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エルフの国の田舎から首都へ(1)

書いたので…。


エルシアに気になる描写があるかもしれませんが勘違いをなさらないようにある説明を一番下に書いておきました。


本文を読んでからみて下さい。

 ーチュンチュン


 柔らかな朝日と小鳥の鳴き声で少し意識が覚醒する。

 寝起きの冷えた体がベッドの暖かみを離したくないと起きることを拒む。

 そして、そばにあるものを抱きしめる。


「ん、ご主人様…。」


 可愛らしい声が部屋に響く。

 それは決して嫌がる声ではない。

 むしろ受け入れるような求めるような…。


「リンダ、エルシアの実況をするのは良いけど俺を絶対登場させるなよ。」

 《え、ここからツカサくんがエルシアちゃんに優しくキスするところだったんですよ。》

「しないから。」


 俺はベッドのそばの机に置いたコップの水を飲みながら、リンダの勝手なストーリーを聞き、いまだに寝て、枕を抱きしめているエルシアを見ている。


 《でも、ご主人様、って言ってましたよ。あんな可愛い声で。》

「…言ってたな。」


 どんな夢を見ているのやら。


 そう思っているとエルシアの目がゆっくり開く。


「おはよう、エルシア。」

「…ご主人様?」

「そうだけど。」

「もう一回撫でてくれますか?」


 なんか、本当にキャラ崩壊起こしてるな。

 俺、おとなしいキャラだと思ってたんだけど…。

 誰ですか?

 この甘えん坊の銀髪エルフは。

 本当にあの目が虚ろだったエルフですか?

