第九話 レンゲルドの恋
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一目惚れだった。
引力のごとく引き寄せられた。
これは運命だと、当然のように思えるほど、彼女に惹かれた。
そうして13歳となった俺は、初めての恋におちたのだった。
シュバルティ帝国。
この国は、俺の国も含めてこの大陸の頂点に立つ国だ。
戦で頂点にたったわけでも、貿易で頂点になったわけでもなく、ただ神に愛されている国として私たちは敬い、尊敬している。
いつから建国したのか、シュバルティ帝国の歴史書にしかのってないほどどの国よりも長い建国年数は、この大地を神が作りあげた時期に、神による祝福によってヒトが生まれ、そのヒトたちが建国した最初の国なのだという伝説の意味づけをしている。
そんなシュバルティ帝国の創立記念祭が行われるとあっては、各国の王族たちが総出で参加するのも当たり前だと言わざるをえない。
そんな中、シュバルティ帝国の創立記念祭に参加していた俺は、不機嫌が最高潮にたっしていた。
創立祭がめんどくさかったからというのもあるが、俺の弟・・・・もうすぐ三歳になる・・・・が迷子になったらしいのだ。
自分の後ろにいるだろうと、歩く速度には気を付けつつ、時々は後ろもみていたのだが、一瞬気を抜いたすきに居なくなってしまったのだった。
一応、弟に付いている護衛も一緒にいるので、誘拐などの心配はないが、護衛は弟の後ろに付いていくばかりでなく、しっかりと弟が俺についてくるようアシストしろよ!とイライラをつのらせていた。
「おいロンフィル!俺はヴィンを迎えに行く!もう我慢ならんぞ!」
「あなたがいくとさらにややこしくなりそうなので、素直に待っていてください。」
俺の付き人であるロンフィルに抗議するも、ニコニコとした顔で頭を横にふりながら毒をはく。
こいつ・・昔から俺のお世話をしてるからってもう少し言い方ってもんがあるだろう・・・。
しかし、そういう人間が周りにいることが大切だということもよくわかるぶん、なんともいえない気持ちになるのだ。
だいたいヴィンが探検したいなどというから・・・いやそもそもこの創立祭にくる人間の数が異常なんだ。
こんな騒々しいなかでやはりヴィンに歩かせるんじゃなかった。しかしだっこするというと、自分で歩くといってきかないし・・・。
もんもんと考え事をしていたところ、
「レンゲルド様。ヴィンリント様がこられましたよ。」
というロンフィルの言葉が聞こえてくる。
思わずぱっと前をむくと、トコトコとい音が聞こえてきそうなほどたどたどしく歩くヴィンの姿が目に入った。
思わず走り出すと、ヴィンもこちらに気づいたようで、満面の笑みを浮かべている。
お前!どんだけ俺が心配したかも知らないで!と思うも、頬が緩むのが抑えられない。
結局は可愛いと思ってしまい許してしまうのだから、弟というものはタチが悪い。
一気に駆け寄ってその勢いのままだっこする。
きゃっきゃと笑う弟に、思わず笑みが溢れる。
さて、そろそろ親のもとへ戻らなければ・・・と軽く周りを見渡したとき俺は衝撃を受けた。
俺の目線の先には、シュバルティ帝国の王族、または王族に招待されている貴族たちが一様に座っていたのだが、その中でも中心の方に座っている少女にどうしようもなく惹かれた。
髪はシュバルティ帝国独特の透明といえるほどキラキラと光る淡い水色の髪で、年は俺と同じか、年下ぐらいで、全体的にほっそりとした儚げな印象を受ける。
けれど何よりも俺が惹かれたのは、その子の表情だった。
ほんのりと赤く染まる頬と、すこしうつむいて、両頬に手を置いて赤らむ頬を抑えようとしている仕草がなによりもぐっときた。
顔の表情が無表情に近いのに、ほんのりと赤く染まる頬と、目が少し潤んでいる姿は本当にたまらない。
その目を俺に向けて欲しい。
俺を見てくれ。
そう思っている自分になんの疑問も浮かばなかった。
運命だと、がらにもなく思えた。
あの少女は、俺の最愛なのだと。
一目惚れだった。
そして、俺は彼女を手に入れるためならばなんだってしてやると決意した。