”の先端をゼフィちゃんに向けようと頑張る。
ゼフィちゃんが両手の指の間に挟んだ魔力のナイフを、私とユーノ君に向かって投げようっていう態勢に入る。
「ストップだ!!」
「「「っ!?」」」
そこに、突如現れた男の子がゼフィちゃんに向かった停止を呼びかけた。
ゼフィちゃんも突然現れた男の子に驚いたのか歩みを止めている。
「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ! いますぐ戦闘行為を止めてもらう。
それに詳しい事情を聞かしてもらおうか」
クロノと名乗る男の子が私にも向かってそう言ってきた。
でも、時空管理局って何だろう?
「・・・時空管理局? 私はそのようなものは知らない。
邪魔をしないでもらえませんか、ハラオウン執務官?」
ゼフィちゃんも知らないのかそんなことを言っている。
私とユーノ君を一度チラッと見たクロノ君だったけど、すぐさまゼフィちゃんへデバイスを向けながら、
「管理局を知らない? 君も魔法を使っているじゃないか。
なら魔導師のはずだ、知らないわけがないだろう?」
ゼフィちゃんとクロノ君が向かい合う。
なんか、まずい雰囲気みたい。えっと・・・どうしよう?
今度は後ろの海から大きな音がした。
あ、シャルちゃんだ。次々と変わる状況に一瞬忘れてた・・・ごめんね。
「よくもやってくれたわね・・・!」
――炎牙崩爆刃――
「しまっ・・・!!」
シャルちゃんは海から飛び上がった後、ゼフィちゃんの背後に着地。
そのままゼフィちゃんを斬り上げるように刀を振るって、大きな炎をぶつけて大爆発させた。
今度はゼフィちゃんが爆発によって吹き飛ばされた。
海に落ちた音がしないから、まだあの煙のなかにいるのかな?
というか死んでいないよね? 大丈夫だよね?
一応の敵であるゼフィちゃんの命の心配をしていると、足元にカツンと何かが落ちた。
「ん? あれ? これってゼフィちゃんの・・・仮面?」
私の足元にあったのは、所々がひび割れた黒く輝く仮面だった。
ゼフィちゃんの素顔を隠していた、あの仮面だ。
†††Sideなのは⇒フェイト†††
「ど、どうして?・・・どうして起こしてくれなかったの!?」
私はついアルフを怒鳴ってしまった。
「フェイト・・・。あ、あたしもフェイトを起こそうって言ったんだよ。
でもルシルは、フェイトは休ませるって聞かないんだよ・・・!」
アルフが悲しそうな顔をして、そう言ってきた。
そう、だよね。ルシルならきっとそう言うと思う。
私は「ごめんね、アルフ。私・・・どうかしてた。ごめんね、ごめんねアルフ」って謝りながら、俯いてるアルフを抱き寄せる。
「ううん、あたしの方こそルシルを止め切れなくてごめんよ」
今回は間違いなく私が悪いのに、アルフも謝ってきてくれた。
「ねぇアルフ、ルシルはどこに行ったの?」
「海鳴臨海公園ってところに行くって言ってたよ」
海鳴臨海公園・・・。ルシルと初めて会った場所だ。
結構広い公園だけど、結界が張られていればすぐに判るはず。
「うん、分かった。バルディッシュ、どう?」
≪Recovery complete≫
“バルディッシュ”も昨日のダメージを完全に回復させていた。
それなら大丈夫。“バルディッシュ”をそっと撫でて、「頑張ったね、ありがとう」って労いの言葉を掛ける。
「それじゃ、ルシルのところへ行くよ、アルフ!」
「ああ!」
私とアルフは、ルシルのいる海鳴臨海公園へと向かった。
どうか何事もなく無事でいて、ルシル。
†††Sideフェイト⇒なのは†††
シャルちゃんが魔法でゼフィちゃんを吹っ飛ばしたのを見たクロノ君が、目を点、口をあんぐり開けて茫然としていたけど、シャルちゃんの「まあああね」と頷いたのを見て再起動。
クロノ君が「君は!」って怒鳴りながらシャルちゃんのところへ駆け寄っていく。
「君は何をしているんだ!? いきなり現れて攻撃するなんて何を考えている!?」
「ハァ? あなた誰? ていうかうるさいわよ。
それに、いきなり現れたのはそちらでしょう? 私はずっと居たのよ」
うわぁ、今度はシャルちゃんとクロノ君がまずい雰囲気だよ!?
