挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界の姫さまが空から降ってきたとき 作者:杉乃 葵

第三章 摩耶

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

34/113

第三十三話:sink or swim

「被害者は、この人だけ?」

 摩耶先輩の合流後の第一声。心配そうに、横に寝かした教員男性の側でしゃがんで様子を見ていた。

「nullさんっていう知り合いも、一緒に襲われたみたいですが、意識を取り戻して、今、怪物の追跡をしています。」

 簡単に説明したところ、摩耶先輩の表情が怪訝な色に染まった。

「追跡しているのは、そのnullって人とニーナさんなのね。」

 うーん、摩耶先輩は大きく唸った。

「自分もすぐにnullさんに合流したいんで、摩耶先輩、この人お願いします。」
「ちょっと待ちなさい。」

 摩耶先輩の強い口調で制せられた。

「倒そうなんて考えないで。あいつの位置が分かったら、連絡ちょうだい。」

 摩耶先輩に頷き、階段を登る。ヤマゲンとすれ違いざま、摩耶先輩と一緒に居るように告げる。ヤマゲンは、何か言いたそうな素振りを見せたが、無視して足早に立ち去った。

 途中でニーナ達の居場所を確認するため、ニーナの携帯に電話する。

「はい。どうしたの?」

 ニーナが電話口で心配そうに返事をした。

「今、何処に居る?」

 しばらく待った後、6階だと応えが返ってきた。

「ヤツは見つかったか?」
「うん。」
「今から、そっち向かう。ヤツは何処に居る?」
「えっと、廊下の先でじっとしている。」
「どういう状況なんだ?」
「わからない。」
「わからないって…」

 電話の向こうで、nullさんとのやり取りが微かに聴こえる。

「ああ、わたしだ。」

 nullさんが、電話口に出た。

「端的に説明するぞ。ヤツは、わたしが負わした手傷のせいか、じっとしている。まだ死んではいない。今から、ヤツを始末する。いいか、おまえは来るな。邪魔だ。」
「ちょっと、邪魔って。」
「邪魔だから、邪魔といったんだ。いいから、大人しくしておけ。10分経って連絡が無かったら、失敗したと思ってくれ。その時は、後を頼むぞ。」
「えっ!? ちょっと、」

ツーツーツー

 電話を切られた。

 大人しくしておけと云われて、大人しく出来る訳が無い。ましてや、失敗したらって、失敗する可能性があるんじゃないか。

 なら、なおさら、助けに行かなきゃ。


 ※※※


「おまえの彼氏は心配性だなぁ。」
 ニーナに向かって、思いっきりいやらしく微笑みかけてやった。
 ニーナのやつは、顔を赤らめながら、ブンブンと両手を振って、違う違うと叫んだ。

「ほう? あいつは心配性じゃないのか?」
「そっちじゃない!」
「あははは」

 ふふふ、これで少しは死ぬなんて気を起こさないと良いが。
 さて、

「彼氏が来る前に片付けようとしよう。」

 理科実験室の扉のカギを、チョチョイと開けて、中に入る。この手の扉のカギは簡単に開くんだよ。

 掃除道具用のロッカーを開けて、箒をニーナに手渡す。
 ニーナは、何?って顔をしたので言ってやった。

「おまえは、これで闘うんだよ。」

「あの、、、ちょっと、意味が、、、」
「いいから、言う通りにしろ。そうじゃないと、二人とも死ぬぞ。」

 ニーナは渋々箒を受け取った。

「では、戦闘開始だ。」

 理科実験室を出て、10メーターぐらい先に居るヤツに見せつける様に、空気銃のボルトを引く。
 先に入れていた弾が飛び出して、廊下に落ち、カランカランと、周りに反響した。
 ヤツは、身を震わせ、こちらに向き直った。

 新しい弾を込めて、空気銃をヤツに向ける。

 グルルル

 ヤツが唸る。

 ゆっくりと、理科実験室に戻り身を隠す。

「今だ、ニーナ、突っ込め!」

 手筈通りに、ニーナは、箒を構えてヤツに突っ込んだ。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