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異世界の姫さまが空から降ってきたとき 作者:杉乃 葵

第四章 麗美香

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第四十五話︰Don't be so careless

 目の前に立っているnullさんは、初めて逢ったときと同じ、女子生徒の制服を着ていた。そして、胸がでかかった。

「ああ、この胸か? 急に成長してな。びっくりだ。」

 ええええ?!

「もちろん、冗談だが。お前が、巨乳好きだと思ってな。再会を祝うサービスにと思ってな。(にやにや)」

「そんなサービスは要りません。」

「おしゃべりは後だな。こいつを屋上全体撒け。」

 nullさんから渡されたのは、タンクとそれに繋がっているホースだった。

「おい、そこでハルバード振り回している金太郎みたいな奴!」

 あ、やっぱり、みんなそう思うよね。

「き、金太郎!?」

 麗美香はそう思って無かったみたいだな。

「今から液体を撒くが、人体には影響無いから気にせずに続けろ。それと、後だな少しだけ時間を稼いでくれ。」

「時間稼ぐってどのくらいよ! まじでそろそろやばいんだけどぉ!」

 最後の力を振り絞るようにハルバードを横一線、廻りにいた怪物どもの首が飛ぶ。見事なもんだな。

「そうだな。後3分といったところか。」

「上等ううぅぅぅ!」

 麗美香は少し元気を取り戻した様だった。

 ホースの先に付いているスィッチを押すと、タンクの中の液体が噴出された。消火器みたいなもんだなと思った。

 nullさんも同じ様にホースから液体を撒いていた。

「使い切るまで全体に撒け。」

 液体のせいで、麗美香の手が滑らないか気になったが、問題なく彼女は闘っている様だった。
 こちら側に行こうとする怪物どもを的確に倒したり、奥へふっ飛ばしたりしていた。

「nullさん! 全部使い切りました!」

「よし、おい! ニーナまだか!?」

 え? ニーナ? あいつは帰ったんじゃ?

 紅いタンクを2つ抱えて、ニーナが屋上にヨロヨロと現れた。

「重い……」

 ニーナはタンクを降ろして、その場に倒れた。

「よし、次はあのタンクで撒くぞ。急げ。」

 ニーナの持って来た紅いタンクの1つを担ぐ。

「いいか、こいつは、今いる場所より後ろには撒くなよ。そして、今の場所より前には絶対に出るな。わかったな!」

 nullさんの真剣な声に、ビビりながら頷く。

「おい! 金太郎! 今から撒く液体には掛かるなよ。動けなくなるぞ。闘いながらこっちに戻って来い。」

「なに、無茶言ってんのよ!」

「怪物どもと一晩過ごしたいなら止めはせんが?(にやにや)」

「勝手云ってくれちゃって! 覚えとけよおぉぉ!」

 麗美香は叫びながら、闘う位置取りを変え、徐々にこちらに近づいて来た。

「金太郎の廻りは、わたしが撒く。おまえは、それ以外を頼む。」

 紅いタンクの液体を撒く。麗美香に掛からないように注意しながら。
 暫くすると、怪物どもの動きがおかしくなってきた。脚に地面から離れなくなったようだ。これは?

「よし、固まり始めたな。まあ、あれだ。その、とりもちみたいな物だ。2つの液体を混ぜると固まる様に創ったんだ。どうだ? いけてるだろ?」

 とりもちって云うと、ネズミとか捕まえるやつだったっけ。
 ゴキブリホイホイみたいな感じか。

「これ創るのに、数ヶ月時間が掛かってしまってな。でもまあ、間に合って良かったよ。おまえってやつは本当に性急に過ぎる。もう少し時間をくれてもいいだろうに。」

「今までずっとこれ創ってたんですか?」

「そうだ。中々上手くいかなくってな。」

 なんで、こんな物を? というか、

「こうなる事が、わかってたんですか?」

「ん? まさか。可能性はあると思っただけだ。そのときに、どうすればいいか、あらかじめ考えて用意しておいた。それだけだ。」

 nullさんは、さも当たり前の事だろう? と云わんばかりだった。

 怪物どもの動きが完全に止まった。いや、止まったというより、動けなくなって藻掻いていた。

「ちょっとぉ〜、しゃべくってないで、手を貸してくれない?」

 麗美香の方を見ると、こちらに戻り切れず、途中で脚が、地面に引っ付いてしまったようだった。
 3メートルぐらい先。こちらも手が届かない。

「靴脱いで、こっち迄跳べるか?」

「こんな距離跳べるわけないでしょ!」

 怒られた。あ、そうだ。

「そのハルバードを使って、棒高跳びみたいにやればいけんじゃないか?」

「おー」

 麗美香は、やる気になった様だ。まあ、麗美香なら、出来そうだしな。

 麗美香は靴を脱いでその上に立ち、ハルバードを構えた。助走が付けられないから、スカートが地面に付かない様に注意しながら、ぐっとかがみ、跳び上がってハルバードの柄を地面に突き立てて、こっちに向かって来た。

 ハルバードから手を離すとき、ふんっとさらに飛び跳ねた。
 麗美香を受け止める。
 どんっと受け止めると、勢いで後ろに数歩下がった。

 1日に2回も、こいつをお姫様抱っこするとは思わなかった。

「あんたにお姫様抱っこされるなんて、最悪ぅ〜。」

「いや、2回だし。」

「えっ?! いつ?! うそ!」

 麗美香は、腕の中でジタバタと暴れた。

「ほら、あいつに倒された時に……」

 メイの方を見上げると、まだ儀式を続けていた。

 しまった! まだ歪は閉じてないんだ!

 新たに落ちてきた一体が、動けなくて藻掻いている怪物の上に着地した。
 そして、こっちに飛び掛かろうとしゃがみこんだ。

 怪物の上に落ちたから、こいつは動ける。ここ迄跳んで来れるのか?

 麗美香のハルバードは、さっきの棒高跳びでとりもちの中だ。恐らく取り出せない。

 そして怪物は、こちらに向かって跳躍した。
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