クロノ君が「うるさいって。まぁいい」と呆れながらも、話を続けようとする。
でも「僕は時空管理局執務官クロ――!?」と、最後まで言うことができなかった。
「話は後! 今はあいつをどうにかしないと・・・!」
シャルちゃんがクロノ君の口を手で塞いで、次第に晴れていく煙のほうを見る。
そこには夕日を背にして、手すりの上に立っている・・・あれ? もしかしてあの子って、温泉で会った・・・?
お、男の子・・・?? ゼフィちゃんって女の子じゃなかったの??
私は軽くパニックを起こしている。
目の前にいるのは温泉で会った銀髪の男の子だ。
でも声が女の子で、体は男の子で・・・???
「ついにバレてしまったか。正直、俺の正体は最後まで隠し通すつもりだったんだけどなぁ」
こ、声が男の子になっちゃった! やっぱり男の子なんだ、そうなんだ。
男の子であんなに綺麗って・・・女の子としてはちょっぴり複雑です。
「君は一体なんなんだ? 声がさっきとは違うが?」
「そんなことはどうでもいいだろう?
悪いけど、ジュエルシードを持ち帰らないといけないんだ。
全員・・・しばらく気を失っていてもらおうか!!」
ゼフィちゃん、じゃなくてゼフィ君が私たちを倒すために構える。
臨戦態勢に入ったゼフィ君を見たクロノ君が驚きの表情を浮かべる。
「やめるんだ! 管理外世界での戦闘は禁止されている! 罪状が増えるだけだぞ!」
「ああもう、うるさい! 少し静かにしていなさい黒いの!」
反論すべきゼフィ君を放置して、シャルちゃんがクロノ君に怒鳴ってる。
シャルちゃんとクロノ君の相性はあんまり良くないのかもしれない。
「クロノ! 僕はクロノ・ハラオウンだ!!」
「あ~はいはい、クロノね。悪いけどあいつとの決着だけは邪魔しないでよね」
「だから! 管理外世界でのせんと・・・!!」
言い争っている二人の間にゼフィ君からの攻撃が放たれる。
「そのまま言い争っていてくれたほうが都合がいいんだけどね。
≪我が手に携えしは確かなる幻想≫
「穿て、ディバイン・・・バスター」
ゼフィ君の人差し指から放たれたのは桃色の閃光。
ていうか、あれ? うそ!? あれって私の魔法だよ!?
「え!? 何でゼフィがなのはの魔法を使ってるんだ!?」
ユーノ君が遠くから叫んでいた。そっか、ユーノ君の存在も忘れてたよ。
「さぁ、次行くよ。フォトンランサー・・・ファイア!」
今度はフェイトちゃんの魔法だ!
ゼフィちゃんの周囲に9つのスフィアが展開されて、槍のような射撃魔法が放たれる。
それに対してシャルちゃんは「調子に乗るな!」って“キルシュブリューテ”の刀身に真紅の雷を纏わせた。
――雷牙神葬刃――
シャルちゃんがキレた。ものすごい音とともに雷がゼフィ君に向かっていく。
「なのは! あなたも早く手伝いなさい!!
殺す気で砲撃を撃ちまくって!! いいわね!?」
えぇぇぇぇえぇえぇぇぇ!!? そんなの無理だよぉ!?
