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Different world 作者:なつこっこ。
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03




「あー…おいしー…」

「本当に、これは…」



満足そうに持ってきた菓子折りを堪能している二人。
秘書さんの紅茶もこれまた美味しく香りがいい。


「あの、」

「あ、ごめんね神さん。今回のことは大丈夫、実際あの営業君には期待してなかったんだ」


さらっととんでも発言をかましてくれた気がするが、きっとあほはどこまでもあほだったのだろう。


「でも神さんがきてくれてよかったよ。書類は完璧だし条件的にも非常にありがたい。それにこのディオスクリのお菓子は何よりもうれしい」

「しかし、あの営業の人はどうしたのです?謝りにこれないような状態なのですか?」

「あー…お恥ずかしながら、連絡が取れない状況でして…」


乾いた笑いをする私とは裏腹に、社長と秘書は黙って顔を見合わせる。
すみません、無能な同僚で、本当にお恥ずかしい。とまた頭を下げようとしたら



「…おいゆうや」

「はい、すぐに」

「えー…っと、すみません。…他に何かやらかしてますか、あのあ…うん、岸は」

「あれ、知らない?あー」


申し訳ありません!!とまた勢いよく立ち上がり頭を下げる。
いやまじで岸殴る。
こんないい人を…いやこれはツインズのお菓子を嬉しそうに食べてくれるというのもあるかもしれないが…。思わず涙も出てくるってもんですよ、情けなさ過ぎて…。


「わわ!!神さん!座って!!っていうか泣かないで!」

「もう本当に…」

「…どうぞ、社長、シリアルナンバーわかりました。ロックしますか?」

「シリアルナンバー?」


なんの話?あれ窃盗でもしたの?と血の気が引く思いで社長の顔をみると、説明するよ、だから泣かないで、と困った顔で背中をさすられる。
あぁ恥ずかしい。いい年してるというのに…。


「とりあえず、この会社は今CMで話題のDifferent worldを開発したんだよ」

「え?」

「で、俺が開発者なんだけどね?」

「うん?」

「すごいでしょ?」


ほらーって無邪気に見せてくれたのは、先ほどまで確かに窓だったはずの場所がモニターになり、映し出されるCM。
そこには社長と秘書と同じ顔が魅力を紹介するように動き回っている。


「あ、見たことあると思ったらこれだ」

「あ、よかったー!反応ないから知らないのかと思ってた!!」

「すみません…素で言ってしまいまして…。あと無知で本当にすみません…」


そうだ、見たことあるのはあの時にみたCMの顔じゃないか。
楽しそうに魔法をつかい、たくさんの人と話をし、笑い合っていた顔だ。
すんごい会社だと改めて気づかされる。
だからツインズもなぜ知らないの?という反応だったのかと納得だ。

いや、まて

ということは単純にシリアルナンバーは本日販売予定のソフトとメットにつけられているのでは?
そしてそれが判明したとかいうことは…。



「あの、その、シリアルナンバー…」

「察しがよろしいですね」


あまり表情に変化のない秘書さんが微かにほほ笑む。
素敵な笑顔…じゃ、ない!


「ほんっとうに、ほんとうに申し訳ない!!!!」

「大丈夫。このナンバー凍結したから!」


ドヤァとした顔でお菓子をほおばっている社長。
あのあほは、ここの会社の社長と仲良くなればタダでソフトとメットげっと!
なんならチートゲットできるかも!?とか思ったに違いない、うん。


「凍結っていうことは…」

「かなりのお金を払わないと利用できません。」

「かなり、とは」

「1台買うぐらい、かな。でも、ちゃんと伝えたんだよ?これをお貸しするんだから仕事に穴をあけないでくれ。もしそのようなことがあった場合、悪いが即凍結処置をとるからって。なんなら署名捺印ゲット済み」

「あほすぎて…しかもレンタル」


ぐったりしてきたわ。
すっと横から出てきたのは、冷えたおしぼり。
視線をあげれば、秘書さんがどうぞ、と手渡してくれた。
首を指さすので、おしぼりを言われたまま首にあてる。
ひんやりしたおしぼりに、思ったより自分は興奮状態になっていたことを改めて自覚させられる。


「はー…すみません、おしぼりまで」

「神さん、そんなに謝らないで。俺からしたら、このお菓子もらえただけで幸せだから」


にこーっと笑う社長の手にはディオスクリの紙袋。
こんな形で役に立つとは、ねーちゃん鼻が高いよ。


「あと、神さんさえよければ、このゲームしない?一緒に楽しもうよ」

「え、いや、私はゲームはうとくて」

「これは昔のゲームとは違うよ。そうだ!!ディオスクリの二人の分も渡すよ!あっちの世界でも二人のお菓子が食べられる!?」

「えと、あの」

「たのしみー!!」


すでに一緒に楽しむことが前提で話が進んでいる社長にどう声をかけようかと悩んでいたら、


「…神さん、あきらめてもらえると非常に助かります」


すみません、と秘書さんが頭を下げたので、こちらも頭を下げるしかなかった。

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