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異世界の姫さまが空から降ってきたとき 作者:杉乃 葵

第八章 句由比華澄

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第百十一話『G』

 なんでなんで、なんでなの?

 爺様の居場所を探して屋敷を彷徨いていたら、豚まん位の大きさのカエルが一杯廊下を埋め尽くして行く手を阻むし、しょうが無いから別の廊下を行くと今度は大量の猫が廊下に溢れかえっていて威嚇してくるし。そしてトドメはGよ! G!
有り得ない! 廊下のみならず壁やら天井を埋め尽くすGとか!

 いったいだれの嫌がらせよ! 犯人が判ったらハルバードの餌にしてくれるわ! あれ? ハルバードの錆だっけ? まあ、そんな事はどっちでもいいわ!

 何よりも、なんでこのGたち、わたしを追い掛けてくるのよ! わたし何も悪い事してないよ! たぶん……

 さっきからずっと逃げ続けてるのに、コイツらずっと追ってくる。カサカサ走られるのも恐いけど、飛んで来るのはもっと怖いのよぉぉぉ!

 だめだあぁぁ。怖すぎて死にそう。

 Gによるショック死とか笑えない。末代までの恥だわ。というか、死んだら末代とかないよね。

 馬鹿な事考えてる間に取り囲まれたじゃないの! って、ポチが居たら八つ当たり出来たのに! Gに囲まれて終わりなんて酷くない?

 爺様に会うまでは奥の手は使いたく無かったけど、今使わなかったら詰みそうだし、やるしか無いかあ。
 とはいえ、使ってもこの数じゃ効果薄そう。足元と背後の壁以外、前と左右の廊下がもうGで真っ黒。床、壁、天井に隙間無くびっしりと固まっていたいる。Gで出来たトンネルだわ。なんてやなトンネルなの? 間違いなく史上最悪のトンネルだわ。賭けてもいい。

 襲って来たら全力のサイキックをぶちかましてやろうと呼吸を整えたが、一向にGが動く気配がない。さつきまでわたしを追い立てる様に襲い掛かって来たのに、今はぴくりともせずこちらの様子を窺っている。 

 なによ、あんたたち、云いたい事があるなら云いなさいよ! って無理な話ね。それにGと会話とかむしろ勘弁。

 ぶーん

 うぇっ?! 一匹飛んで来やがった! やめてー! うわー!

 とっさにハルバードを振り回しては追い払おうとしたけど、空振りに終わり、バランスを崩して転んでしまった。

 最悪だ。このままヤラれちゃうの? 

 即起き上がり最後の抵抗とばかりにメチャクチャにハルバードを振り回す。

「うがぁー! こんちくしょー!」

 どの位の時間振り回して居ただろうか? 時間と疲労がわたしに冷静さを取り戻してくれた。

 Gたちは、わたしが暴れている間、一歩も動いていない。先程と同じ位置で黒いトンネルを形成していた。

 恐怖のあまりすこーしだけ、ほんの少しだけ、取り乱したようね。わたしとした事が。こんな事では爺様に勝てない。しっかりしろ! 麗美香!

 また一匹、今度は床をカサカサと走りながらこちらに向かって来る。

 もうっなんなのよ! あんたらと遊ぶ趣味ないから! いー加減にして!

 散々悪態をつくと、意味が解るのか、向かって来ていたGがわたしを迂回して後ろの壁の下に潜って行った。

 なんなの? ほんっとにあんたら何がしたいのさ!

 次から次へと一匹ずつ、後ろの壁の下に入って行く。

 ん? 壁の下? なんで壁の下に隙間が?

 うちの屋敷そんなにボロじゃない筈だよね。

 壁の下を覗き込むと、微かな隙間がある。その隙間の向こうは暗くて視えない。隠し扉?

 壁を押してみるけど動かない。どうやって開けるのこれ?

 足元をGが動き回っている。なんか慣れてきた。嫌な慣れだけど。

「ねえ? あんたたちが誰だか知らないけどさあー、あんたたちはわたしをここに案内したかったんだよね?」

 Gの側にしゃがんで話し掛けた。
 こいつらはきっと誰かの差し金で動いている。あからさまにこいつらの動きは不自然だし。ここまで案内してこの扉を開けさせるつもりに違いない。初めに居たカエルや、猫たちもそうだろう。出来れば、猫たちに案内されたかったわ! こんちくしょー!

「あんたたちが何の為にわたしを案内したのか知らないけど、企みに乗ってあげるから、この扉の開け方教えて。どうせ知ってるんでしょ?」

 Gたちは何も語らない。いや、語り始めたら怖いから語らなくていい!

 するとGたちはわらわら壁の下の一点に集まりだした。
 そこに何かあるの? 

 近づくと、彼らはわらわらと散開した。
 道を開けてくれるのはいいんだけど、視てて気持ちのいいもんじゃないよね。ゾワッとして鳥肌が立つわ。

 屈んで壁の下の一点を確認すると、隙間の上の方にちょっとだけ出っ張った部分がある。

 うわぁ……。これに押せとか云うんだろうねえ。Gたちが触れた後に触りたくないんですけどぉぉ!

「あんたたちで開けれないの?」

 念の為に訊いてみたけど、触覚が気色悪くうねうね動いているだけで、特に動く気は無さそうだった。
 なんでこいつらの触覚ってこんなに気色悪いのかしら。

「わかったよ! 開ければいいんでしょ! 開ける! 開けますよーだっ!」

 うぅぅ。気持ち悪いぃ。

 躊躇いながら、右手の指をそっと壁の下に入れる。
 わたしの指はすこーしだけ、ほんのすこーしだけ太めだからちょっとだけきつかったけどなんとか指が入った。

 あら、意外とヌルヌルしてない。

 そりゃそーか。あいつら滑ってても、ちょっと触れたぐらいで壁の下が滑ったりはしないよね。

 ひと安心したので一気に突起物を探る。

 あったあった。

 微かに動く指で押してみるけど何も起きない。
 押して駄目なら引いてみろって云うけど、この場合引くってどうすんのよ! 引き様無いじゃない!

 突起物を指で押したり擦ったり弄くり廻していると、それがカチッと横にスライドした。

 そっか、横にスライドさせればよかったんだ。

 ウィーンっというモーター音と共に壁全体が上にゆっくりとスライドしていく。

 やがて目の前に奥へと続く薄暗い廊下が現れた。
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