「おい! いい加減にしろ! そっちの君もだ! さもないと逮捕す――うげっ?」
あ、シャルちゃんがクロノ君の首の後ろを刀の峰で殴った。
もうクロノ君が眼中にないシャルちゃん、攻撃を続けるゼフィ君。
倒れた後、ゼフィ君の攻撃の衝撃で吹っ飛ぶクロノ君。
「え~と、こういうのはなんて言うんだっけ・・・? あ、そうそうカオスだ」
「いっっったぁぁ!! 何をする!?」
「・・・チッ」
すぐさま立ち上がるクロノ君を見て舌打ちするシャルちゃんはもう立派な悪役です。
――――カット カット カット カット カット――――
ゼフィ君は二人を見て少し笑いながらなんか呟いている。
―――開幕直後より鮮血乱舞、烏合迎合の果て名優の奮戦は荼毘に伏す―――
「ネズミよ回せ! 秒針をサカシマに! 誕生をサカシマに! 世界をサカシマに!」
ルシル君が真っ黒な影のような姿になってしまった。
「回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ!!!!」
―――ナイトルーラー・ザ・ブラッドディーラー―――
そして圧倒的な暴力が私たちを襲った。
†††Sideなのは⇒ルシリオン†††
シャルとクロノとかいう少年。あの二人を見ていると、かつての俺とステアを思い出す。
だが、俺はフェイトとアルフの幸せのために・・・あの子達を倒す。
「回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ!!!!」
とある吸血鬼より複製した能力を発動。
俺は暴力のカタマリとなってシャルたちを襲った。
周囲を蹂躙した後、静かに地上に降り立つ。
そして立っているのは俺一人・・・じゃないな。
シャルは“キルシュブリューテ”を、クロノはデバイスを支えに未だに立っているが、もう戦えないだろう。
なのはとユーノは完全に気を失っているみたいだ。
直撃だけは避けたので衝撃波による昏倒だろう。
「君は・・・ハァハァ・・・本当に・・・何なんだ?・・・」
「・・・質問に答える義務はない」
クロノの質問を両断する。とそこに、二つの魔力反応の接近を察知。
フェイトとアルフが来てしまったか。
フェイトが起きるまでに帰るつもりだったが、思った以上に時間がかかった。
『ルシル! 大丈夫・・・みたいだね。それはそうと仮面はどうしたの!?』
フェイトが念話で話しかけてきた。
『フェイトの方こそ、もう大丈夫みたいだな。
仮面は、攻撃を受けて吹き飛ばされたんだ。まぁ問題無い』
フェイトとアルフが俺の目の前へと降り立つ。
「これ・・・ゼフィがやったのかい?」
アルフが公園の様を見て呟く。いたるところに抉れた穴がいくつも走った地面。
フェイトも今気付いたかのように、この公園の有様を見て驚いている。
「フェイト、これが今回のジュエルシードだ」
俺は“ジュエルシード”の暴走防ぐために覆っていた鎖を消し、“ジュエルシード”をフェイトに差し出す。
「あ、うん。バルディッシュ、お願い」
「待て! ジュエルシードは第一級捜索指定のロストロギアだ! それをどうするつもりだ!?」
ほう、この短時間でそこまで回復するか。デバイスの先端を俺に向け、クロノが睨みつけてくる。
これは驚いたな、執務官という大層な肩書きに相応しい実力者というわけか。
「さっきも言ったとおり、質問に答える義務はない」
「ゼフィ、この人は?」
フェイトがクロノを見て、誰かと聞いてきた。
アルフも気になっているみたいだ。
「ん? あぁ、時空管理局のクロノ・ハラオウン執務官殿だそうだ」
「「!!」」
二人がかなり驚いている。
どうやら時空管理局というのはちゃんと実在しているようだ。
「くっ、よくもここまでやってくれたわね」
シャルもようやく支えなしで立ち、こちらを睨む。
それに“キルシュブリューテ”を構えなおしている。
どうやら、まだやる気のようだ。仕方ない。フェイトとアルフを完全に逃がすためにもう一仕事と行こうか。
「フェイト、アルフ、来てもらって早々悪いが、先に帰っていてくれ、すぐに追いつくから」
「・・・大丈夫、ゼフィ?」
「見てもらっている通り、この状況では俺に敗北はない」
「フェイト、ゼフィは大丈夫そうだから行こう」
「うん『待ってるから、早く帰ってきてね』」
『ああ』
フェイトとアルフが“ジュエルシード”を封印し終え去って行った。
クロノが「待て!」とデバイスを二人に向け、
――スティンガーレイ――
光の弾丸を4基放った。俺は左手で銃の形を作り、人差し指から魔力弾を4発発射。
全弾迎撃完了。ついでにクロノの足元にも魔力弾を撃ち込み、威嚇。
†††Sideルシリオン⇒クロノ†††
足元に撃ち込まれた魔力弾が地面を削り、破片を散らす。
なんなんだ、こいつは? こんなデタラメな魔法、見たことも聞いたこともない!
それに時空管理局を知らないというのも、おかしな話だ。
そしてもう一人、僕の横に立ち、あの少年を睨む少女。
この子の持っている剣から異質な魔力を感じる。
いや、今は目の前の少年こそが優先するべき事だ。
フェイトと呼ばれた少女と、アルフと呼ばれた使い魔であろう狼が“ジュエルシード”を奪い去って行った。
≪我が手に携えしは確かなる幻想≫
「数価。 四〇・九・三〇・七。 合わせて八十六」
あの少年が何かを呟く。なんだ? 何かの呪文か?
