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ツカサなきクラスメイト

活動報告をお読みください。

それと、『奴隷購入』からの話ですが大幅な改稿を行いたいです。

 光に包まれたクラスメイトは目を開けた。

 白んで霞んでいた視界は徐々に焦点を合わせる。

 そして、そこに現れた光景にただ絶句するしかなかった。


「ここは…?」


 クラスメイトの誰かが言った言葉は全員の疑問そのままだった。

 机と黒板のあったはずの空間が、天井が広く床には大理石でできたような輝く石が敷き詰められ、さらに奥には玉座があるまるでお城のような空間に変わっていた。


「異世界だ…。」


 また誰かが言った。

 その人はいち早く状況を理解した女子だった。

 その女子は日本人ではない雪のように白い肌と茶色の髪を持っていた。


「リリナさん、どういうこと?」


 いち早く理解した女子こそハウズ・柏木・リリナだった。

 なぜそんなことが可能だったのか。

 それはリリナがツカサと同じようにアニメ、マンガ、WEB小説を嗜む人だったからだ。

 だが、そんなことを気にする状況ではなかった。

 リリナが発した言葉によって、家族の名前をあげる者、泣き叫ぶ者、はたまた喜ぶ者など、様々な者たちの声が上がったからだ。


「静まれえええええ!!」


 野太い男の大声がその場に響く。

 それによって様々な感情渦巻く声は静寂を作り上げる。

 大声を出しただろう張本人は玉座の隣の扉から入ってくる。

 その頭には派手な宝石がちりばめられた王冠がのり、高貴な身分であることがわかる。

 そしてその後ろには綺麗な女性がついてくる。

 男は玉座に座り、女性はその横に立っている。

 その女性が口を開く。


「勇者様、どうか魔王を倒してください。」


 リリナは内心、やっぱり、とこのセリフが来ることを予期していたので落ち着いて聞いていた。

 一方、レイナ、アヤカ、シオリ、クラスメイトは茫然と聞くしかなかった。

 ここから簡単に男がこの人間の国『サイラス王国』の王で、女性がこの男の娘、つまりお姫様である紹介がされる。

 そして、勝手に召喚してしまったことに対する謝罪、魔王を倒すという召喚した目的が話されクラスメイトは非難の声を上げる。

 だが、お姫様から出た言葉で再びの静寂が空間を支配する。


「魔王を倒せばどんな願いも叶えることができる宝玉の一つをさしあげます。」


 説明は続く、六つ集めれば神がどんな願いでも叶える宝玉のこと。

 それは魔王を倒せばこの国から一つ進呈されること。


 クラスメイトは地球への帰還が思い浮かぶ。

 シオリは真っ先に兄であるツカサの顔が思い浮かぶ。

 レイナとアヤカはレイナの兄であるシンジとツカサの両方の顔が思い浮かぶ。

 リリナもツカサの顔が思い浮かぶ。


 みなそれぞれの願いを胸に抱く中、ステータスの説明がされる。


「「「「【ステータス】」」」」


 赤沢 レイナ 17歳 女 レベル:1

 種族:異世界人(勇者)

 筋力:15

 体力:15

 耐性:15

 敏捷:15

 魔力:5

 魔耐:5

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・言語理解


 牧野 アヤカ 17歳 女 レベル:1

 種族:異世界人(勇者)

 筋力:15

 体力:15

 耐性:5

 敏捷:15

 魔力:15

 魔耐:5

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・言語理解


 ハウズ・柏木・リリナ 17歳 女 レベル:1

 種族:異世界人(勇者)

 筋力:5

 体力:15

 耐性:5

 敏捷:15

 魔力:15

 魔耐:15

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・言語理解


 帯刀シオリ 15歳 女 レベル:1

 種族:異世界人(勇者)