 てか、もう一回って夢でなにやってんだよ、俺は。


「ふぅ、ご主人様…。」


 って、言いながら撫でちゃう俺も俺だよな。

 どうにもオークの一件からエルシアに甘いな…。


「そろそろ、現実に帰ってこい、エルシア。」

「現実…?」


 エルシアが可愛らしく瞬きをする。

 そして、30秒後。

 自分が何をやったのか理解が及んだようでベッドから降りると同時に土下座を決める。


「申し訳ありませんでした。」

「謝るにしても俺に対して土下座は禁止な。それと、別に気にしてないから良い。」

「ご主人様、ありがとうございます。」


 エルシアが立ち上がり俺に頭を下げる。


 買った当初より大分抑揚があるが、どうやら落ち着いたようだ。

 昨日やさっきみたいな元気のある声や甘える声ではない。


「それじゃあ、首都『ルフラン』に行く準備をしろ。」

「はい。」


 俺は準備を終わらせてあるが部屋の外に出て行ったりはしない。

 また一人にしないでと言われるのがわかっているからだ。


 俺はエルシアを視界に入れないようにベッドの上で壁を向いて座る。


「ご主人様、終わりました。」


 少し経ちエルシアはピンクのパジャマから白いワンピースと腕時計、チョーカー、マントを装備していた。

 昨日あげた腕時計は本当に大切らしく何度も触っている。


「じゃあ、行くぞ。」

「はい。」


 朝食を食べ、おばちゃんに鍵を返して宿を出て、二人で【身体強化】を使いこの村を出る。


「途中で服飾店や武器屋があったら寄るからな。」

「いえ、また遅らせるわけにはいきません。」

「けど、寄らなかったらこの一週間白いワンピースを着るしかないし、武器もないぞ?」

「しかし…。」


 自分のせいで遅れているという自覚はあるようで本当に寄りたくないようだ。

 だが、武器は持っていてもらいたい。


「あったら寄る。これは決定事項だ。」

「わかりました。」


 だが、今日はその服飾店を見つけるどころか村すら見つからず野宿することになってしまった。


「やっぱりエルシアは料理うまいな。」

「ありがとうございます。」


 褒めると少し笑みを浮かべて頰を赤くする。


 食事を食べ終わると今までと同じように俺が湯浴みをする。


「ご主人様、目隠しはなさらないのですか?」

「しないよ。魔族…、というか魔王だって知られているわけだし。」

「…そうですか。」


 そうだよ。

 なぜ、少し残念そうな顔になるんだ。

 エルシアにそういうのは求めていないから。


「じゃあ入ってくるぞ。覗いたりするなよ。」

「わかりました。」


 一応、注意をした。


 湯浴みをしている間覗かれるようなこともなく、魔物の襲撃もなく何事もなかった。


「俺はもう寝るけど、一人で大丈夫か?」

「大丈夫です。今日はご主人様を感じれますから。」


 確かに、テントだと生地は薄いから寝息も気配も感じることができるな。

 昨日はそれがなかったから、エルシアはダメだったんだな。


「それに腕時計もあります。」


 エルシアが嬉しそうに自分の左手首を撫でる。


「そうか。五時間後に起こせよ。」

「はい。おやすみなさい、ご主人様。」

「いや、その前に武器がなかったろ?ほれ、刀。」


 俺は刀をエルシアに渡す。


「ありがとうございます。」

「どういたしまして。何かあったらすぐ呼べよ。」

「はい。」

「じゃあ、おやすみ、エルシア。」

「おやすみなさい、ご主人様。」


 俺はテントの中に入り、寝袋に入る。


「リンダ、おやすみ。」

 《おやすみなさい、ツカサくん。》



 ◆



「ご主人様。五時間経ちました。」


 目の前に銀髪の美人さんがいた。


「エルシア…。お疲れ様。異常はなかったか?」

「何もありませんでした。」

「そうか。」


 俺は体を起こしテントから出て、湯浴みの準備をする。


「ご主人様、ありがとうございます。」

「どういたしまして。」


 エルシアが湯浴みに行く。

 俺はエルシアから受け取った刀を左腰に携える。

 しばらく経ちエルシアが湯浴みから帰ってくる。


 水も滴るいい女って言葉があるけど、どうして水が滴るとより美人に見えるんだろうな。


 エルシアが帰ってくると俺にお礼を言ってテントの中に入っていく。

 気配が分かれば怖くないようだ。

 しばらくして、すぅすぅ、とエルシアのかすかな寝息がしてくる。


 それに安心して俺はリンダと駄弁る。

 いつも通りの過ごし方で時間は過ぎ去っていく。


 《おはようございます、ツカサくん。》

「おはよう、リンダ。」


 エルシアもテントから出てくる。

 今日は寝ぼけてはいないようだ。


「ご主人様、おはようございます。」

「おはよう、エルシア。」


 エルシアに朝の挨拶をして朝食をとる。

 朝昼晩と肉になるわけにはいかないので生野菜のサラダを食べる。


「大丈夫ですか?」

「一回食べたから食あたりはしないよ。それに食あたりになっても食料をとりにいかせたりしないから。」

「ご主人様…。」

「さっさと食べて出発するぞ。」

「はい!」


 朝食を食べ、テントやポーチなどをしまって【身体強化】を使い再び首都『ルフラン』を目指す。

 たまに出現する魔物は刀で斬り伏せ進んでいく。

  そして、日が傾き始めて来る頃、エルシアが前方に村を見つける。

 ちなみに、ここに来るまでにいくつか村を見つけたが服飾店や武器屋はなく全部スルーしている。


「おじちゃん、二つベッドがある部屋を。」

「それはない。ダブルベッド一つの部屋ならある。」


 ダブルベッドが一つか。

 俺はもうソファーで寝る気はないから、一緒に寝ることになってしまう。

 俺はやましいことはないので構わないが、エルシアはそれで大丈夫なのだろうか?


 エルシアを見る。


「ご主人様、一緒にいさせてください。お願いします。」


 迷う余地はなかった。


「おじちゃん、その部屋で。」

「まいど。」

「あ、それとこの村に服屋と武器屋はある?」

「ある。」

「ありがとう。」


 おじちゃんから鍵を受け取ってエルシアと共に部屋に入る。


「明日はエルシアの服と武器の調達だな。」

「ありがとうございます。」

「はいよ。」


 エルシアに明日の予定やあと四日でルフランに着くことを確認して、宿でまた弁当箱に魚料理を入れてもらい部屋に戻る。

 もちろん、エルシアは後ろについてきている。


「箸はもう慣れたんだな。」

「はい。箸はとても魚料理に適しているのですね。」

「むしろ、ないのが不思議だよ。」


 これまで日本人がこの世界に来たことはないのだろうか。

 いや、あいつがいた。

 リンダを殺したシンジが…。

 あいつは何もしていないのだろうか。


「ご、ご主人様?」

「あ、ごめん。なんでもない。」


 無意識に【覇気】を出してしまっていたらしい。

 エルシアを怯えさせてしまった。


「エルシア、食べ終わったら先に湯浴みしてきな。俺は待ってるから。」

「わかりました。」


 エルシアは食べ終わると俺の言う通りに湯浴みをしに行く。

 ピンクのパジャマで出てきたエルシアと交代して俺も湯浴みをする。

 そして、それが終わると早々に寝ることにする。


 だが、問題は一つのベッドで寝ることだ。

 一昨日、夜這いが行われることはなかったので互いにやましいことはない。

 しかし、俺は昨日の枕に抱きつき寝るエルシアを見て思った。

 エルシアにはどうも抱きつき癖があるような気がする。


 買った当初にベッドまで運んだ記憶はあるが、寝てるところをマジマジと見たわけではないし、それに寝てるところをしっかりと見たのは一昨日が始めてだから一概には言えないが、それでも抱きつき癖があるような気がする。


 ……フィルアみたいに寝相が悪くないだけマシか。


 そう、無理やり納得してエルシアと一緒にベッドの中に入る。


「ご主人様…。」

「なんだ?」

「緊張します。」


 頰を赤くして言うな。

 まぁ、でも、わかるよ。

 好きでなくても男女が一緒のベッドに入るのは緊張するだろうよ。

 でも、それの他に恐怖を持つはずだけど、相変わらず俺にはそういうのを感じないんだな。


「早く寝ろよ。おやすみ、エルシア。」

「はい。おやすみなさい、ご主人様。」


 エルシアの銀髪が広がり俺の肩に触れる。

 そして、早くも瞼を閉じ、眠ったエルシアの寝息が俺の首筋に当たる。


 《エルシアちゃんに…。》

「何もしないから。リンダも、おやすみ。」

 《おやすみなさい、ツカサくん。》


 俺はリンダが消えていった空間を見て、首筋に当たる寝息を感じながら瞼を閉じた。

目隠しの描写で気になるところがあったかもしれませんがエルシアはアブノーマルではありません。

ノーマルです。


これ以上、エルシアにステータスを授けていったら他の子が目立たなくなりますからね。


じゃあ、なぜ、あんな反応をするのか…。

いつか物語で書きます。


安心してください。

M属性は違う子に授けますよ。


かなり書いてしまいましたが、これからもこの作品、『クラス転移する前に転生しました!』をよろしくお願いします。


てか、首都につけなかった。

次話につかせます。

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