そして彼の背後から、海水で出来た蛇のようなものがいくつか現れた。
「な・・・!?」
開いた口が塞がらない。
「最悪、あいつ・・・ここまでするわけ?」
となりの少女が諦めたような声を出している。
確かに今の状況を見れば、もう諦めるしかない。
「俺はこれにて失礼させてもらおう、
水よ、蛇となりて剣のように突き刺せ」
その言葉を合図として、海水の蛇が襲い掛かってきた。
「あ~、くそ」
愚痴をこぼす。まったく、この少年は一体何なんだ。
†◦―◦―◦―◦―◦↓シャル先生の魔術講座↓◦―◦―◦―◦―◦†
シャル
「今回もようこそ。私の私による生徒のための魔術講座へ。
このコーナーの主であるシャルロッテ・フライハイトよ」
なのは
「こんにちはー❤ 前々回ぶりの助手、高町なのはだよ♪」
ユーノ
「生徒のユーノです」
シャル
「今回、ようやく素顔不明だったゼフィの素顔が見られたわね(私は知ってたけど)」
なのは
「ビックリしたよぉ。女の子だと思ってたら、本当は男の子なんだもん。
しかもすっごい可愛いし。女の子の私としては、かなりショックだったよ(涙)」
ユーノ
「いやいやいや、ちょっと待ってよ、なのは! ショックを受けるとこそこじゃないって!
ゼフィって子、なのはやフェイトの魔法を何の苦もなく使ったんだよ!?
それに、まっ黒な影のような渦になって・・・あれ、大魔法クラスの威力だよ!」
なのは
「ま、まあまあ落ち着いて、ユーノ君。そこはほら、シャルちゃんが説明してくれるよ。ね? シャルちゃん」
シャル
「まぁね。でも今回はダメ。次回辺りで説明するわ。
今回は、このコーナーの主旨通りに話を進めさせてもらうわ。
そういうわけで、私が使った魔術を紹介させてもらうわ。
――炎牙崩爆刃――
――雷牙神葬刃――
真紅の炎を纏った刀身から放たれる爆発力の高い炎刃による一閃、炎牙崩爆刃フェアブレンネン。
高電圧の真紅の雷撃を対象に向けて放つ、雷牙神葬刃ブリッツ・エアモルドゥング。
フェアブレンネンは、焼却、という意味。ブリッツは雷光、エアモルドゥングは、殺害、という意味よ」
ユーノ
「ゼフィって子を一発で海にまで吹っ飛ばした爆発する炎を刃。結構過激だよね?」
なのは
「非殺傷設定なんて無い魔術の雷なんて受けたら真っ黒焦げになっちゃうよね、きっと。
フェイトちゃんのならまだ安心?できるけど・・・。気を付けないとだめだよ? フェイトちゃん」
シャル
「同じ魔術師のゼフィだから使うわけで、魔導師相手にはもっと安全?な術式を使うわ。
それに、今回の術式でも安全ということを見せてあげるからよく見てて。
キルシュブリューテに、こう・・・お肉とかネギとかを刺して言って・・・」
なのは
「え? なにやってるのシャルちゃん。それってまるでバーベキューの串焼きだよ?」
シャル
「これで安全を示そうというのよ。良い感じに焼けることができたなら、それは魔導師にも安全が証明されるでしょ?」
ユーノ
「いやいやいや。生身の人間と食用加工されたお肉を一緒にしない方がいいって、シャル」
シャル
「同じよ。どっちもお肉なんだから」
なのは
「いやぁ、牛さんとか豚さんと鳥さんのお肉と、人のお肉は一緒じゃないと思う」
シャル
「私にしてみれば大差ないわ。ほら、行くわよ。雷牙神葬刃」
バチバチ☆ジュージュー
ユーノ
「あ、なんか良い匂いがしてきた」
なのは
「あ、電撃でお肉が焼けてるっ♪」
シャル
「電圧や火力を自在に操作できるんだから、人体に影響が出ないようにすることだって出来るということよ」
なのは
「すご――」
パァンッ!
ユーノ
「あの、シャル。お肉とか野菜が弾け飛んだんだけど・・・」
なのは
「・・・・もったいない」
シャル
「・・・・ま、たまには失敗もあるわ」
なのユー
「こわっ」
シャル
「コホン。えー、さて、では今日はここまでね。ではまた次回、お会いしましょう。ね?」
なのは&ユーノ
「ば、ばいばーい♪」
複製魔術・能力
灼眼のシャナ:飛焔
るろうに剣心:龍翔閃
スターオーシャン2:空破斬
ANSUR:風牙裂千 空帝 双嵐掌
メルティブラッド:ナイトルーラー・ザ・ブラッドディーラー
とある魔術の禁書目録:水よ、蛇となりて剣のように突き刺せ
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。