 筋力:8

 体力:12

 耐性:8

 敏捷:12

 魔力:12

 魔耐:8

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・言語理解


 レイナとアヤカとシオリとシオリはこれが弱いのか強いのかは分からなかった。

 だが、その解はお姫様が示してくれる。

 この世界でのレベル1の平均ステータス1らしい。

 つまり、高いということだ。

 しかし、レベル1の場合はすぐに弱い魔物を倒してレベルを上げなければならないとのこと。


「今から一人一匹ゴブリンを倒してもらいます。攻撃される心配はないので各自倒してください。」


 クラス人数分のゴブリンが連れてこられる。

 それは手足が切られ今にも死に絶えそうなものだった。

 クラスメイトの何人かはその場で嘔吐してしまう。

 しかし、レイナとアヤカとシオリとリリナは違った。

 ただ、己の願いを叶えるために受け取った剣を使いゴブリンの心臓を止める。


 赤沢 レイナ 17歳 女 レベル:5

 種族:異世界人(勇者)

 筋力:75

 体力:75

 耐性:75

 敏捷:75

 魔力:25

 魔耐:25

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・言語理解


 牧野 アヤカ 17歳 女 レベル:5

 種族:異世界人(勇者)

 筋力:75

 体力:75

 耐性:25

 敏捷:75

 魔力:75

 魔耐:25

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・言語理解


 ハウズ・柏木・リリナ 17歳 女 レベル:5

 種族:異世界人(勇者)

 筋力:25

 体力:75

 耐性:25

 敏捷:75

 魔力:75

 魔耐:75

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・言語理解


 帯刀シオリ 15歳 女 レベル:5

 種族:異世界人(勇者)

 筋力:40

 体力:60

 耐性:40

 敏捷:60

 魔力:60

 魔耐:40

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・言語理解


 それぞれレベルが上がり四人は笑顔になる。

 嘔吐していた人もクラスメイトに励まされながらゴブリンの命を奪っていく。

 お姫様は今日は自室に待機する事を勧める。

 それに従いみな自分にあてがわれた部屋に戻っていく。

 その後、大浴場に男女時間別で案内される。


「帯刀 ツカサさんの事について教えてください。」


 リリナは大浴場でツカサに関わりのある三人、レイナとアヤカとシオリに声をかけていた。


「兄さんの事を?簡単ですよ、あなた達が殺した人ですよ。」


 シオリの返答にその場にいる四人だけでなく大浴場全体の空気が凍る。


「謝って済む事ではないことはわかっています。でも、シオリさん、本当にすみませんでした。」


 リリナは頭を下げる。

 リリナはツカサに助けられたことで今まで傍観者でいたことを悔いていた。


「……わかりました。でも、そこの二人の方が詳しいですよ。当時の当事者だったんですからね。」


 シオリが指差した方を向くと顔を俯かせたレイナとアヤカがいた。


「レイナちゃん、アヤカちゃん。教えてタテワキさんの事を。」

「「……。」」

「レイナちゃん!アヤカちゃん!」


 レイナはしばく拳を震わせていたがやがて顔を上げる。


「話すよ。リリナちゃん。」


 そう言ってレイナは話し始める。

 ツカサと仲が良かった頃を、そして事件の事を。


「私はお菓子を取り行ったの。そしたらね、兄貴が突然入ってきた。その時兄貴は私になんて言ったと思う?」

「……。」

「あ、あの時、あ、兄貴は、レイナ、お前は処女かァって。そ、それで、私は兄貴にむ、無理やりベッドに縛って、脱がせて、それで、それで。」


 大浴場の床にレイナが泣き崩れる。

 人殺しと罵倒していたシオリも涙を浮かべている。


「もういい。ここからは私が話す。」


 泣き崩れたレイナの変わりにアヤカが話し始める。

 そこにツカサが遭遇しシンジを撲殺したことを。


「私は気持ちの整理ができなかった!兄貴に襲われたこと、ツカサが兄貴を殺してしまったことを!私はそれでツカサにずっと人殺しって!」

「レイナちゃん…。」


 想像以上にレイナの遭遇した悲劇が残酷だったことにシオリですら何も言わない。

 大浴場にいた女子全員は初めてツカサへの認識を改めることになった。

 凍りついた空気のままみな大浴場を後にする。


 話を聞いたリリナは自室に戻りツカサのハンカチを胸に抱く。


 シオリはツカサが着て洗う前だったシャツを脱ぎそれを抱きしめる。


 レイナとアヤカは同じ部屋に入りツカサとシンジ、どちらを生き還すかいまだに決めあぐねている。

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