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異世界の姫さまが空から降ってきたとき 作者:杉乃 葵

第一章 ニーナ

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第三話 『他人を支配する者』 (a person who controls others)

 自分は一介の高校生である。

 特に、これといった技能を持ち合わせているわけではない。

 なのに、何故、こんな事に




「で? 誰なの?」

 ヤマゲンは訝しげにニーナを見た。

 というよりも、恐らく、いや、間違いなく、ずっと手を繋いでいる我々、つまりヤマゲンの前に立っている自分とニーナの繋いでいる手を訝しんでいた。

「えっと、何王国だっけ?」

( アルカー・エクサーラおうこく )

「そそ、アルカー・エクサーラ王国の王女、ニーナ・クリーステルさんです」

「へえ~、それでオレに何のようなんだ?」

 屋上でニーナに引き止められてから、午後からの授業を諦め、これからどうしたらいいか、ヤマゲンに相談するため彼女の携帯へ、

「話したいことがある。屋上に来てくれ」

 とメールしたのだった。

 ヤマゲンは午後の一つ目の授業、4講時目が終了するとすぐに来た。ダッシュで来たのではなかろうか? なかなかいいやつじゃないか。

 しかし、この状況、どう説明すれば?

「えっと、この王女さんが空から降って来て、自分に衝突して、それで……」

「じゃ、次の授業があるから行くね」

「おーい!」

「なに? 話があるから来いって言うから来てみたら、手を繋いでいるところを見せつけたかったとか、バカなの?」

「いや、そうじゃない! 違うんだ。これには訳が」

 ヤマゲンが何故かすごく不機嫌になっている。こんなヤマゲンは見たことがない。いつもふざけて自分に絡んでくるのがヤマゲンだ。自分に対して、こんなにも不機嫌さを向けられるとは思っていなかった。

 そして、なんで浮気現場を見られた男みたいな扱いになってんだ?

 えーと、どう言えばいいんだ。

「なに? 朝の仕返しのつもり?」

 ヤマゲンの顔は、怒りとも悲しみとも取れる形容し難いものになっていた。

 何がどう仕返しなのか、さっぱりわからないが、ここはなんとか、機嫌を治してもらって、協力してもらわねばならない。ニーナは言った。いや、正確には云った? たぶん、そういうことを伝えてきたと思う。例のあれ、テレパシーみたいなやつ? イマイチはっきりと伝わってこないから自信が無いんだよね。まだ、自分の妄想って線は消せないし。

 彼女は、助けてと云った。この世界に、私は独りぼっちだと。私独りだけ、この世界に来たと。

「彼女は、別の世界から来て、帰る方法が分からないらしいんだ」 

「あのさあ、悪い冗談やめてくれる? オレは暇じゃないんだよ。あんたの遊びに付き合っている暇無いの」

 いつもおまえの遊びに付き合っていたんだがな。そして、これは遊びではない。

「ねえ、ニーナさん? あんたも、こんなやつに合わせなくていいんだよ?」

 ニーナはヤマゲンをじぃーっと見た後、こちらをじぃーっと見上げた。

「やまねこぉー、この子喋れないの? 外国人さんっぽいけど、日本語話せない人?」

 しばらく思案していたニーナは、こちらをもう一度見上げた。ああ、そうか。ヤマゲンが何を云っているのかわからないんだな。なるほど。わかった。通訳してやる。ヤマゲンの云っている事をニーナに伝える。心の中で。

 コクリとうなずいて、繋いでいた手を離すとヤマゲンの方に歩み寄り、さっと右手を伸ばした。まるで握手を求めるように。
 そして、また、こちらを振り返り、コクリと頷いた。ニーナがやろうとしていることは、なんとなくわかったので、サポートすることにした。ニーナもそれを求めての頷きだったのだろう。

「親愛のしるしに握手したいそうだ」

 ヤマゲンは一歩後ずさり、こちらを疑わしい眼で睨んだ。が、ニーナが微動だにせず、ずっと右手を出した状態で、するどい眼で握手を促しているのに気圧されたか、観念したように、おずおずと右手を出して握手した。

 どうなるのだろうと中端いたずらっぽく眺めていたが、二人とも握手した状態で固まってしまった。ヤマゲン視線は何処を観るでもなく、その瞳はマネキンのように生気がなく、そして時間が止まっているかのようにピクリとも動かなかった。自分もあんな状態だったんだろうか? まあ、気絶してたし関係無いか。

 どのぐらい経っただろうか。体感時間にして10分は経っただろうか。

 すまんヤマゲン、授業は遅刻だ。巻き込んでしまってすまんな。でも、巻き込んで良さそうな奴って、おまえしか思いつかなかったんだ。諦めてくれ。

 そしてようやく、ヤマゲンが動き出した。はっとして目が覚めたみたいにびくんと震えた。その後、彼女は瞬きを一つすると、カタコトでこう言った。


「オレ ニーナを助ける」
タイトルから話を推測させないようにと無理に英語を使って来ましたが、英語だとどこまで読んだからわからないという話を聞きましたので、日本語も入れる様にしました。

しおり挟まないのかな………
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